9.3.2.1 tfactl analyze

tfactl analyzeコマンドを使用して、データベース、Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)およびOracle Grid Infrastructureのアラート・ログ、システム・メッセージ・ログ、OSWatcher Top、OSWatcher Slabinfoファイルを解析することでシステムの分析を取得します。

コンポーネント、エラー・タイプおよび時刻でコマンドの出力をフィルタします。

tfactl analyzeコマンドでは、次のタイプのログ・ファイル分析から選択できます。

  • ログ内の最多のメッセージを表示: この分析では、より大規模な問題が発生している場所がすばやく示されます。Oracle Trace File Analyzerは、アラート・ログから重要なメッセージを取り出して、ログ・メッセージから無関係な情報を削除し、最も頻繁に発生するメッセージを整理して、頻度の高いものから低いものの順に表示します。デフォルトでは、Oracle Trace File Analyzerではエラー・メッセージが分析されますが、特定のタイプのメッセージを分析用に指定できます。

  • ログ・メッセージ内のテキストを検索:これは、grepユーティリティを使用した検索に似ていますが、Oracle Trace File Analyzerが各メッセージの時刻をチェックし、最後のx分または任意の時間間隔に一致するメッセージのみを表示するため、より高速です。

  • Oracle OSWatcherログ統計を分析: Oracle Trace File Analyzerは、OSWatcherログ・ファイルで使用可能な様々な統計を読み取り、各統計の最初、最高、最低、平均および最後の3つの読取り値を示す詳細な分析を表示します。特定の分または秒までの間隔を選択します。Oracle Trace File Analyzerはオプションで、レポート対象の各値(データ・ポイント)について、OSWatcherログからの元のデータを表示します。

構文

tfactl analyze 
[-search "pattern"] 
[-comp db|asm|crs|acfs|os|osw|oswslabinfo|oratop|all] 
[-type error|warning|generic] 
[-last n[h|d]] 
[-from time] 
[-to time] 
[-for time] 
[-node all|local|n1,n2,...] 
[-verbose] 
[-o file]
[timeline [-l n] f1 f2...fn] 
[-examples]

パラメータ

表9-80 tfactl analyzeコマンドのパラメータ

パラメータ 説明

-search "pattern"

指定した時間範囲内のシステムおよびアラート・ログで、二重引用符("")で囲んだパターンを検索します。このパラメータでは、クラスタ全体のアラートおよびシステム・メッセージ・ファイルでの、大/小文字の区別ありと大/小文字の区別なしの両方の検索が、指定したフィルタ内でサポートされています。デフォルトは、大/小文字の区別なしです。

-searchパラメータを指定しない場合、Oracle Trace File Analyzerでは、クラスタ全体のアラートおよびシステム・ログ・メッセージから、指定したフィルタ内のメッセージのサマリーが提供されます。

Oracle Trace File Analyzerでは、メッセージ数がタイプ(errorwarningおよびgeneric)でグループ化されて表示され、一意のメッセージは分析用に選択したメッセージ・タイプで編成されて表に表示されます。genericメッセージ・タイプは、メッセージ・タイプがerrorでもwarningでもないすべてのメッセージに割り当てられます。

[-comp db|asm|crs|acfs|os|osw|oswslabinfo|oratop|all]

Oracle Trace File Analyzerで分析するコンポーネントを選択します。デフォルトはallです。

  • db: データベースのアラート・ログ

  • asm: Oracle ASMのアラート・ログ

  • crs: Oracle Grid Infrastructureのアラート・ログ

  • acfs: Oracle ACFSのアラート・ログ

  • os: システム・メッセージ・ファイル

  • osw: OSW Top出力

  • oswlabinfo: OSW Slabinfo出力

OSWatcherデータが使用可能な場合、OSWおよびOSWSLABINFO構成要素では、OSWatcherデータのサマリー・ビューが提供されます。

-type error | warning | generic

Oracle Trace File Analyzerで分析するメッセージのタイプを選択します。デフォルトはerrorです。

[-last n[h|d]]

Oracle Trace File Analyzerで分析する、現在の時間より前の時間数(時間単位または日単位)を指定します。

-from | -to | -for time

-fromパラメータと-toパラメータを一緒に使用して、時間間隔を指定します。

サポートされている時間書式は次のとおりです。
"Mon/dd/yyyy hh:mm:ss"
"yyyy-mm-dd hh:mm:ss"
"yyyy-mm-ddThh:mm:ss"
"yyyy-mm-dd"

または、-forパラメータを使用して、Oracle Trace File Analyzerで分析する特定の時間。

サポートされている時間書式は次のとおりです。
"Mon/dd/yyyy"
"yyyy-mm-dd"

[-node all|local|n1, n2,...]

ホスト名のカンマ区切りリストを指定します。-localを使用して、ローカル・ノード上のファイルを分析します。デフォルトはallです。

–verbose

詳細な出力を表示します。

–o file

Oracle Trace File Analyzerが画面に表示するかわりに出力を書き込むファイルを指定します。

timeline

指定されたトレースまたはアラート・ログ・ファイルのタイムラインを表示します。

-ln: デバッグ・レベルを指定します(例: l 3)。

デバッグ・レベル:
  • 1 – 致命的
  • 2 – エラー
  • 3 – 警告
  • 4 – 情報(デフォルト)
  • 5 – デバッグ
  • 6 – トレース

f1 f2...fn: ファイル名のスペース区切りリストを指定します。

[-examples]

このパラメータを指定して、analyzeの使用例を表示します。

-typeパラメータの引数

tfactl analyzeコマンドでは、-typeパラメータを指定すると、すべてのメッセージが様々なカテゴリに分類されます。分析コンポーネントにより、構成したメッセージ・タイプごとのメッセージ数が提供され、一意のメッセージはすべて指定したフィルタ内の数ごとにグループ化されます。次の表に、各引数のメッセージ・タイプのパターンを示します。

表9-81 tfactl analyzeの-typeパラメータの引数

引数 説明
error

Oracle DatabaseおよびOracle ASMのアラート・ログのエラー・メッセージのパターン:

.*ORA-00600:.*
.*ORA-07445:.*
.*IPC Send timeout detected. Sender: ospid.*
.*Direct NFS: channel id .* path .* to filer .* PING timeout.*
.*Direct NFS: channel id .* path .* to filer .* is DOWN.*
.*ospid: .* has not called a wait for .* secs.*
.*IPC Send timeout to .* inc .* for msg type .* from opid.*
.*IPC Send timeout: Terminating pid.*
.*Receiver: inst .* binc .* ospid.*
.* terminating instance due to error.*
.*: terminating the instance due to error.*
.*Global Enqueue Services Deadlock detected
.*ORA-031(13|37):.*
.*ORA-00603:.*
.*ORA-0035(3|5|6):.*
.*ORA-00700:.*
.*ORA-040(20|36):.*
.*ORA-0403(0|1):.*
.*ORA-002(27|39|40|55):.*
.*ORA-01578:.*
.*ORA-2(5319|4982):.*
.*ORA-56729:.*
.*ORA-00445:.*
Oracle Grid Infrastructureのアラート・ログのエラー・メッセージのパターン:
.*CRS-8011:.*
.*CRS-8013:.*
.*CRS-1607:.*
.*CRS-1615:.*
.*CRS-1714:.*
.*CRS-1656:.*
.*PRVF-5305:.*
.*CRS-1601:.*
.*CRS-1610:.*
.*PANIC. CRSD exiting:.*
.*Fatal Error from AGFW Proxy:.*
.*CRS-1603:.*
.*CRS-10051:.*
.*CRS-2409:.*
.*CRS-1625:.*
warning

データベースおよびOracle ASMのアラート・ログの警告メッセージのパターン:

NOTE: process .* initiating offline of disk .*
.*WARNING: cache read a corrupted block group.*
.*NOTE: a corrupted block from group FRA was dumped to
generic

前述のパターンのいずれにも一致しないすべてのメッセージ。

oratopのオプション

-comp oratopの使用時に指定できるオプションは次のとおりです。
-database dbname oratop options logon

表9-82 tfactl analyze -comp oratopのオプション

引数 説明

-database dbname

oratopを実行するOracle Databaseの名前を指定します。

logon

デフォルトは/ as sysdbaです。

別のユーザーを指定する場合は、次を使用します。

{username[/password][@connect_identifier] | / } [AS {SYSDBA|SYSOPER}]

接続識別子:

host[:port]/[service_name]

表9-83 oratopのオプション

引数 説明

-b

バッチ・モードを指定します。デフォルト: テキストベースのユーザー・インタフェース。

-n

最大反復回数を指定します。

-o

コンソール出力をファイルに書き込みます(バッチ・モード)。

-i

間隔の遅延(秒)を指定します。デフォルト: 5秒。

-r

リアルタイム(RT)待機イベント。(3秒、デフォルト: 累積)

-m

MODULE/ACTION (セクション4)を指定します。デフォルト: USERNAME/PROGRAM

-s

SQLモード(セクション4)を指定します。デフォルト: プロセス・モード。

-f

詳細な形式(132列)を指定します。デフォルト: 標準(80列)。

-v

oratopリリース・バージョン番号を表示します。

次のコマンド例は、Oracle Trace File Analyzerを使用して、収集されたデータを検索する方法を示しています。

  • tfactl analyze -search "error" -last 2d

    Oracle Trace File Analyzerは、過去2日間に収集されたデータベース・アラートとシステム・ログ・ファイルで、大/小文字を区別しない文字列errorを含むメッセージを検索します。

  • tfactl analyze -comp os -for "Jul/01/2021 11" -search "."

    Oracle Trace File Analyzerは、指定した日時(2021年7月1日、午前11時)に収集されたすべてのシステム・ログ・メッセージを表示します。

  • tfactl analyze -search "/ORA-/c" -comp db -last 2d

    Oracle Trace File Analyzerは、過去2日間に収集されたデータベース・アラートとシステム・ログ・ファイルで、大/小文字を区別する文字列ORA-を含むメッセージを検索します。

  • tfactl analyze -search "ORA-00600" -last 8h

    Oracle Trace File Analyzerは、過去8時間以降に収集されたデータベース・アラートとシステム・ログ・ファイルで、大/小文字を区別しない文字列ORA-00600を含むメッセージを検索します。

次のコマンド例は、Oracle Trace File Analyzerを使用して、収集されたデータを分析する方法を示しています。

  • tfactl analyze -last 5h

    Oracle Trace File Analyzerは、過去5時間以降に収集されたすべてのアラート・ログおよびシステム・メッセージからイベントのサマリーを表示します。

  • tfactl analyze -comp os -last 1d

    Oracle Trace File Analyzerは、前日以降に収集されたシステム・メッセージからイベントのサマリーを表示します。

  • tfactl analyze -last 1h -type generic

    Oracle Trace File Analyzerは、過去1時間以降に収集されたすべての汎用メッセージを分析します。

  • tfactl analyze -type generic -last 1d

    Oracle Trace File Analyzerは、過去1日以降に収集されたすべての汎用メッセージを分析します。

  • tfactl analyze -last 1d -node $HOSTNAME

    Oracle Trace File Analyzerは、指定したノードで収集されたすべてのデータベース・アラートおよびシステム・ログ・ファイルから、過去1日間のイベントのサマリーを表示します。

  • tfactl analyze -database $ORACLE_SID

    Oracle Trace File Analyzerは、指定したデータベース・インスタンスのすべてのデータベース・アラートおよびシステム・ログ・ファイルからイベントのサマリーを表示します。

次のコマンド例は、Oracle Trace File Analyzerを使用してOSWatcher TopおよびSlabinfoを分析する方法を示しています。

  • tfactl analyze -comp osw -last 6h

    Oracle Trace File Analyzerは、過去6時間のOSWatcher Topサマリーを表示します。

  • tfactl analyze -comp oswslabinfo -from "2021-07-01" -to "2021-07-03"

    Oracle Trace File Analyzerは、指定した期間のOSWatcher Slabinfoサマリーを表示します。