間接費の計算方法

間接費計算では、直接費および間接費を集計して事業にかかるコストの合計を正確に表します。総コストは、乗数の優先度を使用してコストの値入れとして計算できます。

アプリケーションでは、間接費を直接費と合計して真の原価を表します。間接費計算を使用すると、内部の原価計算、収益見越、請求、資産計上、および企業が直接費に適用する間接費のタイプを含めた予算管理を実行できます。

間接費計算処理に影響する設定

間接費計算に対してプロジェクト・タイプを使用可能にすると、間接費計算を実行する必要があるプロジェクトを定義できます。プロジェクト・タイプが間接費計算されることを指定する場合は、使用する間接費スケジュールを指定する必要があります。間接費スケジュールには間接費乗数が格納され、間接費体系に定義されているコスト・ベースに基づいて間接費計算が実行されるトランザクションが示されます。各コスト・ベースに含まれる支出タイプはユーザーが指定します。間接費計算を使用すると、間接費コードを数に制限なく使用し、間接費スケジュールを簡単に訂正できます。また、乗数の遡及的修正もできます。原価計算、収益および請求用に、異なる間接費スケジュールを定義できます。

プロジェクト・タイプのレベルで間接費に別の支出項目を作成するオプションを使用可能にし、トランザクションが予算管理に適格な場合、間接費体系のコスト・ベースで支出タイプを間接費コードに関連付ける必要があります。

間接費の計算方法

次の図は、間接費を計算するためのデシジョン・ポイントおよびプロセスを示しています。

この図には、間接費を計算するためのデシジョン・ポイントおよびプロセスが表示されます。
  1. 直接費金額がある支出項目が処理のために選択されます。

  2. 支出項目の関連プロジェクト・タイプが間接費計算で使用可能かどうかが決定されます。

  3. プロジェクト・タイプが間接費計算に対して使用可能になっている場合、使用する間接費スケジュールが決定されます。

  4. プロジェクト・タイプが間接費計算に対して使用可能になっていない場合、支出項目は間接費計算されません。間接費乗数はゼロとみなされます。したがって、間接費はゼロであり、総コストは直接費に等しくなります。

  5. 使用する間接費乗数を決定するために、支出に対する間接費スケジュール上書きが存在するかどうかが判別されます。

  6. 間接費スケジュール上書きが存在する場合は、関連付けられたタスクに対するタスク間接費スケジュール上書きが使用されます。スポンサード・プロジェクトの場合、タスク間接費スケジュール上書きは無視されます。

  7. 関連付けられたタスクに対するタスク間接費スケジュール上書きが存在しない場合は、関連付けられたプロジェクトに対するプロジェクト間接費スケジュール上書きが使用されます。スポンサード・プロジェクトの場合、プロジェクト間接費スケジュールは無視されます。

  8. 間接費スケジュール上書きがない場合、タスク・レベルで割り当てられた間接費スケジュールが間接費計算に使用されます。

    スポンサード・プロジェクトの場合、間接費計算に使用する間接費スケジュールが次の順序で決定されます。

    1. 助成プロジェクトの要約タスク・レベルで割り当てられた間接費スケジュール

    2. 助成プロジェクト・レベルで割り当てられた間接費スケジュール

    3. 助成レベルで割り当てられた間接費スケジュール

  9. 間接費スケジュール・タイプが確定スケジュールの場合、間接費計算用の確定日が指定されているかどうかがチェックされます。指定されている場合は、確定日を使用してスケジュール・バージョンが決定されます。確定日が指定されていない場合は、支出項目を使用して間接費スケジュール・バージョンが決定されます。

  10. スケジュール・バージョンが決定すると、選択された間接費スケジュール・バージョンのいずれかのコスト・ベースで支出項目の支出タイプが見つかるか確認されます。

  11. 支出タイプが間接費体系のすべてのコスト・ベースから除外されている場合、その支出タイプを使用する支出項目は間接費計算されません(間接費はゼロであり、総コストは直接費に等しくなります)。

  12. 次に、コスト・トランザクションが属する組織の間接費乗数が存在するかどうかがチェックされます。組織の間接費乗数が定義されていない場合、階層内の親組織のいずれかに乗数が定義されているかどうかがチェックされます。組織にも親組織のいずれにも間接費乗数が存在しない場合、支出は間接費計算されません。

  13. 次の計算式に従って、間接費および総コストの金額が計算されます。

    • 追加間接費体系では、間接費は直接費に間接費乗数を乗算した金額に等しくなります。

      間接費 = 直接費 * 間接費乗数

    • 優先間接費体系では、間接費は直接費と先行する間接費の和に間接費乗数を乗算した金額に等しくなります。

      間接費 = (直接費 + 先行する間接費) * 間接費乗数

    • 総コストは、直接費と間接費の合計に等しくなります。

      総コスト = 直接費 + 間接費

総コスト計算

間接費スケジュール・バージョンに割り当てられた間接費体系によって、計算が追加になるか、各コスト・コードに割り当てられた優先度に基づいて計算されるかが決定されます。間接費体系は、追加ベースにすることも優先度ベースにすることもできます。

複数の間接費コードがある場合は、追加間接費体系によって、各間接費コードが適切なコスト・ベースの直接費に適用されます。次の表の例では、総コストを直接費と間接費の和として計算する方法や、同じコスト・コードを使用しても、間接費体系が異なる場合は合計総コストが異なる可能性があることを示します。

次の表に、追加間接費体系を使用して総コストを計算するためのコスト・コードおよび乗数を示します。

コスト・コード

優先度

乗数

間接費

1

0.10

資材運搬

1

0.10

一般管理費

1

0.10

次の表では、レートベースでない支出項目に対して追加間接費体系を使用して総コストを計算する例を説明します。

コスト・タイプ

計算

金額

直接費

該当なし

1000.00

間接費

1000.00 * 0.10

100.00

資材運搬

1000.00 * 0.10

100.00

一般管理費

1000.00 * 0.10

100.00

総コスト

1000.00 + 100.00 + 100.00 + 100.00

1300.00

優先間接費体系は累積で、各コスト・コードが直接費の実行合計に適用され、それまでのコスト・コードはすべて課せられます。計算では、優先番号が最も小さいコスト・コードの乗数が直接費金額に適用されます。

計算では、優先番号が次に小さいコスト・コードが、直接費に最初の乗数の間接費を加算した小計に適用されます。計算ロジックでは引き続き、残りのコスト・コードに対して同じ方法が適用されます。2つのコスト・コードの優先番号が同じ場合は、同じ小計金額に対して両方が適用されます。

次の表に、優先間接費体系を使用して総コストを計算するためのコスト・コードおよび乗数を示します。

コスト・コード

優先度

乗数

間接費

10

0.10

資材運搬

20

0.10

一般管理費

30

0.10

次の表では、レートベースでない支出項目に対して優先間接費体系を使用して総コストを計算する例を説明します。

コスト・タイプ

計算

金額

直接費

該当なし

1000.00

間接費

1000.00 * 0.10

100.00

資材運搬

(1000.00 + 100.00) * 0.10

110.00

一般管理費

(1000.00 + 100.00 + 110.00) * 0.10

121.00

総コスト

1000.00 + 100.00 + 110.00 + 121.00

1331.00

間接費コードの順序は、追加間接費体系または優先間接費体系のどちらでも、合計総コストに影響しません。