証跡ファイルの管理

データを抽出したら、処理して1つ以上の証跡に格納する必要があります。証跡では、別のOracle GoldenGateプロセスによって処理するためにデータが格納されます。証跡は、必要に応じて作成およびエージングされる一連のファイルです。証跡を読み取るプロセスには、次のものがあります。

  • Distribution Service: 後続の処理のために必要に応じてローカル証跡からデータを抽出し、ターゲット・システムに転送します。

  • Receiver Service: 証跡を受信してReplicatに転送します。これにより、証跡が読み取られ、変更データがターゲット・データベースに適用されます。

複数の証跡を作成し、異なる表またはアプリケーションのデータを分けたり、カスケード・トポロジなどの特定のレプリケーション・トポロジの要件に適合させることができます。TABLE文で指定した表を、Extractパラメータ・ファイルのEXTTRAILまたはRMTTRAILパラメータ文で指定した証跡にリンクします。

  • Oracle GoldenGate証跡の記憶域の割当て

  • 証跡用の領域の見積

  • 証跡の追加

「Oracle GoldenGate証跡について」を参照してください。

トピック:

Oracle GoldenGate証跡の記憶域の割当て

通常の構成では、少なくともソース・システムに1つ、ターゲット・システムに1つの証跡があります。次の点を考慮に入れ、十分なディスク領域を割り当てます。

  • プライマリExtractプロセスは、ソース・データベースからトランザクション・データを取得し、ローカル証跡に書き込みます。累積していくデータを格納するのに十分なディスク領域がある必要があります。そうでないと、プライマリExtractが異常終了します。

  • ターゲットの場所にある証跡の場合、PURGEOLDEXTRACTSパラメータで設定された消去ルールに従ってデータの累積を処理するのに十分なディスク領域を用意します。PURGEOLDEXTRACTSを使用しても、ターゲット・データベースへの適用よりもネットワーク経由の転送の方が速いため、データはターゲットに常に累積します。「データストアのパージ」も参照してください。

証跡アクティビティがビジネス・アプリケーションによって干渉されないようにするには、別個のディスクまたはファイル・システムを割り当てて証跡ファイルを含めます。証跡ファイルは、Oracle GoldenGateインストールのローカル・ドライブに配置することも、NASまたはSANデバイスに配置することもできます。Oracleクラスタでは、ASMまたはDBFS記憶域に配置できます。「アクティブ/アクティブ構成のためのDBFSの準備」を参照してください。

証跡用の領域の見積

Oracle GoldenGate証跡データの格納に必要になるディスク領域を見積もるためのガイドラインを次に示します。
  1. ネットワークが使用できない可能性のある最長の時間を見積もります。考えられる最長の停止時間に対応するのに十分なデータを格納するよう計画します。そうしないと、停止時間がディスク容量より長くなった場合にソースとターゲットのデータを再同期化する必要があります。
  2. ビジネス・アプリケーションで1時間に生成されるトランザクション・ログのボリュームを見積もります。
  3. 次の式を使用して、必要なディスク領域を計算します。
    [log volume in one hour] x [number of hours downtime] x .4 = trail disk space
    Oracle GoldenGateで必要なトランザクション・ログのデータは40パーセントのみのため、この式では40パーセントという乗数を使用します。

    ノート:

    この式は控えめな見積りです。Oracle GoldenGateの構成後、テストを実行し、必要な領域を正確に割り出します。

証跡アクティビティがビジネス・アプリケーションによって干渉されないようにするには、別個のディスクまたはファイル・システムを割り当てて証跡ファイルを含めます。証跡ファイルは、Oracle GoldenGateインストールのローカル・ドライブに配置することも、NASまたはSANデバイスに配置することもできます。Oracleクラスタでは、ASMまたはDBFS記憶域に配置できます。

証跡の追加

証跡を作成または追加する際、ディスクにファイルを物理的に作成しません。ファイルはExtractプロセスによって自動的に作成されます。証跡の名前を指定し、その証跡に書き込むExtractグループに割り当てます。

証跡を追加するには、ソース・システムで次のコマンドを発行します。

ADD {RMTTRAIL | EXTTRAIL} pathname, EXTRACT group [, MEGABYTES n]

説明:

  • RMTTRAILでは、リモート・システムの証跡を指定します。

  • EXTTRAILでは、ローカル・システムの証跡を指定します。

    • EXTTRAILは、PASSIVEモードのExtractには使用できません。

    • EXTTRAILは、ローカル証跡を指定する場合に使用する必要があります。

  • pathnameは、2文字の名前(任意の2つの英数字)を含む証跡の相対名または完全修飾名です(c:\ggs\dirdat\rtなど)。Oracle GoldenGateでは、処理時の作成順に、各証跡ファイルにシリアル番号が追加されます。通常、証跡は、Oracle GoldenGateディレクトリのdirdatサブディレクトリに格納されます。

  • EXTRACT groupは、この証跡に書込みを行うExtractグループの名前です。1つのExtractグループのみが、証跡に書き込むことができます。

  • MEGABYTES nは、各証跡ファイルのサイズをMB単位で設定できるオプション引数です(デフォルトは100です)。

例: ローカル証跡の作成

この例では、Extractグループのexteに対して/ggs/dirdat/ltというローカル証跡を作成します。

ADD EXTTRAIL /ggs/dirdat/lt, EXTRACT exte

例: リモート証跡の作成

この例では、Extractグループのfinanceに対して、各ファイル・サイズを約50MBとしてc:\ggs\dirdat\rtという証跡を作成します。

ADD RMTTRAIL c:\ggs\dirdat\rt, EXTRACT finance, MEGABYTES 200