1.1.1 プロパティ・グラフとは

プロパティ・グラフは、オブジェクトまたは頂点のセットと、これらのオブジェクトをつなぐ矢印またはエッジのセットで構成されます。頂点およびエッジには複数のプロパティを含めることができ、それらはキー値ペアとして表されます。

各頂点には一意の識別子があり、次のものを含めることができます。

  • 出力エッジのセット

  • 入力エッジのセット

  • プロパティの集まり

各エッジには一意の識別子があり、次のものを含めることができます。

  • 出力頂点

  • 入力頂点

  • 2つの頂点間の関係を示すテキスト・ラベル

  • プロパティの集まり

頂点およびエッジでは、各プロパティが一意の名前で識別されます。

次の図に、2つの頂点と1つのエッジを持つ非常に単純なプロパティ・グラフを示します。2つの頂点には識別子1および2があります。両方の頂点には、プロパティnameおよびageがあります。エッジは、出力頂点1から入力頂点2に向かっています。このエッジは、テキスト・ラベルknowsと、頂点1と2の関係のタイプを識別するプロパティtypeで表されます。

図1-1 単純なプロパティ・グラフの例

図1-1の説明が続く
「図1-1 単純なプロパティ・グラフの例」の説明

プロパティ・グラフには、自己エッジ(ソース頂点と宛先頂点が同じエッジ)と、同じソース頂点と宛先頂点の間の複数のエッジを含めることができます。

また、プロパティ・グラフには、同じグラフ内に様々なタイプの頂点およびエッジを含めることもできます。たとえば、グラフには、ラベルがPersonの頂点セットとラベルがPlaceの頂点セットを、これら2つの頂点セットに関連する様々なプロパティとともに含めることができます。

プロパティ・グラフ・データ・モデルは、W3C規格ベースのResource Description Framework (RDF)グラフ・データ・モデルに似ていますが、プロパティ・グラフ・データ・モデルはRDFよりも単純であり、厳密ではありません。

プロパティ・グラフ・データ・モデルの機能および分析APIにより、プロパティ・グラフは次のようなユースケースでよい候補になります。

  • ソーシャル・ネットワークでの影響の特定

  • 傾向と顧客行動の予測

  • パターン一致に基づく関係の発見

  • キャンペーンをカスタマイズするためのクラスタの特定

ノート:

データベース側でOracleがサポートするプロパティ・グラフ・データ・モデルでは、頂点にラベル付けできません。しかし、指定した頂点プロパティの値を、1つ以上のラベルとして扱うことができます。

関連トピック