税金控除

税金控除とは、徴収される税金を販売トランザクションから相殺して、登録済の事業所が購買に基づいて支払う税金の全額または一部を控除することです。通常、税金控除の詳細に関しては、多くの規制があります。

たとえば、欧州の大半の国では、金融機関など、非課税供給品のみを販売する企業を除くすべての購入について、税金を全額控除できます。企業が非課税供給品のみを販売している場合、購入に対する付加価値税(VAT)は控除できません。カナダなどの国では、複数のタイプの控除が可能です。税務当局が、特定の税金の控除範囲を示す税金控除率を指定します。

トランザクションの税金控除情報は、請求書配分レベルで参照できます。該当する場合は、控除対象外税金と控除対象税金に関する関連情報がこれに含まれます。

1つ以上のトランザクション要素に基づいて税金の控除率が異なる場合は、控除率ルールを設定して、トランザクションに適切な控除率を決定します。たとえば、ほとんどのVATタイプの税金では、課税対象のビジネス供給品に関連する商品やサービスで支払われる税金を全額控除できます。組織が課税対象と免税の両方の供給品に関連する購買を行う場合、課税対象の供給品に関連する比率を反映する部分控除率を税務当局が指定する場合があります。たとえば、英国では、歳入関税庁(HMRC)が税金控除率を2つの方法で処理します。

  • 標準の方法: 課税対象の供給品をすべての供給品(課税対象と免税の両方)の合計値で除算。この算式は前の期の値に基づいていますが、実績比率がわかる場合は調整されます。

  • 特別な方法: ビジネス固有の状況を反映する、HMRCが承認したユーザー定義算式で、公正で妥当な結果を算出する必要があります。この特別な方法の使用は、ビジネス・タイプ、供給品のタイプおよびビジネスの原価構造に基づいて承認されます。

「控除率の決定」プロセスにより、適用可能な税金の税金控除が評価されます。「控除率の決定」プロセスでは、トランザクションに適用可能な税金の控除タイプごとに適用する控除率が決定されます。

控除率の決定

税務処理基準では、Oracle Fusion Tax内に定義された税金構成設定およびトランザクションの詳細を使用して、トランザクションに適用される税金、およびトランザクションに適用される各税金に対する税額の計算方法が決定されます。

税務処理基準を使用すると、様々な税制の税規制およびビジネスの税金要件を反映した税金決定モデルを作成できます。単純な税金モデルまたは複雑な税金モデルを作成できます。単純な税金モデルでは大規模な処理をせずにデフォルト値を利用しますが、複雑な税金モデルではトランザクションに関連した税金の各要件を考慮してから最終的な計算を実施します。

税金決定プロセスでは、定義された税務処理基準およびトランザクションの詳細が優先度順に評価されます。最初のルールが正常に評価されると、そのルールに関連付けられている結果が使用されます。そうでない場合は、評価が成功するか、デフォルト値が見つかるまで、その次のルールが評価されます。

税金決定プロセスは、ルール・タイプに編成されます。各ルール・タイプにより、トランザクションの税金の決定および計算の特定のステップが識別されます。税金控除の決定に使用されるルール・タイプおよび関連するプロセスは、「控除率の決定」です。これは、税金控除が有効になっている税金に適用されるオプション設定です。

このプロセスでは、トランザクションに適用可能な税金の控除タイプごとに適用する控除率が決定されて、税額の全額または一部が控除されたり、控除されなかったりします。多くの場合、税金決定プロセスでは、税率に関連付けられた控除率、または税金に対して定義されたデフォルト控除率が使用されます。ただし、主用途などの決定要素によって税金控除率が異なる場合は、「控除率の決定」税務処理基準を作成して控除率を導出します。

「控除率の決定」税務処理基準は、税金控除オプションが有効になっている税金に対してのみ設定できます。複数の控除タイプがある国の場合は、プライマリ控除タイプとセカンダリ控除タイプを使用してこの要件に対処します。控除タイプごとに控除率を決定すると、税金決定プロセスによって、各税金明細の各控除タイプの控除対象額が決定されます。残りの税額は、税金明細の控除対象外税額になります。

次に、控除対象税配分ごとに控除対象税額を算出するプロセスの概要を示します。

  1. 品目配分当たりの税額を配賦します。税金はトランザクション明細レベルで決定されますが、税金控除はトランザクション明細配分レベルまたは品目配分レベルで決定されます。

  2. 控除タイプを決定します。税金決定プロセスでは、各税金および品目配分に対して、プライマリおよび定義されている場合はセカンダリ控除タイプが適用されるかどうかが決定されます。このプロセスの結果として、各税金および品目配分の控除タイプごとの税金配分が決まります。控除タイプが定義されていない場合は、ステップ5に進みます。

  3. 控除率を決定します。税金配分ごとに、税金決定プロセスによって、次に基づいて控除率が決定されます。

    1. 最初の控除対象税金配分の「控除率の決定」税務処理基準を考慮します。

    2. 税務処理基準から導出された税金控除率を使用します。

    3. 税金決定プロセスで、トランザクション値に基づいて税務処理基準を導出できない場合は、税金明細の税率に関連付けられている税金控除率を使用します。

    4. 税率に税金控除率が関連付けられていない場合は、控除タイプおよび税金のデフォルト税金控除率を使用します。控除タイプおよび税金にデフォルトの税金控除率がない場合は、その税金に定義されているデフォルトの税金控除率を使用します。

    5. 必要に応じて、控除対象税配分ごとにステップを繰り返します。

  4. 控除対象額を決定します。税金決定プロセスでは、配賦済税額に控除率を適用して、控除税額を決定します。このプロセスにより、各控除対象税配分の控除対象税額が決まります。

  5. 控除対象外税額を決定します。Oracle Fusion Taxでは、品目配分ごとのすべての配賦済税額と控除対象税配分の差異を計算して控除対象外税額を求めて、この金額に対して控除対象外税配分が作成されます。プライマリ控除タイプが税金に定義されていない場合、品目配分の配賦済金額全体が控除対象外税額として指定されます。