3 Oracle拡張クラスタ

2つ以上の地理的に離れたサイトに、それぞれに固有の記憶域を備え付けてOracle RACクラスタを拡張できます。

ノート:

Oracle Grid Infrastructure 23ai以降、Oracleクラスタ・ドメイン・アーキテクチャに含まれるドメイン・サービス・クラスタ(DSC)は非推奨になりました。

Oracleクラスタ・ドメインは、ドメイン・サービス・クラスタ(DSC)とメンバー・クラスタで構成されます。メンバー・クラスタは、Oracle Grid Infrastructure 19cで非推奨となりました。DSCは、引き続き、本番クラスタにサービスを提供するために使用可能です。ただし、それらのサービスの大部分ではホスティングにDSCを必要としなくなったため、DSCのインストールはOracle Database 23aiでサポートされなくなります。該当する場合、以前にDSCでホストされていたサービスに、任意のクラスタまたはシステムを使用することをお薦めします。Oracleでは、代替システムで各サービスを使用できるようになるまで、共有サービスをホストするためのDSCのサポートを継続します。

Oracle拡張クラスタについて

Oracle拡張クラスタは、サイトと呼ばれる複数の場所に配置されるノードで構成されます。サイトの1つに障害が発生した場合、他のサイトがアクティブ・スタンバイとして機能します。

Oracle ASMとOracle Databaseスタックは、いずれも、通常、データ・センターのエンタープライズ・クラスの共有記憶域を使用するように設計されています。ただし、ファイバ・チャネル・テクノロジにより、計算リソースと記憶域リソースを2つ以上のデータ・センターにわたって分散でき、それらを計算および記憶域のそれぞれのニーズに従ってイーサネット・ケーブルやファイバ・チャネルを介して接続できます。

Oracle拡張クラスタは、Oracle Grid Infrastructureをインストールするときに構成できますが、インストール後も、ConvertToExtendedスクリプトを使用して構成できます。CRSCTLを使用して、Oracle拡張クラスタを管理します。

Oracle Extended Clusterへの変換

この手順は、Oracle Grid Infrastructure 12c リリース2 (12.2)以上とともにインストールされたか、後でこのリリースに更新され、通常は1つのサイト(デフォルト・サイト)のみで構成されるクラスタの場合にのみサポートされます。

ノート:

この手順では、クラスタ内のすべてのノードがアクセス可能である必要があります。
1つまたは複数のディスク・グループおよび複数の障害グループを含むOracle拡張クラスタを構成できます。converttoextendedスクリプトを使用すると、複数のデータ・サイトを作成し、1つのノードを各データ・サイトに関連付けることができます。すべてのOracle Flex ASM記憶域は、既存のディスク・グループを拡張ディスク・グループに変換するメカニズムがないため、デフォルトのクラスタ・サイトに関連付けられたままとなります。クラスタをOracle拡張クラスタに変換した後、投票ファイル・メンバーシップは階層化されず、フラットなままとなります。
サイト固有の階層的な投票ファイル・アルゴリズムを利用するには、拡張ディスク・グループを追加し、投票ファイルを拡張ディスク・グループに移行することも必要となります。
次のように、CRSCTLを使用してクラスタを問い合せ、その拡張ステータスを判別します。
$ crsctl get cluster extended
CRS-6579: "The cluster is 'NOT EXTENDED'"
$ crsctl query cluster site -all
Site 'crsclus' identified by '7b7b3bef4c1f5ff9ff8765bceb45433a' in state 'ENABLED',
 and contains nodes 'node1,node2,node3,node4', and disks ''.

前述の例では、4つのノード(node1node2node3およびnode4)と1つのディスク・グループ(datadg)が含まれるcrsclusというクラスタを識別します。このクラスタには構成済のサイトが1つ含まれます。

  1. rootユーザーとして、OCRおよび投票ファイルの完全なバックアップを実行します。
    # ocrconfig -manualbackup
  2. 最初のノードにログインし、次のコマンドを実行します。
    # rootcrs.sh -converttoextended -first -sites list_of_sites -site node_site

    list_of_sitesは拡張クラスタ内のサイトのカンマ区切りリストで、node_siteはローカル・ノードが関連付けられているサイトの名前です。

    ノート:

    converttoextendedコマンドを実行しているノードが使用できなくなり、データベース・アクセスが中断される可能性があります。
  3. 他のすべてのクラスタ・ノードで次のコマンドを実行します。
    # rootcrs.sh -converttoextended -site node_site

    node_siteは、ローカル・ノードが関連付けられているサイトの名前です。

    ノート:

    converttoextendedコマンドを実行しているノードが使用できなくなり、データベース・アクセスが中断される可能性があります。
  4. 関連付けられたノードおよび記憶域が移行された後、デフォルトのサイトを削除します。
    # crsctl delete cluster site site_name
  5. ディスク・グループを制限モードでマウントした後、Oracle ASMインスタンスでSYSASMユーザーとしてALTER DISKGROUP SQL文を使用して、すべてのOracle ASMディスクをサイトに関連付けます。
    SQL> ALTER DISKGROUP diskgroup_name RENAME DISK disk_name SITE site_name;

    ノート:

    ディスク・グループに投票ファイルやOracle ASM SPFILEなどのOracle Clusterwareデータが含まれている場合は、ディスクのサイト割当ての前に、投票ファイルおよびOracle ASM SPFILEを別のディスク・グループに移行するための標準手順を使用します。投票ファイルを格納するディスク・グループの場合、標準冗長のディスク・グループで少なくとも3台のディスク・デバイスが必要です。ディスク・グループ内のディスクのサイト割当て後に、投票ファイルおよびOracle ASM SPFILEを元のディスク・グループに戻すことができます。
    ディスク・グループが正常に変更されたら、ディスク・グループを通常モードで再マウントできます。
Oracle拡張クラスタの構成が完了したら、次のコマンドを実行して、構成を検証します。
$ crsctl get cluster extended
CRS-XXXX: "The cluster is 'EXTENDED'"

$ crsctl query cluster site -all
Site 'la' identified by GUID '7b7b3bef4c1f5ff9ff8765bceb45433a' in state 'ENABLED' contains nodes 'node1,node2' and disks 'disk1, disk2, disk3'.
Site 'ny' identified by GUID '888b3bef4c1f5ff9ff8765bceb45433a' in state 'ENABLED' contains nodes 'node3,node4' and disks 'disk4, disk5, disk6'.
Site 'nj' identified by GUID '999b3bef4c1f5ff9ff8765bceb45433a' in state 'ENABLED' contains nodes 'node5,node6' and disks 'disk7, disk8, disk9'.