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Oracle Clusterwareインストレーション・ガイド
11gリリース1(11.1)for AIX Based Systems
B50575-03
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1 概要: Oracle Clusterwareのインストール

次に、インストールの構成要件およびコマンドの概要を示します。ここでは、インストール・プロセスの概要を示します。

Oracle Clusterwareのインストール・プロセスの概要だけでなく、システムに自動ストレージ管理(ASM)およびOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)をインストールするための構成情報についても説明します。

1.1 システム要件の確認

詳細は、第2章の次の項を参照してください。

「ハードウェア要件の確認」

使用可能なメモリーを確認するには、次のコマンドを入力します。

# /usr/sbin/lsattr -E -l sys0 -a realmem
# /usr/sbin/lsps -a

RAMの最小要件は1GB、スワップ領域の最小要件も1GBです。RAMが2GB以下のシステムでは、スワップ領域をRAMの2倍に設定することをお薦めします。RAMが2GBから8GBの間のシステムでは、RAMと同じサイズのスワップ領域を使用します。RAMが8GBより多いシステムでは、RAMのサイズの75%のスワップ領域を使用します。

Oracle Clusterwareファイルで使用できる領域を検証します。Oracle Clusterwareファイルを配置する場所に合わせて次のいずれかのコマンドを使用します。

GPFSの場合:

df -k

コンカレントVGのRAW論理ボリューム(HACMP)の場合: この例の変数lv_nameは、検証する領域を持つRAW論理ボリューム名です。

lslv lv_name

RAWハード・ディスクの場合: この例の変数rhdisk#は、検証するRAWハード・ディスク番号であり、変数size_mbは、検証するパーティション・サイズ(MB単位)です。

lsattr -El rhdisk# -a size_mb


Oracle Clusterwareファイルに対して標準の冗長性(2つのOracle Cluster Registry(OCR)パーティションおよび3つの投票ディスク・パーティション)を使用する場合は、Oracle Clusterwareファイル用に用意されている個々の物理ディスク上で1GB以上のディスク領域が使用可能である必要があります。Oracle Clusterwareファイルの各パーティションのサイズは256MBである必要があります。

Oracle Clusterwareホームには650MBのディスク領域が必要です。

df -k /tmp

/tmpに400MB以上のディスク領域があることを確認してください。この領域を確保できない場合は、パーティション・サイズを大きくするか、または/tmp内の不要なファイルを削除します。

1.2 ネットワーク要件の確認

詳細は、第2章の次の項を参照してください。

「ネットワーク要件の確認」

次に、ドメイン・ネーム・サーバー(DNS)または各クラスタ・ノードの/etc/hostsファイルに構成する必要があるアドレス要件を示します。

ネットワーク管理者からIPアドレスを取得したら、NICに対してパブリックIPアドレスおよびプライベートIPアドレスをsystem-config-networkユーティリティを使用して割り当てるか、またはifconfigを使用してそれらを手動で構成することができます。VIPアドレスは割り当てないでください。

すべてのIPアドレスをpingします。pingコマンドに対して、パブリックIPアドレスおよびプライベートIPアドレスの応答があります。VIPアドレスは応答しません。

1.3 オペレーティング・システム・パッケージの確認

詳細は、第2章にある「ソフトウェア要件の検証」の表を参照してください。

1.4 カーネル・パラメータの設定

詳細は、第2章の次の項を参照してください。

「AIXシステム環境のチューニング」

1.5 グループおよびユーザーの構成

詳細は、第2章の次の項を参照してください。

「Oracle Clusterwareをインストールするためのグループおよびユーザーの概要」

Oracle Databaseホームの作成方法については、第3章の次の項を参照してください。

「標準構成のオペレーティング・システム・グループおよびユーザーの作成」

「役割に応じたカスタム・グループおよびユーザーの作成」

「Oracle DatabaseおよびOracle ASM所有者の環境要件」

例として、oracleという名前のOracleインストール所有者がいるとします。Oracle Clusterware用にOracleインストール所有者グループ(oinstall)を作成する必要があります。Oracle Databaseをインストールする場合は、OSDBAグループ(dba)を作成する必要があります。正確なグループ構成とユーザー構成を確認するために、id oracleコマンドを使用します。次に、smitを使用してoracleユーザーを作成するか、または次のコマンドを入力します。

# mkgroup oinstall
# mkgroup dba
# mkuser pgrp=oinstall groups=dba,oinstall oracle

Oracle Clusterwareのoracleユーザーの権限に、CAP_NUMA_ATTACH、CAP_BYPASS_RAC_VMMおよびCAP_PROPAGATEが指定されていることを確認します。

すでに設定されている権限を確認するには、rootで次のコマンドを入力します。この例では、Oracle Clusterwareのoracleユーザーはcrsです。

# lsuser -a capabilities crs

権限を追加するには、次のコマンドを入力します。

# chuser capabilities=CAP_NUMA_ATTACH CAP_BYPASS_RAC_VMM CAP_PROPAGATE crs

oracleアカウントにパスワードを設定します。

passwd oracle

各クラスタのメンバー・ノードに対して、この手順を繰り返します。

1.6 ディレクトリの作成

詳細は、第2章の次の項を参照してください。

「Oracle Clusterwareホーム・ディレクトリの作成要件」

Oracle Databaseホームの作成方法については、第3章の次の項を参照してください。

「Oracleベース・ディレクトリのパスの理解」

「Oracleベース・ディレクトリのパスの作成」

Oracle Clusterwareのみをインストールする場合は、Oracle Universal Installer(OUI)でOracle ClusterwareおよびOracle Central Inventory(oraInventory)のディレクトリを自動的に作成できます。ただし、rootとして、Oracle Optimal Flexible Architecture(OFA)に準拠したパスを作成する必要があります。これによって、OUIがインストール中にそのディレクトリを選択できるようになります。OUIがパスをOracleソフトウェア・パスとして認識するには、u0[1-9]/appという形式にする必要があります。

次に例を示します。

mkdir –p  /u01/app
chown –R oracle:oinstall /u01/app

1.7 Oracleインストール所有者のシェル制限の構成

詳細は、第2章の次の項を参照してください。

「ソフトウェア所有者ユーザー環境の構成」

1.8 SSHの構成

詳細は、第2章の次の項を参照してください。

「すべてのクラスタ・ノードでのSSHの構成」

OUIは、インストール中にsshおよびscpコマンドを使用して、他のクラスタ・ノードに対してリモート・コマンドを実行し、そのクラスタ・ノードにファイルをコピーします。SSHを使用できない場合、OUIでは、rshコマンドとrcpコマンドの使用に切り替えます。インストール中のセキュリティを強化するためにSSHを使用するには、インストール中に使用するsshコマンドおよびscpコマンドでパスワードが要求されないようにSSHを構成しておく必要があります。

SSHを構成するには、次のタスクを実行します。

1.8.1 システムに既存のSSH構成の確認

次のコマンドを入力して、SSHが実行されているかどうかを確認します。

$ ps -ef │ grep sshd

SSHが実行されている場合、このコマンドの結果は1つ以上のプロセスID番号になります。インストールに使用するソフトウェア所有者(crsoracle)のホーム・ディレクトリで、コマンドls -alを使用して、.sshディレクトリを所有し、そのディレクトリへの書込みが可能であるのはそのユーザーのみであることを確認します。

1.8.2 クラスタ・メンバー・ノードでのSSHの構成

各ノードで、次のタスクを実行します。インストールに使用するOracleソフトウェアのインストール所有者ごとにSSHを構成する必要があります。

  • 各ノードで.sshを作成し、RSA鍵またはDSA鍵のいずれかを作成します。

  • すべての鍵を共通のauthorized_keysファイルに追加します。

1.8.3 クラスタ・メンバー・ノードでのSSHユーザー等価関係の有効化

すべての鍵が含まれているauthorized_keysファイルをクラスタ内の各ノードにコピーしたら、ノードでSSHを起動し、SSH鍵をメモリーにロードします。インストールでこの端末セッションを使用するか、またはインストールの実行元の端末セッションのメモリーにSSH鍵をリロードする必要があることに注意してください。

1.9 記憶域の作成

次に、ASMディスク、OCRパーティションおよび投票ディスク・パーティションを作成する手順の概要を示します。

詳細は、第4章の次の項を参照してください。

「サポートされる共有ファイル・システムでのOracle Clusterwareファイル用の記憶域の構成」

「RAWデバイスでのOracle Clusterwareファイル用の記憶域の構成」

1.9.1 ASMディスク、OCRディスクおよび投票ディスク用のディスク・パーティションの作成

必要に応じて、パーティションを作成します。 OCRおよび投票ディスクの場合、新規インストールでは280MBのパーティションを作成し、アップグレードでは既存のパーティション・サイズを使用します。パーティションを作成するには、次の手順を実行します。


注意:

ASMを記憶域に使用する1つ以上のデータベース・インスタンスを実行する各サーバーには、ASMインスタンスがあります。Oracle RAC環境では、各ノードに1つのASMインスタンスがあり、ASMインスタンスがpeer-to-peerで相互に通信します。

ノード上のデータベース・インスタンスの数に関係なく、各ノードに許可されるASMインスタンスは1つのみです。

既存のインストールからアップグレードする場合は、ご使用のプラットフォーム用のアップグレード手順で特に記述がないかぎり、ASMインスタンスを停止してからインストールを開始してください。


  1. 必要なディスク・デバイスを確認または構成します。

    ディスク・デバイスは、すべてのクラスタ・ノードで共有されている必要があります。

  2. 任意のノードで、rootユーザーとして次のコマンドを入力し、使用するディスク・デバイスのデバイス名を確認します。

    # lspv │ grep -i none
    

    このコマンドによって、ボリューム・グループに構成されていないディスク・デバイスごとに、次のような情報が表示されます。

    hdisk17         0009005fb9c23648                    None
    

    この例では、hdisk17はディスクのデバイス名、0009005fb9c23648は物理ボリュームID(PVID)です。

  3. 使用するディスク・デバイスにPVIDがない場合は、次のコマンドを入力してディスク・デバイスに割り当てます。

    # chdev -l hdiskn -a pv=yes
    

    注意:

    既存のPVIDがある場合は、PVIDがchdevによって上書きされるため、このPVIDに依存するアプリケーションは失敗します。

  4. 他のそれぞれのノードで、次のコマンドを入力し、そのノードの各PVIDに関連付けられているデバイス名を確認します。

    # lspv │ grep -i "0009005fb9c23648"
    

    このコマンドの出力結果は、次のようになります。

    hdisk18         0009005fb9c23648                    None
    

    この例では、ディスク・デバイスに関連付けられているデバイス名(hdisk18)は、前述のノードのものとは異なります。

  5. デバイス名がすべてのノードで同じである場合は、すべてのノードで次のコマンドを入力し、ディスク・デバイスのキャラクタRAWデバイス・ファイルの所有者、グループおよび権限を変更します。

    • OCRデバイスの場合:

      # chown root:oinstall /dev/rhdiskn
      # chmod 640 /dev/rhdiskn
      
    • その他のデバイスの場合:

      # chown oracle:dba /dev/rhdiskn
      # chmod 660 /dev/rhdiskn
      
  6. 使用するディスクのPVIDに関連付けられているデバイス名がいずれかのノードで異なる場合は、使用されていない共通の名前を使用して、各ノードのディスクに対して新しいデバイス・ファイルを作成する必要があります。

    新しいデバイス・ファイルでは、そのディスク・デバイスの目的を示すような代替デバイス・ファイル名を選択します。データベース・ファイルでは、代替デバイス・ファイル名のdbnameを、手順1でデータベース用に選択した名前と置き換えます。


    注意:

    かわりに、いずれのノードでも使用されない数字を含む名前(hdisk99など)を選択することもできます。

    すべてのノードで、ディスク・デバイスに新しい共通のデバイス・ファイルを作成するには、各ノードで次の手順を実行します。

    1. 次のコマンドを入力して、ディスク・デバイスを示すデバイスのメジャー番号とマイナー番号を確認します。nは、このノードのディスク・デバイスのディスク番号です。

      # ls -alF /dev/*hdiskn
      

      このコマンドの出力結果は、次のようになります。

      brw------- 1 root system    24,8192 Dec 05 2001  /dev/hdiskn
      crw------- 1 root system    24,8192 Dec 05 2001  /dev/rhdiskn
      

      この例では、デバイス・ファイル/dev/rhdisknはキャラクタRAWデバイスを示します。24はデバイスのメジャー番号、8192はデバイスのマイナー番号です。

    2. 次のコマンドを入力し、新しいデバイス・ファイル名、前述の手順で確認したデバイスのメジャーおよびマイナー番号を指定して、新しいデバイス・ファイルを作成します。


      注意:

      次の例では、キャラクタRAWデバイス・ファイルを作成するために、文字cを指定する必要があります。

      # mknod /dev/ora_ocr_raw_256m c 24 8192
      
    3. 次のコマンドを入力して、ディスクのキャラクタRAWデバイス・ファイルの所有者、グループおよび権限を変更します。

      • OCRの場合:

        # chown root:oinstall /dev/ora_ocr_raw_256m
        # chmod 640 /dev/ora_ocr_raw_256m
        
      • Oracle Clusterware投票ディスクの場合:

        # chown oracle:dba /dev/ora_vote_raw_256m
        # chmod 660 /dev/ora_vote_raw_256m
        
    4. 次のコマンドを入力して、新しいデバイス・ファイルが正常に作成されたことを検証します。

      # ls -alF /dev │ grep "24,8192"
      

      このコマンドの出力結果は、次のようになります。

      brw------- 1 root   system   24,8192 Dec 05 2001  /dev/hdiskn
      crw-r----- 1 root   oinstall 24,8192 Dec 05 2001  /dev/ora_ocr_raw_256m
      crw------- 1 root   system   24,8192 Dec 05 2001  /dev/rhdiskn
      
  7. 複数のノードからディスク・デバイスに同時アクセスできるようにするには、ディスクで使用する予約属性のタイプに応じて、適切なObject Data Manager(ODM)属性を設定する必要があります。次の項では、論理名hdiskを使用してこのタスクを実行する方法について説明します。論理デバイス名については、ご使用のオペレーティング・システムのマニュアルを参照してください。

    ディスクで使用する予約設定を確認するには、次のコマンドを入力します。nはhdiskのデバイス番号です。

    # lsattr -E -l hdiskn │ grep reserve_
    

    このコマンドの結果として、reserve_lock設定またはreserve_policy設定が返されます。属性がreserve_lockの場合は、設定がreserve_lock = noであることを確認します。属性がreserve_policyの場合は、設定がreserve_policy = no_reserveであることを確認します。

    必要に応じて、chdevコマンドで次の構文を使用して設定を変更します。nはhdiskのデバイス番号です。

    chdev -l hdiskn -a [ reserve_lock=no │ reserve_policy=no_reserve ]

    たとえば、デバイスhdisk4の設定をreserve_lock=yesからreserve_lock=noに変更するには、次のコマンドを入力します。

    # chdev -l hdisk4  -a  reserve_lock=no
    

    すべてのディスク・デバイスで設定が適切であることを確認するには、次のコマンドを入力します。

    # lsattr -El hdiskn │ grep reserve
    
  8. 任意のノードで次のコマンドを入力し、使用する各ディスク・デバイスからPVIDを消去します。

    # chdev -l hdiskn -a pv=clear
    

    Oracle Clusterwareをインストールする際に、OCRおよびOracle Clusterware投票ディスクのパスを求められたら、適切なデバイス・ファイルへのパスを入力する必要があります。次に例を示します。

    /dev/rhdisk10
    

1.10 CVUを使用したOracle Clusterware要件の検証

詳細は、第6章の次の項を参照してください。

「CVUを使用したOracle Clusterware要件の検証」

インストール所有者ユーザー(oracleまたはcrs)としてログインし、次のコマンド構文でクラスタ検証ユーティリティ(CVU)を起動して、Oracle Clusterwareをインストールするためのシステム要件を検証します。次の構文例のmountpoint変数はインストール・メディアのマウント・ポイント、node_list変数はクラスタ内のノード名(カンマで区切る)です。

/mountpoint/runcluvfy.sh stage -pre crsinst -n node_list

1.11 Oracle Clusterwareソフトウェアのインストール

詳細は、第6章の次の項を参照してください。

「OUIを使用してOracle Clusterwareをインストールするための準備」

「OUIを使用したOracle Clusterwareのインストール」

  1. SSH鍵がOracle Universal Installer(OUI)の実行元の端末セッションのメモリーにロードされていることを確認します。

  2. インストール・メディアに移動し、OUIを起動します。次に例を示します。

    $ cd /Disk1
    ./runInstaller
    
  3. Oracle Clusterwareのインストールを選択し、構成情報を指示どおりに入力します。

1.12 Oracle RACおよびASMのためのシステムの準備

詳細は、第5章の次の項を参照してください。

「自動ストレージ管理用のディスクの構成」

Oracle ClusterwareとともにOracle RACをインストールする場合は、データベース・ファイルの管理にASMを使用することをお薦めします。

1.12.1 ASMディスク・パーティションのマーキング

ディスク・パーティションをASMディスクの候補としてOUI側で認識させるには、rootとしてログインし、ASM用に作成したディスク・パーティションに対して、次のコマンド構文を使用してマーキングする必要があります。ASM_DISK_NAMEはASMディスク・グループの名前、device_nameはそのディスク・グループに割り当てるディスク・サービスの名前です。

/etc/init.d/oracleasm create disk ASM_DISK_NAME device_name