ハイブリッド・モード、ブロック・ストレージおよび集約ストレージの比較
ハイブリッド・モードを使用しない場合、動的計算メンバーのブロック・ストレージ・アルゴリズムには、大規模な疎ディメンションで使用する場合に制限があります。ハイブリッド・モード(および集約ストレージ)は、動的依存性分析用にさらに最適化されています。Essbase アプリケーションに最適な問合せプロセッサ・タイプの選択に役立つように、主な違いについてお読みください。
ハイブリッド・モードがなければ、ブロック・ストレージ・データベースの大規模な疎ディメンションは格納する必要があります。そのようなディメンションを動的にすると、問合せや計算時のブロックI/Oが過剰になり、パフォーマンスに影響が出ます。非常に大規模な疎ディメンションを格納すると、バッチ集約時間が長くなるだけでなく、疎ディメンションの数とサイズに比例してデータベースのサイズが増大し、大規模になります。そのようなデメリットがありますが、機能が強力なため、ブロック・ストレージは広く利用されています。
集約ストレージは、大規模なデータベースで、より大きく、さらに多数のディメンションの使用を可能にすることに特化して設計されています。ブロック・ストレージとは異なり、問合せのパフォーマンスを向上させるために、大規模な疎ディメンションを事前に集約する必要はありません。キーは集約ストレージのデータベース・カーネルにあり、このカーネルが、大規模なディメンション全体の高速で動的な集約を円滑にしています。
ただし、集約ストレージでもたらされる利点があるとしても、ブロック・ストレージのほうが適している用途も多くあります。たとえば、任意の粒度でデータをロードすることや、複雑なバッチ割当てを頻繁に実行することや、国際金融のために通貨換算を実装することなどができます。そのような場合や、さらに多くの場合に、ハイブリッド・モードが解決策になる可能性があります。ハイブリッド・モードには、ブロック・ストレージと集約ストレージの優れた機能が組み合されています。ハイブリッド・モードでは、Essbaseで次のことが可能です
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計算が動的な疎集約に依存している場合でも、完全に柔軟な手続き型計算が可能です。
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動的疎メンバーにアクセスする問合せにハイブリッド・エンジンが使用されます。この方法で処理できないごく一部の問合せに対して、Essbaseは、ブロック・ストレージの計算フローでリクエストに対応します。
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疎メンバーを動的とマークすると、次のメリットがあります:
- 事前集約の必要がなくなります
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再構築のパフォーマンスが向上します
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バックアップのパフォーマンスが向上します
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ディスク領域要件が緩和されます
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ハイブリッド・モードには動的計算が関係しているため、解決順を使用して、計算に順序を付けることができます。
ノート:
問合せスクリプトと計算スクリプトのどちらで実行されるかにかかわらず、ハイブリッド計算は、式キャッシュや集約ストレージ・キャッシュを使用して、一時メモリー領域で実行されます。
主な違い
次の主な違いは、アプリケーションに最適な問合せプロセッサ・タイプを選択するのに役立ちます。
要件 | 集約ストレージ(ASO) | ブロック・ストレージ(BSO) | ハイブリッド・モード |
---|---|---|---|
多数の疎ディメンションにわたる迅速な集約用に最適化 |
はい |
いいえ |
はい |
ディスク領域の使用を最小限に抑え、バックアップ時間を短縮するために最適化 |
はい |
いいえ |
はい |
財務アプリケーション用に最適化 |
いいえ |
はい |
はい |
割当てを実行する機能 |
はい |
はい |
はい |
バッチ計算を実行する機能 |
いいえ |
はい |
はい |
メンバー式のサポート |
はい、MDXとして表されます |
はい、Essbase計算関数として表されます |
はい、Essbase計算関数として表されます |
メンバー式の前方参照用に最適化 |
いいえ |
いいえ |
はい |
計算/集約の解決順をカスタマイズする機能 |
はい |
いいえ |
はい |
小規模な入力データ・セットの依存性分析を高速化するためにボトムアップ問合せ実行を指定する機能 |
いいえ |
いいえ |
はい |
問合せ実行をトレースおよびデバッグする機能 |
はい |
いいえ |
はい |
問合せで許可されるメモリー使用を制限する機能 |
はい |
いいえ |
はい |
2パス計算のサポート |
いいえ |
はい |
いいえ |
任意のレベルでデータをロードする機能 |
いいえ。式依存関係のないレベル0セルのみロードできます |
はい |
格納レベルに対して、はい 動的レベルに対して、いいえ |
バッファを使用してデータを増分的にロードする機能 |
はい |
いいえ |
いいえ |
疎ディメンションの式の評価は、密ディメンションの同じ式とは異なる結果になる場合があります |
該当なし |
はい。ハイブリッド・モードを使用しないブロック・ストレージでは、疎ブロックに対する依存性を解決する目的で、, Essbase計算スクリプトを繰り返し記述できます。ディメンション・タイプを疎から密(またはその逆)に変更すると、同じ式に対して異なる結果が得られる場合があります。 |
いいえ。式の依存関係は、疎度や密度に関係なく同じように計算されます。 ハイブリッド・モードでは、Essbaseはアルゴリズムを使用して動的依存性を解決します。計算スクリプトから導出されたデータは、ハイブリッド・モードの場合と、ハイブリッドでないブロック・ストレージ・モードの場合とで異なる場合があります。 |