AutoUpgradeおよびクラスタ管理Oracleデータベースのアップグレード

Oracle Database 21c以降、AutoUpgradeでは、マルチテナント・アーキテクチャを使用してOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)およびOracle RAC One Nodeのアップグレードを自動化できます。

Oracle Clusterwareで管理されるOracle DatabaseインスタンスでAutoupgradeを実行する際、そのデータベース・インスタンスがコンテナ・データベース(CDB)上のプラガブル・データベース(PDB)である場合、AutoUpgradeによってデータベースの構成方法が検出されます。

  • Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)クラスタ・メンバー・ノード(Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)またはサポートされる共有ファイル・システムを使用)。
  • Oracle Real Application Clusters One Node (Oracle RAC One Node) (Oracle ASMを使用)

その検出に基づいて、AutoUpgradeはその構成タイプに必要なアップグレード・ステップに進みます。

ノート:

このアップグレード・オプションを選択すると、AutoUpgradeがデータベース・インスタンスのアップグレードとシステム構成を完了する間に、クラスタの停止時間が必要になります。Oracle Enterprise Managerを使用する場合は、アップグレード後に再構成する必要があります。

クラスタ管理Oracle Databaseインスタンスのステップの概要

新しいリリースのバイナリをインストールし、AutoUpgradeがクラスタ管理データベースを検出すると、AutoUpgradeは次のステップを順番に完了します。

  1. Oracle RACサービスを無効にします(必要に応じて)。
  2. Oracle Clusterwareによって管理されるOracle RACまたはOracle RAC One Nodeデータベースを無効にします。
  3. クラスタ内のすべてのOracle Databaseインスタンスを停止します。
  4. クラスタ初期化パラメータCLUSTER_DATABASE=FALSEを使用して、ローカル・インスタンスを起動します。
  5. ローカルのOracle RACまたはOracle RAC One Nodeデータベース・インスタンスをアップグレードします。
  6. クラスタウェア(CLUSTER_DATABASE=TRUE)のターゲット・バージョンでOracle RACを登録して有効にします。
  7. クラスタ上のすべてのOracle Databaseインスタンスを起動します。

Oracle Clusterwareで管理されているOracleデータベースをAutoUpgradeを使用してアップグレードするための要件

ソース・リリースのOracle Databaseインスタンスおよびターゲット・リリースのOracle Databaseインスタンスは、次の要件を満たす必要があります。

  • AutoUpgradeのアップグレード前の検証チェックで特定された問題に対処する必要があります。
  • アップグレードするソース・リリースのOracle Databaseインスタンスは、ターゲットのOracle Databaseリリースへの直接のアップグレードがサポートされている必要があります。
  • ソースOracle DatabaseリリースとターゲットOracle Databaseリリースは、ソース・リリースとターゲット・リリースの両方のOracle Databaseでサポートされているオペレーティング・システムで実行している必要があります。ターゲットのOracle Databaseリリースでサポートされていないオペレーティング・システムでソース・データベースを実行している場合は、アップグレード前に、サポートされているオペレーティング・システムにソースOracle Databaseを移行する必要があります。
  • ソース・リリースのOracleホームは、すべてのクラスタ・メンバー・ノードにインストールされ、Oracle RACまたはOracle RAC One Nodeデータベースとして構成されている必要があります。
  • ターゲット・リリースのOracleホームは、Oracle RACまたはOracle RAC One Nodeデータベースとしてインストールおよび構成されている必要があります。
  • ソースOracle Databaseが稼働している必要があります。
  • オペレーティング・システムは、Oracle Linux (以前のOracle Enterprise Linux)またはサポートされているポータブル・オペレーティング・システム・インタフェースのPOSIX LinuxまたはUnixオペレーティング・システムのいずれかである必要があります。
  • アップグレードを実行するユーザー・アカウントは、オペレーティング・システム認証で構成されている必要があります。
  • システムは、ストレージ用にOracle Automatic Storage Managementを使用するか(推奨)、またはサポートされている共有ストレージ・システムを使用します。
  • システムには、Oracle RACまたはOracle RAC One Node用に適切に構成され機能しているOracle Grid Infrastructureソフトウェア構成が必要です。

データベース管理者がAutoUpgradeを使用するために必要なタスク

データベース管理者は、次のタスクを完了する必要があります。

  • アップグレードによる問題によるデータ損失を防ぐために、適切なバックアップ計画を作成します。
  • 必要に応じて、ローカルのtnsnames.oraリスナーとSCANリスナーの両方に対して、リスナーおよびTransparent Network Substrate (TNS)ファイルを構成します。
  • Oracle Walletの証明書と管理を構成します(必要な場合)。Oracle Walletは、自動ログイン用に設定する必要があります。