JFRによるネイティブ実行可能ファイルのビルドおよび実行

JDK Flight Recorder (JFR)は、JVMに組み込まれている、実行中のJavaアプリケーションに関する診断およびプロファイリングのデータを収集するツールです。GraalVMネイティブ・イメージはJFRイベントをサポートしており、ユーザーは、Java HotSpot VMでJFRを使用する場合と同様に、jdk.jfr.Event APIを使用できます。

ネイティブ実行可能ファイルの実行時にJFRイベントを収集するには、このガイドの説明に従ってJFRサポートとJFRイベント記録を有効にします。

ノート: JFRイベント記録は、Windowsのネイティブ・イメージではまだ使用できません。

実行時のJFRサポートおよびイベントの記録の有効化

JFRイベントがサポートされるネイティブ実行可能ファイルをビルドするには、native-imageツールを起動するときに--enable-monitoring=jfrオプションを追加し、実行時にJFR記録を開始します。

次のステップに従って、JFRをサポートするネイティブ実行可能ファイルをビルドし、実行時にイベントを記録します。

前提条件

GraalVM JDKがインストール済であることを確認します。最も簡単に始めるには、SDKMAN!を使用します。その他のインストール・オプションについては、「ダウンロード」セクションを参照してください。

  1. 次のコードをJFRDemo.javaという名前のファイルに保存します。 
     import jdk.jfr.Event;
 import jdk.jfr.Description;
 import jdk.jfr.Label;

 public class JFRDemo {

   @Label("Hello World")
   @Description("Build and run a native executable with JFR.")
   static class HelloWorldEvent extends Event {
       @Label("Message")
       String message;
   }

   public static void main(String... args) {
       HelloWorldEvent event = new HelloWorldEvent();
       event.message = "Hello, World!";
       event.commit();
   }
 }

    このデモ・アプリケーションは、単純なクラスとJDKライブラリ・クラスで構成されます。これは、@Label注釈が付けられたイベントをjdk.jfr.*パッケージから作成します。このアプリケーションを実行すると、何も出力されず、そのイベントが実行されるだけです。

  2. GraalVM JDKを使用してアプリケーションをコンパイルします: 
     javac JFRDemo.java

    JFRDemo$HelloWorldEvent.classおよびJFRDemo.classの2つのクラス・ファイルが作成されます。

  3. VM検査を有効にしてネイティブ実行可能ファイルをビルドします: 
     native-image --enable-monitoring=jfr JFRDemo

    --enable-monitoring=jfrオプションによって、VMの検査に使用できるJFRなどの機能が有効になります。

  4. 実行可能ファイルを実行し、記録を開始します: 
     ./jfrdemo -XX:StartFlightRecording=filename=recording.jfr

    このコマンドは、アプリケーションをネイティブ実行可能ファイルとして実行します。-XX:StartFlightRecordingオプションは、組込みフライト・レコーダを有効にして、指定したバイナリ・ファイルrecording.jfrへの記録を開始します。また、-XX:FlightRecorderLoggingランタイム・オプションを渡すことで、JFRのログ出力を構成できます。

  5. VisualVMを起動して、記録ファイルの内容をわかりやすい方法で表示します。

  6. 「File」、「Add JFR Snapshot」の順に移動し、recording.jfrを参照して、選択したファイルを開きます。表示名を確認し、「OK」をクリックします。開くと、チェックできるいくつかのオプション(モニタリング、スレッド、例外など)が表示されますが、主にイベントの参照に注意を向けることになります。次のようになります:

    JDK Flight Recorder

    または、次のコマンドを実行して、記録ファイルの内容をコンソール・ウィンドウに表示できます:

     jfr print recording.jfr

    Flight Recorderにより記録されたすべてのイベントが出力されます。