配賦ルールの作成および配賦の生成

この例では、各コスト・センターの従業員数に基づいて、ある勘定科目で記録された原価を別のコスト・センターに配分します。

従業員数は統計通貨を使用して記録され、原価の受け側のコスト・センターは1つの親コスト・センターに属しています。勘定体系は次のセグメントで構成されます。

  • 会社

  • 事業分野

  • 勘定科目

  • コスト・センター

  • 製品

  • 会社間

ルールの作成

配賦管理ツールであるCalculation Managerにナビゲートします。

  1. 「仕訳」作業領域に移動します。

  2. 「タスク」アイコンをクリックして、「配賦ルールの作成」タスクを選択します。このタスクにより、Enterprise Performance Managementワークスペースがオープンします。

  3. 「ナビゲート」メニューから、「管理」「Calculation Manager」を選択します。

  4. Essbaseアプリケーションを展開します。

  5. 関連する元帳に関連付けられている勘定体系の残高キューブを見つけて展開します。

  6. 「ルール」ノードを右クリックして、メニューから「新規」を選択します。「新規ルール」ウィンドウがオープンします。

    ヒント: このルールでは従業員数に基づいて原価を配賦するため、ルール名にheadcountを含めることを検討してください。
  7. 残りのフィールドのデフォルト値を受け入れ、「OK」をクリックします。「新規ルール」ウィンドウがクローズし、先ほど入力したルールの名前が付いた新しいタブにルール・デザイナがオープンします。

視点の定義

配賦ルール全体で固定されているデフォルト値に視点を設定します。たとえば、勘定体系に、現在使用されていない先日付使用セグメントがある場合は、視点を使用して000などのデフォルト値を設定できます。この場合、ルールの定義時にこのセグメントの値を選択する必要はありません。

  1. ルール・パレットで「視点」オブジェクトを選択し、「デザイナ」領域のフロー・チャートで、開始コンポーネントと終了コンポーネントの間にこのオブジェクトを配置します。

  2. 配賦の実行時にユーザーが会計期間を指定するようにする場合は、変数を使用します。ランタイム・プロンプト変数を使用すると、ルールが動的で再使用可能になります。「会計期間」行の「値」フィールド内をクリックします。

  3. 「処理」アイコンをクリックし、「変数」を選択します。「変数の選択」ウィンドウがオープンします。

  4. 特定のキューブのカテゴリである、「データベース」カテゴリを選択します。「アプリケーション」カテゴリはすべてのキューブに適用されます。

  5. この例では、会計期間はすでに変数として定義されているため、それを選択して「OK」をクリックします。

  6. 「メンバー・セレクタ」ボタンをクリックします。「メンバー・セレクタ」ウィンドウがオープンします。「メンバー・セレクタ」から、「元帳」「会社」、「事業分野」、「製品」および「会社間」セグメントなどの固定ディメンションを設定できます。「通貨」および「通貨タイプ」を設定することもできます。ディメンションを展開して値を見つけるか、値を検索できます。または、「メンバー・セレクタ」を使用するかわりに、手動で値を入力することもできます。

  7. 「ディメンション」ドロップダウンの値から「元帳」を選択します。

  8. 「すべての元帳」を展開します。

  9. 適切な元帳を選択します。

  10. 「選択」アイコンをクリックして、元帳を「選択」パネルに移動します。

  11. 「ディメンション」リストから、「会社」、「事業分野」、「製品」、「会社間」および「通貨」ディメンションを選択して設定します。

  12. 「ディメンション」リストから「通貨タイプ」を選択します。

  13. 「通貨タイプ」ノードを展開し、「合計」を選択します。この選択は、外貨仕訳の同等の元帳通貨残高を含む、元帳通貨の残高が配賦で使用されることを示します。

    ノート: 「入力済」を選択した場合は、入力通貨が通貨ディメンションに対して選択された通貨である金額のみが配賦で使用されます。
  14. 「OK」をクリックします。「メンバー・セレクタ」ウィンドウがクローズします。

これで、勘定科目およびコスト・センター・セグメントを除くすべてのセグメントに対し、固定値が設定されました。

配賦コンポーネントの定義

  1. ルール・パレットから、「配賦」オブジェクトを選択し、「デザイナ」領域のフロー・チャートで視点メンバー・コンポーネントの間に配置します。配賦ウィザード・ウィンドウがオープンし、「視点」タブがオープンします。

    この視点は配賦コンポーネントに固有なので、複数の配賦コンポーネントを持つルールがある場合は、コンポーネントごとに視点を指定できます。このルールには配賦コンポーネントが1つのみであり、すでに視点を定義しているため、このステップはスキップします。

  2. 「次」をクリックします。「ソース」タブがオープンします。

    ソースは、配分または配賦される収益プールです。ソースは、参照される勘定科目残高またはユーザー定義の金額にすることができます。このルールでは、ソースは通信原価です。原価を取得するには、勘定科目組合せを指定する必要があります。「視点」で「会社」、「事業分野」、「製品」および「会社間」セグメントの値をすでに指定しているので、ここで指定するソース・セグメントは「勘定科目」および「コスト・センター」のみです。

  3. 「メンバー・セレクタ」ボタンをクリックします。「メンバー・セレクタ」ウィンドウがオープンします。

    1. 「ディメンション」リストで、「勘定科目」を選択します。

    2. 「検索」タブをクリックし、通信原価勘定科目を検索します。

    3. 勘定科目を選択して「選択」アイコンをクリックし、勘定科目を「選択」セクションに移動します。

    4. 「ディメンション」リストで、「コスト・センター」を選択します。

    5. 「検索」タブをクリックし、コスト・センターを検索します。

    6. コスト・センターを選択して「選択」アイコンをクリックし、コスト・センターを「選択」セクションに移動します。

    7. 「OK」をクリックします。「メンバー・セレクタ」ウィンドウがクローズします。

  4. 残りのディメンション(「シナリオ」、「残高金額」および「金額タイプ」)に対し、ソース勘定科目から取得する残高を指定します。割当てウィザード・ウィンドウで「シナリオ」ディメンションのデフォルト値は配賦の合計であり、これは実績金額と配賦金額の合計です。このルールのソースには実績残高のみが関係するため、この値を変更する必要があります。「メンバー・セレクタ」ボタンをクリックします。「メンバー・セレクタ」ウィンドウがオープンします。

    1. 「ディメンション」リストで、「シナリオ」を選択します。

    2. 「メンバー」タブで「シナリオ」を展開します。

    3. 「実績」を選択し、「選択」ボタンをクリックして「選択」セクションに移動します。

      ノート: 2つのルールがあり、最初のルールの結果である配賦を2つ目のルールで使用する場合は、2つ目のルールに配賦済シナリオを使用します。
    4. 「ディメンション」リストで、「残高金額」を選択します。

    5. 「メンバー」タブで「残高金額」を展開します。

    6. このルールでは期間に対して通信原価を配賦するため、「期間活動」を選択します。「選択」アイコンをクリックして、期間活動を「選択」セクションに移動します。

    7. 「OK」をクリックします。「メンバー・セレクタ」ウィンドウがクローズします。

  5. 「金額タイプ」ディメンションのデフォルト値である「期間累計」を受け入れます。

  6. 「次」をクリックします。「割当て範囲」タブがオープンします。範囲は、ソースが配分される値の広がりです。このルールでは、原価は複数のコスト・センターにわたって配賦されます。

  7. 「コスト・センター」行で「値の選択」フィールド内をクリックします。

  8. 「処理」アイコンをクリックし、「メンバー」を選択します。「メンバーの選択」ウィンドウがオープンします。

    1. 適切な親値を選択して「選択」アイコンをクリックし、親値を「選択」セクションに移動します。

      ノート: 値の範囲にわたって配賦する必要があるため、常に親値を選択します。
    2. 「OK」をクリックします。「メンバー・セレクタ」ウィンドウがクローズします。

  9. 「次」をクリックします。「ターゲット」タブがオープンします。

  10. ターゲットは配賦済金額を受け取ります。「勘定科目」行に、勘定科目番号を引用符で囲んで入力します。

  11. 「次」をクリックします。「オフセット」タブがオープンします。

    オフセットは、生成された配賦を貸借一致するためにオフセット借方または貸方を受け取ります。「オフセット」タブで、「勘定科目」行に勘定科目番号を、「コスト・センター」行にコスト・センターを、それぞれ引用符で囲んで入力します。

    注意: オフセットは子値である必要があります。親値を選択すると、配賦ルールが検証に失敗します。
  12. 「次」をクリックします。「除外」タブがオープンします。

    ノート: 一部配賦の場合は「除く」タブを使用します。これを行うのは主に、合計ソースに対するパーセンテージを配賦する場合で、そのパーセンテージ自体を入力できないような場合です。代替策として基準内のすべてのメンバーに基づいてパーセンテージを計算し、一部のメンバーを配賦対象から除外します。たとえば、基準にコスト・センター100、200、300および400が含まれるとします。ソースを各コスト・センターに均等に配分し、各コスト・センターにソースの25%が割り当てられるようにします。ただし、コスト・センター300を配賦範囲から除外する必要があります。この例では、「除く」タブでコスト・センター300を指定します。配賦が生成されるとソースの75%が配賦され、コスト・センター100、200および400に25%ずつ配賦されます。コスト・センター300用の25%はコスト・センターが除外されているため配賦されません。
  13. この配賦ではどの値も除外しないため、「次」をクリックします。「基準」タブがオープンします。

  14. 「基準」タブで、「勘定科目」ディメンションについて従業員数の値を含む勘定科目番号を入力します。

    ノート: 基準は、配賦範囲の各メンバーにソースを配賦する際に従う必要のある比率を決定します。ソースを均等に配分するように基準を設定することもできます。または、特定の期間に対し、特定の統計または勘定科目残高を基準として選択することもできます。

    この配賦では、比率はコスト・センターの従業員数を合計従業員数で除算することによって計算されます。

  15. 各コスト・センターの合計従業員数は、1つの期間に記録された1つの仕訳に含まれるため、「勘定科目」ディメンションに対して、引用符で囲んでPeriod Activityと入力します。

  16. 「通貨」ディメンションに、引用符で囲んでSTATと入力します。その他のディメンションの値は、以前に指定した視点および範囲に基づいて自動的に導出されます。

  17. 「次」をクリックします。基準オプション・タブがオープンします。

  18. デフォルト設定を受け入れて、「次」をクリックします。「丸め処理」タブがオープンします。

  19. 配賦の生成時に異なる丸め処理が行われる場合は、丸め処理オプションを指定します。配賦はUSドルで行われるため、「丸め処理」タブで、使用する小数点以下の桁数として2と入力します。「終了」をクリックします。配賦ウィザード・ウィンドウがクローズします。

ルールの検証

検証は重要な必須ステップです。検証では、参照している残高キューブの概要に対する一貫性がチェックされます。たとえば、検証では、オフセットが親値ではなく子であることや、入力された値が存在することがチェックされます。

  1. ツールバーにある「検証」アイコンをクリックします。検証が完了すると、検証が成功したかどうかを示すメッセージが表示されます。

  2. 「OK」をクリックします。

  3. 「検証およびデプロイ」アイコンをクリックして、ルールを配置し、一般会計での生成に使用できるようにします。

  4. 「はい」をクリックして、まずルールを保存します。

  5. デプロイメントが完了すると、デプロイメントが成功したかどうかを示すメッセージが表示されます。

  6. 「OK」をクリックします。

配賦仕訳の生成

次のステップを使用して、配賦仕訳を生成します。

  1. 「仕訳」作業領域に移動します。

  2. 「タスク」アイコンをクリックします。

  3. 「一般会計配賦の生成」タスクを選択します。

  4. 「ルールまたはルール・セット」フィールドに、配賦ルールの名前を入力します。「会計期間」プロンプトが表示されます。

  5. 会計期間を選択します。

  6. デフォルトでは、「配賦の転記」オプションが選択されています。

  7. 「発行」をクリックします。プロセスが発行されたことを示す確認メッセージが表示されます。

  8. 「OK」をクリックします。

仕訳のレビュー

  1. 「仕訳」ワークエリアにナビゲートします

  2. 「タスク」アイコンをクリックします。

  3. 「仕訳の管理」タスクを選択します。

  4. 「仕訳」フィールドに、配賦ルール名の最初の部分を入力します。

  5. 「会計期間」フィールドに値を入力します。

  6. 「ソース」フィールドで「配賦」を選択します。

  7. 「検索」をクリックします。

  8. 「仕訳」リンクをクリックして仕訳をオープンします。配賦された原価には貸方が含まれ、異なるコスト・センターに対する借方はコスト・センターの従業員数に基づきます。

これでルールが定義され、先日付の会計期間で必要なのは仕訳の生成のみになりました。