3.8.3 OEDACLIを使用したストレージ・セルの追加

OEDACLIには、様々な構成のエラスティック・ストレージ拡張(ベアメタル、単一のOracle VMまたは複数のOracle VMなど)を実行するためのインタフェースがあります。

OEDACLIによって、ストレージ・サーバーで必要なすべてのオブジェクトが作成され、新規のグリッド・ディスクがディスク・グループに追加されます。既存のストレージ・サーバーの1つは、新しいストレージ・サーバーの構成のガイドとして機能します。トリガーされるリバランス操作は、複数のストレージ・サーバーを追加した場合でも1回のみです。新しいサーバーのグリッド・ディスクは、構成したすべてのクラスタのディスク・グループに追加されます。

前提条件

  • すべての新しいストレージ・サーバーは物理ラックに設置されていて接続されている必要があります。
  • すべての新しいストレージ・サーバーは、管理およびRDMAネットワーク・ファブリックの構成が実行されている必要があります。
  • OEDACLIは、データベース・サーバー(ベアメタルまたはゲスト・ドメイン)およびストレージ・サーバーにネットワーク・アクセスできるマシンで実行する必要があります。
  1. 新しいOEDA XML構成ファイルを生成します。このファイルは、環境内で使用している現在のデータベース・サーバーとストレージ・サーバーの完全リストを反映しています。
    OEDADISCOVERコマンドを使用します。dirnameは、通常、OEDACLIのインストール・ディレクトリです。host_names_listは、検出するノードのカンマ区切りまたはスペース区切りのリストです(たとえば、'dbnode1,dbnode2,celadm01,celadm02')。
    DISCOVER ES hostnames='host_names_list' location='dirname'

    Oracle VMが複数ある環境の場合は、このコマンドによりグローバルXML構成ファイルが生成されます。このファイルには、すべてのクラスタの情報とクラスタごとに1つのXML構成ファイルが含まれています。次のコマンドには、クラスタ固有の構成ファイルではなく、グローバルXML構成ファイルを使用する必要があります。

  2. OEDACLIを使用してXML構成ファイルを更新するOEDACLIスクリプトを作成します。

    追加するセルごとに、このスクリプトに必要な項目は次のとおりです。

    • 現在の構成に含まれる1つのセルの名前(ホスト名)。オブジェクト(セル・ディスク、グリッド・ディスク、フラッシュ・キャッシュなど)の作成の際に参照として使用されます
    • 管理およびRDMAネットワーク・ファブリック・インタフェースの名前(ホスト名)とIPアドレス。
    • ラック番号。相互接続されていない環境の場合は1になります。
    • ULOCは、物理ラックでの場所です。これはストレージ拡張には使用されませんが、『Oracle Exadata Database Machineシステム概要』第2部にある配線図の参照情報に応じて値を選択してください。

    次のコマンドをadd_cell_script.cmdという名前のファイルに保存します。この例では、2台の新しいストレージ・サーバー(celadm04およびceladm05)を追加します。

    CLONE NEWCELL SRCNAME=celadm01 tgtname=celadm04
    SET ADMINNET NAME=celadm04, IP=203.0.113.35
    SET PRIVNET NAME1=celadm04-priv1, IP1=192.168.216.235, NAME2=celadm04-priv2, IP2=192.168.216.236
    SET ILOMNET NAME=celadm04-ilom, IP=203.0.113.135
    SET RACK NUM=1, ULOC=39
    SAVE ACTION FORCE
    CLONE NEWCELL SRCNAME=celadm01 tgtname=celadm05
    SET ADMINNET NAME=celadm05, IP=203.0.113.36
    SET PRIVNET NAME1=celadm05-priv1, IP1=192.168.216.221, NAME2=celadm05-priv2, IP2=192.168.216.222
    SET ILOMNET NAME=celadm05-ilom, IP=203.0.113.136
    SET RACK NUM=1, ULOC=14
    SAVE ACTION FORCE
    SAVE FILE
  3. スクリプトadd_cell_script.cmdを実行します。

    この例のoeda_xml_fileは、最初のステップで生成したファイルです。また、add_cell_script.cmdは、前のステップで作成したスクリプトです。

    $ oedacli -c oeda_xml_file -f add_cell_script.cmd

    このスクリプトを実行すると、OEDA XML構成ファイルが更新され、新しいストレージ・サーバーに関連するディレクティブと属性が追加されます。いずれのコンポーネント(ストレージ・サーバーまたはデータベース・サーバー)にもアクションはトリガーされません。

  4. 新しいストレージ・サーバー(セル)を構成するためのOEDACLIスクリプトを作成します。

    このスクリプトでは、次の設定を使用します。

    • リバランスのためのOracle ASM指数制限は、4に設定されています。これは、Oracle MAAのベスト・プラクティスです。
    • WAITオプションはFALSEに設定します。これは、ディスクのリバランス操作がクラスタ内のすべてのディスク・グループで並行実行されることを意味します。同時に実行可能な未処理のリバランス数は、データベース・サーバーの数に制限されます。WAITTRUEに設定すると、各リバランス操作が順次実行されます。

    次のコマンドをconfig_cell_script.cmdという名前のファイルに保存します。この例では、クラスタ名はq1-vm01です。これを目的のクラスタ名に置き換えます。また、サンプルのセル名(celadm04,celadm05)を独自のものに置き換えます。

    ALTER CLUSTER ADDCELLS='celadm04,celadm05' power=4, wait=false WHERE clustername='q1-vm01'
    SAVE ACTION
    MERGE ACTIONS
    DEPLOY ACTIONS
    SAVE FILE
  5. スクリプトconfig_cell_script.cmdを実行します。

    この例のoeda_xml_fileは、最初のステップで生成したファイルです。また、config_cell_script.cmdは、前のステップで作成したスクリプトです。

    $ oedacli -c oeda_xml_file -f config_cell_script.cmd

    このスクリプトを実行すると、フラッシュ・キャッシュ、フラッシュ・ログ、セル・ディスクおよびグリッド・ディスクが作成されます。さらに、ディスクがOracle ASMディスク・グループに追加され、ストレージ・サーバーがクラスタに追加されます。