1 サンプル・スキーマの概要
製品マニュアル、教育用ソフトウェア、ソフトウェア開発およびアプリケーションのデモには、サンプル・データベース・スキーマを使用できます。
サンプル・スキーマについて
サンプル・データベース・スキーマは、Oracle Databaseの各リリースにおけるサンプルを共通化することを目的としています。サンプル・スキーマは、連結されたデータベース・スキーマのセットです。このセットでは、複雑さに次のように対処しています:
- スキーマHuman Resources (
hr
)は基本トピックの紹介に役立ちます。このスキーマの拡張機能では、Oracle Internet Directoryのデモをサポートしています。 - Customer Orders (
co
)スキーマは、E-Commerceのトランザクションのデモに役立つ最新のスキーマです。JSONを使用して半構造化データを保存できます。 - スキーマSales History (
sh
)は大量のデータを使用するデモ向けに設計されています。このスキーマの拡張機能では、拡張分析処理をサポートしています。
- スキーマOrder Entry (
oe
)はそれほど複雑ではない問題の処理に役立ちます。このスキーマでは、非スカラー・データ型を含む多数のデータ型を使用できます。 - スキーマOnline Catalog (
oc
)は、oe
スキーマ内部に作成されたオブジェクト・リレーショナル・データベースのオブジェクトの集合です。 - スキーマProduct Media (
pm
)は印刷媒体データ型専用です。
ノート:
Business Intelligence (bi
)、Information Exchange (ix
)およびShipping (qs
)スキーマは使用できなくなりました。
サンプル・スキーマの設計方針
サンプル・データベース・スキーマは、次の設計方針に基づいて作成されました:
-
簡単な使用方法。
hr
スキーマは意図的に単純になっています。データベースの簡単な使用方法から中級の使用方法まで、段階分けされた使用方法が提供されます。 -
通常のユーザーとの関連性。基本的なスキーマと拡張機能では、通常使用する機能を最優先します。最も一般的に使用されるデータベース・オブジェクトのみが、スキーマで自動的に作成されます。スキーマのセット全体で、追加機能を示すために拡張可能な基盤が提供されます。
-
拡張性。サンプル・スキーマでは、基本的な範囲を超えた機能のデモ用のオブジェクトを追加するための論理的および物理的な基盤が提供されています。
-
関連性。サンプル・スキーマは、E-Businessやその他の重要な業界動向(XMLなど)に適用できるように設計されています。これによって使用方法が複雑になる場合は、スキーマ拡張機能を使用して、業界動向に焦点を合せることができます。
サンプル・スキーマにより提供される利点
サンプル・スキーマにより提供される利点には、次のものがあります。
-
コンテキストの一貫性。同じ表セットがいたるところにあれば、ユーザー、研修受講者および開発者は、スキーマに時間をかけることなく、技術的な概念を理解することに、より多くの時間を費やすことができます。
-
有用性。これらのシード・データベースのスキーマを使用して、Oracle Databaseのドキュメントおよびトレーニング・マテリアルに記載されたサンプルを実行できます。サンプルを直接使用することにより、概念の理解とアプリケーション開発が容易になります。
-
品質。サンプル・スキーマを構築する作成スクリプトとスキーマに対して実行されるサンプルの両方を集中的に管理しテストすることによって、Oracle Databaseのドキュメントおよびトレーニング・マテリアルの品質が向上します。
サンプル・スキーマの概要
Oracle Databaseサンプル・スキーマは、様々なチャネルを介して商品を販売する架空のサンプル会社に基づいています。この会社は、製品の注文を履行するために世界中で業務を行っています。いくつかの部門が存在し、そのそれぞれはサンプル・データベース・スキーマで表されます。
HRサンプル・スキーマ
人事(Human Resources)部門では、会社の従業員と施設に関する情報を管理しています。Human Resource (hr
)レコードには、従業員ごとに識別番号、電子メール・アドレス、職種識別コード、給料および管理者が含まれています。給料に加えて歩合給を受け取る従業員もいます。
また、会社は組織内での職種についての情報も記録しています。各職種には、識別コード、役職、その職種の給料の上限と下限があります。長期間勤務している従業員の中には、複数の役割を担当している人もいます。従業員が退職すると、その従業員が勤務していた期間、職種識別番号および部署が記録されます。
サンプルになっている会社は様々な地域に分かれているため、倉庫および部署の所在地を記録しています。各従業員は、部署に配属されており、また各部署は、一意の部署番号または短縮名のいずれかで識別されます。各部署は、1つの所在地に関連付けられており、またそれぞれの所在地には、通りの名前、郵便番号、都市、州または県、国コードを含む完全な住所があります。
部署および倉庫の所在地には、国名、通貨記号、通貨名、地理的に位置する地域などの詳細を記録します。
COサンプル・スキーマ
顧客オーダー(Customer Orders)部門は、顧客、製品、店舗および注文のデータを追跡します。Customer Orders (co
)スキーマは、小売アプリケーションで行われたトランザクションの詳細を記録します。
co
スキーマでは、JSONサポートなどの機能が強調されています。
この会社では、products
表に保持される様々な製品を販売しています。各製品には、一意の識別番号、名前、価格、JSONオブジェクトに格納される詳細、および製品イメージの詳細があります。
顧客が発注した注文は、注文識別番号、注文が発注された日時、顧客の詳細、注文ステータスおよび店舗情報を使用してorders
表で追跡されます。
特定の注文の製品の詳細は、注文識別番号を使用してorder_items
表でも追跡されます。製品の詳細、購入時の価格、数量および出荷が記録されます。
注文した顧客の情報はcustomers
表で追跡されます。各顧客には、注文のやり取りに使用される識別番号、名前および電子メール・アドレスがあります。
顧客は、店舗で製品を購入するか、会社のWebサイトを介してオンラインで購入できます。すべての店舗の情報と、それらに対応する物理的アドレスおよび仮想アドレスはstores
表で追跡されます。店舗情報は注文詳細にも記録されます。
搬送先住所、顧客詳細、店舗情報、出荷ステータスなど注文の出荷詳細は、shipments
表に格納されます。
inventory
表には、各店舗で使用可能な数量など、各製品の詳細が格納されます。
SHサンプル・スキーマ
販売(Sales)部門では、ビジネス上の判断に役立つ事業統計を管理しています。サンプルの会社では、大規模な事業を行っているため、意思決定支援のために事業統計レポートを作成します。これらのレポートの多くは、時間ベースで作成され蓄積されます。つまり、過去のデータ傾向を分析できます。データをデータ・ウェアハウスにロードして、これらのレポート用の統計を定期的に収集します。これらのレポートでは、年、四半期、月、週ごとの売上げが製品別に表示されます。これらのレポートは、スキーマSales History (sh
)を使用して格納されます。
また、販売が行われる流通チャネルのレポートも出力します。製品に対して特別な販売促進を実施する場合は、販売促進の効果を分析できます。地域によって販売を分析することもできます。
OEサンプル・スキーマ
ノート:
oe
スキーマは更新されなくなりましたが、引き続き使用できます。
この会社は、コンピュータのハードウェアとソフトウェア、音楽、衣料、工具などいくつかの製品を販売しています。会社は、製品識別番号、その製品の分類、受注(oe
)、重量によるグループ(出荷のため)、ある場合は保証期間、サプライヤ、製品の可用性ステータス、表示価格、最低販売価格、製造会社のURLアドレスを含む、これらの製品に関する情報を管理しています。また、在庫がある倉庫、在庫数などすべての製品に対する在庫情報も記録されます。世界中で製品が販売されているため、この会社は複数の言語で製品名と製品についての説明書を管理しています。
会社は、顧客の要望に応えるために、いくつかの場所に倉庫を設置しています。各倉庫には、倉庫識別番号、倉庫名、施設の説明および地域識別番号があります。
また、顧客情報も記録されています。各顧客には、識別番号があります。顧客レコードには、顧客の名前、町名、都市または県、国、電話番号(顧客ごとに最大5つまで)および郵便番号があります。インターネット経由で注文する顧客もいるため、電子メール・アドレスも記録されています。顧客は様々な言語を使用しているため、会社は顧客ごとに使用するネイティブ言語と地域を記録します。
また、顧客には一度に購入できる製品の総額を制限する与信限度額が設定されています。顧客管理者が任命されている顧客の場合は、この情報も記録されます。
顧客が発注すると、会社は受注日、受注方法、受注状況、出荷モード、受注数量および営業担当者を記録します。営業担当者は、顧客の顧客管理者と同一人物とはかぎりません。インターネット経由で受注した場合、営業担当者は記録されません。受注情報の他にも、受注した品目の数量、単価および製品も記録します。
また、oe
スキーマには、XMLの注文書も含まれます。これらのドキュメントにアクセスするには、SQLを使用してpurchaseorder
表を問い合せるか、パブリック・ビューRESOURCE_VIEW
およびPATH_VIEW
を問い合せます。