製造作業オーダーの原価会計
Oracle Cost Accountingでは、次の製造作業オーダー・タイプ向けの原価計算および会計機能を提供します。
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プロセス製造およびショップ型製造の作業オーダー
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標準および非標準作業オーダー
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オーダーなし製造
作業オーダーは製造実行でのリリース後に、原価会計にインタフェースできます。 作業オーダーに対してレポートされる次のトランザクションは、原価計算にインタフェースされ、原価計算によって処理されます。
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コンポーネントの出庫および返品
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リソース・チャージおよびリソース戻し処理
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製品完了および製品返品
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廃棄トランザクション
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作業オーダー・クローズ
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仕掛原価調整
コンポーネントの出庫および返品
コンポーネント・トランザクションは、コンポーネントの原価方法に基づいて原価計算されます。
原価方法 |
コンポーネント原価 |
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標準原価 |
コンポーネントの現在の標準原価を使用します。 |
移動平均 |
コンポーネントの現在の移動平均原価を使用します。 |
実績原価 |
原価プロセッサがコンポーネントを発行した特定のレイヤーの原価を使用します。 |
リソース・チャージおよびリソース戻し処理
リソース・トランザクションは、リソース原価の管理で設定され原価会計に発行されたリソース原価に基づいて原価計算されます。 すべての原価方法について、原価シナリオにリソース・レートを定義する必要があります。 最初に、原価組織と原価台帳の組合せに対して原価シナリオを作成する必要があります。 次に、原価シナリオにリソース・レートを定義し、リソース・レートが会計に使用されるように原価シナリオを公開します。
製品完了および製品返品
すべての製品完了は見積原価を使用して原価計算されます。暫定完了とその実績原価が作業オーダーのクローズ時に計算されるためです。 製品完了に使用される見積原価は、製品の品目原価プロファイルに設定されている原価方法および対応する暫定完了オプションに基づきます。
原価方法 |
暫定完了オプション |
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標準原価 |
標準原価での評価 |
移動平均 |
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実績原価 |
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実績原価または移動平均の原価方法を使用している場合でも、品目の標準原価を作成できます。
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作業オーダー・クローズの金額を設定した場合、作業オーダー・クローズの処理時に作業オーダーで発生した実績原価を使用して、製品完了の原価計算が行われます。 製品完了トランザクションは作業オーダーがクローズされるまでは処理されず、原価計算されません。
廃棄トランザクション
作業オーダーに対してレポートされた廃棄の原価は、廃棄がレポートされた工程に至るまでに発生した実績原価に基づいて計算されます。 廃棄会計は、品目原価プロファイルで設定されているこれらのパラメータに基づきます。
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工程廃棄評価オプションは、廃棄トランザクションをいつ処理するかを決定するために使用されます。
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作業オーダー・クローズ時の評価: 廃棄トランザクションをすべてまとめて作業オーダー・クローズ時に処理します。
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即時および作業オーダー・クローズ時の評価: 原価プロセッサで発生した時点で廃棄トランザクションは処理され、必要に応じて作業オーダー・クローズ時に値が訂正されます。 このオプションを選択すると、前のオプションよりも多くのトランザクションが発生します。
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原価期限日および作業オーダー・クローズ時の評価: このオプションは長期実行バッチに使用されます。 廃棄トランザクションは原価期限日(通常は月末)に処理され、必要に応じて作業オーダー・クローズ時に訂正されます。
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工程廃棄会計オプションは廃棄トランザクションを計上する方法を示します。
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在庫に含む: 廃棄の原価は在庫価額に含められます。 実質的には、廃棄の原価は作業オーダーで生産された良品に配分されます。 廃棄トランザクションは原価プロセッサおよび配分プロセッサによって無視され、適宜マークされます。
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費用: 廃棄の原価が作業オーダーから費用計上されます。
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作業オーダー・クローズ
作業オーダーがクローズされると、作業オーダーに対してレポートされたすべてのトランザクションの原価が原価計算によって確実に計算されます。 すべてのトランザクションが正常に処理された後、原価計算で次のイベントが作成されます。
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製品の原価計算に実績原価または移動平均が使用された場合、製品原価調整トランザクションが作成されます。 作業オーダーのクローズ後、原価プロセッサは、作業オーダーに対してレポートされたすべての資材およびリソース・トランザクションに基づいて製品の実績原価を計算します。 この実績原価と暫定完了に使用された見積原価との間に差異がある場合は、製品原価調整が作成されます。
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廃棄原価は再計算され、原価が以前の想定と異なる場合は必要な調整が作成されます。
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製品の原価計算に標準原価が使用された場合、原価プロセッサは、作業オーダーに使用されたコンポーネントとリソースを製品の積上に使用された作業定義と比較し、次のような差異を作成します。
差異
摘要
資材レート差異
原価積上時にコンポーネントに使用されたレートが、コンポーネント出庫トランザクションの原価計算で使用されたレートと異なる場合の原価の差異。
資材代替差異
作業定義内の品目が作業オーダーで使用されなかった場合、または作業定義内にない品目が作業オーダーで使用された場合の原価の差異。
資材使用量差異
作業オーダーで使用された数量が作業定義で指定された数量と異なる場合の原価の差異。
リソース・レート差異
原価積上時にリソースに使用されたレートがリソース・チャージ・トランザクションの原価計算で使用されたレートと異なる場合の原価の差異。
リソース代替差異
作業定義で指定されたリソースが作業オーダーで使用されなかった場合、または作業定義にないリソースが作業オーダーで使用された場合の原価の差異。
リソース効率差異
リソースの実績使用が作業定義で指定されたものと異なる場合の原価の差異。
バッチ・サイズ差異
使用基準が「固定」の品目およびリソースと作業オーダーで使用された数量が異なる場合の原価の差異。
ジョブ・クローズ差異
これは、原価プロセッサが前述の差異として識別できない差異に対応するために使用されます。 また、製品の標準原価が手動で設定されていて原価積上プロセスを通過しない場合は、コンポーネントとリソースの原価全体がジョブクローズ差異としてマークされます。
仕掛原価調整
次のような作業オーダー原価調整があります。
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WIP資材標準原価調整 - 「リリース済」および「完了」ステータスの作業オーダーについて、コンポーネントの標準原価の変更を取得します。
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仕掛リソース原価調整 - 「リリース済」および「完了」ステータスの作業オーダーについて、リソースの原価の変更を取得します。
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仕掛製品原価調整 - 原価プロファイルに設定されている暫定完了オプションに基づいて、製品完了の原価が見積もられます。 作業オーダーがクローズされると、作業オーダーの原価が再計算され、以前の見積原価と比較されます。 差異がある場合は、原価調整として計上されます。 この原価調整は、製品が実績または移動平均の原価方法を使用して原価計算されている場合にのみ適用できます。
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仕掛廃棄原価調整 - 廃棄はレポートされるたびに計上することもできますが、原価プロファイルに設定されている廃棄評価オプションに基づいて作業オーダーの最後に計上することもできます。 廃棄がレポートされるとすぐに計上される場合は、その時点まで工程に累積された実績原価が考慮されます。 廃棄は作業オーダー・クローズ時に再計算され、値が異なる場合は、この原価調整が作成されます。