3.10.1 F20 PCIeエネルギー・ストレージ・モジュールについて

Sun Flash Accelerator F20 PCIeカードには、停電時のデータ整合性を確保するために、バッテリ・バックアップと同様に機能するエネルギー・ストレージ・モジュール(ESM)が組み込まれています。

Sun Flash Accelerator F20 PCIeカードは、頻繁にアクセスされるOracleデータベース・データをキャッシュし、Exadata Storage Serverのディスクに対する物理I/Oを不要とすることで、Oracle Exadataラックのパフォーマンスを高速化します。フラッシュ・カードに対する書込み操作は、書込み操作を高速化するためにカード上の揮発性のローカルDRAMメモリーに一時的にステージングされます。DRAM内のデータは、エネルギー・ストレージ・モジュール(ESM)によって保護されています。このモジュールは、十分な電力を提供して、電源障害の際にDRAM内のデータをローカル・フラッシュに移動します。

Oracle Exadata X3システムで使用されているフラッシュ・モジュールの予想耐久期間は、書込み集中型のアプリケーションでも10年以上です。フラッシュの耐久期間は、主に、何年にもわたってフラッシュに書き込まれる合計データ量および書き込まれるデータのタイプによって決まります。何年もの間、常時最大フラッシュ書込みIOPSで実行されるアプリケーションはありません。また、アプリケーションでは多くの読取りが実行され、アクティビティが多い期間と少ない期間があります(日中と夜間、四半期末、取引日の終了間際など)。非常に高い書込み集中型のアプリケーションで数か月にわたって測定したところ、最大フラッシュ書込みIOPSの25%が平均となります。各Exadata X3ストレージ・サーバーの耐久期間中の合計フラッシュ書込みは、一般的なデータベース・データの場合で50PBを超えます。フル・ラックでは、アプリケーションの平均書込みが10年間で250,000 8KフラッシュIOPS (最大書込みの25%)である場合、各セルに合計41PBのデータが書き込まれます。これは、セルの耐久期間中の50PBを下回ります。

ESMの充電が十分ではない場合、F20 PCIeカードは、DRAMメモリーを回避してすべてのデータを直接フラッシュに書き込むフェイルセーフのライトスルー・モードで動作します。これにより、書込みパフォーマンスが低下しますが、データは失われません。ESM容量が不十分な場合およびESMを交換する必要がある場合、Exadata Storage Serverがアラートを生成します。

ESMの充電容量は徐々に低下し、寿命は動作温度と反比例します。最低の条件下のOracle ExadataラックのESMの寿命は、次のとおりです。

Exadata Storage Serverのタイプ 寿命

Sun Fire X4275 Serverを使用したExadata Storage Server

3年

Sun Fire X4270 M2 Serverを使用したExadata Storage Server

4年