自動診断リポジトリ(ADR)は、データベース診断データに対するシステム全体のトレースおよびロギング用の中央リポジトリです。次の情報が格納されます。
- バックグラウンド・トレース・ファイルには、データベースのバックグラウンド・プロセスからの情報が格納されます。内部エラーが検出されると、エラーに関する情報がそのトレース・ファイルにダンプされます。トレース・ファイルに書き込まれる情報の中にはデータベース管理者を対象としているものもありますが、その他の情報はOracleサポート・サービス用です。通常、データベース・バックグラウンド・プロセスのトレース・ファイル名には、Oracleシステム識別子(SID)、バックグラウンド・プロセス名およびオペレーティング・システムのプロセス番号が含まれています。たとえば、RECOプロセスのトレース・ファイル名は、
mytest_reco_10355.trc
のようになります。 - フォアグラウンド・トレース・ファイルは、サーバー・プロセスから情報を格納します。内部エラーが検出されると、エラーに関する情報がそのトレース・ファイルにダンプされます。サーバー・プロセスのトレース・ファイル名には、Oracle SID、文字列
ora
およびオペレーティング・システムのプロセス番号が含まれています。たとえば、サーバー・プロセスのトレース・ファイル名は、mytest_ora_10304.trc
のようになります。 - ダンプ・ファイルは、特殊なタイプのトレース・ファイルであり、状態または構造に関する詳細な特定の時点の情報が含まれています。通常、ダンプ・ファイルはイベントに対応した診断データの1回の出力ですが、トレース・ファイルは診断データの連続した出力になります。
- ヘルス・モニター・レポートには、ヘルス・モニター・フレームワークの診断チェックの結果が含まれます。ヘルス・チェックでは、ファイルの破損、物理ブロックおよび論理ブロック破損、UNDOおよびREDOの破損、データ・ディクショナリの破損などが検出されます。また、ヘルス・チェックの結果のレポートが生成され、多くの場合、問題を解決するための推奨事項が示されます。
- インシデント・パッケージには、Oracleサポートに診断データをアップロードするための情報が含まれています。パッケージとは、ADRに格納されているメタデータの集合で、ADR内外の診断データファイルおよびその他のファイルを指します。パッケージを作成するときは、そのパッケージに追加する問題を1つ以上選択します。次に、サポート・ワークベンチによって、選択した問題に関連する問題情報、インシデント情報および診断データ(トレース・ファイル、ダンプなど)がパッケージに自動的に追加されます。
- インシデント・ダンプには、インシデントが発生したときにOracle Databaseが収集する診断データが含まれます。データベースは、そのインシデント用に作成されたインシデント・ディレクトリに1つ以上のダンプを書き込みます。インシデントのダンプには、ファイル名にインシデント番号も付きます。
- アラート・ログ・ファイルは、メッセージとエラーの時系列ログです。アラート・ログを定期的に確認することをお薦めします。