「定期一括コピーの実行」プロセスの概要

各期間に「定期一括コピーの実行」プロセスを実行し、税務台帳が会計用資産台帳と一致するようにします。

現会計年度の1会計期間中に会計用資産台帳に入力された新しい資産とトランザクションは、Oracle Assetsにより税務台帳のオープン期間にコピーされます。「定期一括コピーの実行」プロセスを必要な頻度で実行できます。このプロセスを毎日実行する場合、毎日、税務台帳を会計用資産台帳の活動と同期させることができます。

税務台帳にコピーするトランザクションが大量にある場合、Assetsで複数の「定期一括コピーの実行」プロセスを発行するように設定し、プロセスを同時に実行できます。これにより処理時間が削減されます。

ノート: 「定期一括コピーの実行」プロセスは、期間をスキップせずに順次実行できます。「定期一括コピーの実行」プロセスを実行する場合、コピーを実行する最後の期間とその後続の期間のみが、期間の値リストで使用可能です。

「定期一括コピーの実行」プロセスを実行する際には、次の影響を考慮する必要があります。

  • 会計年度

  • 期間の日付範囲

会計年度

関連する税務台帳で、会計用資産台帳と異なる会計年度が使用されている場合があります。たとえば、会計用資産台帳では1月から12月までの会計年度を使用しており、関連する税務台帳では4月から3月までの会計年度を使用している可能性があります。

トランザクション日が会計用資産台帳の現会計年度内である除・売却が、税務台帳の会計年度の前年に該当する場合、除・売却および再稼働は許可されません。

たとえば、次のような除・売却のシナリオについて考えてみます。

台帳

会計年度

会計用資産台帳

7月から6月

税務台帳

1月から12月

次のシナリオでは、台帳は2010年3月に同期されます。

  • シナリオ1: 2010年3月に、会計用資産台帳で資産の除・売却を2009年12月(会計年度2010)に遡って行います。

    このトランザクションは、2009年12月および2010年3月がどちらも会計用資産台帳で同一の会計年度内であるため可能です。

  • シナリオ2: 2010年3月に、税務台帳で「定期一括コピーの実行」プロセスを実行して、シナリオ1の除・売却を税務台帳にコピーします。

    このトランザクションは、2009年12月および2010年3月が税務台帳の同一の会計年度内ではないため失敗します。したがって、除・売却は税務台帳の会計年度の境界線をまたがっており、現在は許可されていません。

    ノート: 税務台帳の2010年1月時点で資産を除・売却します。1月は税務台帳におけるオープン会計年度の最初の期間であるため、税務台帳で資産を遡って除・売却できる最も早い期間です。

次の再稼働のシナリオについて考えてみます。

台帳

会計年度

会計用資産台帳

7月から6月

税務台帳

1月から12月

このシナリオでは、台帳は2009年12月に同期されます。

台帳

日付

処理

会計用資産台帳

2009年12月

資産を除・売却します。

税務台帳

2009年12月

「定期一括コピーの実行」プロセスを使用して、除・売却を税務台帳にコピーします。

会計用資産台帳

2010年1月

除・売却を再稼働します。

税務台帳

2010年1月

「定期一括コピーの実行」プロセスを使用して、再稼働を税務台帳にコピーします。

このトランザクションは、2009年12月および2010年1月が税務台帳の同一の会計年度内ではないため失敗します。したがって、再稼働は税務台帳の会計年度の境界線をまたがっており、許可されません。

ノート: この場合、再稼働は実行できません。取得価額は手動で修正して効果的に再稼働できますが、損益および償却累計額を含む除・売却トランザクションは逆仕訳できません。

期間の日付範囲

税務台帳で個々の期間について会計用資産台帳と異なる日付範囲が使用されている場合、期間のギャップにより、特定のトランザクションが無視される可能性があります。トランザクション日がコピー先の税務期間内またはこの期間より前ではないトランザクションは拒否されます。たとえば、2月のトランザクションは、オープン期間が1月に終了する税務台帳に一括コピーできません。これらのトランザクションは、税務台帳の後続の月にコピーできます。これらのシナリオは、一括コピーが実行される順序および期間によって管理できます。

会計期間が税務期間と重複している先日付のトランザクションの例を次に示します。

  • 台帳は2010年1月に同期されます。

  • 会計用資産台帳の期間範囲: 2009年12月29日から2010年2月1日

  • 税務台帳の期間範囲: 2010年1月1日から2010年1月31日

台帳

日付

処理

会計用資産台帳

2010年1月

トランザクション日が2010年2月1日である資産を追加、修正または除・売却します。一括コピーの対象となるすべてのトランザクションに影響があります。

税務台帳

2010年1月

2010年1月の「定期一括コピーの実行」プロセスを実行します。

税務台帳の1月の期間は2010年1月31日に終了するため、2010年2月1日のトランザクションはコピーされません。税務台帳で2010年1月の期間をクローズした後、2010年1月の期間の「定期一括コピーの実行」プロセスを再実行します(会計用資産台帳の2010年1月を税務台帳の2010年2月にコピーします)。「定期一括コピーの実行」プロセスでは、2010年2月1日の以前拒否されたトランザクションが選択されます。これらのトランザクションが、現在では現オープン税務期間に該当するためです。

ノート: 2010年1月の「定期一括コピーの実行」プロセスは、2010年2月の再実行より前に完了する必要があります。初めて2010年2月について「定期一括コピーの実行」プロセスが実行されると、2010年1月はパラメータで利用できなくなります。

税務期間が会計期間と重複している先日付のトランザクションの例を次に示します。

  • 台帳は2010年1月に同期されます。

  • 会計用資産台帳の期間範囲:

    • 1月: 2010年1月1日から2010年1月31日

    • 2月: 2010年2月1日から2010年2月28日

  • 税務台帳の期間範囲:

    • 1月: 2009年12月30日から2010年2月1日

    • 2月: 2010年2月2日から2010年3月1日

台帳

日付

処理

会計用資産台帳

2010年1月

1月のトランザクションを実行します。

税務台帳

2010年1月

2010年1月の「定期一括コピーの実行」プロセスを実行します。

一括コピーの適用対象である前の2つのトランザクションでは、トランザクション日がオープン税務期間に含まれる2010年1月31日までであるため、正常にコピーされます。

会計用資産台帳

2010年1月

期間をクローズします。(税務台帳の期間はオープンのままにします。)

この段階では、期間を同期しておくため通常は税務台帳をクローズします。ただし、税務期間は2010年2月1日に及びます。2010年2月1日のトランザクションを会計用資産台帳にコピーするには、次の2つの処理を実行します。

会計用資産台帳

2010年2月

2010年2月1日のトランザクションを入力します。

税務台帳

2010年1月

オープン会計期間の「定期一括コピーの実行」プロセスが許可されているため、「定期一括コピーの実行」プロセスを実行し、会計用資産台帳で2010年2月1日のトランザクションが完了したらすぐに2月の会計用資産台帳を1月の税務台帳にコピーします。トランザクション日が2010年2月1日であるトランザクションは1月の税務期間にコピーされます。

会計期間が税務期間と重複しているトランザクションの順序の例を次に示します。

  • 台帳は2010年1月に同期されます。

  • 会計用資産台帳の期間範囲: 2009年12月29日から2010年2月4日

  • 税務台帳の期間範囲: 2010年1月1日から2010年1月31日

  • 前年に、既存の資産が両方の台帳に追加されています。

台帳

日付

処理

会計用資産台帳

2010年1月

トランザクション日が2010年1月31日である資産の取得価額を修正します。

会計用資産台帳

2010年1月

トランザクション日が2010年2月1日である資産の取得価額を修正します。

会計用資産台帳

2010年1月

トランザクション日が2010年1月31日である資産の取得価額を除・売却します。

税務台帳

2010年1月

2010年1月の「定期一括コピーの実行」プロセスを実行します。

税務台帳の1月の期間は2010年1月31日に終了するため、2010年2月1日のトランザクションはコピーされません。したがって、明細2のトランザクションはコピーに失敗し、明細1および3のトランザクションは正常にコピーされます。

明細2の取得価額修正はコピーされていないため、結果として、明細3の除・売却は会計用資産台帳の取得価額とは異なる税務台帳内の取得価額に適用されます。この配分は、トランザクション日がすべて同一の税務期間に該当するわけではない複数のトランザクションが重複した期間内に入力されるために起こります。トランザクションの順序を変更することで、この結果を回避できます。

ノート: すべてのトランザクションがオープン税務期間の終了日前に遡ったトランザクション日で入力されている場合、すべてのトランザクションがコピーされ、トランザクションの順序には問題は発生しません。

トランザクション・グループ化の例を次に示します。

通常、一括コピーの対象となる会計用資産台帳内の各トランザクションは、別のトランザクションとして税務台帳にコピーされます。追加トランザクションの場合、追加の期間のクローズ時における会計用資産台帳の資産の状態が、税務台帳で単一の追加トランザクションを作成する際に使用されます。

期間のクローズ前に「定期一括コピーの実行」プロセスを実行できるということは、追加の期間での修正前に追加をコピーできることを意味します。したがって、「定期一括コピーの実行」プロセスの実行のタイミングおよび回数に応じて、税務台帳には会計用資産台帳とは異なるトランザクション数が示される場合があります。

次のトランザクション・グループ化の詳細について考えてみます。

  • 台帳は2010年1月に同期されます

  • 会計用資産台帳の期間: 1月

  • 税務台帳の期間: 1月

台帳

日付

処理

会計用資産台帳

2010年1月

資産を追加します。

税務台帳

2010年1月

2010年1月の「定期一括コピーの実行」プロセスを実行します。

会計用資産台帳

2010年1月

取得価額修正1を実行します。

会計用資産台帳

2010年1月

取得価額修正2を実行します。

会計用資産台帳

2010年1月

取得価額修正3を実行します。

税務台帳

2010年1月

2010年1月の「定期一括コピーの実行」プロセスを実行します。

各取得価額修正後に「定期一括コピーの実行」プロセスが実行された場合、税務台帳に3つの修正がすべて反映されます。「定期一括コピーの実行」プロセスが前述の例で示すように複数の修正後に実行された場合、これらの修正は税務台帳で1つの修正トランザクションにグループ化されます。