ポジション予算計画

ポジション予算計画は、ポジションの予算を作成または更新する際に、予算額を取得して執行するのに役立ちます。予算期間を定義し、これらの値と比べてアクティビティを計測できるようになりました。

企業の次のレベルで、常勤換算(FTE)、ヘッドカウントおよび予算金額のポジション予算を定義できます。

  • ビジネス・ユニット
  • 部門
  • 事業所
  • 前述の2つまたは3つすべての組合せ

ポジション予算表、予算構成オプション、およびHDLを使用してポジション予算をロードおよび保存するメカニズムが提供されています。この予算情報を使用して、ユーザーがポジション予算を超過したときにユーザーに警告できます。予算定義は、HDLのPositionBudget.datファイルを使用してロードできます。予算データがアプリケーションにロードされると、ポジションの作成または更新時に、常勤換算、ヘッドカウントおよび予算金額の検証が有効になります。

開始する前に

  1. ORA_PER_POSITION_BUDGETING_ENABLEDプロファイル・オプションを「Y」に設定して、ポジション予算計画を有効にします。

  2. 次のように、「ポジション予算計画構成」拡張可能フレックスフィールド・コンテキストを関連コンテキストおよびページ・セクションに追加します。
    1. 「設定および保守」作業領域にナビゲートします。
    2. 「拡張可能フレックスフィールドの管理」タスクを検索してクリックします。
    3. 「組織情報EFF」フレックスフィールドを検索して編集します。
    4. 「拡張可能フレックスフィールドの編集: 組織情報EFF」ページの「カテゴリ」セクションで、「組織」を展開します。
    5. 「企業」を選択し、「企業詳細」セクションまで下にスクロールします。
    6. 「関連コンテキスト」タブで、「選択して追加」をクリックします。
    7. 「選択して追加: コンテキスト」ダイアログ・ボックスで、「ポジション予算計画構成」を検索して選択します。
    8. 「適用」をクリックします。
    9. 「ページ」タブの「企業詳細: 関連コンテキストの詳細」セクションで、「選択して追加」をクリックします。
    10. 「選択して追加: コンテキスト」ダイアログ・ボックスで、「ポジション予算計画構成」を検索して選択します。
    11. 「適用」をクリックします。
    12. 「保存してクローズ」をクリックします。
    13. フレックスフィールドを再デプロイします。

ポジション予算計画の構成

ポジション予算の定義を開始する前に、企業情報の管理ページで次のポジション予算計画設定を構成する必要があります。

属性 必要な処理 この属性を構成したときの処理 動作例
割付基準 「ビジネス・ユニット」、「部門」、「事業所」またはこれらの属性の組合せを、予算レベルとして選択します。たとえば:
  • ビジネス・ユニットおよび部門
  • ビジネス・ユニット、部門および事業所
ポジション予算を定義する場合は常に、企業レベルで指定されている「割付基準」の値に、定義が準拠していることを確認する必要があります。 たとえば、「割付基準」が、企業レベルで「ビジネス・ユニットおよび部門」に選択されているとします。しかし、予算表では、ビジネス・ユニットのみを使用してデータがロードされます。HDLのロード中に検証が実行され、企業レベルで選択された内容とHDLにロードされている内容の間に不一致があるかどうかが確認されます。
予算金額通貨 金額ベースの予算計画に使用する通貨を選択します。 ポジションの予算セクションの通貨は、企業レベルで選択した通貨にデフォルトで設定されます。 USDが企業の予算金額通貨として定義されています。「ポジション」UIの通貨もデフォルトでUSDに設定され、属性は読取り専用になります。
予算期間開始日 予算期間の開始日 この開始日は、データのロード時に予算期間開始日および予算期間終了日を識別するために使用されます。 予算期間が4月1日に開始すると仮定すると、予算期間開始日は1になり、予算期間開始月は4月になります。つまり、期間の終了日は3月31日になります。
予算期間開始月 予算期間の開始月。 この開始月は、データのロード時に予算期間開始日および予算期間終了日を識別するために使用されます。 予算期間が4月1日に開始すると仮定すると、予算期間開始日は1になり、予算期間開始月は4月になります。つまり、期間の終了日は3月31日になります。
常勤換算超過の伝達形式 警告またはエラーのどちらを検証に使用するかを構成します。 ここで「エラー」を選択すると、予算を超えるとユーザーが続行できなくなります。

ここで「警告」を選択すると、予算を超えてもユーザーが「許可」をクリックすれば続行できます。

企業レベルでの構成内容に応じて、ユーザーにエラーまたは警告が表示されます。
ヘッドカウント超過の伝達形式 警告またはエラーのどちらを検証に使用するかを構成します。 ここで「エラー」を選択すると、予算を超えるとユーザーが続行できなくなります。

ここで「警告」を選択すると、予算を超えてもユーザーが「許可」をクリックすれば続行できます。

企業レベルでの構成内容に応じて、ユーザーにエラーまたは警告が表示されます。
金額超過の伝達形式 警告またはエラーのどちらを検証に使用するかを構成します。 ここで「エラー」を選択すると、予算を超えるとユーザーが続行できなくなります。

ここで「警告」を選択すると、予算を超えてもユーザーが「許可」をクリックすれば続行できます。

企業レベルでの構成内容に応じて、ユーザーにエラーまたは警告が表示されます。

ポジション予算計画定義の例

次の表は、予算定義の例を示しています。次のように仮定します。

  • この予算は1つのポジションのみで利用されています。
  • 企業構成の「ヘッドカウント超過の伝達形式」フィールドで「エラー」が選択されています。
  • 企業構成の「常勤換算超過の伝達形式」および「金額超過の伝達形式」フィールドで「警告」が選択されています。

予算定義

ビジネス・ユニット 部門 事業所

割付済常勤換算:

予算期間に割り付けられた常勤換算。該当するすべてのポジションの常勤換算の合計がこの値を超えないようにする必要があります

割付済ヘッドカウント:

予算期間に割り付けられたヘッドカウント。該当するすべてのポジションのヘッドカウントの合計がこの値を超えないようにする必要があります。

割付済金額:

予算期間に割り付けられた金額。該当するすべてのポジションの金額の合計がこの値を超えないようにする必要があります

Vision Corporation Enterprise Cardiology Vision University 700 200 200,000
Vision Corporation Enterprise Cardiology Redwood Shores 200 100 100,000
Vision Corporation Enterprise General Surgery Redwood Shores 50 50 300,000

1つのポジションに対する予算定義の例

次の2つの例では、予算定義表の1行目と一致する組合せ(ビジネス・ユニット: Vision Corporation Enterprise、部門: Cardiology、事業所: Vision University)の1つのポジションに対してのみ予算が使用されていると仮定します。作成するポジションの常勤換算、ヘッドカウントおよび予算金額をユーザーが入力すると、常勤換算、ヘッドカウントおよび予算金額の残りの割付は次のように計算されます。

残りの割付 = 割付済金額 - ユーザーが入力した値

ノート: 予算を超過した金額は、対応する残りの割付フィールドに負の値として表示されます。

例1

次の表は、最初の例の予算定義とユーザー入力を示しています。

1つのポジションに対する予算定義とユーザー入力の例1

パラメータ FTE ヘッドカウント 予算金額
割付済金額 700 200 200,000
ユーザーが入力した値 690 220 250,000
残りの割付 10 -20 -50,000

ヘッドカウントが予算を超過したことを示すエラー・メッセージが表示されます。これは、企業構成の「ヘッドカウント超過の伝達形式」フィールドで「エラー」が選択されているためです。

予算金額が予算を超過したことを示す警告メッセージが表示されます。これは、企業構成の「金額超過の伝達形式」フィールドで「警告」が選択されているためです。

「残りの常勤換算割付」は正の値で、これは予算を超えていないことを意味します。

例2

次の表は、2番目の例の予算定義とユーザー入力を示しています。

1つのポジションに対する予算定義とユーザー入力の例2

パラメータ FTE ヘッドカウント 予算金額
割付済金額 700 200 200,000
ユーザーが入力した値 730 200 190,000
残りの割付 -30 0 10,000

常勤換算が予算を超過したことを示す警告メッセージが表示されます。これは、企業構成の「常勤換算超過の伝達形式」フィールドで「警告」が選択されているためです。

「残りのヘッドカウント換算割付」の値が0、「残りの予算金額割付」が正の値で、これは予算を超えていないことを意味します。

複数ポジションに対する予算定義の例

予算定義表の1行目で指定されたビジネス・ユニット、部門および事業所の組合せに対して、複数のポジションが存在すると仮定します。作成するポジションの常勤換算、ヘッドカウントおよび予算金額をユーザーが入力すると、予算定義表で指定された予算の累積利用を考慮して残りの割付が計算されます。

このような場合、常勤換算、ヘッドカウントおよび予算金額の残りの割付は次のように計算されます。

結果の累積値 = 現在の累積利用値 + ユーザーが入力した値

残りの割付 = 割付済金額 - 結果の累積値

次の表に例を示します。

複数ポジションに対する予算定義の例

パラメータ FTE ヘッドカウント 予算金額
割付済金額 700 200 200,000
現在の累積利用値 600 195 160,000
ユーザーが入力した値 110 10 40,000
結果の累積値 600 +110 = 710 195 + 10 = 205 160,000 + 40,000 = 200,000
残りの割付 700 – 710 = -10 200 – 205 = -5 200,000 – 200,000 = 0

ヘッドカウントが予算を超過したことを示すエラー・メッセージが表示されます。これは、企業構成の「ヘッドカウント超過の伝達形式」フィールドで「エラー」が選択されているためです。

常勤換算が予算を超過したことを示す警告メッセージが表示されます。これは、企業構成の「常勤換算超過の伝達形式」フィールドで「警告」が選択されているためです。

「残りの予算金額割付」の値は0で、これは予算を超えていないことを意味します。

ポジション予算計画の承認ルール

いずれかの値が予算を超えたときに、承認のためにトランザクションをルーティングする承認ルールを作成できます。次の属性を使用して、承認ルールを作成します。

  • 常勤換算の予算超過率
  • ヘッドカウントの予算超過率
  • 金額の予算超過率

たとえば、率が特定の限度内である場合に、承認通知を通常の承認者にルーティングするか、別の承認者にルーティングするかを指定して承認ルールを作成できます。

承認通知には、承認者が承認前にレビューするための残りのポジション予算詳細も表示されます

ポジション予算計画に関する重要なポイント

次に、ポジション予算計画に関する重要なポイントを示します。

  • 予算定義がすでに存在する場合、企業の「割付基準」は変更できません。
  • ORA_PER_POSITION_BUDGETING_ENABLEDプロファイル・オプションが「いいえ」に設定されている場合は、HDLを使用して予算データをロードできません。

  • ORA_PER_POSITION_BUDGETING_ENABLEDプロファイル・オプションが「はい」に設定されている場合は、指定した予算期間に予算データが存在しない場合にのみ、HDLを使用して予算データをロードできます。
  • 現在の予算期間は1カレンダ年です。
  • 予算年はHDLファイルの入力となり、予算期間開始日を識別して移入するために、企業の予算期間開始日セグメントおよび予算期間開始月セグメントとともに使用されます。

  • 予算期間終了日は、常に予算期間開始日の1カレンダ年後になります。

  • 予算期間の間に予算定義を更新する場合は、割付のみを変更できます。
  • 現在の予算期間の予算定義は、次のカレンダ年に自動的にロール・オーバーされません。
  • 常に最大で2つの予算期間の予算定義データ(過去と現在、現在と将来、現在のみ)が表に存在できます。

  • 特定の時点で2つの予算期間のデータが予算表にある場合に、3番目の期間の予算定義をロードするには、1つの期間の予算データを削除する必要があります。
  • ポジションの「予算金額通貨」は、企業レベルで指定した予算金額通貨からデフォルト設定され、編集できません。

  • ポジションに対して「予算計画済ポジション」フラグが有効で、「割付基準」に事業所が含まれる場合は、ポジションの「事業所」フィールドが必須になります。

  • 残りの予算値の計算については、予算期間終了日時点で、承認済採用ステータス、または少なくとも1人の在職者が含まれる凍結採用ステータスのアクティブ・ポジションおよび予算計画済ポジションのみが考慮されます。
  • すべてのRedwoodおよびレスポンシブのポジション・ページに検証が適用されます。

  • 残りの割付の検証と計算は、現在の日付が含まれるカレンダ年に予算定義が存在する場合にのみ実行されます。
  • 「残存予算」「残存常勤換算」および「残存ヘッドカウント」属性は、ポジション詳細セクションのRedwood UIでのみ使用できます。

  • 次の予算期間の割付が、現在の予算期間ですでに使用している割付より少ない場合、次の予算期間が開始すると、ポジションの作成または編集中に警告またはエラーが表示されます。たとえば、2022-23会計年度の常勤換算の割付が200で、150をすでに使用したとします。次の2023-24会計年度の常勤換算の新しい割付が120ならば、常勤換算が予算を30超過します。そのため、ポジションの作成または編集中に警告やエラーが表示されます。
  • 承認通知には、常勤換算、ヘッドカウントまたは予算金額の変更提案に対する残高パーセントが常に表示されます。
  • 機能設定マネージャ(FSM)のエクスポートおよびインポート機能を使用して企業構成を移行すると、予算計画に関連する企業構成も移行されます。
  • ポジション予算データは、機能設定マネージャ(FSM)のエクスポートおよびインポート機能を使用しても移行されません。

  • データベース・アイテム(DBI)とユーザー・エンティティ(UE)は、ポジション予算データではまだ使用できません。