この記事では、Oracle Database 19c以降のバージョンのパッチ配信方法について学習します。

Oracle Databaseパッチ・メンテナンスの概要

リアクティブ・パッチ・メンテナンスとプロアクティブ・パッチ・メンテナンスの違いについて学習します。

リアクティブ・パッチは、特定のメンテナンスの問題に対応します。特徴は次のとおりです。

  • 通常は個別パッチとして配信されます。
  • 従来はワンオフ・パッチと呼ばれていました。
  • 特定の不具合、バージョン、プラットフォームの組合せに対してオンデマンドで提供されます。
  • 基本的な健全性テストを受けます。
  • 特定のリアクティブ修正が今後のリリース更新に含まれる場合があります。

プロアクティブ・パッチでは、Oracle Databaseのすべての顧客に対して推奨される更新が提供されます。プロアクティブ・パッチでは、一緒に配信するように最適化されたパッチのバンドルが使用されます。Oracle Database 23ai以降では、これらのパッチ・バンドルもゴールド・イメージとして提供されます。

プロアクティブ・パッチ(パッチ・バンドル)には、次のような特徴があります:

  • 特定の構成に影響する影響の大きいバグに対応します。
  • 実証済の低リスク修正を含みます。
  • 蓄積された以前の修正を含みます。
  • パッチの影響を受ける機能によって決定された、追加レベルのテストを受けます。
  • "My Oracle Support"で「パッチと更新版」タブをクリックすることで入手できます
  • リリース更新(RU)および月次推奨パッチ(MRP)として入手できます。

Oracle Database 23ai以降では、プロアクティブ・パッチ・バンドルについては、次のいずれかの方法を使用してソフトウェア・メンテナンスを実行することをお薦めします:

  • Database Configuration Assistant (DBCA): シングル・インスタンスOracle Databasesの場合は、お薦めのソフトウェア・メンテナンス方法であるDBCAを使用します。
  • Oracle Fleet Patching and Provisioning (FPP): Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)データベースの場合と、Oracle Data GuardとともにデプロイされたOracle Databaseの場合は、お薦めのソフトウェア・メンテナンス方法であるFPPを使用します。また、大規模なデータベース・フリートの場合や、Exadataデータベースがある場合には、FPPを使用することをお薦めします。

ホーム内およびホーム外パッチ適用(新しいOracleホームへのソフトウェア更新のインストール)には、引き続きOPatchおよびOPatchAutoを使用できます。すべてのパッチ適用操作をホーム外パッチ適用として実行することをお薦めします。

リリースに関するメンテナンス計画の準備の詳細は、次のMy Oracle Supportのノートを参照してください。

  • データベース・プロアクティブ・パッチ・プログラムのプライマリ・ノート(ドキュメントID 888.1)
  • Oracle Database 19c and 23ai Important Recommended One-off Patches (Doc ID 555.1)
  • 現在のデータベース・リリースのリリース・スケジュール(ドキュメントID 742060.1)

ホーム内およびホーム外パッチ・メンテナンス

ホーム外パッチ・メンテナンスを実行することをお薦めします。ホーム内パッチ適用とホーム外パッチ適用の違いについて学習します。

ホーム内パッチ適用とは、単一のOracleホームがあり、このOracleホームにパッチとして次のリリース更新(RU)または個別パッチを適用することを意味します。ホーム外パッチ適用とは、データベース・スタックを移動して、目的のレベルのソフトウェア・バージョンである新しいOracleホームから実行することを意味します。オラクル社は、新しいOracleホームを設定するためにダウンロードできるソフトウェア・イメージとして、RUをリリースします。ホームを設定した後は、データベース・スタックを、この新しいOracleホームから操作できるように移動できます。

ホーム外パッチ適用の理解

ホーム外パッチ適用は、ゴールド・イメージを新しいOracleホームにデプロイすることで実行されます。この方法には、停止時間の短縮、パッチ・デプロイメントに関する問題のリスクの軽減、既存のホームから更新後のホームへのサービスの切替えに必要な時間の短縮、および一般的にはデプロイメント・プロセスの簡略化など、多くの利点があります。

ベスト・プラクティスとして、ホーム外パッチ・メンテナンスを使用することをお薦めします。また、デプロイメントを簡略化して容易にするために、ご使用の構成タイプに対してお薦めしている特定のOracleパッチ・メンテナンス・ユーティリティを使用してください。お薦めのユーティリティは、シングル・インスタンス・データベースの場合はDatabase Configuration Assistant (DBCA)、およびOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)や、Oracle Data Guardを使用したOracle Databaseデプロイメントの場合はOracle Fleet Patching and Provisioningです。

ホーム内パッチ適用の理解

ホーム内パッチ適用は、既存のOracleホームにパッチ・バイナリを適用することで実行されます。ホーム内パッチ適用を使用すると、OPatchまたはOPatchAutoのどちらかを使用して個々のパッチおよびRUをデプロイできます。この場合は、バイナリ・パッチの形式で既存のOracleホームにRUまたはパッチをデプロイします。ただし、ホーム内パッチ・メンテナンスは、より多くの手作業が必要になり、正常に実行するには手間がかかる可能性があります。ほとんどのお客様には、ホーム外パッチ適用を選択することをお薦めします。

四半期リリース更新(RU)は、最新のRUを前のRUにマージすることを意図して、累積パッチ更新バンドルとして作成されています。リリース更新リビジョン(RUR)および個別パッチも、特定のRUを含むOracleホームにデプロイするように構築されています。そのため、累積更新を使用して最新のRUをデプロイするには、以前の異なるRUに対してデプロイされたパッチを既存のOracleホームから削除した後に、既存のOracleホームに最新のRUを適用する必要があります。

Oracleホームのホーム内パッチ更新を実行する場合は、その既存のOracleホームを使用するすべてのOracle Databaseインスタンスを停止する必要があります。そのため、手動パッチ管理を実行するための、停止時間の長いメンテナンス時間枠が必要です。既存のOracleホーム内のパッチ環境の複雑度によっては、この作業に必要な停止時間がかなり長くなる可能性があります。問題が発生した場合は、リカバリ・プロセスの一部として新しいOracleホームを作成する必要があります。また、Oracleホームをクローニングし、Oracleホームの履歴もクローニングした場合も、想定外に複雑になる可能性があります。

RUおよびMRPを使用したプロアクティブ・メンテナンス

プロアクティブ・メンテナンスとは、定期的な四半期ごとのリリース更新を事前対策的に適用し、オプションで、月次推奨パッチを適用してリリース更新パッチを更新するプロセスです。

オラクル社は、リリース更新と月次推奨パッチという2つのタイプのプロアクティブ・コンテンツを提供しています。これらのソフトウェア更新は、Oracle Databaseソフトウェア・リリースごとに、My Oracle Support (MOS)カスタマ・ポータルから入手できます。

リリース更新と月次推奨パッチについて

リリース更新(RU)は四半期ごとにリリースされます(通常は、1月、4月、7月および10月の第3火曜日)。ソフトウェアのパフォーマンスとセキュリティの確保に役立つため、RUは、Oracleソフトウェアに必要な更新です。四半期ごとに、RUがリリースされたときに、ご使用のソフトウェアを更新することをお薦めします。

月次推奨パッチ(MRP)は、RUに適用される、オプションのソフトウェア更新です。それらには、推奨更新、および既知の問題の修正が、デプロイメントを容易にするためにグループ化されて含まれています。これらのソフトウェア更新は、Linuxシステムにデプロイされているソフトウェアに対して、毎月リリースされます。各RUには、最大6つの月次推奨パッチ(MRP)が提供されます。MRP更新は、特定のRUの上に適用される、追加のオプション修正です。

Linux以外のプラットフォームの場合は、MRPのかわりに、引き続き推奨個別パッチおよび既知の問題のパッチをOracleソフトウェア・ホームにダウンロードできます。

ソフトウェア更新は次の場所で発表されます

  • データベース・プロアクティブ・パッチ・プログラムのプライマリ・ノート(ドキュメントID 888.1)
  • 月次推奨パッチ(MRP)
  • クリティカル・パッチ・アップデート、セキュリティ・アラートおよび掲示板

四半期ごとのリリース更新は、クリティカル・パッチ・アップデート、セキュリティ・アラートおよび掲示板のページでそれぞれ1月、4月、7月および10月に発表されます。月次推奨パッチは、四半期ごとのRUの間に毎月リリースされ、推奨パッチの累積バンドルとなります。四半期ごとのRUソフトウェア更新を入手可能になったときに電子メール通知を受信するには、Oracleセキュリティ・アラートをサブスクライブします。

プロアクティブ・メンテナンス・パッチの推奨適用頻度

適用頻度では、更新をデータベース・ソフトウェアに適用する頻度を定義します。適用頻度では、以前のリリース更新パッチまたは月次推奨パッチの選択が定義されることはありません。

リリース更新(RU)

RUは、既知の問題を回避できるようになるクリティカルな修正の高度にテストされたバンドルです。それらには通常、セキュリティ、リグレッション(不具合)、オプティマイザおよび機能(機能拡張も含まれることがある)といった修正タイプが含まれます。

RUを使用して最新の状態を維持することをお薦めします。そうすることで、既知のバグやセキュリティの脆弱性が発生する可能性を最小限に抑えることができます。

RUパッチの命名規則は、23.6.0.24.10のような5つのフィールドの番号です。

  • 5つのフィールドの1番目は、この年の新機能セット(このリリースとも呼ばれる)が最初に使用可能になった年を示します。
  • 2番目のフィールドには、その年の新機能リリースに対して適用されているRUレベルが示されます。たとえば、23.6.0.0では、Oracle Database 23aiに対する5番目の四半期RUが示されています。
  • 3番目のフィールドは、将来使用するために予約されており、現在は必ず0に設定されます。
  • 4番目のフィールドは、RUがリリースされた年を示しています。
  • 5番目のフィールドは、RUがリリースされた月を表しています。

RUは、常にOracle RACローリング・インストール可能です。

月次推奨パッチ(MRP)

オラクル社は、四半期ごとのリリース更新の間の簡略化した推奨および個別ソフトウェア更新を提供するために、Linux x86-64用のMRPを提供しています。

MRPは、推奨および個別ソフトウェア更新をまとめたものです。RUとは異なり、MRPはリリースのリビジョン番号には影響しません。リリース番号は、引き続きRU番号で指定されます。MOS競合チェッカは、MRPの修正を、他のバンドルされたソフトウェア更新と同様に扱います。定期的な競合解決が実行されます。MRP内のパッチは、Oracle Inventoryディレクトリ(oraInventory)内で追跡されます。これは、どの個別パッチがMRPからインストールされているかを示すように更新されます。

MRPは、各RUリリースから6か月後にRUごとに提供される可能性があります。MRPには、Oracle Databaseの重要な推奨パッチ(My Oracle SupportドキュメントID 555.1)に記載されている修正と、RUの前回のMRPが含まれます。RUはすべてのサポート対象プラットフォームに対して引き続き入手可能になり、推奨および個別パッチはすべてのプラットフォームに対して別途入手可能ですが、MRPはLinux x86-64プラットフォームに対してのみ提供されます。お客様は、サポートされているすべてのプラットフォームで引き続きワンオフ・パッチをリクエストできます。特定の月にRUの新しい推奨修正がない場合、MRPはリリースされず、混乱を避けるために関連するMy Oracle Supportノートに注釈が追加されます。RUのワンオフ・パッチと最新のMRPとの間で競合がある場合は、マージ・パッチが提供されます。

MRPは、データベース(RDBMS)、Oracle Clusterware (OCW)、Advanced Cluster File System (ACFS)および高速ホーム・プロビジョニング(RHP)のRUに対する別個のソフトウェア更新として提供されます。MRPを適用するには、コマンドopatch napplyを使用します。opatchautoツールを使用することでMRPを適用またはアンインストールできます。

MRPの特徴は次のとおりです。

  • MRPは累積的です: 新しい各MRPには、特定のリリース更新用にリリースされた以前のMRP内の推奨および個別ソフトウェア・パッチと、そのRUに推奨されている個別ソフトウェア更新の現在のセットに加えて、Oracle Database 19c and 23ai Important Recommended One-off Patches (Doc ID 555.1)に記載されているRUの推奨更新の現在のセットが含まれます。
  • MRPではリリース番号は変更されません。
  • MRPは、OpatchAutoまたはOpatchをnapplyオプションとともに使用してデプロイされます。
  • MRPは、Linux x86-64プラットフォームでのみ使用できます。
  • MRP内のすべての修正は、常にOracle RACローリングおよびOracle Data Guardローリング・インストール可能です。

追加のプロアクティブ・パッチ

RUおよびMRPに加えて、四半期フル・スタック・ダウンロード・パッチとコンボ・パッチ、およびその他のプロアクティブ・パッチがあります。

四半期フル・スタック・ダウンロード・パッチとコンボ・パッチ

Oracleでは、様々なパッチをまとめてパッケージ化して配信します。次に例を示します。

  • Exadataの四半期フル・スタック・ダウンロード・パッチには、1回のダウンロードで、OJVM更新およびその他のExadataシステム・パッチとともに四半期グリッド・インフラストラクチャRUが含まれています。
  • データベースRUのコンボ・パッチ

その他のプロアクティブ・パッチ

通常の更新およびリビジョン・サイクル外で、非常に具体的な目的のためにプロアクティブ・パッチがいくつか生成されます。このようなパッチは通常、"個別パッチ"として配信されます。たとえば、システムで最新のタイムゾーン・データを使用する必要がある顧客のために、特殊なタイムゾーン・パッチが6か月ごとにリリースされます。

ノート:

Oracle Databaseソフトウェアに加えてOracle Grid Infrastructureソフトウェアを使用している場合は、パラレルOracle Grid Infrastructure RUを使用する必要があります。これらのOracle Grid Infrastructure RUには、パラレル・データベースRUに含まれるすべてのものが含まれます。

適用頻度によるプロアクティブなパッチ適用計画

最新のリリース更新(RU)を適用することで、ご使用のデータベースとOracle Grid Infrastructureソフトウェアを最新の状態に保つことをお薦めします。

適用頻度では、更新をデータベース・ソフトウェアに適用する頻度を定義します。これによって最新のRUでないリリース更新の選択が定義されることはありません。ご使用のリリースに対して入手可能な最新のRUに常に更新しておくことをお薦めします。

リリース更新ラグおよび適用頻度

インストールを実行するたびに最新のリリース更新(RU)をインストールすることをお薦めします。RUには、最新のセキュリティ修正、リグレッション修正およびクリティカル修正が含まれます。RUを適用すると、既知のバグやセキュリティの脆弱性が発生する可能性を最小限に抑えられます。RUを使用して最新の状態を維持すると、固有のソフトウェア・ベースラインおよび継続的なコストのかかるパッチ・メンテナンスの可能性につながる、別々の個別ワンオフ・パッチが必要になる可能性が低くなります。

例1-1 四半期ごとに最新のRUを適用

これは、シングル・インスタンス・データベースの場合のデフォルト計画です。最も単純なメンテナンス・スケジュール計画は、最新のリリース更新(RU_Latest)を四半期ごとに適用し、MRPを適用しないことです。

ノート:

この計画を選択した場合は、適用頻度を四半期(3か月ごと)にすることをお薦めします。

表1-1 四半期ごとのRUソフトウェア・メンテナンス計画(RU_N)

適用頻度 リリース更新(RU_N)

月次

該当なし

四半期

3か月ごと - RU_Latest (N)を適用します

半年

6か月ごと - RU_Latest (N)を適用します

毎年

12か月ごと - RU_Latest (N)を適用します

例1-2 そのRUに対する最新の四半期RUおよび最新のMRPを適用

このメンテナンス・スケジュール例では、セキュリティおよびパフォーマンスに関する最新の修正を取得するために、最新のRU (RU_Latest)をインストールし、最新のMRP (MRP_N、ここでのNは最新のRUに対して入手可能な最新のMRP)をインストールします。最新のMRPには、そのRUに対して公開されている以前のMRPからの推奨および個別修正パッチすべてが含まれています。

ノート:

この計画を選択した場合は、適用頻度を四半期(3か月ごと)にすることをお薦めします。

表1-2 RU (RU_N)および月次推奨パッチ・ソフトウェア・メンテナンス計画(MRP_N)

適用頻度 RU (RU_Latest) + MRP_N

月次

1か月ごと - RU_Latest + MRP_Nを適用します

四半期

1か月ごと - RU_Latest + Recommended_Latest_Nを適用します

半年

6か月ごと - RU_Latest + Recommended_Latest_Nを適用します

毎年

12か月ごと - RU_Latest + Recommended_Latest_Nを適用します

個別パッチによるリアクティブ・メンテナンス

すべてのパッチ適用方法で個別(または"ワンオフ")パッチをインストールできますが、必要な個別パッチのバージョンはパッチ適用方法によって異なることがあります。

Microsoft Windowsプラットフォームでは、通常の個別("ワンオフ"とも呼ばれる)パッチはサポートされていません。現在と過去のプロアクティブ・パッチの詳細は、Oracle Database - Overview of Database Patch Delivery Methods for 12.2.0.1 and greater (Doc ID 2337415.1)を参照してください。

個別パッチは、特定の"不具合、バージョン、プラットフォーム"の組合せに対して、スタンドアロン・パッチとして、リクエストに応じて配信されます。

  • 個別パッチは、技術的に可能であれば、サポートされているソフトウェア・バージョンのリリースまたはリリース更新(RU)の上に提供されます。
  • 個別パッチは、基本的な機能テスト、ストレス・テストおよびパフォーマンス健全性テストを受けています。
  • 個別パッチは、技術的な重大度や影響を受ける機能の数に基づいて、リリース更新(RU)に含めることが検討されます。

通常は、個別パッチをリクエストするのではなく、修正を含む最新のリリース更新を適用することをお薦めします。RUメンテナンス・スケジュールに従うのではなくパッチでの個別のバグ修正を要求することの長所と短所については、Should I ask for a one-off bug fix or wait for the next Release Update (Doc ID 2648544.1)を参照してください。

Oracle Update Advisorによる更新エクスペリエンスの合理化

Oracle Update Advisorは、ソフトウェアを推奨バージョンに保つための正確かつ最新の情報を提供するソフトウェア更新推奨フレームワークです。

Oracle Update Advisorとは

Oracle Update Advisorでは、Oracle DatabaseホームとGrid Infrastructureホームが分析され、必要な更新が特定され、事前構成されたデプロイメント・パッケージが提供されます。

ソフトウェアのメンテナンスは簡単ではありません。管理者は、ソフトウェアのエンタープライズ・セキュリティおよび機能のメンテナンスのために必要なことを理解するには、複数の製品情報ソース(My Oracle Supportのドキュメントや、サポートから推奨された技術概要など、)を確認する必要があります。その後、その情報をメンテナンス・ポリシーに従って適用する必要があります。

更新への合理化されたアクセス

Oracle Update Advisorでは、メンテナンスを合理化するための強力なソフトウェア更新推奨フレームワークが提供されます。このアドバイザでは、Oracle DatabaseホームとOracle Grid Infrastructureホームが分析され、定義したメンテナンス・ポリシーに基づいて最新のガイダンスが特定されて、1つのわかりやすいレポートで示されます。また、事前構成された、そのままで十分機能するゴールド・イメージのzipファイルも提供されます。それを使用すると、企業全体にわたる一貫したオペレーティング・システム更新およびOracleソフトウェア更新のデプロイを簡略化できます。

Oracle Update AdvisorコマンドはOracle Database Configuration Assistant (DBCA)とOracle Fleet Patching and Provisioning (FPP)に追加されます。そのため、それらで、ユーザーがOracleに提供した情報を、ユーザーがOracle DatabaseおよびOracle Grid Infrastructureソフトウェアを推奨バージョンに保つために役立つよう使用できます。他のOracleツールは、将来はOracle Update Advisorと連携する予定です。

正確なソフトウェア・ヘルス・ステータス、最新バージョンのガイダンス

Oracle Update Advisorには、次の2つの基本機能があります:

  • ソフトウェア・ステータス
  • ソフトウェアの推奨事項

ソフトウェア・ステータスでは、現在インストールされているソフトウェアがOracleの現在の推奨事項を満たしているかどうかが示されます。インストールされているソフトウェアが現在の推奨事項を満たしていない場合は、Oracle Update Advisorによって、ソフトウェアの推奨事項のリストが示され、ご使用のソフトウェアがその現在の推奨事項を満たすようにするために使用できる、更新とメンテナンス修正のソフトウェア・イメージも提供されます。その後、そのイメージを使用して、ソフトウェアの推奨事項を満たす新しいOracleホームを作成します。

Oracle Update Advisorの使用を開始する方法

Oracle Update Advisorの使用を開始するために必要なのは、Oracleユーザー情報、セキュアHTTP、およびサポートされているOracleソフトウェア・メンテナンス・ツールのみです。

必要事項

Oracle Update Advisorの使用は簡単です。これはすでに使用している機能の使用を拡張するものであるためです。Oracle Update Advisorの機能を有効にするために必要なのは、次のもののみです:

  • 有効なOracle Support契約、カスタマ・サポートID (CSI)番号およびMy Oracle Supportユーザー
  • 製品の使用および構成について予防的なアドバイスを得るための情報を転送するデータ・トランスポート・サービス(DTS) (https://transport.oracle.com)へのセキュアHTTP (HTTPS)ネットワーク接続
  • Oracle Object Storeサービス。これは、Oracle Update Advisorイメージをダウンロードするために必要です。

ノート:

Oracle Update Advisorでは、Oracle Update Advisorの顧客登録を処理するためと、構成データ(RUやパッチ・インベントリなど)をアップロードするためと、パッチ更新のステータスおよび推奨事項を提供するために、データ・トランスポート・サービス(DTS)が使用されます。

動作の仕組み

Oracle Update Advisorは、1、2、3のように簡単に使用できます:

  1. Oracle Update Advisorサービス用のMy Oracle Supportユーザーを登録します。
  2. Oracle Update AdvisorコマンドとともにDatabase Configuration Assistant (DBCA)またはFleet Patching and Provisioning (FPP)のどちらかを使用して、インストールされているOracleホームのソフトウェア・ステータスのチェックを実行します
  3. そのステータス・レポートを確認します。そのステータスが緑色でない場合は、推奨されているソフトウェア・イメージをダウンロードしインストールします。

DBCAとのOracle Update Advisorの使用例

Database Configuration Assistant (DBCA)をOracle Update Advisorの機能とともに使用してメンテナンスの間の予防的チェックを簡略化する方法を参照してください。

希望するパッチ適用ツールがDBCAである場合、必要なのは、Oracle Update Advisorコマンドをパッチ適用プロセスに追加することのみです。

Oracle Update Advisor用のユーザーを登録するには、次のコマンド構文を使用します(ここでのsso_usernameはOracleユーザー・アカウントの名前であり、csi_numberはカスタマ・サポートID (CSI)番号です)

dbca -managePatches -silent -registerUser -ssoUserName sso_number -csiNumber csi_number

ソフトウェア・サービスを確認するには、次のコマンド構文を使用します:

dbca -managePatches -checkPatchStatus -silent

Oracle FPPとOracle Update Advisorの使用例

Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)データベースのメンテナンスにはOracle Update Advisorの機能とともにOracle Fleet Patching and Provisioning (Oracle FPP)を使用することをお薦めします。

クラスタ内のメンテナンス更新を管理するには、Oracle Update AdvisorコマンドとともにOracle Fleet Patching and Provisioning Control (RHPCTL)コマンドライン・ユーティリティを使用します。

Oracle Update Advisorを使用したメンテナンスの場合は、Oracle Fleet Patching and Provisioningをローカル・モードで使用します。これにより、Oracle Update Advisorへの接続以外に構成の必要なく、ローカルのOracle RACクラスタでバージョン更新を実行できるようになります。次の例で方法を確認してください:

  1. rhpctl manage updateadvisor iso updateコマンドを使用してOracle Update Advisorに登録します。構文は以下のとおりです。

    rhpctl manage updateadvisor update
       -registeruser -ssousername <sso_username>
       -csinumber <csi_number>
      [-proxyserver <proxy_server> -proxyport <port_number> [-proxyuser <proxy_user>]

    この例では、My Oracle Supportユーザーはenterprise1、CSI番号は123456789、プロキシ・サーバーは192.0.2.1、プロキシ・ポートは20001、プロキシ・ユーザーはmaint1です:

    rhpctl manage updateadvisor update -registeruser --ssousername enterprise1 -csinumber 123456789 -proxyserver -192.0.2.1 -proxyport 20001 -proxyuser maint1

  2. rhpctl evaluate patchコマンドを使用して、メンテナンスしているOracle DatabaseホームまたはGrid Infrastructureホームのステータスを確認します。この例では、Oracle RACホーム/u01/app/oracle/product/23.0.0/dbhome_1を確認します:

    rhpctl evaluate patch -path /u01/app/oracle/product/23.0.0/dbhome_1
  3. そのテスト・システムにインストールされているソフトウェアを検証した後、本番環境にそのゴールド・イメージ・ソフトウェア・バージョンをデプロイできます

これは単純な例です。一元的な手法を使用する例については、Oracle Fleet Patching and Provisioningのドキュメントを参照してください。Oracle Fleet Patching and Provisioningを使用すると、完全なOracle Databaseランドスケープ(Oracle Exadata、Oracle Grid Infrastructure、Oracle Database、Oracle RestartおよびOracle Single instanceのデプロイメントを含む)を一元的に管理できます。

Oracle Update Advisorの高度な概念とユースケース

Oracle Update Advisorの高度な機能(環境の標準化など)、およ本番環境の管理を促進するためのその他の機能について、活用方法を学習します。

Oracle Update Advisorでのポリシーの使用による予防的なエンタープライズ・メンテナンス

Oracle Update Advisorは、企業全体にわたりポリシーを実装するために役立ちます。

Oracle Update Advisorには、企業用に構成可能なポリシー属性が含まれています。更新ポリシーを確立するときは、次のことを決定する必要があります:

  • 1年に何回ソフトウェアをメンテナンスする必要があるか?
  • ソフトウェア・メンテナンス時間枠の間に最新のリリース更新を適用するか、別の適用頻度モデルを使用して以前のリリース更新をインストールするか?

次のオプションを選択できます:

ポリシー属性 説明

適用頻度

ソフトウェアに更新を適用する頻度:

  • 月次
  • 四半期ごと(デフォルト)
  • 半年
  • 毎年

リリース更新ラグ

リリース更新ラグを使用すると、計画とプリファレンスを反映するように、最新のリリース更新のインストールを延期できます:

  • ラグなし(デフォルト)
  • N-1 (最新のリリース更新より1つ前のリリース更新)
  • N-2 (最新のリリース更新より2つ前のリリース更新)

Oracle Update Advisorのネットワーク構成に関する考慮事項

Oracle Update Advisorを使用するには、セキュアHTTPプロトコルを構成します。プロキシ・ネットワークおよびアクセスには、決定と構成選択が必要になる可能性があります。

Oracle Update Advisor APIは、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)内でホストされます。このAPIには、インターネットを介してパブリックにアクセスできます。認可された顧客は、プライベートまたは専用のネットワーク接続を必要とせずにOracle Update Advisor APIとやり取りできます。Oracle Update Advisor APIにアクセスするには、クライアント・システムによって次のエンドポイントへのアウトバウンドHTTPS接続を開始できる必要があります:

https://transport.oracle.com

このエンドポイントは、Oracle Update Advisorサービスのプライマリ・アクセス・ポイントとして機能します。これは、標準のRESTful APIプロトコルに基づいて構築されており、幅広いクライアント・アプリケーションおよび統合ツールとの互換性が確保されています。クライアントにより、次の2つの方法のどちらかでこのエンドポイントに接続できます:

  • 標準のHTTPまたはHTTPSクライアント・ライブラリまたはツールを使用して、インターネットを介して直接的に。

  • 構成されたHTTPまたはHTTPSプロキシを使用して間接的に(これは、インターネットへの直接アクセスが制限されているかフィルタされているエンタープライズ環境で使用されることが多い)。

ノート:

クライアント環境により、TCPポート443 (HTTPS)での、transport.oracle.comドメインへのアウトバウンド・トラフィックを許可する必要があります。

Oracle Update Advisorの推奨事項の理解

Oracle Update Advisorのステータス推奨事項は単純ですが、ここでは、さらに詳細情報を示します。

Oracle Update Advisorでは、Oracleホームについて、わかりやすい3つのステータス・インジケータ(緑色黄色赤色)が提供されます:

  • 緑色: ご使用のシステムはOracle推奨のベスト・プラクティスに従って更新されているため、アクションは必要ありません。
  • 黄色: 更新をお薦めします。通常、このステータスは、ご使用のOracleソフトウェアが、推奨されているリリース更新より1つ前のリリース更新サイクルであることを示しています。
  • 赤色: 更新が必要です。通常、このステータスは、ご使用のOracleソフトウェアが、推奨されているリリース更新より2つ以上前のリリース更新サイクルであることを示しているか、重要なアプリケーション修正またはセキュリティ修正が適用されていないことを示しています。

これらの基本ステータス・インジケータは、ユーザーが確立したOracle Update Advisorポリシーによって変更できます。たとえば、リリース更新のポリシーを最新の更新より1リリース前になるように(N-1)設定した場合、Oracleホーム・ステータスN-1は緑色になります。これは、ご使用のポリシーが、最新のリリース更新より1つ前のリリースにするという内容であるためです。

そのステータスが緑色でない場合は、Oracleホームについての推奨Oracle Update Advisorレポートに従って、ご使用のソフトウェアを、推奨されているソフトウェア・イメージで更新することをお薦めします。このイメージのダウンロードとデプロイにDatabase Configuration Assistant (DBCA)を使用するかFleet Patching and Provisioning (FPP)を使用するかを選択できます。

Oracle Update AdvisorによるOracleソフトウェア・イメージの取得

Oracle Update Advisorとともに使用するメンテナンス・ユーティリティでは、Oracleソフトウェア・イメージがダウンロードされ、ご使用のシステムにデプロイされます。

リリース更新修正を含むソフトウェア・イメージは、使用しているメンテナンス・ツール(Database Configuration Assistant (DBCA)またはOracle Fleet Patching and Provisioning (FPP)のどちらか)で自動的に取得されます。

標準リリース更新のゴールド・イメージはすぐに入手でき、直接ダウンロードできます。

追加の修正を含むゴールド・イメージは、使用にかかる時間がより長くなる可能性があります。その場合は、ご使用のソフトウェア用のソフトウェア・イメージをダウンロードするためにかかる時間の見積りが示されます。

ソフトウェア・イメージに関する高度な考慮事項

  • Oracleの予防的修正およびガイドラインは事象に対応して動的に変更される可能性があるため、ソフトウェア・ステータスをOracle Update Advisorに確認するタイミングに応じて、受け取る推奨事項が変わる可能性があります。

  • ソフトウェア・メンテナンスを実行するときは、環境の標準化が鍵となります。そのため、テストされていないソフトウェアが本番環境にないことの確認が重要です。

  • ご使用のソフトウェアをメンテナンス開始前に必ずバックアップすることをお薦めします。更新によって生じる、アプリケーションの問題やその他の問題を最小限に抑えられるように、1つの環境(本番環境と同期されているソフトウェアを含むテスト環境など)でデプロイメントをテストすることをお薦めします。システムをテストした後、そのテスト・システムにあるソフトウェアを、他の環境用のソースとして使用できます。メンテナンスの重要ポリシーとして、標準化をお薦めします。

  • ソフトウェア管理の職責を簡素化するために、リリース更新バージョンごとの、ダウンロードするゴールド・イメージの数を制限することをお薦めします。

パッチの競合の解決

ゴールド・イメージ・パッチ・メンテナンスを使用しない場合は、カスタム・ゴールド・イメージなど、他のプロアクティブ・メンテナンス方法とともに使用される個別パッチによって、パッチの競合が発生する場合があります。

ノート:

データベースのメンテナンスには四半期ごとのゴールド・イメージ・デプロイメントの方法のいずれかを使用することをお薦めします。ゴールド・イメージ・デプロイメントでは、パッチ競合解決とマージがゴールド・イメージ作成の一部として含まれています。カスタム・ゴールド・イメージには、この最適化は含まれていません。

四半期プロアクティブ・パッチ(四半期Exadataパッチ、RUおよびMRP)の場合、競合する既存のパッチに対して新しい個別パッチが予防的に生成されます。新しい個別パッチは通常、プロアクティブ・パッチと同時にリリースされます。

パッチ競合の解決の詳細は、パッチ競合に関するMy Oracle Supportノートを参照してください。

Oracle DatabaseおよびOracle GoldenGateへのパッチ適用

Oracle DatabaseとともにOracle GoldenGateを使用する場合は、データベースにパッチを適用する前に、Oracle GoldenGateプロセスが停止していることを確認する必要があります。

Oracle Databaseにパッチを適用し、Oracle GoldenGateを使用している場合は、データベースへのパッチ適用を開始する前にOracle GoldenGateプロセスを無効にする必要があります。この理由は、パッチとアップグレードによってRDBMSの内部表およびビューが変更される可能性があり、それにより、それらをコールするストアド・プロシージャが無効になるためです。依存オブジェクトもすべて無効になります。この手順の詳細は、Oracle GoldenGateのドキュメントとMy Oracle Supportを参照してください。

よくある質問(FAQ)

一般的な質問への回答を確認し、一般的な問題への対処方法について詳細を学習してください。

プロアクティブ・パッチにオプティマイザ修正は含まれますか。

  • "Windowsデータベース・バンドル・パッチ"には、オプティマイザ修正を含めることが可能です。
  • Oracle Database RUには、不正確なオプティマイザの結果から発生した問題に対するオプティマイザ修正を含めることは可能ですが、必要に応じて個別に有効または無効にする形式にかぎります。RUには、"デフォルトで無効"状態のオプティマイザ修正が含まれます。詳細は、Managing "installed but disabled" bug fixes in Database Release Updates using DBMS_OPTIM_BUNDLE (Doc ID 2147007.1)を参照してください。

インストールで使用されるパッチ適用方法を確認するにはどうすればよいですか。

適用されているパッチを確認するには、opatch lsinventory出力を確認します。RUおよびRURには、その出力でのパッチ名およびバージョンの説明が含まれます。

"Windowsデータベース・バンドル・パッチ"と"Exadata用のQFSDP"などの違いは何ですか。

これらのバンドルは、異なる環境をターゲットとしています。最新バージョンには同じ更新コンテンツが含まれますが、他のすべてのコンテンツはターゲット環境に固有です。共通のコンテンツが他に存在することもありますが、コンテンツに違いがあります。

トレース・ファイルおよびV$VERSIONなどのデータベース・ビューでレポートされているように、プロアクティブ・パッチはデータベース・バージョンに影響しますか。

Oracle Database 23ai (23.4.0.0)の場合、ORACLE_HOMEでのパッチ・レベルはopatch lsinventoryデータに反映され、パッチ・タイプによってはパッチ・レベルがDBA_REGISTRYまたはDBA_REGISTRY_HISTORYに反映されます。DBA_REGISTRY_SQLPATCHビューは、データベースに適用されているSQLパッチを示します。

1回かぎりのバグ修正を要求するか、次のRUを待つか、どうすればよいですか。

RUを待つのではなく1回かぎりのバグ修正を要求することの長所と短所については、Should I ask for a one-off bug fix or wait for the next Release Update (Doc ID 2648544.1)を参照してください。

パッチはどのように適用すればよいですか。opatchユーティリティまたはOPLANユーティリティのどちらかを使用しますか。

パッチのインストール方法を学習するには、READMEを参照してください。

OPatch - OPatchの最新バージョンはどこで入手できますか。

How To Download And Install The Latest OPatch(6880880) Version (Doc ID 274526.1)またはOPatch - Where Can I Find the Latest Version of OPatch(6880880)? [Video] (Doc ID 224346.1)を参照してください

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