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Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clustersインストレーション・ガイド
10g リリース2(10.2) for Linux

B25818-05
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3 Oracle ClusterwareおよびOracleデータベース記憶域の構成

この章では、Oracle Universal Installerを起動する前に完了する必要がある、記憶域の構成作業について説明します。この章で説明する作業は、次のとおりです。

Oracle Clusterware、データベースおよびリカバリ・ファイルの記憶域オプションの確認

この項では、Oracle Clusterwareファイル、Oracleデータベース・ファイルおよびデータ・ファイルの格納でサポートされているオプションについて説明します。

Oracle Clusterwareの記憶域オプションの概要

Oracle Clusterwareファイルの格納には、次の2つの方法があります。

Oracleデータベースおよびリカバリ・ファイル・オプションの概要

Oracleデータベースおよびリカバリ・ファイルの格納には、次の3つの方法があります。

記憶域の一般的な考慮事項

すべてのインストールに対して、Oracle ClusterwareファイルおよびOracleデータベース・ファイルで使用する記憶域オプションを選択する必要があります。また、インストール中に自動バックアップを有効にする場合は、リカバリ・ファイル(フラッシュ・リカバリ領域)で使用する記憶域オプションを選択する必要があります。各ファイル・タイプに同一の記憶域を使用する必要はありません。

投票ディスク・ファイルを配置する場合、各投票ディスクがハードウェア・デバイスまたはディスク、他のシングル・ポイント障害を共有しないように、構成されていることを確認します。構成されている投票ディスクの絶対多数(半分以上)は使用可能であり、常にOracle Clusterwareの動作に応答する必要があります。

フェイルオーバー用にOracle Clusterwareを使用するシングル・インスタンスのOracleデータベース環境では、フェイルオーバー・プロセスにディスクのディスマウントおよび再マウントを含めない場合、OCFS、ASMまたは共有RAWディスクを使用する必要があります。

次の表に、Oracle Clusterwareファイル、Oracleデータベース・ファイルおよびOracleデータベースのリカバリ・ファイルを格納するために使用できる記憶域オプションを示します。Oracleデータベース・ファイルには、データ・ファイル、制御ファイル、REDOログ・ファイル、サーバー・パラメータ・ファイルおよびパスワード・ファイルが含まれています。Oracle Clusterwareファイルには、Oracle Cluster Registry(OCR)、ミラー化されたOCRファイル(オプション)、Oracle Clusterwareの投票ディスクおよび追加の投票ディスク・ファイル(オプション)が含まれています。


注意:

Oracle RAC環境でサポートされている記憶域オプションの最新情報は、OracleMetaLink Webサイトを参照してください。

http://metalink.oracle.com

Oracle Cluster File Systemバージョン2(OCFS2)については、次のWebサイトを参照してください。

http://oss.oracle.com/projects/ocfs2/

OCFS2の動作保証については、OracleMetaLinkの「Certify」ページを参照してください。 


表3-1    Oracle Clusterware、データベースおよびリカバリ・ファイルのサポートされている記憶域オプション 
記憶域オプション   サポート対象ファイルのタイプ 
  OCRおよび投票ディスク  Oracleソフトウェア  データベース  リカバリ 

自動ストレージ管理 

不可 

不可 

可 

可 

OCFS 

可 

不可 

可 

可 

OCFS2 

可 

可 

可 

可 

GPFS(Linux on POWER用) 

可 

可 

可 

可 

ローカル記憶域 

不可 

可 

不可 

不可 

NFSファイル・システム

注意: サポートされているNASデバイスが必要です。 

可 

可 

可 

可 

共有RAWパーティション 

可 

不可 

可 

不可 

ブロック・デバイス(IBM zSeriesベースのシステムのみ) 

可 

可 

可 

不可 

次のガイドラインに従って、各ファイル・タイプで使用する記憶域オプションを選択します。

ディスクの記憶域オプションの選択後の作業

ディスクの記憶域オプションを決定したら、次の作業をここに示す順序どおりに実行する必要があります。

1: CVUを使用した使用可能な共有記憶域の確認

「CVUを使用した使用可能な共有記憶域の検証」を参照してください。

2: Oracle Clusterwareファイル用の共有記憶域の構成
3: Oracleデータベース・ファイルおよびリカバリ・ファイル用の記憶域の構成

CVUを使用した使用可能な共有記憶域の検証

サポートされている共有ファイル・システムについて、クラスタ内のすべてのノードで使用可能な共有ファイル・システムを検証するには、次のコマンドを使用します。

/mountpoint/crs/Disk1/cluvfy/runcluvfy.sh comp ssa -n node_list

クラスタ内の特定のノードと特定の共有記憶域タイプの間の共有アクセス性を検証する場合は、次のコマンド構文を使用します。

/mountpoint/crs/Disk1/cluvfy/runcluvfy.sh comp ssa -n node_list -s storageID_list

前述の構文例で、mountpoint変数はインストール・メディアのマウント・ポイント・パス、node_list変数は検証するノードのカンマ区切りリスト、storageID_list変数は検証対象のファイル・システム・タイプによって管理されるストレージ・デバイスのストレージ・デバイスIDのリストです。

たとえば、マウント・ポイントが/dev/dvdrom/で、ストレージ・デバイス/dev/sdbおよび/dev/sdcnode1およびnode2からの共有アクセス性を検証する場合は、次のコマンドを入力します。

/dev/dvdrom/crs/Disk1/cluvfy/runcluvfy.sh comp ssa -n node1,node2 -s /dev/sdb,/dev/sdc

コマンドにストレージ・デバイスIDを指定しなかった場合は、コマンドによって、リスト上のノードに接続されているすべての使用可能なストレージ・デバイスが検索されます。


注意:

IBM zSeriesベースのLinuxでは、CVUは共有RAWパーティションを確認しますが、共有論理ボリュームは確認しません。 


サポートされる共有ファイル・システムでのOracle Clusterwareファイル用の記憶域の構成

Oracle Universal Installer(OUI)では、Oracle Cluster Registry(OCR)またはOracle Clusterware投票ディスク用のデフォルトの格納先は提供されません。ファイル・システムにこれらのファイルを作成する場合は、次の項を確認して、Oracle Clusterwareファイル用の記憶域要件を満たしておきます。

Oracle Clusterwareファイルにファイル・システムを使用するための要件

Oracle Clusterwareファイルにファイル・システムを使用する場合、そのファイル・システムは次の要件を満たす必要があります。

表3-2を使用して、共有ファイル・システムのパーティション・サイズを決定します。

表3-2    共有ファイル・システムのボリューム・サイズ要件 
格納されるファイル・タイプ  ボリュームの数  ボリュームのサイズ 

外部冗長で作成されたOracle Clusterwareファイル(OCRおよび投票ディスク) 

ボリュームごとに256MB以上 

Oracleソフトウェア提供の冗長で作成されたOracle Clusterwareファイル(OCRおよび投票ディスク) 

ボリュームごとに256MB以上 

Oracleソフトウェア提供の冗長で作成されたOracle Clusterwareの冗長ファイル(ミラー化されたOCRと2つの追加投票ディスク) 

OCRの場所ごとに256MB以上の空き容量(OCRがファイル・システム(OCFS、OCFS2、NFS)に構成されている場合)

または

OCRの場所ごとに使用可能な256MB(OCRがRAWデバイスまたはブロック・デバイスに構成されている場合)

および

3つ以上のデバイスで、投票ディスクの場所ごとに256MB以上 

Oracleデータベース・ファイル 

ボリュームごとに1.2GB以上 

リカバリ・ファイル

注意: リカバリ・ファイルはデータベース・ファイルとは異なるボリュームに配置する必要があります。 

ボリュームごとに2GB以上 

表3-2で、必要なボリューム・サイズの合計を加算して求めます。たとえば、すべてのファイルを共有ファイル・システムに格納するには、2つ以上のボリュームで3.4GB以上の記憶域が使用可能である必要があります。

データ・ファイル用のクラスタ・ファイル・システムの使用の確認

Linux x86(32-bit)、x86(64-bit)およびLinux Itaniumプラットフォーム用として、Oracle Cluster File System(OCFS)が提供されます。OCFSは、Linuxカーネル2.4用に設計されています。Oracle Cluster File System 2(OCFS2)は、Linuxカーネル2.6用に設計されています。OCFS2には、共有Oracleホームを配置できます。

IBM POWERにインストールし、クラスタ・ファイル・システムを使用する場合は、IBM General Parallel File System(GPFS)を使用する必要があります。GPFSクラスタ・ファイル・システムには、共有Oracleホームを配置できます。

既存のOracleインストールがある場合は、次のコマンドを使用して、OCFSまたはOCFS2がインストールされているかどうかを確認します。

# rpm -qa | grep ocfs

次のコマンドを入力して、OCFSがロードされていることを確認します。

/etc/init.d/ocfs status


注意:

OCFS2の動作保証については、OracleMetaLinkの「Certify」ページを参照してください。

http://metalink.oracle.com
 

NFSバッファ・サイズ・パラメータの確認

NFSを使用している場合は、NFSバッファ・サイズ・パラメータ(rsizeおよびwsize)の値を16384以上に設定する必要があります。推奨は32768です。

たとえば、rsizeおよびwsizeバッファ設定を32768にして使用する場合は、次のエントリで各ノードの/etc/fstabファイルを更新します。

nfs_server:/vol/DATA/oradata  /home/oracle/netapp     nfs\   
rw,bg,hard,nointr,rsize=32768,wsize=32768,tcp,actimeo=0,vers=3,timeo=600


注意:

マウント・オプションの詳細は、ストレージ・ベンダーのマニュアルを参照してください。 


共有ファイル・システムでのOracle Clusterwareファイルに必要なディレクトリの作成

次の手順に従って、Oracle Clusterwareファイル用のディレクトリを作成します。また、Oracleデータベースおよびリカバリ・ファイル用に共有ファイル・システムを構成することもできます。


注意:

NFSおよびOCFS記憶域のいずれも、Oracleベース・ディレクトリとは別のファイル・システムにOracle Clusterwareファイルを格納する場合にのみ、この手順を実行する必要があります。 


Oracleベース・ディレクトリとは別のファイル・システムにOracle Clusterwareファイル用のディレクトリを作成するには、次の手順を実行します。

  1. 必要に応じて、各ノードで使用する共有ファイル・システムを構成し、マウントします。


    注意:

    ファイル・システムに使用するマウント・ポイントは、すべてのノードで同一である必要があります。ノードの再起動時、自動的にマウントされるように、ファイル・システムが構成されていることを確認してください。 


  2. df -hコマンドを使用して、マウントされた各ファイル・システムの空きディスク領域を確認します。

  3. 表示された情報から、使用するファイル・システムを特定します。

    ファイル・タイプ  ファイル・システムの要件 

    Oracle Clusterwareファイル 

    1.4GB以上の空き領域を持つ単一のファイル・システムを選択します。 

    データベース・ファイル 

    次のいずれかを選択します。

    • 1.2GB以上の空き領域を持つ単一のファイル・システム

    • 合計1.2GB以上の空き領域を持つ複数のファイル・システム

     

    リカバリ・ファイル 

    2GB以上の空き領域を持つ単一のファイル・システムを選択します。 

    複数のファイル・タイプに対して同じファイル・システムを使用している場合は、各タイプに対するディスク領域要件を追加して、ディスク領域要件の合計を判断します。

  4. 選択したファイル・システムに対するマウント・ポイント・ディレクトリの名前を書き留めます。

  5. インストールを実行しているユーザー(通常、oracle)がOracle ClusterwareおよびOracleデータベースをインストールするディスクにディレクトリを作成する権限を所有している場合は、OUIによってOracle Clusterwareファイル・ディレクトリが作成され、DBCAによってOracleデータベース・ファイル・ディレクトリとリカバリ・ファイル・ディレクトリが作成されます。

    インストールを実行しているユーザーが書込み権限を所有していない場合は、次のコマンドを使用してこれらのディレクトリを手動で作成する必要があります。次のコマンドでは、それぞれのマウント・ポイント・ディレクトリに推奨されるサブディレクトリが作成され、適切な所有者、グループおよびそのサブディレクトリの権限が設定されます。

    • Oracle Clusterwareファイル・ディレクトリ:

      # mkdir /mount_point/oracrs
      # chown oracle:oinstall /mount_point/oracrs
      # chmod 775 /mount_point/oracrs
      
      
    • データベース・ファイル・ディレクトリ:

      # mkdir /mount_point/oradata
      # chown oracle:oinstall /mount_point/oradata
      # chmod 775 /mount_point/oradata
      
      
    • リカバリ・ファイル・ディレクトリ(フラッシュ・リカバリ領域):

      # mkdir /mount_point/flash_recovery_area
      # chown oracle:oinstall /mount_point/flash_recovery_area
      # chmod 775 /mount_point/flash_recovery_area
      
      

oracleユーザーをこれらのディレクトリの所有者にすると、これらのディレクトリが複数のOracleホーム(異なるOSDBAグループによるものも含む)から読み取られるようになります。

それぞれのマウント・ポイント・ディレクトリにサブディレクトリを作成し、適切な所有者、グループおよび権限を設定すると、OCFSまたはNFSの構成は完了です。

RAWデバイスでのOracle Clusterwareファイル用の記憶域の構成

次の項では、RAWパーティションでのOracle Clusterwareファイルの構成方法について説明します。

Linuxでの論理ボリューム・マネージャのClusterwareファイル制限

この項では、Oracle ClusterwareファイルのRAWパーティションを作成する手順について説明します。

x86およびItaniumシステムの場合、Red Hat Enterprise Linux 3およびSUSE Linux Enterprise ServerではLogical Volume Manager(LVM)が提供されますが、このLVMはクラスタ対応ではありません。このため、Oracle Clusterwareまたはデータベース・ファイルのいずれに対しても、x86およびItaniumシステムのRACで論理ボリュームを使用することはできません。

IBM zSeriesベースのシステムでは、RAW論理ボリュームを使用できます。

Clusterwareファイルに必要なRAWパーティションの確認

表3-3 に、Oracle Clusterwareファイル用に構成する必要があるRAWパーティションの数およびサイズを示します。

表3-3    LinuxでOracle Clusterwareファイル用に必要なRAWパーティションの数 
  パーティションごとのサイズ(MB)  用途 

2

(このファイルに対して外部冗長を適用している場合は1) 

256 

Oracle Cluster Registry

注意: これらのRAWパーティションは、クラスタで1回のみ作成する必要があります。クラスタに複数のデータベースを作成する場合、すべてのデータベースが同じOracle Cluster Registryを共有します。

2つのパーティションを作成する必要があります。1つはOCR用で、もう1つはミラー化されるOCR用です。

Oracle9i リリース2(9.2)からアップグレードしている場合は、新しいRAWデバイスを作成するかわりにSRVM構成リポジトリに使用したRAWデバイスを継続して使用できます。 

3

(このファイルに対して外部冗長を適用している場合は1) 

256 

Oracle Clusterware投票ディスク

注意: これらのRAWパーティションは、クラスタで1回のみ作成する必要があります。クラスタに複数のデータベースを作成する場合、すべてのデータベースが同じOracle Clusterware投票ディスクを共有します。

3つのパーティションを作成する必要があります。1つは投票ディスク用で、他の2つは追加の投票ディスク用です。 


注意:

投票ディスクおよびOCRファイルをOracle Cluster File System(OCFSおよびOCFS2)に配置する場合は、そのボリュームのサイズを500MB以上にする必要があります。OCFSでは、500MB以上のパーティションが必要です。 


IDE、SCSIまたはRAIDデバイスで必要なRAWパーティションの作成

RAWデバイスにIDE、SCSIまたはRAIDデバイスを使用する場合は、次の手順を実行します。

  1. 必要に応じて、RAWパーティションで使用する共有ディスク・デバイスを設置または構成し、システムを再起動します。


    注意:

    1つのデバイスで作成できるパーティションの数が制限されているため、必要なRAWパーティションを複数のデバイスで作成する必要がある場合があります。 


  2. 次のコマンドを入力して、使用するディスクのデバイス名を確認します。

    # /sbin/fdisk -l
    
    

    デバイス名は、ディスク・タイプによって異なることがあります。

    ディスク・タイプ  デバイス名の形式  説明 

    IDEディスク 

    /dev/hdxn
     

    この例で、xは、IDEディスクを識別する文字です。また、nは、パーティションの番号です。たとえば、/dev/hdaは、第1 IDEバスの第1ディスクです。 

    SCSIディスク 

    /dev/sdxn
     

    この例で、xは、SCSIディスクを識別する文字です。また、nは、パーティションの番号です。たとえば、/dev/sdaは、第1 SCSIバスの第1ディスクです。 

    RAIDディスク 

    /dev/rd/cxdypz
    /dev/ida/cxdypz
     

    RAIDコントローラによって、RAIDデバイスのデバイス名が異なることがあります。これらの例で、xは、コントローラを識別する数字です。また、yは、ディスクを識別する数字で、zは、パーティションを識別する数字です。たとえば、/dev/ida/c0d1は、第1コントローラの第2論理ドライブです。 

    追加した新しいデバイスまたは以前にパーティション化された(パーティション化されていない空き領域を持つ)デバイスに、必要なRAWパーティションを作成できます。パーティション化されていない空き領域を持つデバイスを特定するには、既存のパーティションの最初および最後のシリンダ数を調べて、デバイスに未使用のシリンダが含まれているかどうか確認します。

  3. 次のコマンドを入力して、デバイスに新しくRAWパーティションを作成します。

    # /sbin/fdisk devicename
    
    

    パーティション作成時には、次の操作を実行します。

    • pコマンドを使用して、デバイスのパーティション表を表示します。

    • nコマンドを使用して、パーティションを作成します。

    • このデバイスに必要なパーティションを作成した後に、wコマンドを使用して、変更されたパーティション表をデバイスに書き込みます。

    • パーティションの作成方法の詳細は、fdiskのマニュアル・ページを参照してください。

IBM zSeriesベースのLinuxでのOracle Clusterware RAW論理ボリュームの作成

zSeries Linuxでのみ、Oracle ClusterwareおよびOracleデータベース・ファイル記憶域に対してRAW論理ボリューム・マネージャのボリュームを使用できます。ダイレクト・アクセス・ストレージ・デバイス(DASD)またはSCSIデバイス上のボリューム・グループに、必須のRAW論理ボリュームを作成できます。この項では、Oracle ClusterwareのRAW論理ボリュームを作成する方法について説明します。


注意:

x86およびItaniumシステムの場合、Red Hat Enterprise Linux 3およびSUSE Linux Enterprise ServerではLogical Volume Manager(LVM)が提供されますが、このLVMはクラスタ対応ではありません。このため、Oracle Clusterwareまたはデータベース・ファイルのいずれに対しても、x86およびItaniumシステムのRACで論理ボリュームを使用することはできません。

RAWデバイスを使用するには、「RAWデバイスでのOracle Clusterwareファイル用の記憶域の構成」を参照してください。 


Oracle Clusterwareファイル(Oracle Cluster RegistryおよびCRS投票ディスク)のRAWパーティションとして使用するために、ECKDタイプのダイレクト・アクセス・ストレージ・デバイス(DASD)を使用する場合は、4 KBブロック・サイズでDASDをフォーマットする必要があります。


注意:

LinuxでFBAタイプのDASDをフォーマットする必要はありません。FBAタイプのDASDに対する単一のディスク全体パーティションのデバイス名は、/dev/dasdxxxx1です。 


Oracle ClusterwareおよびOracleデータベース・ファイルのRAW論理ボリュームを構成するには、次の手順を実行します。

  1. 必要に応じて、ディスク・グループで使用する共有DASDを設置または構成し、システムを再起動します。

  2. 次のコマンドを入力し、システム上で構成されたDASDを確認します。

    # more /proc/dasd/devices
    
    

    このコマンドの出力結果には、次のような行が含まれます。

    0302(ECKD) at ( 94: 48) is dasdm : active at blocksize: 4096, 540000 blocks, 2109 
    MB
    
    

    これらの行では、各DASDの次の情報が表示されます。

    • デバイス番号(0302)

    • デバイス・タイプ(ECKDまたはFBA

    • Linuxデバイスのメジャー番号およびマイナー番号(94: 48

    • Linuxデバイスのファイル名(dasdm

      通常、DASDのデバイス名は、 dasdxxxxという形式です。xxxxは、デバイスを識別する1〜4文字の文字列です。

    • ブロック・サイズおよびデバイス・サイズ

  3. 表示された情報から、使用するデバイスを特定します。表3-3に示すとおり、Oracle Clusterwareファイルに必要なパーティション数を構成することを確認します。

    表示されたデバイスがFBAタイプのDASDの場合、それらを構成する必要はありません。「Oracle Clusterwareファイル用のRAWデバイスへのパーティションのバインド」の項で説明するとおり、Oracle Clusterwareファイルへのバインド手順に進むことができます。

    ECKDタイプのDASDを使用する場合は、次のようなコマンドを入力して、DASDをフォーマットします(まだフォーマットされていない場合)。

    # /sbin/dasdfmt -b 4096 -y -d cdl -v -f /dev/dasdxxxx
    
    

    前述のコード例の意味は次のとおりです。

    単一のパーティションのみ必要な場合、Linuxディスク・レイアウトを使用してDASDをフォーマットするために-d ldlオプションを使用します。このディスク・レイアウトを使用する場合、DASDのパーティション・デバイス名は/dev/dasdxxxx1です。

    互換性のあるディスク・レイアウトでDASDをフォーマットする場合は、次のコマンドを入力して、単一のディスク全体パーティションをデバイスに作成します。

    # /sbin/fdasd -a /dev/dasdxxxx
    
    

    DASDに対する単一のディスク全体パーティションのデバイス名は、/dev/dasdxxxx1です。

  4. SCSIデバイスにRAW論理ボリュームを作成する場合は、手順5に進みます。

    DASD上にRAW論理ボリュームを作成する際、互換性のあるディスク・レイアウトでDASDがフォーマットされている場合は、パーティションを作成する方法を決定します。

    デバイス上に最大3つのパーティションを作成する(たとえば、Oracle Clusterwareファイルのパーティションを作成する)には、次のコマンドを入力します。

    # /sbin/fdasd /dev/dasdxxxx
    
    

    パーティションの作成では、次のガイドラインに従います。

    • pコマンドを使用して、デバイスのパーティション表を表示します。

    • nコマンドを使用して、新しいパーティションを作成します。

    • このデバイスに必要なパーティションを作成した後に、wコマンドを使用して、変更されたパーティション表をデバイスに書き込みます。

    • パーティションの作成方法の詳細は、fdasdのマニュアル・ページを参照してください。

    DASD上のパーティションには次のようなデバイス名があります。nは、1〜3のパーティション番号です。

    /dev/dasdxxxxn
    
    

    パーティションの作成が完了すると、デバイスを物理ボリュームとしてマークできる状態になります。手順6に進みます。

  5. ボリューム・グループのSCSIデバイスを使用する場合は、次の手順を実行します。

    1. 必要に応じて、ボリューム・グループで使用する共有ディスク・デバイスを設置または構成し、システムを再起動します。

    2. 次のコマンドを入力して、使用するディスクのデバイス名を確認します。

      # /sbin/fdisk -l
      
      

      SCSIデバイスには、次のようなデバイス名があります。

      /dev/sdxn
      
      

      この例で、xは、SCSIディスクを識別する文字です。また、nは、パーティションの番号です。たとえば、/dev/sdaは、第1 SCSIバスの第1ディスクです。

    3. 必要に応じて、fdiskを使用して、使用するデバイス上にパーティションを作成します。

    4. fdisktコマンドを使用して、使用するパーティションのシステムIDを0x8eに変更します。

  6. 次のコマンドを入力して、ボリューム・グループで使用する各デバイスを物理ボリュームとしてマークし、ボリュームに名前を付けます。

    # pvcreate oracle_pv /dev/dasdxx1 /dev/dasdxy1
    
    
  7. マークしたデバイスを使用してoracle_vgというボリューム・グループを作成するには、次のコマンドを入力します。

    # vgcreate oracle_vg /dev/dasda1 /dev/dasdb1
    
    
  8. 作成したボリューム・グループに必要な論理ボリュームを作成するには、次のコマンドを入力します。

    # lvcreate -L size -n lv_name vg_name
    
    

    この例の意味は、次のとおりです。

    • sizeは、論理ボリュームのサイズです(たとえば 500M)。

    • lv_nameは、論理ボリュームの名前です(たとえばorcl_system_raw_256m)。

    • vg_nameは、ボリューム・グループの名前です(たとえば oracle_vg)。

    たとえば、oracle_vd1ボリューム・グループのOracle Clusterware投票ディスクracに対して256MBの論理ボリュームを作成するには、次のコマンドを入力します。

    # lvcreate -L 256M -n rac_system_raw_500m oracle_vd1
    
    


    注意:

    これらのコマンドでは、各論理ボリュームに対して次のようなデバイス名を作成します。

    /dev/vg_name/lv_name
     

  9. 他のクラスタ・ノードでは、次のコマンドを入力して、ノード上にボリューム・グループおよび論理ボリュームを構成します。

    # vgscan
    # vgchange -a y
    
    


    注意:

    次の項の例ではSCSIデバイス名を示します。これらの手順の完了時に、適切なDASDデバイス名を使用する必要があります。 


Oracle Clusterwareファイル用のRAWデバイスへのパーティションのバインド

必要なパーティションを作成した後、すべてのノードでパーティションをRAWデバイスにバインドする必要があります。ただし、どのRAWデバイスがすでに他のデバイスにバインドされているかを初めに確認する必要があります。この作業を実行するために使用する手順は、ご使用のLinuxディストリビューションによって異なります。

Red Hat
  1. すべてのノードで次のコマンドを入力して、すでに他のデバイスにバインドされているRAWデバイスを確認します。

    # /usr/bin/raw -qa
    
    

    RAWデバイスのデバイス名は、/dev/raw/rawnという形式で、nが、RAWデバイスを識別する番号です。

    使用する各デバイスに対して、すべてのノードで未使用のデバイス名を指定します。

  2. テキスト・エディタで/etc/sysconfig/rawdevicesファイルを開いて、作成したパーティションごとに次のような行を追加します。

    /dev/raw/raw1 /dev/sdb1
    
    

    パーティションごとに、未使用のRAWデバイスを指定します。

  3. Oracle Cluster Registry(OCR)用に作成したRAWデバイスの場合は、次のコマンドを入力して、デバイス・ファイルに所有者、グループおよび権限を設定します。

    # chown root:oinstall /dev/raw/rawn
    # chmod 640 /dev/raw/rawn
    
    

    oinstallグループをOCRの所有者にすると、このOCRが複数のOracleホーム(異なるOSDBAグループが作成されているOracleホームを含む)から読み取られるようになります。

  4. 次のコマンドを入力して、パーティションをRAWデバイスにバインドします。

    # /sbin/service rawdevices restart
    
    

    システムを再起動すると、rawdevicesファイルに示されているデバイスが自動的にバインドされます。

  5. クラスタ内の他のノードで手順24を繰り返します。

SUSE
  1. すべてのノードで次のコマンドを入力して、すでに他のデバイスにバインドされているRAWデバイスを確認します。

    # /usr/sbin/raw -qa
    
    

    RAWデバイスのデバイス名は、/dev/raw/rawnという形式で、nが、RAWデバイスを識別する番号です。

    使用する各デバイスに対して、すべてのノードで未使用のデバイス名を指定します。

  2. テキスト・エディタで/etc/rawファイルを開き、次のような行を追加して各パーティションを未使用のRAWデバイスと関連付けます。

    raw1:sdb1
    
    
  3. Oracle Cluster Registry用に作成したRAWデバイスの場合は、次のコマンドを入力して、デバイス・ファイルに所有者、グループおよび権限を設定します。

    # chown root:oinstall /dev/raw/rawn
    # chmod 640 /dev/raw/rawn
    
    
  4. 次のコマンドを入力して、パーティションをRAWデバイスにバインドします。

    # /etc/init.d/raw start
    
    
  5. システムの再起動時にRAWデバイスがバインドされるようにするには、次のコマンドを入力します。

    # /sbin/chkconfig raw on
    
    
  6. クラスタ内の他のノードで手順2〜5を繰り返します。

サポートされる共有記憶域の構成の完了

それぞれのマウント・ポイント・ディレクトリにサブディレクトリを作成し、適切な所有者、グループおよび権限を設定すると、サポートされる共有記憶域の構成は完了です。

Oracleデータベース・ファイル用の記憶域オプションの選択

データベース・ファイルは、データベースとリカバリ領域のファイルを集めたファイルで構成されています。データベース・ファイルの格納には、4つのオプションがあります。

Oracle Clusterwareの構成時に、OCFSまたはNFSを選択していて、作成したボリュームがデータベース・ファイルとリカバリ・ファイルを格納するのに十分な大きさである場合は、インストール前に必要な手順は完了です。第4章「Oracle Clusterwareのインストール」に進むことができます。

データベース・ファイルをASMに配置する場合は、「自動ストレージ管理用のディスクの構成」に進みます。

データベース・ファイルをRAWデバイスに配置し、データベース・ファイルおよびリカバリ・ファイルの記憶域管理を手動で行う場合は、「RAWデバイスでのデータベース・ファイル記憶域の構成」に進みます。


注意:

データベースは、ASMファイルと非ASMファイルを混在させて構成できます。ASMの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。OCFS2の動作保証については、OracleMetaLinkの「Certify」ページを参照してください。 


自動ストレージ管理用のディスクの構成

この項では、自動ストレージ管理で使用するディスクの構成方法について説明します。ディスクを構成する前に、必要なディスクの数と空きディスク領域の大きさを判断する必要があります。次の項では、要件の確認およびディスクの構成方法について説明します。

自動ストレージ管理の記憶域要件の指定

自動ストレージ管理を使用するための記憶域要件を指定するには、必要なデバイス数およびディスクの空き領域を確認する必要があります。この作業を実行するには、次の手順を実行します。

  1. Oracleデータベース・ファイルまたはリカバリ・ファイル(あるいはその両方)に自動ストレージ管理を使用するかどうかを決定します。


    注意:

    データベース・ファイルおよびリカバリ・ファイルに対して、同じメカニズムの記憶域を使用する必要はありません。1つのファイル・タイプにファイル・システムを、もう1つに自動ストレージ管理を使用することもできます。

    自動バックアップを有効にすることを選択し、使用可能な共有ファイル・システムがない場合は、リカバリ・ファイルの記憶域に自動ストレージ管理を使用する必要があります。 


    インストール時に自動バックアップを有効にしている場合、フラッシュ・リカバリ領域に自動ストレージ管理ディスク・グループを指定して、リカバリ・ファイル用の記憶域メカニズムとして自動ストレージ管理を選択できます。インストール時に選択するデータベースの作成方法に応じて次のいずれかを選択します。

    • データベース・コンフィギュレーション・アシスタントを対話型モードで実行するインストール方法を選択した場合(アドバンスト・データベース構成オプションを選択した場合など)、データベース・ファイルおよびリカバリ・ファイルに同じ自動ストレージ管理ディスク・グループを使用するか、または各ファイル・タイプに別のディスク・グループを使用するかを選択できます。

      インストール後にデータベース・コンフィギュレーション・アシスタントを使用してデータベースを作成する場合に、同じ選択内容を使用できます。

    • データベース・コンフィギュレーション・アシスタントを非対話型モードで実行するインストール方法を選択した場合は、データ・ファイルとリカバリ・ファイルに同じ自動ストレージ管理ディスク・グループを使用する必要があります。

  2. 自動ストレージ管理ディスク・グループに使用する自動ストレージ管理の冗長レベルを選択します。

    自動ストレージ管理ディスク・グループに選択した冗長レベルによって、自動ストレージ管理でディスク・グループ内のファイルをミラー化する方法および必要となるディスク数と空きディスク領域は次のようになります。

    • 外部冗長

      外部冗長ディスク・グループでは、最小で1台のディスク・デバイスが必要です。外部冗長のディスク・グループで有効なディスク領域は、全デバイスのディスク領域の合計です。

      自動ストレージ管理は外部冗長ディスク・グループ内のデータをミラー化しないため、このタイプのディスク・グループのディスク・デバイスとしては、RAIDのみを使用するか、または同様にデバイス独自のデータ保護メカニズムを持つデバイスを使用することをお薦めします。

    • 標準冗長

      標準冗長ディスク・グループでは、自動ストレージ管理はデフォルトで2方向のミラー化を使用し、パフォーマンスおよび信頼性を向上させます。標準冗長ディスク・グループでは、最小で2台のディスク・デバイス(または2つの障害グループ)が必要です。標準冗長のディスク・グループで有効なディスク領域は、全デバイスのディスク領域の合計の半分です。

      ほとんどの使用環境では、標準冗長ディスク・グループを選択することをお薦めします。

    • 高冗長

      高冗長ディスク・グループでは、自動ストレージ管理はデフォルトで3方向のミラー化を使用してパフォーマンスを向上させ、最高レベルの信頼性を提供します。高冗長ディスク・グループでは、最小で3台のディスク・デバイス(または3つの障害グループ)が必要です。高冗長のディスク・グループで有効なディスク領域は、全デバイスのディスク領域の合計の3分の1です。

      高冗長ディスク・グループでは、高レベルのデータ保護が提供されますが、この冗長レベルの使用を決定する前に、追加するストレージ・デバイスのコストを考慮する必要があります。

  3. データ・ファイルおよびリカバリ・ファイルに必要なディスク領域の合計容量を決定します。

    次の表を使用して、初期データベースのインストールに必要なディスクの最小台数およびディスクの最小領域を決定します。

    冗長レベル  ディスクの最小台数  データベース・ファイル  リカバリ・ファイル  合計 

    外部 

    1.15GB 

    2.3GB 

    3.45GB 

    標準 

    2.3GB 

    4.6GB 

    6.9GB 

    高 

    3.45GB 

    6.9GB 

    10.35GB 

    Oracle RACインストールでは、自動ストレージ管理のメタデータ用にディスク領域を追加する必要もあります。次の計算式を使用して、追加のディスク領域の要件を計算します(単位: MB)。

    15 +(2×15 +(2×ディスクの台数)+(126×自動ストレージ管理インスタンスの数)

    たとえば、高冗長ディスク・グループに3台のディスクを使用する4ノードのRAC環境では、525MBの追加ディスク領域が必要になります。

    15 +(2×3)+(126×4)= 525

    システム上ですでに自動ストレージ管理インスタンスが実行されている場合は、これらの記憶域要件を満たすために既存のディスク・グループを使用できます。インストール時、必要に応じて、既存のディスク・グループにディスクを追加できます。

    次の項では、既存ディスク・グループの指定方法およびそのディスク・グループが持つ空きディスク領域の確認方法について説明します。

  4. 必要な場合は、自動ストレージ管理ディスク・グループのデバイスに障害グループを指定します。


    注意:

    データベース・コンフィギュレーション・アシスタントを対話型モードで実行するインストール方法を使用する場合(カスタム・インストール・タイプやアドバンスト・データベース構成オプションを選択する場合など)にのみ、この手順を実行する必要があります。他のインストール・タイプでは、障害グループを指定できません。 


    標準または高冗長ディスク・グループを使用する場合は、カスタム障害グループのディスク・デバイスを関連付けることによって、ハードウェア障害に対するデータベースの保護を強化できます。デフォルトでは、各デバイスに独自の障害グループが含まれます。ただし、標準冗長ディスク・グループの2台のディスク・デバイスが同じSCSIコントローラに接続されている場合、コントローラに障害が発生すると、ディスク・グループは使用できなくなります。この例でのコントローラは、シングル・ポイント障害です。

    このタイプの障害を防止するためには、2つのSCSIコントローラを使用します。各コントローラに2台のディスクを接続し、各コントローラに接続されたディスクに障害グループを定義します。この構成では、ディスク・グループが1つのSCSIコントローラの障害を許容できるようになります。


    注意:

    カスタム障害グループを定義する場合、標準冗長ディスク・グループでは最小で2つの障害グループ、高冗長ディスク・グループでは3つの障害グループを指定する必要があります。 


  5. システムに適切なディスク・グループが存在しない場合は、適切なディスク・デバイスを設置または指定して、新しいディスク・グループを追加します。次のガイドラインに従って、適切なディスク・デバイスを指定します。

    • 自動ストレージ管理ディスク・グループのすべてのデバイスは、サイズおよびパフォーマンス特性が同じである必要があります。

    • 単一の物理ディスクにある複数のパーティションを、1つのディスク・グループのデバイスとして指定しないでください。自動ストレージ管理は、各ディスク・グループのデバイスが、別々の物理ディスク上に存在するとみなします。

    • 論理ボリュームは、自動ストレージ管理ディスク・グループのデバイスとして指定できますが、これを使用することはお薦めしません。論理ボリューム・マネージャは、物理ディスク・アーキテクチャを隠すことができ、これによって自動ストレージ管理による物理デバイス間のI/Oの最適化が行われなくなります。これらは、RACではサポートされていません。

既存の自動ストレージ管理ディスク・グループの使用

既存の自動ストレージ管理ディスク・グループにデータベース・ファイルまたはリカバリ・ファイルを格納する場合は、選択したインストール方法に応じて、次のいずれかを選択できます。

既存の自動ストレージ管理ディスク・グループが存在するかどうか、またはディスク・グループに十分なディスク領域があるかどうかを判断するために、Oracle Enterprise Manager Grid ControlまたはDatabase Controlを使用できます。また、次の手順も使用できます。

  1. oratabファイルの内容を表示して、自動ストレージ管理インスタンスがシステムに組み込まれているかどうかを判断します。

    $ more /etc/oratab
    
    

    自動ストレージ管理インスタンスがシステムに組み込まれている場合、oratabファイルには次のような行が含まれます。

    +ASM2:oracle_home_path
    
    

    この例では、+ASM2は自動ストレージ管理インスタンスのシステム識別子(SID)、oracle_home_pathは自動ストレージ管理インスタンスが組み込まれているOracleホーム・ディレクトリです。表記規則により、自動ストレージ管理インスタンスのSIDは、プラス(+)記号で始まります。

  2. 環境変数ORACLE_SIDおよびORACLE_HOMEを設定して、使用する自動ストレージ管理インスタンスに対して適切な値を指定します。

  3. SYSDBA権限を持つSYSユーザーとして自動ストレージ管理インスタンスに接続し、必要に応じてインスタンスを起動します。

    $ $ORACLE_HOME/bin/sqlplus "SYS/SYS_password as SYSDBA"
    SQL> STARTUP
    
    
  4. 次のコマンドを入力して、既存のディスク・グループ、それらの冗長レベルおよび各グループでのディスクの空き領域を表示します。

    SQL> SELECT NAME,TYPE,TOTAL_MB,FREE_MB FROM V$ASM_DISKGROUP;
    
    
  5. 出力結果から、適切な冗長レベルが設定されているディスク・グループを特定し、そのディスク・グループにある空き領域を記録します。

  6. 必要に応じて、前述の記憶域要件のリストを満たすために必要な追加のディスク・デバイスを設置または指定します。


    注意:

    既存のディスク・グループにデバイスを追加する場合は、サイズおよびパフォーマンス特性が、そのディスク・グループ内の既存デバイスと同じであるデバイスの使用をお薦めします。 


ASMLIBを使用した自動ストレージ管理用のディスクの構成

自動ストレージ管理ライブラリ・ドライバ(ASMLIB)を使用すると、システムを再起動するたびにASMで使用するRAWデバイスをリバインドする必要がなくなるため、ディスク・デバイスの構成および管理が簡単になります。

自動ストレージ管理で使用するために構成されたディスクは、候補ディスクと呼ばれます。

Linuxのデータベース記憶域に自動ストレージ管理を使用する場合は、ASMLIBドライバと関連ユーティリティをインストールし、これらを使用して候補ディスクを構成することをお薦めします。


注意:

自動ストレージ管理ライブラリ・ドライバを使用しない場合は、RAWデバイスに対して使用する各ディスク・デバイスをバインドする必要があります。「ASMおよびRAWデバイスでのデータベース・ファイル記憶域の構成」を参照してください。 


自動ストレージ管理ライブラリ(ASMLIB)・ドライバを使用して自動ストレージ管理デバイスを構成するには、次の作業を行います。

自動ストレージ管理ライブラリ・ドライバ・ソフトウェアのインストールおよび構成

ASMLIBドライバ・ソフトウェアをインストールおよび構成するには、次の手順を実行します。

  1. 次のコマンドを入力して、システムのカーネル・バージョンおよびアーキテクチャを判別します。

    # uname -rm
    
    
  2. 必要に応じて、次のOTN Webサイトから必要なASMLIBパッケージをダウンロードします。

    http://www.oracle.com/technology/tech/linux/asmlib/index.html
    
    


    注意:

    一部のカーネル・バージョン用のASMLIBドライバ・パッケージは、10g リリース2(10.2)インストール・メディアのOracle Clusterwareディレクトリ(crs/RPMS/asmlibディレクトリ)から使用可能です。ただし、OTN Webサイトで最新のパッケージを確認することをお薦めします。

    Red Hat Enterprise Linux 4.0 Advanced ServerまたはSUSE Linux Enterprise Server 9でASMLibを使用するには、oracleasm-supportパッケージのバージョン2.0.1以上をインストールする必要があります。 


    次のパッケージをインストールする必要があります。versionはASMLIBドライバのバージョン、archはシステム・アーキテクチャ、kernelは使用しているカーネル・バージョンです。

    oracleasm-support-version.arch.rpm
    oracleasm-kernel-version.arch.rpm
    oracleasmlib-version.arch.rpm
    
    
  3. ユーザーをrootユーザーに切り替えます。

    $ su -
    
    
  4. 次のコマンドを入力して、パッケージをインストールします。

    # rpm -Uvh oracleasm-support-version.arch.rpm \
               oracleasm-kernel-version.arch.rpm \
               oracleasmlib-version.arch.rpm
    
    

    たとえば、AMD64システムでRed Hat Enterprise Linux AS 4のエンタープライズ・カーネルを使用している場合は、次のコマンドを入力します。

    # rpm -Uvh oracleasm-support-2.0.1.i386.rpm \
               oracleasmlib-2.0.1.x86_64.rpm \
               oracleasm-2.6.9-11.EL-2.0.1.x86_64.rpm
    
    
  5. 次のコマンドを入力して、oracleasm初期化スクリプトを、configureオプションを指定して実行します。

    # /etc/init.d/oracleasm configure
    
    
  6. スクリプトで表示されるプロンプトへの応答で、次の情報を入力します。

    プロンプト  推奨される応答 

    Default user to own the driver interface: 

    Oracleソフトウェア所有者ユーザー(通常、oracle)を指定します。 

    Default group to own the driver interface: 

    OSDBAグループ(通常、dba)を指定します。 

    Start Oracle Automatic Storage Management Library driver on boot (y/n): 

    システムの起動時にOracle Automatic Storage Managementライブラリ・ドライバを起動するには、yと入力します。 

    スクリプトによって、次の作業が実行されます。

  7. Oracle Real Application Clustersのインストール先となるクラスタ内のすべてのノードでこの手順を繰り返します。

x86およびItaniumシステムで自動ストレージ管理ライブラリ・ドライバを使用するためのディスク・デバイスの構成

自動ストレージ管理ディスク・グループで使用するディスク・デバイスを構成するには、次の手順を実行します。

  1. 自動ストレージ管理ディスク・グループでIDE、SCSIまたはRAIDデバイスを使用する場合は、次の手順を実行します。

    1. 必要に応じて、ディスク・グループで使用する共有ディスク・デバイスを設置または構成し、システムを再起動します。

    2. 次のコマンドを入力して、使用するディスクのデバイス名を確認します。

      # /sbin/fdisk -l
      
      

      デバイス名は、ディスク・タイプによって異なることがあります。

      ディスク・タイプ  デバイス名の形式  説明 

      IDEディスク 

      /dev/hdxn
       

      この例で、xは、IDEディスクを識別する文字です。また、nは、パーティションの番号です。たとえば、/dev/hdaは、第1 IDEバスの第1ディスクです。 

      SCSIディスク 

      /dev/sdxn
       

      この例で、xは、SCSIディスクを識別する文字です。また、nは、パーティションの番号です。たとえば、/dev/sdaは、第1 SCSIバスの第1ディスクです。 

      RAIDディスク 

      /dev/rd/cxdypz
      /dev/ida/cxdypz
       

      RAIDコントローラによって、RAIDデバイスのデバイス名が異なることがあります。これらの例で、xは、コントローラを識別する数字です。また、yは、ディスクを識別する数字で、zは、パーティションを識別する数字です。たとえば、/dev/ida/c0d1は、第1コントローラの第2論理ドライブです。 

      ディスク・グループにデバイスを含めるには、ドライブ・デバイス名またはパーティション・デバイス名のいずれかを指定します。


      注意:

      使用する各ディスクに、単一のディスク全体パーティションを作成することをお薦めします。 


    3. fdiskまたはpartedのいずれかを使用して、使用するディスク・デバイスに、単一のディスク全体パーティションを作成します。

  2. 次のコマンドを入力して、ディスクを自動ストレージ管理ディスクとしてマークします。

    # /etc/init.d/oracleasm createdisk DISK1 /dev/sdb1
    
    

    この例で、DISK1はディスクに割り当てる名前です。


    注意:

    ディスク名に使用できる文字は、大文字、数字およびアンダースコアです。大文字で始める必要があります。

    自動ストレージ管理でマルチ・パス・ディスク・ドライバを使用している場合は、そのディスクに正しい論理デバイス名を指定してください。 


  3. ディスクをクラスタ内の他のノードで使用可能にするには、各ノードでrootとして次のコマンドを入力します。

    # /etc/init.d/oracleasm scandisks
    
    

    このコマンドによって、自動ストレージ管理ディスクとしてマークされているノードに接続されている共有ディスクが識別されます。

IBM zSeriesベースのシステムで自動ストレージ管理ライブラリ・ドライバを使用するためのディスク・デバイスの構成
  1. 互換性のあるディスク・レイアウトでDASDをフォーマットした場合、次のようなコマンドを入力して単一のディスク全体パーティションをデバイスに作成します。

    # /sbin/fdasd -a /dev/dasdxxxx
    
    
  2. 次のコマンドを入力して、ディスクをASMディスクとしてマークします。

    # /etc/init.d/oracleasm createdisk DISK1 /dev/sdb1
    
    

    この例で、DISK1はディスクに割り当てる名前です。


    注意:

    ディスク名に使用できる文字は、大文字、数字およびアンダースコアです。大文字で始める必要があります。

    ASMでマルチ・パス・ディスク・ドライバを使用している場合は、そのディスクに正しい論理デバイス名を指定してください。 


  3. ディスクを他のクラスタ・ノードで使用可能にするには、各ノードでrootとして次のコマンドを入力します。

    # /etc/init.d/oracleasm scandisks
    
    

    このコマンドによって、ASMディスクとしてマークされているノードに接続されている共有ディスクが識別されます。


    注意:

    ASMライブラリ・ドライバを使用して、インストール中にデータベースを作成するには、対話型モードでDBCAを実行するインストール方法を選択する必要があります。たとえば、カスタム・インストール・タイプまたはアドバンスト・データベース構成オプションを選択することによって、対話型モードでDBCAを実行できます。また、デフォルトのディスク検出文字列をORCL:*に変更する必要があります。 


自動ストレージ管理ライブラリ・ドライバおよびディスクの管理

自動ストレージ管理ライブラリ・ドライバおよびディスクを管理するには、表3-4に示す様々なオプションとともにoracleasm初期化スクリプトを使用します。

表3-4    ORACLEASMスクリプト・オプション 
オプション  説明 
configure
 

必要に応じて、configureオプションを使用して自動ストレージ管理ライブラリ・ドライバを再構成します。

# /etc/init.d/oracleasm configure
 
enable
disable
 

disableおよびenableオプションを使用して、システムの起動時の自動ストレージ管理ライブラリ・ドライバの動作を変更します。enableオプションを使用すると、システムの起動時に自動ストレージ管理ライブラリ・ドライバがロードされます。

# /etc/init.d/oracleasm enable
 
start
stop
restart
 

startstopおよびrestartオプションを使用して、システムを起動せずに自動ストレージ管理ライブラリ・ドライバをロードまたはアンロードします。

# /etc/init.d/oracleasm restart
 
createdisk
 

creatediskオプションを使用して、自動ストレージ管理ライブラリ・ドライバで使用するディスク・デバイスをマークし、名前を付けます。

# /etc/init.d/oracleasm createdisk DISKNAME devicename
 
deletedisk
 

deletediskオプションを使用して、名前付きのディスク・デバイスのマークを外します。

# /etc/init.d/oracleasm deletedisk DISKNAME

注意: このコマンドを使用して、自動ストレージ管理ディスク・グループで使用されているディスクのマークは外さないでください。このディスクは、自動ストレージ管理ディスク・グループから削除した後でマークを外す必要があります。 

querydisk
 

querydiskオプションを使用して、ディスク・デバイスまたはディスク名が自動ストレージ管理ライブラリ・ドライバで使用されているかどうかを確認します。

# /etc/init.d/oracleasm querydisk {DISKNAME | devicename}
 
listdisks
 

listdisksオプションを使用して、マークされた自動ストレージ管理ライブラリ・ドライバ・ディスクのディスク名を表示します。

# /etc/init.d/oracleasm listdisks
 
scandisks
 

scandisksオプションを使用すると、別のノードで自動ストレージ管理ライブラリ・ドライバ・ディスクとしてマークされている共有ディスクを、クラスタ・ノードで識別できます。

# /etc/init.d/oracleasm scandisks
 

ASMLIBを使用した自動ストレージ管理の作成および構成が完了したら、第4章「Oracle Clusterwareのインストール」に進みます。

ASMおよびRAWデバイスでのデータベース・ファイル記憶域の構成


注意:

パフォーマンスを向上させ、より簡単に管理を行うには、自動ストレージ管理ディスクの構成に、RAWデバイスではなく自動ストレージ管理ライブラリ(ASMLIB)・ドライバを使用することをお薦めします。 


RAWデバイスを使用して自動ストレージ管理用のディスクを構成するには、次の作業を実行します。

  1. RAWパーティションでASMを使用するには、データ・ファイル用に十分なパーティションを作成し、そのパーティションをRAWデバイスにバインドします。これを行うには、「RAWデバイスでのOracle Clusterwareファイル用の記憶域の構成」に示すOracle Clusterwareでの手順に従います。

  2. データ・ファイル用に作成するRAWデバイス名のリストを作成し、データベースのインストール時に使用可能にします。

RAWパーティションでのASMの作成および構成が完了したら、第4章「Oracle Clusterwareのインストール」に進みます。

RAWデバイスでのデータベース・ファイル記憶域の構成

次の項では、データベース・ファイル用のRAWパーティションの構成方法について説明します。

Linuxでの論理ボリューム・マネージャのデータベース・ファイル制限

この項では、Oracleデータベース・ファイルのRAWパーティションを作成する手順について説明します。

x86およびItaniumシステムの場合、Red Hat Enterprise Linux 3およびSUSE Linux Enterprise ServerではLogical Volume Manager(LVM)が提供されますが、このLVMはクラスタ対応ではありません。このため、Oracle Clusterwareまたはデータベース・ファイルのいずれに対しても、x86およびItaniumシステムのRACで論理ボリュームを使用することはできません。

IBM zSeriesベースのシステムでは、RAW論理ボリュームを使用できます。

データベース・ファイルに必要なRAWパーティションの確認

表3-5 に、データベース・ファイル用に構成する必要があるRAWパーティションの数およびサイズを示します。

表3-5    Linuxでデータベース・ファイル用に必要なRAWパーティションまたは論理ボリュームの数 
  パーティション・サイズ(MB)  用途 

500 

SYSTEM表領域 

300 +(インスタンスの数×250) 

SYSAUX表領域 

インスタンスの数 

500 

UNDOTBSn表領域(各インスタンスに1つの表領域) 

250 

TEMP表領域 

160 

EXAMPLE表領域 

120 

USERS表領域 

2×インスタンスの数 

120 

各インスタンスに2つのオンラインREDOログ・ファイル 

110 

第1および第2制御ファイル 

サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE) 

パスワード・ファイル 


注意:

自動UNDO管理を使用せずに手動でUNDO管理を行う場合は、UNDOTBSn RAWデバイスのかわりに、500MB以上のサイズの単一のロールバック・セグメント(RBS)表領域RAWデバイスを作成します。 


IBM zSeriesベースのLinuxでのデータベースRAW論理ボリュームの構成

zSeries Linuxで、Oracle CRSおよびデータベース・ファイル記憶域に対してRAW論理ボリューム・マネージャ(LVM)のボリュームを使用できます。ダイレクト・アクセス・ストレージ・デバイス(DASD)またはSCSIデバイス上のボリューム・グループに、必須のRAW論理ボリュームを作成できます。必要なRAW論理ボリュームを構成するには、次の手順を実行します。


注意:

x86およびItaniumシステムの場合、Red Hat Enterprise Linux 3およびSUSE Linux Enterprise ServerではLogical Volume Manager(LVM)が提供されますが、このLVMはクラスタ対応ではありません。このため、Oracle Clusterwareまたはデータベース・ファイルのいずれに対しても、x86およびItaniumシステムのRACで論理ボリュームを使用することはできません。 


  1. 必要に応じて、ディスク・グループで使用する共有DASDを設置または構成し、システムを再起動します。

  2. 次のコマンドを入力し、システム上で構成されたDASDを確認します。

    # more /proc/dasd/devices
    
    

    このコマンドの出力結果には、次のような行が含まれます。

    0302(ECKD) at ( 94: 48) is dasdm : active at blocksize: 4096, 540000 blocks, 2109 
    MB
    
    

    これらの行では、各DASDの次の情報が表示されます。

    • デバイス番号(0302)

    • デバイス・タイプ(ECKDまたはFBA

    • Linuxデバイスのメジャー番号およびマイナー番号(94: 48

    • Linuxデバイスのファイル名(dasdm

      通常、DASDのデバイス名は、 dasdxxxxという形式です。xxxxは、デバイスを識別する1〜4文字の文字列です。

    • ブロック・サイズおよびデバイス・サイズ

  3. 表示された情報から、使用するデバイスを特定します。

    表示されたデバイスがFBAタイプのDASDの場合、それらを構成する必要はありません。「データベース・ファイル用のRAWデバイスへのパーティションのバインド」の項で説明するとおり、Oracleデータベース・ファイルへのバインド手順に進むことができます。

    ECKDタイプのDASDを使用する場合は、次のようなコマンドを入力して、DASDをフォーマットします(まだフォーマットされていない場合)。

    # /sbin/dasdfmt -b 4096 -f /dev/dasdxxxx
    
    


    注意:

    DASDをフォーマットすると、デバイス上のすべての既存のデータが破壊されます。次のことを確認してください。

    • 正しいDASDデバイス名を指定する。

    • 保存する必要のある既存のデータがDASDには含まれていない。

     

    このコマンドでは4KBのブロック・サイズおよび互換性のあるディスク・レイアウト(デフォルト)でDASDをフォーマットします。互換性のあるディスク・レイアウトによってDASD上に最大3つのパーティションを作成することができます。

    また、単一のパーティションのみを必要とする場合(たとえば、ASMファイル管理のパーティションを作成する場合)、-d ldlオプションを使用して、Linuxディスク・レイアウトを使用しDASDをフォーマットすることができます。このディスク・レイアウトを使用する場合、DASDのパーティション・デバイス名は、/dev/dasdxxxx1です。

  4. SCSIデバイスにRAW論理ボリュームを作成する場合は、手順5に進みます。

    DASD上にRAW論理ボリュームを作成する際、互換性のあるディスク・レイアウトでDASDがフォーマットされている場合は、パーティションを作成する方法を決定します。

    デバイス上に単一のディスク全体パーティションを作成する(たとえば、データベース・ファイルのRAW論理ボリューム全体にパーティションを作成する)には、次のようなコマンドを入力します。

    # /sbin/fdasd -a /dev/dasdxxxx
    
    

    このコマンドではディスク全体にわたって1つのパーティションを作成します。その後、デバイスを物理ボリュームとしてマークする準備が整います。手順6に進みます。

    デバイス上に最大3つのパーティションを作成するには(たとえば、個々の表領域のパーティションを作成する場合)、次のようなコマンドを入力します。

    # /sbin/fdasd /dev/dasdxxxx
    
    

    パーティションの作成では、次のガイドラインに従います。

    • pコマンドを使用して、デバイスのパーティション表を表示します。

    • nコマンドを使用して、新しいパーティションを作成します。

    • このデバイスに必要なパーティションを作成した後に、wコマンドを使用して、変更されたパーティション表をデバイスに書き込みます。

    • パーティションの作成方法の詳細は、fdasdのマニュアル・ページを参照してください。

    DASD上のパーティションには次のようなデバイス名があります。nは、1〜3のパーティション番号です。

    /dev/dasdxxxxn
    
    

    パーティションの作成が完了すると、デバイスを物理ボリュームとしてマークできる状態になります。手順6に進みます。

  5. ボリューム・グループのSCSIデバイスを使用する場合は、次の手順を実行します。

    1. 必要に応じて、ボリューム・グループで使用する共有ディスク・デバイスを設置または構成し、システムを再起動します。

    2. 次のコマンドを入力して、使用するディスクのデバイス名を確認します。

      # /sbin/fdisk -l
      
      

      SCSIデバイスには、次のようなデバイス名があります。

      /dev/sdxn
      
      

      この例で、xは、SCSIディスクを識別する文字です。また、nは、パーティションの番号です。たとえば、/dev/sdaは、第1 SCSIバスの第1ディスクです。

    3. 必要に応じて、fdiskを使用して、使用するデバイス上にパーティションを作成します。

    4. fdisktコマンドを使用して、使用するパーティションのシステムIDを0x8eに変更します。

  6. 次のようなコマンドを入力して、ボリューム・グループで使用する各デバイスを物理ボリュームとしてマークします。

    # pvcreate /dev/sda1 /dev/sdb1
    
    
  7. マークしたデバイスを使用してoracle_vgというボリューム・グループを作成するには、次のコマンドを入力します。

    # vgcreate oracle_vg /dev/dasda1 /dev/dasdb1
    
    
  8. 作成したボリューム・グループに必要な論理ボリュームを作成するには、次のコマンドを入力します。

    # lvcreate -L size -n lv_name vg_name
    
    

    この例の意味は、次のとおりです。

    • sizeは、論理ボリュームのサイズです(たとえば 500M)。

    • lv_nameは、論理ボリュームの名前です(たとえば orcl_system_raw_500m)。

    • vg_nameは、ボリューム・グループの名前です(たとえば oracle_vg)。

    たとえば、oracle_vg ボリューム・グループの racというデータベースのSYSTEM表領域に対して500MBの論理ボリュームを作成するには、次のコマンドを入力します。

    # lvcreate -L 500M -n rac_system_raw_500m oracle_vg
    
    


    注意:

    これらのコマンドでは、各論理ボリュームに対して次のようなデバイス名を作成します。

    /dev/vg_name/lv_name
     

  9. 他のクラスタ・ノードでは、次のコマンドを入力して、ノード上にボリューム・グループおよび論理ボリュームを構成します。

    # vgscan
    # vgchange -a y
    
    

IDE、SCSIまたはRAIDデバイスでのデータベース・ファイルに必要なRAWパーティションの作成

データベースのRAWデバイスにIDE、SCSIまたはRAIDデバイスを使用する場合は、次の手順を実行します。

  1. 必要に応じて、RAWパーティションで使用する共有ディスク・デバイスを設置または構成し、システムを再起動します。


    注意:

    1つのデバイスで作成できるパーティションの数が制限されているため、必要なRAWパーティションを複数のデバイスで作成する必要がある場合があります。 


  2. 次のコマンドを入力して、使用するディスクのデバイス名を確認します。

    # /sbin/fdisk -l
    
    

    デバイス名は、ディスク・タイプによって異なることがあります。

    ディスク・タイプ  デバイス名の形式  説明 

    IDEディスク 

    /dev/hdxn
     

    この例で、xは、IDEディスクを識別する文字です。また、nは、パーティションの番号です。たとえば、/dev/hdaは、第1 IDEバスの第1ディスクです。 

    SCSIディスク 

    /dev/sdxn
     

    この例で、xは、SCSIディスクを識別する文字です。また、nは、パーティションの番号です。たとえば、/dev/sdaは、第1 SCSIバスの第1ディスクです。 

    RAIDディスク 

    /dev/rd/cxdypz
    /dev/ida/cxdypz
     

    RAIDコントローラによって、RAIDデバイスのデバイス名が異なることがあります。これらの例で、xは、コントローラを識別する数字です。また、yは、ディスクを識別する数字で、zは、パーティションを識別する数字です。たとえば、/dev/ida/c0d1は、第1コントローラの第2論理ドライブです。 

    追加した新しいデバイスまたは以前にパーティション化された(パーティション化されていない空き領域を持つ)デバイスに、必要なRAWパーティションを作成できます。パーティション化されていない空き領域を持つデバイスを特定するには、既存のパーティションの最初および最後のシリンダ数を調べて、デバイスに未使用のシリンダが含まれているかどうか確認します。

  3. 次のコマンドを入力して、デバイスに新しくRAWパーティションを作成します。

    # /sbin/fdisk devicename
    
    

    パーティションの作成では、次のガイドラインに従います。

    • pコマンドを使用して、デバイスのパーティション表を表示します。

    • nコマンドを使用して、パーティションを作成します。

    • このデバイスに必要なパーティションを作成した後に、wコマンドを使用して、変更されたパーティション表をデバイスに書き込みます。

    • パーティションの作成方法の詳細は、fdiskのマニュアル・ページを参照してください。

データベース・ファイル用のRAWデバイスへのパーティションのバインド

データベース・ファイルに必要なパーティションを作成した後、すべてのノードでパーティションをRAWデバイスにバインドする必要があります。ただし、どのRAWデバイスがすでに他のデバイスにバインドされているかを初めに確認する必要があります。この作業を実行するために使用する手順は、ご使用のLinuxディストリビューションによって異なります。


注意:

ノードの構成が異なっている場合は、一部のノードでディスク・デバイス名が異なる可能性があります。次の手順に従って、各ノードで正しいディスク・デバイス名が指定されていることを確認します。 


データベース・コンフィギュレーション・アシスタントのRAWデバイス・マッピング・ファイルの作成


注意:

データベース・ファイルにRAWデバイスを使用している場合にのみ、この手順を実行する必要があります。データベース・コンフィギュレーション・アシスタントのRAWデバイス・マッピング・ファイルには、Oracle Clusterwareファイル用のRAWデバイスは指定しません。 


データベース・コンフィギュレーション・アシスタントで各データベース・ファイルに適切なRAWデバイスを選択できるようにするには、次の手順に従って、RAWデバイス・マッピング・ファイルを作成する必要があります。

  1. 環境変数ORACLE_BASEを設定して、以前に選択または作成したOracleベース・ディレクトリを指定します。

    • Bourne、BashまたはKornシェル:

      $ ORACLE_BASE=/u01/app/oracle ; export ORACLE_BASE
      
      
    • Cシェル:

      % setenv ORACLE_BASE /u01/app/oracle
      
      
  2. Oracleベース・ディレクトリにデータベース・ファイルのサブディレクトリを作成し、そのサブディレクトリに適切な所有者、グループおよび権限を設定します。

    # mkdir -p $ORACLE_BASE/oradata/dbname
    # chown -R oracle:oinstall $ORACLE_BASE/oradata
    # chmod -R 775 $ORACLE_BASE/oradata
    
    

    この例では、dbnameは、以前選択したデータベースの名前です。

  3. ディレクトリを$ORACLE_BASE/oradata/dbnameディレクトリに変更します。

  4. テキスト・エディタでdbname_raw.confファイルを編集して、次のようなファイルを作成します。


    注意:

    次に示すのは、2インスタンスのRACクラスタに対するマッピング・ファイルの例です。 


    system=/dev/raw/raw1
    sysaux=/dev/raw/raw2
    example=/dev/raw/raw3
    users=/dev/raw/raw4
    temp=/dev/raw/raw5
    undotbs1=/dev/raw/raw6
    undotbs2=/dev/raw/raw7
    redo1_1=/dev/raw/raw8
    redo1_2=/dev/raw/raw9
    redo2_1=/dev/raw/raw10
    redo2_2=/dev/raw/raw11
    control1=/dev/raw/raw12
    control2=/dev/raw/raw13
    spfile=/dev/raw/raw14
    pwdfile=/dev/raw/raw15
    
    

    次のガイドラインに従って、ファイルを作成および編集します。

    • ファイルの各行は、次の形式である必要があります。

      database_object_identifier=raw_device_path
      
      
    • シングル・インスタンスのデータベースの場合、ファイルは、1つの自動UNDO表領域データ・ファイル(undotbs1)と2つ以上のREDOログ・ファイル(redo1_1redo1_2)を指定する必要があります。

    • RACデータベースの場合、ファイルは、各インスタンスに対して1つの自動UNDO表領域データ・ファイル(undotbsn)と2つのREDOログ・ファイル(redon_1redon_2)を指定する必要があります。

    • 2つ以上の制御ファイル(control1control2)を指定します。

    • 自動UNDO管理のかわりに手動UNDO管理を使用するには、自動UNDO管理表領域データ・ファイルのかわりに単一のロールバック・セグメント表領域データ・ファイル(rbs)を指定します。

  5. ファイルを保存して、指定したファイル名を書き留めます。

  6. データベースの記憶域にRAWデバイスを使用している場合、次のように環境変数DBCA_RAW_CONFIGを設定し、RAWデバイス・マッピング・ファイルへのフルパスを指定してください。

    Bourne、BashまたはKornシェル:

    $ DBCA_RAW_CONFIG=$ORACLE_BASE/oradata/dbname/dbname_raw.conf
    $ export DBCA_RAW_CONFIG
    
    

    Cシェル:

    $ setenv DBCA_RAW_CONFIG=$ORACLE_BASE/oradata/dbname/dbname_raw.conf
    
    

Red Hat Enterprise Linux 4.0でのRAWデバイスの構成

Oracle ClusterwareまたはOracleデータベース・ファイルのRAWデバイスを使用する場合、RAWデバイスを構成する必要があります。2.6 Linuxカーネル・ディストリビューションで起動した場合、RAWデバイスはデフォルトではカーネルでサポートされません。ただし、Red Hat Enterprise Linux 4.0では、継続してRAWのサポートを提供します。RAWデバイスが使用可能であることを確認するには、次のコマンドを入力します。

# chkconfig --list

出力を調べて、RAWデバイスを確認します。RAWデバイスが存在しない場合は、次のコマンドを使用して、RAWデバイス・サービスを有効にします。

# chkconfig --level 345 rawdevices on

RAWデバイス・サービスが実行中であることを確認した後で、RAWデバイスのデフォルトの所有権を変更する必要があります。Red Hat Enterprise Linux 4.0 Systemを再起動すると、デフォルトで、RAWデバイスの所有権と権限はrootに戻ります。このオペレーティング・システムで、Oracleファイル(ASM記憶域、Oracle Clusterwareファイルなど)にRAWデバイスを使用する場合は、このデフォルトの動作を無効にする必要があります。

この項の例では、2つのASMディスク・ファイル(/dev/raw/raw6および/dev/raw/raw7)、2つのOracle Cluster Registryファイル(/dev/raw/raw1および/dev/raw/raw2)、3つのOracle Clusterware投票ディスク(/dev/raw/raw3/dev/raw/raw4および/dev/raw/raw5)を使用します。

オペレーティング・システムの再起動時に、これらのデバイスの所有権が適切な状態であるようにするには、/etc/udev/ディレクトリに新しいファイル(permissions.d/oracle.permissions)を作成し、RAWデバイスの権限情報を入力します。

Oracle Clusterwareは、Oracleデータベース・ソフトウェアを所有する同じユーザー(通常、oracle)、または別のOracle Clusterwareユーザーによって所有されることに注意してください。別のOracle Clusterwareユーザーを作成する場合、そのユーザーは投票ディスクを所有する必要があります。

この例では、crsという別のOracle Clusterwareユーザーを使用し、Oracleユーザーをoracleという名前にする場合に設定される権限が示されます。ASMディスクはoracleによって、投票ディスクはcrsによって所有される必要があります。常に、Oracle Cluster Registry(OCR)はrootによって所有されます。この項の例に従って、/etc/udev/permissions.d/oracle.permissionsの内容の例を、次に示します。

# ASM
raw/raw[67]:oracle:dba:0660
# OCR
raw/raw[12]:root:oinstall:0640
# Voting Disks
raw/raw[3-5]:crs:oinstall:0640

パス行には、シェルのglobモジュールを使用できます。これによって、raw/raw[3-4]raw/raw*などの入力が可能になります。文字範囲の使用方法については、オペレーティング・システムのヘルプを参照してください。

oracle.permissionsファイルを作成した後、rawdevicesファイルの権限は、次回システムを再起動したときに自動的に設定されます。権限がすぐに有効になるように設定するには、chownおよびchmodコマンドを使用します。

chown oracle:dba /dev/raw/raw[67]
chmod 660 /dev/raw/raw[67]
chown root:oinstall /dev/raw/raw[12]
chmod 640 /dev/raw/raw[12]
chown crs:oinstall /dev/raw/raw[3-5]
chmod 640 /dev/raw/raw[3-5]

SUSE LinuxでのRAWデバイスの構成

再起動後にRAWデバイスの適切なデバイス所有権および権限を設定および管理するには、UDEV rpmをインストールする必要があります。これを行うには、次の手順を実行します。

  1. NovellのWebサイト(download.novell.com)に移動し、udev RPMをダウンロードします。

  2. 次のコマンドを使用して、UDEV rpmをインストールします。

    rpm -Fhv mkinitrd.rpm udev.rpm
    
    
  3. 「Red Hat Enterprise Linux 4.0でのRAWデバイスの構成」に示すように、RAWデバイスのデフォルトの所有権を設定します。

ブロック・デバイス上の10.2.0.2データベースへのRAWデバイス上の10.1.0.3データベースのアップグレード

ブロック・デバイスは、Oracle Database10.2.0.2リリースでサポートされます。RAWデバイス上の10.1データベースをブロック・デバイス上の10.2.0.2データベースにアップグレードするには、次の手順を実行します。

  1. 『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』に示すように、Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters(RAC)のアップグレード手順(データベース・アップグレードを含む)を実行します。

  2. 次の手順を使用して、すべてのプロセスを停止します。

    1. Oracleホームで、Oracle Enterprise Manager Database Controlやi SQL*Plusなどのデータベースにアクセスする可能性のあるすべてのプロセスを停止します。

    2. すべてのノードですべてのRACインスタンスを停止します。データベースのすべてのRACインスタンスを停止するには、次のコマンドを入力します。db_nameはデータベースの名前です。

      $ oracle_home/bin/srvctl stop database -d db_name
      
      
    3. すべてのノードですべてのASMインスタンスを停止します。ASMインスタンスを停止するには、次のコマンドを入力します。node はASMインスタンスを実行しているノードの名前です。

      $ oracle_home/bin/srvctl stop asm -n node
      
      
    4. すべてのノードですべてのノード・アプリケーションを停止します。ノードで実行されているノート・アプリケーションを停止するには、次のコマンドを入力します。nodeはアプリケーションを実行しているノードの名前です。

      $ oracle_home/bin/srvctl stop nodeapps -n node
      
      
    5. rootユーザーでログインして、すべてのノードで次のコマンドを入力し、Oracle Clusterwareプロセスを停止します。

      # crs_home/bin/crsctl stop crs
      
      
  3. OCR、VDISKおよびデータベースに使用したRAWデバイスをアンバインドします。これらのデバイスをアンバインドするには、rootユーザーでログインし、Linuxディストリビューションのコマンドを入力します。Raw device nameは、アンバインドするRAWデバイスの名前です。

    Red Hat Linux:

    # /usr/bin/raw Raw device Name 0 0
    
    

    SUSE Linux:

    # /usr/sbin/raw Raw device Name 0 0
    
    
  4. rootで、次のコマンドを使用して、手順3でアンバインドしたRAWデバイスの名前を変更します。Raw device nameは、RAWデバイスの名前です。

    # mv Raw device Name Raw device name.10.1
    
    
  5. rootで、次のコマンドを使用して、以前存在したRAWデバイス・ファイルを対応するブロック・デバイスにリンクします。Block device nameはブロック・デバイスの名前で、Raw device nameはRAWデバイスの名前です。

    # ln -s Block device name Raw device name
    
    
  6. 次の手順を使用して、すべてのプロセスを起動します。

    1. rootユーザーで、すべてのノードで次のコマンドを入力し、Oracle Clusterwareプロセスを起動します。crs_homeは、CRSホーム・ディレクトリへのパスまたはシンボリック・リンクです。

      # crs_home/bin/crsctl start crs
      
      

      注意:このコマンドによって、Oracle Clusterwareおよびそのすべてのリソースが起動されます。

    2. Oracleホームで、Oracle Enterprise Manager Database Controlやi SQL*Plusなど、使用するすべての他のプロセスを起動します。


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