2 ブート・ローダーの動作のカスタマイズ

ブート・オプションによって、インストールがどのように進行するかが決まります。デフォルト設定の他に、インストール開始前にさらにオプションを追加できます。

ブート・ローダーの構成

ブート・オプションは、ブート・メニューのブート・コマンド行で指定します。

  1. システムをブートします。

  2. ブート・メニューが表示されたら、任意のインストール・オプションを選択してから、UEFIベースのシステムでは[E]、BIOSベースのシステムでは[Tab]を押します。

    いくつかのデフォルト・オプションがすでに定義された状態で、ブート・オプションの行が表示されます。

  3. 行の最後にオプションを追加します。

    ブート・オプションが複数ある場合はそれらをスペースで区切ります。パラメータを必要とするオプションは、option=parameterという形式にする必要があります。

    一般的なブート・オプションのリストについては、インストールのブート・オプションを参照してください。

  4. UEFIベースのシステムでは[Ctrl]を押しながら[X]を押し、BIOSベースのシステムでは[Return]を押して、変更内容を保存します。

    変更を破棄してブート・メニューに戻るには、[Esc]を押します。

次の例では、inst.repoおよびinst.ksオプションの設定を示します。

inst.repo=nfs:nfs.example.com:/ISOs/OL9/full_image.iso \
inst.ks=nfs:nfs.example.com:/kickstart/OL9/server-ks.cfg ip=dhcp

これらのディレクティブにより、インストール・プログラムに、次のことを実行するように指示します。

  • NFS共有ディレクトリに格納されている完全インストール・イメージを使用します。

  • NFS共有ディレクトリに格納されているファイルを使用してインストールを自動的に開始します。

インストールのブート・オプション

このリストでは、インストールをどのように進めるかをさらに細かく指定するための、最もよく使用されるブート・オプションをいくつか示します。インストール・プロセスを開始する前に、インストール・メニューでこれらのオプションを指定します。

ブート・オプションの詳細は、次の情報源でも参照できます。

インストール・タイプ

inst.graphical

グラフィカルベースのインストールを指定します。

inst.gpt

ディスクのサイズが2 TiB未満のBIOSベースのシステムにのみ適用されます。デフォルトのMBRではなく、ブート・ローダーがインストールされている場合はGUIDパーティション表を使用するように指定します。

インストール・ソース

inst.repo=cdrom[:device]

ソフトウェアのインストールに必要なものすべてが含まれている場所としてCDまたはDVDドライブを指定します。

deviceを指定しないかぎり、インストール・プログラムによって、システムのすべてのCDまたはDVDドライブが検索されます。

ネットワークへのアクセスが必要であるにもかかわらず、ネットワーク・ブート・オプションを指定しなかった場合、インストール・プログラムによって、使用可能なすべてのネットワーク・デバイスに対して、DHCPが有効化されます。

inst.repo=ftp://user : password@FTP_server/path

ソフトウェアのインストールに必要なものすべてが含まれている場所としてFTPサーバーを指定します。

ネットワークへのアクセスが必要であるにもかかわらず、ネットワーク・ブート・オプションを指定しなかった場合、インストール・プログラムによって、使用可能なすべてのネットワーク・デバイスに対して、DHCPが有効化されます。

inst.repo=hd:device:path

ソフトウェアのインストールに必要なものすべてが含まれている場所としてローカル・ディスクを指定します。

deviceは、デバイス名(sdb2)、ラベル(LABEL=label )またはUUID (UUID=uuid)で指定できます。

inst.repo=[http:|https:]//HTTP_server/path

ソフトウェアのインストールに必要なものすべてが含まれている場所としてWebサーバーを指定します。ご使用のシステムからインターネットにアクセスできる場合は、インストールするOracle Linuxリリースのために、Oracle Linux yumサーバーのBaseOSリポジトリを使用できます。たとえば、この値をhttps://yum.oracle.com/repo/OracleLinux/OL9/baseos/latest/x86_64に設定できます。

inst.repo=nfs:[options:]NFS_server:path

ソフトウェアのインストールに必要なものすべてが含まれている場所としてNFS共有を指定します。

optionsを使用して、NFSマウント・オプションのカンマ区切りリストを指定します。

NFS共有にはISOイメージのパスまたはディレクトリを指定できます。

inst.stage2=[installation_source]

インストーラのランタイム・イメージをフェッチする場所を指定します。パッケージは無視されます。このオプションを指定しない場合、かわりにinst.repoが使用されます。installation_sourceに指定されたパスは、inst.repoに使用されるプロトコルおよびパス・オプションのいずれかと一致させることができます。

installation_sourceに指定されたディレクトリ・パスには、ランタイム・イメージの場所を指定する有効な.treeinfoファイルが含まれている必要があります。.treeinfoファイルがソースに存在しない場合、インストーラは、指定されたソースのデフォルトの場所としてLiveOS/squashfs.imgを使用します。

重要:

UEKネットワーク・インストールでランタイム・イメージを指定する場合は、インストール・リポジトリにもUEK ISOを使用します。ランタイム・イメージにOracle Linux UEK Boot ISOを指定すると同時に、インストール・リポジトリとして標準Oracle Linux ISOイメージを使用しないでください。

ネットワーク構成

ip=[interface:]dhcp|dhcp6|auto6|ibft

ネットワーク自動構成方法を指定します。interfaceを指定しなかった場合は、すべてのインタフェースが構成されます。ibftでは、システムBIOSまたはファームウェアのiSCSI Boot Firmware Table (iBFT)で指定されたインタフェースのMACアドレスを使用します。

ip=ip::gateway:netmask:hostname:interface:none

interfaceには静的IP構成を指定します。[2509:f0d0:1001::0004]のように、IPv6アドレスを大カッコで囲みます。

nameserver=IP

インストール中に使用するDNSサーバーのIPアドレスを指定します。複数のnameserverオプションを使用できます。

bootdev=interface

プライマリ・ネットワーク・インタフェースを指定します。複数のipオプションを使用する場合に必要です。

inst.dhcpclass

ベンダー・クラス識別子をDHCPに指定します。

Kickstartインストール

inst.ks=cdrom[:device]/path

CDまたはDVDドライブ上のKickstartファイルを指定します。

inst.ks=ftp://user : password@FTP_server/path

FTPサーバー上のKickstartファイルを指定します。

inst.ks=hd:device:path

ローカル・ディスク上のKickstartファイルを指定します。

deviceは、デバイス名(sdb2)、ラベル(LABEL=label )またはUUID (UUID=uuid)で指定できます。

inst.ks=[http:|https:]//HTTP_server/path

Webサーバー上のKickstartファイルを指定します。

inst.ks=nfs:[options:]NFS_server:path

NFS共有上のKickstartファイルを指定します。

optionsを使用して、NFSマウント・オプションのカンマ区切りリストを指定します。

リモート・インストール

inst.vnc

VNCサーバーを起動してグラフィカルベースのリモート・インストールを有効にします。

VNCクライアントの接続には、vncviewer server:port などのコマンドを使用します。ここでのserverは、インストール対象のシステムのIPアドレスです。

ベース環境としてグラフィカル・デスクトップ環境を選択した場合でも、インストール後、システムはテキスト・モードで起動されます。

inst.vncconnect=client[:port]

VNCサーバーからの接続をリスニングするVNCクライアントとオプション・ポートを指定します(vncviewer -listen)。デフォルト・ポートは5900です。

inst.vncpassword=password

VNCを使用したクライアント接続のパスワードを指定します。

その他のブート・オプション

inst.keymap=layout

インストール用のキーボード・レイアウトを指定します。

inst.lang=language

インストール用の言語を指定します。

inst.loglevel=level

インストール用のロギング・レベルを指定します: criticaldebugerrorinfoまたはwarning。デフォルトのレベルはinfoです。