この章では、データベース集中型のWebアプリケーションを開発するために使用するOracle HTML DBおよびそのコンポーネントの概要を示します。
この章の内容は次のとおりです。
Oracle HTML DBは、データベース集中型のWebアプリケーションを開発および配置するための、ホスティングされた宣言的な開発環境です。Oracle HTML DBは、複数の作業領域が別々のデータベースで実行しているように、それらの作業領域でアプリケーションを構築し、そのアプリケーションにアクセスできるようにして、単一のOracleデータベースを共有サービスに変換します。Oracle HTML DBを使用すると、設計テーマ、ナビゲーション・コントロール、フォーム・ハンドラ、自由度が高いレポートなどの組込み機能を使用して、アプリケーション開発プロセスを短縮できます。
HTML DBエンジンは、データベース表に格納されたデータから、リアルタイムでアプリケーションをレンダリングします。アプリケーションを作成または拡張すると、Oracle HTML DBはメタデータを作成するか、またはデータベース表に格納されたメタデータを変更します。アプリケーションを実行した後、HTML DBエンジンは、メタデータを読み込み、アプリケーションを表示します。
Oracle HTML DBは、コーディングの必要なく、自動的にセッション・ステートを保持します。アプリケーションでステートフルな動作を行うために、Oracle HTML DBはデータベースのセッション・ステートを透過的に管理します。アプリケーション開発者は、標準的なSQLバインド変数構文および単純な置換処理によって、セッション・ステートを取得および設定できます。
Oracle HTML DB開発プラットフォームは、次のコンポーネントで構成されています。
Application Builder
SQL Workshop
Data Workshop
Application Builderを使用すると、表やプロシージャなどのデータベース・オブジェクトの外観としてHTMLインタフェース(またはアプリケーション)を構築できます。アプリケーションは、タブ、ボタンまたはハイパーテキスト・リンクを使用して相互にリンクされた、データベース・ドリブンのWebページのコレクションです。アプリケーションの作成後、指定したテンプレートおよびユーザー・インタフェース要素を使用して、HTML DBエンジンでアプリケーションがレンダリングされます。
ページは、アプリケーションの基本的なビルディング・ブロックです。各ページにはボタンおよびフィールドを配置でき、アプリケーション・ロジック(またはプロセス)を含めることができます。ページでは、条件付きナビゲーションを使用したあるページから次のページへのブランチ、計算の実行、検証(編集確認など)の実行、レポート、フォームおよびチャートの表示を行うことができます。
SQL Workshopを使用すると、データベース・オブジェクトをWebブラウザから表示および管理できます。SQL Workshopを使用すると、データの格納や取得、SQLコマンドの実行および次のタスクの実行を行うことができます。
SQLコマンドの実行
SQLスクリプトのアップロードおよび実行
実行済SQLの履歴の保持
データベース・オブジェクトの作成または変更
データの例示問合せ
データ・ディクショナリの参照
ドリルアップおよびドリルダウンを使用したデータベース参照の有効化
Data Workshopを使用すると、ホスティングされたデータベースとの間でデータをインポートまたはエクスポートできます。インポート可能な形式には、テキスト(カンマ区切りデータやタブ区切りデータ)、XML文書およびスプレッドシートが含まれます。エクスポート可能な形式には、テキスト(カンマ区切りやタブ区切りデータ)およびXML文書が含まれます。
たとえば、「スプレッドシート・データのインポート」ウィザードを使用して、スプレッドシートをデータベース表に変換することによって、複数のユーザーでデータをすばやく共有できます。このウィザードを実行すると、SQLの知識がなくても、新しい表を作成し、データをロードできます。データをデータベース表にロードすると、他のデータベース表と同様に、そのデータベース表の最上位でアプリケーションを構築できます。