オラクル社は、2019年1月より、Oracle Linux yumサーバーによって提供されるyumリポジトリ用の構成情報の配布方法を変更しました。
これまでは、各Oracle Linuxリリースのインストール・メディアに、デフォルトで、単一のリポジトリ構成ファイルが含まれていました。このファイルは、wgetやcurlなどのユーティリティを使用することで、HTTP接続を介してOracle Linux yumサーバーから直接ダウンロードすることもできました。
Oracle Linux yumサーバーに様々なソフトウェア・プロジェクトおよびパッケージを追加したため、yumリポジトリ構成ファイルに新しいリポジトリ構成を追加しました。リポジトリの命名および編成を変更したため、このファイルにさらに変更を加えることになりました。そのため、ユーザーは、更新を手動で保守する必要と、有効化されているリポジトリと無効化されているリポジトリを調整する必要があります。
このファイルがモノリシックな性質であり、リポジトリ構成に対する更新を提供するためのメカニズムに問題があったことから、リポジトリ構成をモジュラ化し、よりスコープを絞った小さいリポジトリ・ファイルを使用するようにしました。これらの構成ファイルはRPMファイルとしてパッケージ化され、後続のインストール・メディアに含まれます。また、Oracle Linux yumサーバー上の_latest
リポジトリ内で入手可能になっています。
https://yum.oracle.com/public-yum-ol7.repoおよびhttps://yum.oracle.com/public-yum-ol6.repoにある元のリポジトリ構成ファイルは、引き続き使用可能ですが、新しいモジュラ化された手法が優先されているため、非推奨となっています。これらのファイルをダウンロードして使用することはできますが、Oracle Linux yumサーバーのリポジトリに将来変更が加えられた場合にこれらのファイルが更新されない可能性があります。できるだけ早く、モジュラyum構成を使用するようにシステムを更新してください。
これらの変更点を反映するようにOracle Linuxのドキュメントを更新しました。残されている、古いモノリシック構成ファイルをダウンロードするための手順は非推奨となっていることを覚えておいてください。かわりに、このドキュメントに記載されている手順を使用してください。
アクション項目
ご使用のシステムがすでに、モジュラ・リリースのRPMベースのyum構成システムを使用するように構成されている場合は、追加アクションは必要ありません。必要に応じて、その他のリポジトリ構成のインストールの手順に従って、yumリポジトリ構成ファイルを追加でインストールできます。
システムでのモジュラYumの確認
システムで新しいモジュラyum構成が使用されていることを確認するには、次の操作を実行します。
-
ご使用のOracle Linuxリリース用の適切な基本
oraclelinux-release-rel
パッケージがインストールされていることを確認します。たとえば、Oracle Linux 7の場合は、次を実行します。rpm -q oraclelinux-release-el7
oraclelinux-release-el7-1-1.el7.noarch
-
古いモノリシック
public-yum-rel.repo
yumリポジトリ構成ファイルが有効になっていないことを確認します。たとえば、Oracle Linux 7の場合は、次を実行します。ls /etc/yum.repos.d/public-yum-ol7.repo
ls: cannot access /etc/yum.repos.d/public-yum-ol7.repo: No such file or directory
このファイルが存在しており、基本
oraclelinux-release-rel
パッケージがインストールされている場合でも、/usr/bin/ol_yum_configure.shスクリプトの実行が必要な場合があります。モジュラYumへの更新を参照してください。
ご使用のシステムがすでに、モジュラyum構成システムを使用するように構成されている場合は、その他のアクションは必要ありません。必要に応じて、その他のリポジトリ構成のインストールの手順に従って、yumリポジトリ構成ファイルを追加でインストールできます。
モジュラYumへの更新
古いモノリシックpublic-yum-rel.repo
yumリポジトリ構成ファイルを使用している場合は、まず、ご使用のOracle Linuxリリース用の適切な基本oraclelinux-release-rel
パッケージをインストールする必要があります。たとえば、Oracle Linux 7の場合は、次を実行します。
sudo yum install oraclelinux-release-el7
なお、ご使用のOracle Linuxリリースで_latest
リポジトリが有効になっている場合は、yum updateコマンドを実行すると、このパッケージも自動的にインストールされます。
このパッケージをインストールすると、いくつかの小さいリポジトリ構成ファイルが/etc/yum.repos.d
に作成されます。デフォルトでは、モノリシックpublic-yum-rel.repo
yumリポジトリ構成ファイルがすでに存在する場合、新しいモジュラyumリポジトリ構成ファイルは無効になります。
更新を完了するためと、既存のpublic-yum-rel.repo
yumリポジトリ構成ファイルに含まれている設定を移行するためには、最新のoraclelinux-release-rel
パッケージに含まれている/usr/bin/ol_yum_configure.shスクリプトを実行する必要があります。
/usr/bin/ol_yum_configure.shスクリプトを実行すると、既存のpublic-yum-rel.repo
yumリポジトリ構成ファイル内で有効にしてあるリポジトリに合わせて、必要なリリースRPMファイルが追加でインストールされます。また、このスクリプトでは、元の構成に合わせてリポジトリを有効化または無効化するように小さいモジュラ・リポジトリ構成ファイルが更新されます。さらに、このスクリプトでは、モノリシック・リポジトリ・ファイルが、public-yum-rel.repo.rpmnew-disabled
という名前に変更されて無効化されます。新しいモジュラ・リポジトリ構成ファイルが有効化されます。
これで、ご使用のシステムが最新の状態になり、yum updateコマンドを実行すると、yum構成に対するすべての更新が自動的に処理されます。必要に応じて、その他のリポジトリ構成のインストールの手順に従って、yumリポジトリ構成ファイルを追加でインストールできます。
他のリポジトリ構成のインストール
モジュラyum構成を使用するように更新した後、以前に有効化したすべてのyumリポジトリも有効化されます。ただし、以前は、別のyumリポジトリを有効化するために、最新バージョンのモノリシックyum構成ファイルをダウンロードしてそれを編集できました。現在は、適切なパッケージをインストールして、この情報が組み込まれているyumリポジトリ構成ファイルを取得する必要があります。
この変更の時点では、この目的のために、次の表に示すパッケージが提供されています。
RPMパッケージの名前 | 内容の説明 |
---|---|
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Oracle Linux、UEKおよび仮想化ツール |
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Oracle Linuxパッチ・リポジトリ(Oracle Cloud Infrastructureのお客様専用) |
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Software Collection Library for Oracle Linux |
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Oracle OpenStack for Oracle Linux |
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Spacewalkサーバー |
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Spacewalkクライアント |
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Gluster Storage |
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Ceph Storage |
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Oracle Instant Client |
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Oracle Linux用EPEL |
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開発者向けパッケージおよびOracle Cloud Infrastructure |
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MySQL Communityリリース |
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Goプログラミング言語の安定版リリース |
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PHPの安定版リリース |
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Node.jsの安定版リリース |
ノート:
この環境内での一部のサポート対象ツールの使用を容易にするために、Oracle Cloud Infrastructureのお客様向けにさらに複数のリポジトリが提供されています。
ご使用のOracle Linuxリリース用に提供されているすべてのリリース・パッケージを示す最新のリストを入手するには、yumコマンドで、release-el
名前スキームを指定してパッケージを一覧表示します。たとえば、Oracle Linux 7用に提供されているすべてのリリース・パッケージを検索するには、次のようにします。
yum list *release-el7*
これらのyumリリース・パッケージのいずれかをインストールするには、yum installコマンドを使用します。次に例を示します。
sudo yum install oracle-softwarecollection-release-el7
リリース・パッケージをインストールすると、インストールしたリポジトリ構成ファイル内のいくつかのリポジトリがデフォルトで有効になります。ただし、構成内で他のリポジトリを使用する必要がある場合は、そのリポジトリを追加で有効にする必要があります。yum-utils
パッケージをインストールした場合は、yum-config-managerを使用してリポジトリを有効にできます。次に例を示します。
sudo yum-config-manager --enable ol7_addons
リポジトリを無効にする必要がある場合も、yum-config-managerを使用してそれを実現できます。例:
sudo yum-config-manager --disable ol7_spacewalk27_client
ご使用のシステムでどのシステムが有効化または無効化されているかを確認するには、yum repolistを使用します。
yum repolist enabled yum repolist disabled
Yumリポジトリ構成の保守
Yumリポジトリ構成は、yumコマンドを使用することで、自動的にオラクル社での更新と同期されます。yumリポジトリ構成を最新の状態に保つには、定期的なシステム更新を実行します。yum updateコマンドを使用してシステム更新を実行すると、インストールされているすべてのyumリリース・パッケージが更新され、同時に、そのリポジトリ構成ファイルが更新されます。
モジュラYum構成のリカバリ
なんらかの理由ですべての構成を削除してOracle Linux yumサーバー・リポジトリにアクセスする場合は、/etc/yum.repos.d/ol7-temp.repo
で、最低限必要な次の内容を含む、一時的なyumリポジトリ構成ファイルを作成します。
[ol7_latest] name=Oracle Linux $releasever Latest ($basearch) baseurl=https://yum.oracle.com/repo/OracleLinux/OL7/latest/$basearch/ gpgkey=file:///etc/pki/rpm-gpg/RPM-GPG-KEY-oracle gpgcheck=1 enabled=1
次に、oraclelinux-release-el7
パッケージを再インストールして、デフォルトのyum構成を復元します。
sudo yum reinstall oraclelinux-release-el7 rm /etc/yum.repos.d/ol7-temp.repo
Oracle Linux yumサーバーのリポジトリ構成ファイルの手動設定の詳細は、https://yum.oracle.com/getting-started.htmlを参照してください。