5 問合せサーバーの操作

Oracle Big Data SQLで問合せサーバーを管理する方法について学習します。

5.1 Oracle Big Data SQL Query Serverについて

Oracle Big Data SQL Query Serverは、オプションでOracle Big Data SQLのコンポーネントとしてHadoopクラスタ内のエッジ・ノードにインストールできるOracle Databaseインスタンスです。問合せサーバーは、主として、Oracle外部表を使用してクラスタ(HDFS形式およびHive形式)またはオブジェクト・ストアに格納されているデータを問い合せるために使用します。これにより、Oracle Databaseによって提供されるSQL機能を全面的に利用できます。

外部表を定義するには、ORACLE_HDFSおよびORACLE_HIVEまたはORACLE_BIGDATAアクセス・ドライバを使用するか、Hiveメタストアのメタデータに基づいて問合せサーバーが外部表を自動的に定義するようにします。後者の場合、HiveデータベースはOracle Databaseスキーマにマップされ、対応するHive表はそれらのスキーマにOracle外部表として定義されます。すべてのデータ認可は、Apache SentryまたはHDFSアクセス制御リスト(ACL)などのHadoopの認可ルールに基づいています。

問合せサーバーをインストールすると、Oracle Databaseのデプロイメントが提供されて、SQLを使用してHadoopクラスタ内のデータを問い合せるように自動的に構成されます。問合せサーバーを再起動すると、データベースがクリーンな状態に復元されるため、管理オーバーヘッドが排除されます。再起動すると、外部表(ORACLE_HIVE、ORACLE_HDFSおよびORACLE_BIGDATAタイプ)、関連する統計、ユーザー定義ビューおよび資格証明が保持されます。再起動により、ユーザー・データが含まれている標準の表が削除されます。

高可用性(HA)、高度なOracleセキュリティ・ポリシー、またはOracle Database内のデータとHadoop内のデータとの組合せを必要とするソリューションの場合、完全なOracle DatabaseをBig Data SQLとともに使用する必要があります。単一のHadoopデプロイメントで、問合せサーバーとBig Data SQL対応Oracle Databaseの両方を使用できます。

問合せサーバーをインストールするには、bds-config.json構成ファイルにHadoopクラスタ内の既存のエッジ・ノードを指定する必要があります。この同じ構成ファイルは、Hiveデータベースのリストを指定する場合にも使用します。問合せサーバーがHiveメタストア・データベースの表に対応するOracle外部表を自動的に作成するため、インストールが完了したら、それらの表にいつでも問合せができるようになります。問合せサーバーの外部表セットは、対応するHiveメタストア表で自動的に最新の状態に保たれるようになります。そのためには、Cloudera ManagerまたはApache Ambariクラスタ管理ソフトウェアで「Restart this Big Data SQL Query Server」コマンドまたは「Synchronize Hive Databases」コマンドを実行します。また、dbms_bdsqs.sync_hive_databases PL/SQL APIパッケージ・プロシージャを使用することもできます。

関連項目:

Oracle Big Data SQL構成の両側にソフトウェアをインストールして構成する方法は、Oracle Big Data SQLインストレーション・ガイド概要を参照してください。

スマート・スキャン対象のデータ・ファイルを設定する方法の詳細は、「HDFSへのOracle表領域の格納」を参照してください。

5.2 重要な用語と概念

エッジ・ノード、エッジ・データベース、セル・ノードおよびHadoopクラスタ統合の概要。

これらの用語は、問合せサーバーを理解するための鍵となります。

エッジ・ノードについて

Hadoopクラスタ内のエッジ・ノードは、Hadoopクラスタと外部ネットワーク間のインタフェースです。一般に、エッジ・ノードは、クライアント・アプリケーションおよびHadoopクラスタ管理ツール(Cloudera ManagerやApache Ambariなど)の実行に使用されます。エッジ・ノードは、NFSまたはHttpFSを介してHDFSアクセスを提供するか、またはRESTサーバーを実行することで、データ・ゲートウェイとして機能できます。

セル・ノードについて

BDSセルはDataNodeで実行され、問合せ処理の一部を、データが存在するHadoopクラスタDataNodeにプッシュ・ダウンできます。これにより、処理対象のデータ量がデータベースに送信されるように、負荷の分散と削減の両方が実現されます。これにより、Big Dataワークロードのパフォーマンスが大幅に向上する可能性があります。

Hadoopクラスタ統合

Oracle Big Data SQLには、Cloudera ManagerまたはApache Ambariで管理できる次の3つのサービス・ロールが含まれています。

  • Big Data SQL Server: Hadoopクラスタに対してSQL問合せを実行できます。アプリケーションは、JDBCまたはSQL*Netを使用してこのサーバーに接続します。
  • Big Data SQLエージェント: Big Data SQLのインストールを管理し、Copy to Hadoop機能によっても使用されます。
  • Big Data SQL Server: Big Data SQLセルとも呼ばれ、問合せ処理の一部を、データが存在するHadoopクラスタDataNodesにプッシュ・ダウンできます。

5.3 問合せサーバーの機能

Big Data SQL問合せサーバーは、自動インストールと構成、Hadoopクラスタ・マネージャとの統合、およびクラスタ・メタデータの自動統合を提供します。

  • 自動インストールと構成: bds-config.json構成ファイルにHadoopクラスタの既存のターゲット・エッジ・ノードを指定した場合、Oracle Big Data SQLインストーラは自動的に問合せサーバーをインストールおよび構成します。問合せサーバーをインストールするエッジ・ノードを指定するには、次の例のように、edgedbパラメータ、ノードおよび有効な属性をbds-config.json構成ファイルに追加します。ここで、<edgenode_host_name>はエッジ・ノードの名前です。
    "edgedb": {
            "node" : "dbnode.domain.com",  
            "enabled" : "true",  
            "sync_hive_db_list" : "my_hive_db_1,my_hive_db2"  
        }

    ノート:

    bds-config.json構成ファイルにedgedbサブセクションが含まれていない場合、問合せサーバーはインストールされません。

    関連項目:

    インストール・ガイドのbds-config.jsonの構成例には、完全に値が移入されたbds-config.jsonファイルが示されています。この例には、使用可能なすべての構成パラメータが含まれています。
  • Hadoopクラスタ・マネージャとの統合: Cloudera ManagerまたはApache Ambari Hadoopクラスタ管理ツールを使用して、問合せサーバーをサービスとしてモニターおよび管理できます。
  • Hiveとの同期化: Oracle Big Dataサービスを起動すると、問合せサーバーはHiveメタストアにある自身のメタデータを自動的にリフレッシュします。最初のリフレッシュの後、ユーザーは問合せサーバーとHiveメタストア内の最新のメタデータを同期化できます。

5.4 問合せサーバーと同期化するHiveデータベースの指定

問合せサーバーとメタストア内の目的のHiveデータベースを同期化するには、その前にHiveデータベースのリストを指定する必要があります。

次のいずれかの方法を使用します。
  • インストール時に、bds-config.json構成ファイルにsync_hive_db_listパラメータを指定します。
  • インストール後、Cloudera ManagerまたはApache Ambariでsync_hive_db_list構成パラメータを更新できます。

問合せサーバーをインストールすると、指定したHiveメタストア・データベース・リストに基づいてスキーマと外部表が自動的に作成されます。以後問合せサーバーを再起動するたびに、デルタ同期が実行されます。

5.4.1 bds-config.json構成ファイルでのHiveデータベースの指定

bds-config.json構成ファイルを使用すると、インストール・プロセスの一部として問合せサーバーと同期化するHiveデータベースの初期リストを指定できます。

構成ファイルに、sync_hive_db_list構成パラメータとHiveデータベースのリストを含めます。次の例では、sync_hive_db_list構成パラメータに対して2つのHiveデータベース、htdb0およびhtdb1を指定しています。Hiveメタストアに他のデータベースが含まれていても、これら2つのデータベースのみが問合せサーバーと同期化されます。

"edgedb": { 
     "node": "<edgenode_host_name>",
     "enabled": "true",
     "sync_hive_db_list": "htdb0,htdb1"
     . . .
    	}

問合せサーバーとメタストア内のすべてのHiveデータベースを同期化するには、次に示すように、*ワイルドカード文字を使用します。

"edgedb": { 
     "node": "EdgeNode_Host_Name",
     "enabled": "true"
     "sync_hive_db_list": "*"
     . . .
    	}

bds-config.json構成ファイルにsync_hive_db_list構成パラメータが含まれていない場合、Hiveデータベースと問合せサーバーの間で同期は行われません。その場合、Cloudera ManagerまたはApache Ambariのsync_hive_db_list構成パラメータを使用して、Hiveデータベースを指定する必要があります。

ノート:

問合せサーバーは、内部データをOracle表に格納することを目的としたものではありません。問合せサーバーを再起動すると、初期状態にリセットされ、クリーンな状態になります。これにより、ストレージ管理やデータベース構成などの一般的なデータベース・メンテナンスが不要になります。問合せサーバーの目的は、Hadoop、オブジェクト・ストア、KafkaおよびNoSQLデータベース内のデータに対してSQLフロントエンドを提供することであり、汎用RDBMSを提供することではありません。

5.4.2 sync_hive_db_list構成パラメータを使用したHiveデータベースの更新

Cloudera Managerを使用することで、問合せサーバーと同期化するようにHiveデータベースのリストを更新できます。

Cloudera Managerのsync_hive_db_list構成パラメータを次のように使用して、問合せサーバーと同期化するようにHiveデータベースのリストを更新できます。
  1. ログイン資格証明を使用してCloudera Managerにログインします。
  2. Cloudera Managerで、「Search」フィールドを使用して、「Synchronized Hive Databases」構成パラメータを検索します。「Search」フィールドに「/Synchronized Hive Databases」と入力し(名前を入力していくと、該当する名前がリストに表示されます)、[Enter]を押します。
  3. 「Big Data SQL: Synchronized Hive Databases」パラメータをクリックします。
  4. 「Synchronized Hive Databases」テキスト・ボックスに、Hiveデータベースの名前をカンマ区切りで入力し(htdb0,htdb1など)、「Save Changes」をクリックします。これら2つのHiveデータベースのみが問合せサーバーと同期化されます。
    問合せサーバーとメタストア内のすべてのHiveデータベースを同期化するには、「Synchronized Hive Databases」テキスト・ボックスに*ワイルドカード文字を入力し、「Save Changes」をクリックします。

5.5 問合せサーバーとHiveとの同期化

Cloudera Manager、Apache Ambariまたはdbms_bdsqs.sync_hive_databases PL/SQL APIを使用して、問合せサーバーと指定したHiveデータベースを同期化できます。

次のいずれかの方法を使用して、問合せサーバーとメタストア内のHiveデータベースを同期化できます。
  • Cloudera ManagerまたはApache Ambariで「Restart this Big Data SQL Query Server」コマンドを実行します。
  • Cloudera ManagerまたはApache Ambariで「Synchronize Hive Databases」コマンドを実行します。
  • エッジ・ノードでdbms_bdsqs.sync_hive_databases PL/SQL APIをローカルに呼び出します。
bds-config.json構成ファイルを使用するか、Cloudera Managerのsync_hive_db_list構成パラメータを使用して、同期化に使用するHiveデータベースを指定する必要があります。

dbms_bdsqs.sync_hive_databases PL/SQL APIは、他の2つの方法ですでに同期化されているHiveデータベースのHive表定義をリフレッシュするにすぎません。

5.5.1 Cloudera Managerを使用した問合せサーバーの手動再起動

Cloudera ManagerまたはApache Ambariで問合せサーバーを再起動することによって、問合せサーバーと指定したHiveデータベースを同期化できます。

Cloudera ManagerまたはApache Ambariを使用すると、起動、停止、再起動など問合せサーバーを管理できます。問合せサーバーを再起動または起動すると、メタデータと指定したHiveデータベースが同期化されます。表の削除や追加など、メタストアでHiveデータベースを変更すると、それが問合せサーバーに反映されます。たとえば、Cloudera Managerで問合せサーバーを次のように再起動できます。
bds-config.json構成ファイルを使用するか、Cloudera Managerのsync_hive_db_list構成パラメータを使用して、同期化に使用するHiveデータベースを指定する必要があります。
  1. ログイン資格証明を使用してCloudera Managerにログインします。
  2. 使用可能なサービスのリストで、「Big Data SQL」リンクをクリックして、「Big Data SQL」詳細ページを表示します。
  3. 「Status Summary」セクションで、「Big Data SQL Query Server」リンクをクリックして、「Big Data SQL Query Server」詳細ページを表示します。
  4. 「Actions」ドロップダウン・リストから、「Restart this Big Data SQL Query Server」を選択します。
    ダイアログ・ボックスが表示されます。「Restart this Big Data SQL Query Server」をクリックします。同期化ジョブのステータスをモニターする別のダイアログ・ボックスが表示されます。

5.5.2 Cloudera Managerを使用した問合せサーバーの手動同期化

Cloudera ManagerまたはApache Ambariを使用すると、問合せサーバーと指定したHiveデータベースを手動で同期化できます。

同期化後、表の削除や追加など、メタストアでHiveデータベースを変更すると、それが問合せサーバーに反映されます。たとえば、Cloudera Managerで問合せサーバーを次のように同期化できます。
  1. ログイン資格証明を使用してCloudera Managerにログインします。
  2. 使用可能なサービスのリストで、「Big Data SQL」リンクをクリックして、「Big Data SQL」詳細ページを表示します。
  3. 「Status Summary」セクションで、「Big Data SQL Query Server」リンクをクリックして、「Big Data SQL Query Server」詳細ページを表示します。
  4. 「Actions」ドロップダウン・リストから、「Synchronize Hive Databases」を選択します。
    ダイアログ・ボックスが表示されます。「Synchronize Hive Databases」をクリックします。同期化ジョブのステータスをモニターする別のダイアログ・ボックスが表示されます。
bds-config.json構成ファイルを使用するか、Cloudera Managerのsync_hive_db_list構成パラメータを使用して、同期化に使用するHiveデータベースを指定する必要があります。

5.5.3 PL/SQL APIを使用した問合せサーバーの手動同期化

PL/SQL APIを使用して、問合せサーバーと指定したHiveデータベースを同期化できます。

そのためには、問合せサーバーがインストールされているエッジ・ノードでローカルにdbms_bdsqs.sync_hive_databases PL/SQL APIを起動します。

このプロシージャには、パラメータが含まれていません。これにより、すでに問合せサーバーにあるすべてのHiveデータベースが同期化されます。APIは、sync_hive_db_list構成パラメータにリストされているHiveデータベースのみで問合せサーバーをリフレッシュします。連続する各同期化(リフレッシュとも呼ばれます)は、問合せサーバー・メタデータの最後のリフレッシュ以降に行われた変更を処理します。

同期化は、最後のリフレッシュ以降にHiveメタストアで追加または削除された表を取得します。これには、スキーマが変更された可能性がある表も含まれます。

5.5.4 問合せサーバー完全同期の有効化

問合せサーバーでデルタ同期(デフォルト)と完全同期のどちらを実行するかを指定できます。

問合せサーバーのインストール・プロセス中に、bds-config.json構成ファイルまたはsync_hive_db_list構成パラメータのいずれかで指定できるHiveデータベース・リストに基づいて、Oracleスキーマおよび適切な外部表が作成されます。この場合、問合せサーバーは完全同期を実行します。デフォルトでは、問合せサーバーは後続の再起動時または同期化時にデルタ同期を実行します。

Cloudera ManagerまたはApache Ambariの「Enable full synchronization」パラメータを使用して、問合せサーバーで完全同期とデルタ同期のどちらを実行するのかを制御できます。デフォルトでは、この構成パラメータは選択解除されています。問合せサーバーが完全同期を実行できるようにするには、Cloudera ManagerまたはApache Ambariでこのチェック・ボックスを選択します。たとえば、Cloudera Managerを使用すると、次のように、問合せサーバーは再起動中または手動同期化中に完全同期を実行できます。

  1. ログイン資格証明を使用してCloudera Managerにログインします。
  2. Cloudera Managerで、「Search」フィールドを使用して、「Enable full synchronization」構成パラメータを検索します。「Search」フィールドに「/ Enable full synchronization」と入力し(名前を入力していくと、該当する名前がリストに表示されます)、[Enter]を押します。
  3. 「Big Data SQL: Enable full synchronization」をクリックします。デフォルトでは、このチェック・ボックスは選択解除されています。これは、問合せサーバーがデルタ同期を実行することを示しています。
  4. 完全同期を有効にするには、チェック・ボックスを選択し、「Save Changes」をクリックします。

完全同期では、問合せサーバーから既存のスキーマおよび外部表がすべて削除され、sync_hive_db_list構成パラメータで指定したHiveデータベース・リストに基づいて、新しいスキーマおよび新しい外部表が再作成されます。

デフォルトでは、問合せサーバーは指定したメタストアのHiveデータベースと問合せサーバーの間でデルタ同期を実行します。表の削除や追加などHiveデータベースを変更すると、それが問合せサーバーに反映されます。ただし、問合せサーバーを初めて起動したときには、bds-config.json構成ファイルで指定したHiveデータベース、またはCloudera ManagerやApache Ambariのsync_hive_db_list構成パラメータで指定したHiveデータベースに基づいて、Oracleスキーマが作成されます。

問合せサーバーとHiveを初めて同期化した場合、そのプロセスは通常より遅くなります。これは、指定したデータベース(Cloudera ManagerまたはApache Ambariで構成したもの)のすべての表をHadoopクラスタにインポートしているためです。その後のリフレッシュでは、新規表の追加など、Hiveメタデータに対して行われた変更のみをリフレッシュするので、大幅に高速になります。デルタ・インポート中、問合せサーバーは追加/変更された表の新しい統計も収集します。

5.6 問合せサーバーの再起動とメタデータ永続性

Cloudera Manager、Apache AmbariまたはPL/SQL APIを使用して、問合せサーバー・メタデータをリフレッシュできます。

次のキー・メタデータを保存しておくと、問合せサーバーの再起動後に復元できます。

  • 表統計

    統計の収集は、負荷のかかる操作である場合があります。表統計は、各メタデータの同期化後に自動的に収集されます。以後の統計収集は、次のPL/SQLパッケージ・プロシージャおよびパラメータを使用して取得できます。

    DBMS_STATS.GATHER_TABLE_STATS (ownname => <schema>,
    tabname => <table-name>, estimate_percent => dbms_stats.auto_sample_size);
    

    ノート:

    estimate_percent=> dbms_stats.auto_sample_sizeパラメータを使用していることを確認してください。
  • ORACLE_HIVEアクセス・ドライバを使用するHive外部表。
  • ORACLE_HDFSアクセス・ドライバを使用するHDFS外部表。
  • ユーザー定義ビュー。

5.7 問合せサーバーのセキュリティ

シングルユーザー・モードまたはマルチユーザー・モードを使用して、問合せサーバーに接続できます。問合せサーバーのユーザーは、BDSQLUSRというプラガブル・データベースに接続します。クラスタがセキュアである(Kerberosを使用する)かセキュアでないかによって、データベースに接続する方法は2つあります。

問合せサーバー・データベースへの接続

Hadoopクラスタ内のデータを問い合せるために、ユーザーは問合せサーバーに接続できます(問合せサーバーがインストールされている場合)。Big Data SQLのインストール中に、Big Data SQLインストーラは、指定したエッジ・ノードにBDSQLUSRという問合せサーバー・データベースを作成およびインストールします。また、それ以外にも、Hadoopクラスタのデータを問い合せるためにそのエッジ・ノードで必要なものをすべてインストールします。

問合せサーバー・ユーザーは、シングルユーザー・モードまたはマルチユーザー・モードを使用して、問合せサーバー・データベースに接続できます。デフォルトでは、問合せサーバーは、セキュアでないHadoopクラスタの場合はシングルユーザー・モードとして構成されます。

シングルユーザー・モードでの問合せサーバーへの接続

問合せサーバーは、セキュアでないHadoopクラスタに対してシングルユーザー・モードをサポートしています。このモードでは、すべてのユーザーがBDSQLUSR問合せサーバー・データベースにユーザーbdsqlとして接続し、管理者による問合せサーバーのインストール中に選択されたパスワードを指定します。

問合せは、oracleユーザー権限を持つクラスタで実行されます。つまり、oracleユーザーは、Sentry権限またはHDFS認可あるいはその両方を使用して、基礎となるHadoopデータへのアクセスが認可されている必要があります。たとえば、次のようにSQL*Plusを使用して、問合せサーバー・データベースに接続できます。

sqlplus BDSQL/<bdsql_password>@BDSQLUSR 

ノート:

前述のコマンドで<bdsql_password>を、Oracle Big Data SQLのインストール時に管理者が指定した実際のBDSQLパスワードに置き換えてください。

BDSQLユーザー・パスワードの変更

Oracle Big Data SQL Query Serverをセキュアでないクラスタにインストールする場合は、次のようにALTER USERを使用してbdsqlユーザーのパスワードを変更できます。

# su - oracle
sqlplus / as sysdba
sql> alter session set container=bdsqlusr;
sql> alter user bdsql identified by "<new_password>";

ノート:

<new_password>を新しいパスワードに置き換えてください。新しいパスワードは、必要なOracleセキュア・パスワード・ガイドラインに準拠している必要があります。新しいパスワードを選択する方法については、セキュアなパスワードの選択を参照してください。

Kerberosで保護されたクラスタでは、ユーザーbdsqlが無効であることに注意してください。

シングルユーザー・モードでの問合せサーバーへの接続(セキュアでないHadoopクラスタ)

問合せサーバーは、セキュアでないHadoopクラスタに対してシングルユーザー・モードをサポートしています。このモードでは、すべてのユーザーがBDSQLUSR問合せサーバー・データベースにユーザーBDSQLとして接続し、管理者が問合せサーバーのインストール中に選択したパスワードを指定します。

問合せは、Big Data SQL認可の構成に応じて2人のユーザーのうちのどちらかとしてクラスタで実行されます。Big Data SQLがマルチユーザー認可で設定されている場合、問合せは、Hadoopクラスタ上でOSユーザーbdsqlとして実行されます。マルチユーザー認可が構成されていない場合、問合せは、ユーザーoracleとして実行されます。

つまり、Big Data SQLユーザーは、Sentry権限またはHDFS認可(あるいはその両方)を使用することで、基礎となるHadoopデータへのアクセスが認可されている必要があります。

マルチユーザー・モードでの問合せサーバーへの接続(Kerberos対応Hadoopクラスタ)

問合せサーバーは、Kerberos対応のHadoopクラスタをサポートしています。このモードは、Kerberosプリンシパルに対応する外部で識別された複数のユーザー・アカウントが存在する場合に使用します。接続ユーザーのアイデンティティ(Kerberosプリンシパル)は、bds-config.json構成ファイルでimpersonation_enabledパラメータがtrueに設定されている場合に、Hadoopクラスタに対する認可に使用されます。このパラメータをfalseに設定すると、Hadoopクラスタに対する認可はユーザーoracleとして実行されます。SentryはClouderaクラスタで使用されます。HDFS認可は、Hortonworksクラスタに使用されます。(Oracle Big Data SQLは、Hortonworks HDPでApache Rangerをまだ使用していません。)

ノート:

Hadoop Secure Impersonationを使用して、oracleアカウントに対し、他の指定のユーザーのかわりにタスクを実行するように指示する方法については、マルチユーザー認可モデルを参照してください。
ユーザーにかわってクラスタで実行されるHadoop問合せは、認証済ユーザーとしてHadoopノードに表示され、対応する権限が付与されます。Hive問合せおよび統計収集操作でも、同じことが当てはまります。問合せサーバーに接続する前に、kinitを使用してKerberosで認証を行う必要があります。セキュアなクラスタにBig Data問合せサーバーをインストールまたは再構成すると、JaguarはHadoop DataNodeもインストールされているノードで実行されているKey Distribution Center (KDC)からすべてのプリンシパルを収集します。プリンシパルごとに、外部で識別されたユーザーがBig Data SQL問合せサーバーに作成されます。このインストール時の動作は、bds-config.json構成ファイルのsyncPrincipalsパラメータによって制御されます。この操作は、次のコマンド(Jaguar操作のスペルが異なることに注意)を実行して起動することもできます。
jaguar sync_principals
問合せサーバー・ユーザーを追加および削除するプロシージャが含まれているDBMS_BDSQS_ADMINパッケージを使用することもできます。これらの問合せサーバー・ユーザーは、Hadoopクラスタにアクセスするのと同じKerberosプリンシパルです。
DBMS_BDSQS_ADMIN.ADD_KERBEROS_PRINCIPALS(principals_list varchar2, op_semantics varchar2 DEFAULT 'STOP_ON_FIRST_ERROR')

DBMS_BDSQS_ADMIN.DROP_KERBEROS_PRINCIPALS(principals_list varchar2, op_semantics varchar2 DEFAULT 'STOP_ON_FIRST_ERROR')  

ノート:

DBMS_BDSQS_ADMINパッケージのプロシージャを実行する前に、OS認証を使用してユーザーsysとしてOracle Big Data SQL Query Serverに接続する必要があります。たとえば、OSユーザーoracleとしてSQL*Plusにログインできます。Oracle Big Data SQLリファレンスを参照してください
マルチユーザー・モードのユーザーは、次のようにパスワードを指定せずにSQL*Plusに接続できます。
[user_name@cluster_name ~]$ kinit user_name 
Password for user_name@cluster_name.US.ORACLE.COM: 
[user_name@cluster_name ~]$ sqlplus /@BDSQLUSR

SQL*Plus: Release 18.0.0.0.0 - Production on Tue Oct 2 13:54:39 2018
Version 18.3.0.0.0

Copyright (c) 1982, 2018, Oracle.  All rights reserved.

Last Successful login time: Tue Oct 02 2018 13:54:20 -05:00

Connected to:
Oracle Database 18c Enterprise Edition Release 18.0.0.0.0 - Production
Version 18.3.0.0.0

SQL>

ノート:

前述の例では、user_nameおよびcluster_nameに実際のユーザー名とクラスタ名が反映されています。