6.1 Oracle Database QoS Managementとは

Oracle Database QoS Managementは、システム全体のワークロード・リクエストを監視する自動化されたポリシーベースの製品です。

多くの企業では、データ・センターのコンピュータ・システムを統合し、標準化しています。アプリケーションごとに個別のサーバーを使用するかわりに、クラスタ化したデータベースで複数のアプリケーションを実行します。また、アプリケーションをインターネットに移行することで、オープン・ワークロードの管理の問題が発生しました。オープン・ワークロードは要求のサージに影響されるため、システムがオーバーロードし、完全には予想または計画できない新しいタイプのアプリケーション障害がもたらされる可能性があります。このような環境でターゲット・サービス・レベル内のアプリケーションの可用性とパフォーマンスを維持するには、次のことを実行する必要があります。

  • リソースのプール。

  • パフォーマンス・ボトルネックをリアルタイムで検出する管理ツールの保持。

  • 要求の変化に対応するためのリソースの再割当て。

Oracle Database QoS Managementは、システム全体のワークロード・リクエストを監視する自動化されたポリシーベースの製品です。Oracle Database QoS Managementは、アプリケーション間で共有されるリソースを管理し、システム構成を調整して、アプリケーションの実行をビジネスに必要なパフォーマンス・レベルに維持します。Oracle Database QoS Managementは、システム構成および要求で発生した変更に対応し、アプリケーションのパフォーマンス・レベルがそれ以上変動することを回避します。

Oracle Database QoS管理は、ターゲット・システムの各作業リクエストのパフォーマンスを監視します。Oracle Database QoS Managementは、作業リクエストがデータベース・サービスを使用してデータベースへの接続をリクエストした時点で作業リクエストの追跡を開始します。作業リクエストの完了に必要な時間、つまりレスポンス時間(エンドツーエンドのレスポンス時間またはラウンドトリップ時間とも呼ばれます)は、データのリクエストが開始された時点からデータ・リクエストが完了した時点までの時間です。レスポンス時間の2つの構成要素、つまりリソースの使用に費やした時間とリソースの使用の待機に費やした時間を正確に測定することで、Oracle Database QoS Managementはシステム内のボトルネックを迅速に検出できます。その後、Oracle Database QoS Managementは、ボトルネックを緩和してサービス・レベルを維持または復元するためのリソースの再割当てを提案します。

Oracle Database QoS Managementは、次の目的でシステムのリソースを管理します。

  • 要求を満たすのに十分なリソースが使用可能な場合は、ワークロードが変化した場合でも、アプリケーションに対するビジネスレベルのパフォーマンス要件が満たされるようにします。

  • 要求を満たすのに十分なリソースが使用できない場合、Oracle Database QoS Managementは、ビジネス上の重要度が低いワークロードを犠牲にし、よりビジネス・クリティカルなワークロードのパフォーマンス要件を満たそうとします。

Oracle Databaseリリース20cから、Oracle Database Quality of Service (QoS) Managementが、検出したサービスに基づいてデフォルトのポリシー・セットを自動的に構成し、測定モードでモニタリングを開始します。

この実装では、ワークロード・パフォーマンス・データは常に自分および他のOracle Autonomous Health Frameworkコンポーネントで使用できます。

Oracle DatabaseクラスタをモニターするためにOracle Enterprise Managerがデプロイされていない場合、Oracle Database QoS Managementの機能はEnterprise Managerで有効にできないため利用できません。自動モニタリングにより、提供される豊富なワークロード・データ・セットを利用できるようになりました。

新しいREST APIとともに、拡張されたOracle Database QoS Managementのモードを管理システムに統合できます。以前のリリースでは、Oracle Database QoS Managementのモニタリング機能を構成し、Enterprise ManagerでOracle Database QoS Managementを有効にする必要がありました。

オープン・ワークロード

アプリケーションに対する新しい作業リクエストが管理対象システム外から送られてくるシステムで実行される作業。作業リクエストは相互に独立しており、作業リクエストの到着率は、前のリクエストのレスポンス時間、またはすでに到着して処理されているリクエスト数の影響を受けません。システムが一度に実行を求められる作業リクエストの数は、ゼロから無限の範囲です。システムのリソースまたはサーバーは様々なアクティビティを実行して作業リクエストを処理し、処理が完了すると作業リクエストがシステムを離れます。

オープン・ワークロードは、リクエストベースのワークロードとも呼ばれます。

作業リクエスト

作業リクエストは、ユーザーが開始できる作業の最小単位です。作業リクエストには、HTTPリクエスト、SOAPリクエスト、データベースに送信されるSQL文、またはプロセスの実行があります。作業リクエストは、外部または別のレイヤーからレイヤーに到着します。作業リクエストが処理されて、レスポンスが生成され、レスポンスはリクエスト元に返信されます。

エンドツーエンドのレスポンス時間

エンドツーエンドのレスポンス時間という表現には、ユーザー・リクエストが受信されてから(たとえば、ブラウザで「送信」ボタンをクリックしてから)レスポンスがユーザーに完全に返信されるまでにかかった時間と行われたすべての作業が含まれます。エンドツーエンドのレスポンス時間には、アプリケーション・サーバー、Oracle Database、Oracle Automatic Storage Managementおよびデータ・センターの内部ネットワークの通過に費やされた時間が含まれます。

ボトルネック

アプリケーションまたはシステム全体のパフォーマンスを制限するコンポーネントまたはリソース。