3.6 Oracle ASMディスク・グループへのグリッド・ディスクの追加

新しいサーバーをクラスタに追加する前または後に、グリッド・ディスクをOracle ASMディスク・グループに追加できます。新しいサーバーを追加する前にグリッド・ディスクを追加する利点は、リバランス操作を早めに開始できることです。新しいサーバーを追加した後にグリッド・ディスクを追加する利点は、リバランス操作を新しいサーバーで実行できることであり、これにより、既存のサーバーの負荷が減少します。

次の手順は、グリッド・ディスクを既存のOracle ASMディスク・グループに追加する方法を示しています。

ノート:

  • 次の例では、新しくインストールしたストレージ・サーバーのグリッド・ディスク構成は既存のストレージ・サーバーと同じで、追加グリッド・ディスクは既存のディスク・グループに追加されることを前提とします。

    現在の構成に関して収集される情報は、グリッド・ディスクの設定時に使用するようにしてください。

  • 既存のストレージ・サーバーに高パフォーマンス(HP)ディスクがあり、大容量(HC)ディスクを搭載するストレージ・サーバーを追加している場合や、既存のストレージ・サーバーにHCディスクがあり、HPディスクを搭載するストレージ・サーバーを追加している場合は、新しいディスク・グループに新しいディスクを配置する必要があります。同じディスク・グループ内にHPディスクとHCディスクを混在させることはできません。

  1. 新しいストレージ・サーバーで、すでに使用されているストレージ・サーバーと同じバージョンのソフトウェアが実行されていることを確認します。最初のデータベース・サーバーで次のコマンドを実行します。

    dcli -g dbs_group -l root "imageinfo -ver"
    

    ノート:

    ストレージ・サーバーのOracle Exadata System Softwareが一致しない場合、ソフトウェアのアップグレードまたはパッチの適用を実行して、同じレベルにします。これにより、既存のサーバーまたは新しいサーバーにパッチを適用できます。詳細は、リリースおよびパッチ・レベルの確認を参照してください。
  2. すべてのデータベース・サーバーの/etc/oracle/cell/network-config/cellip.oraファイルを変更して、すべてのストレージ・サーバーの完全なリストを使用します。すべてのデータベース・サーバーでcellip.oraファイルを同じにする必要があります。

    Oracle Exadata Storage Server X4-2Lサーバーを追加する場合、cellip.oraファイルには、各セルにリストされている2個のIPアドレスが含まれます。2個のIPアドレスを含めるために各行を完全にコピーし、既存のクラスタのcellip.oraファイルでそのアドレスを統合します。

    1. 任意のデータベース・サーバーから、cellip.oraファイルのバックアップ・コピーを作成します。

      cp /etc/oracle/cell/network-config
      cp cellip.ora cellip.ora.orig
      cp cellip.ora cellip.ora-bak
    2. cellip.ora-bakファイルを編集して、新しいストレージ・サーバーのIPアドレスを追加します。
    3. dcliを使用して、編集したファイルをすべてのデータベース・ノード上のcellip.oraファイルにコピーします。dbnodesという名前のファイルを使用します。このファイルには、クラスタ内のすべてのデータベース・サーバーの名前が含まれ、各データベース名が別々の行に示されます。cellip.ora-bakファイルが格納されているディレクトリから次のコマンドを実行します。

      /usr/local/bin/dcli -g dbnodes -l root -f cellip.ora-bak -d
       /etc/oracle/cell/network-config/cellip.ora

    次に、Oracle Exadata Storage Server X4-2Lサーバーを使用してOracle Exadata Database Machine X3-2ハーフ・ラックフル・ラックに拡張した後のcellip.oraファイルの例を示します。

    cell="192.168.10.9"
    cell="192.168.10.10"
    cell="192.168.10.11"
    cell="192.168.10.12"
    cell="192.168.10.13"
    cell="192.168.10.14"
    cell="192.168.10.15"
    cell="192.168.10.17;192.168.10.18"
    cell="192.168.10.19;192.168.10.20"
    cell="192.168.10.21;192.168.10.22"
    cell="192.168.10.23;192.168.10.24"
    cell="192.168.10.25;192.168.10.26"
    cell="192.168.10.27;192.168.10.28"
    cell="192.168.10.29;192.168.10.30"
    

    この例では、1行目から7行目が元のサーバー用で、8行目から14行目が新しいサーバー用です。Oracle Exadata Storage Server X4-2Lサーバーには、それぞれ2個のIPアドレスがあります。

  3. 更新されたcellip.oraファイルがすべてのデータベース・サーバーに格納されていることを確認します。更新されたファイルには、すべてのストレージ・サーバーの完全なリストが含まれる必要があります。

  4. 元のデータベース・サーバーのいずれかで、すべてのグリッド・ディスクのアクセスを確認します。rootユーザーまたはoracleユーザーとして、コマンドを実行できます。

    $ Grid_home/grid/bin/kfod disks=all dscvgroup=true
    

    コマンドの出力結果には、元のストレージ・サーバーと新しいストレージ・サーバーからのグリッド・ディスクが表示されます。

  5. 次のようなコマンドを使用して、新しいストレージ・サーバーから既存のディスク・グループにグリッド・ディスクを追加します。高パフォーマンス・ディスクと大容量ディスクの両方を同じディスク・グループに指定することはできません。

    $ .oraenv
    ORACLE_SID = [oracle] ? +ASM1
    The Oracle base for ORACLE_HOME=/u01/app/11.2.0/grid is /u01/app/oracle
    
    $ sqlplus / as sysasm
    SQL> ALTER DISKGROUP data ADD DISK
      2> 'o/*/DATA*dm02*'
      3> rebalance power 11;
    

    前述のコマンドでは、フル・ラックが既存のOracle Exadata Rackに追加されました。新しいラックの接頭辞はdm02、グリッド・ディスクの接頭辞はDATAです。

    次の例では、Oracle Exadata Database Machineハーフ・ラックフル・ラックにアップグレードされています。元のシステムのセル・ホスト名には、dm01cel01からdm01cel07の名前が付けられています。新しいセル・ホスト名には、dm01cel08からdm01cel14の名前が付けられています。

    $ .oraenv
    ORACLE_SID = [oracle] ? +ASM1
    The Oracle base for ORACLE_HOME=/u01/app/11.2.0/grid is /u01/app/oracle
    
    $ SQLPLUS / AS sysasm
    SQL> ALTER DISKGROUP data ADD DISK
      2> 'o/*/DATA*dm01cel08*',
      3> 'o/*/DATA*dm01cel09*',
      4> 'o/*/DATA*dm01cel10*',
      5> 'o/*/DATA*dm01cel11*',
      6> 'o/*/DATA*dm01cel12*',
      7> 'o/*/DATA*dm01cel13*',
      8> 'o/*/DATA*dm01cel14*'
      9> rebalance power 11;

    ノート:

    • システムでOracle Database 11gリリース2 (11.2.0.1)を実行している場合、できるだけ迅速にリバランスが完了するように指数制限値に11を使用することをお薦めします。システムでOracle Database 11gリリース2 (11.2.0.2)を実行している場合、指数制限値に32を使用することをお薦めします。指数制限は、リバランス中に実行されているアプリケーションに影響を与えます。

    • 異なるOracle ASMインスタンスからALTER DISKGROUPコマンドが実行されていることを確認します。これにより、複数のディスク・グループのリバランス操作をパラレルに実行できます。

    • ディスクをSYSTEMDGまたはDBFS_DGを含むすべてのディスク・グループに追加します。

    • 3 TBの大容量(HC)ディスクを搭載したサーバーを、2 TBのディスクを搭載した既存のサーバーに追加する場合、My Oracle Supportノート1476336.1の手順に従って、グリッド・ディスクおよびディスク・グループを適切に定義することをお薦めします。ラックの設定のこの時点では、新しいグリッド・ディスクは定義されますが、ディスク・グループに配置される必要があります。My Oracle Supportノート1476336.1のステップを参照してください。

    • 既存のストレージ・サーバーに高パフォーマンス(HP)ディスクがあり、大容量(HC)ディスクを搭載するストレージ・サーバーを追加している場合や、既存のストレージ・サーバーにHCディスクがあり、HPディスクを搭載するストレージ・サーバーを追加している場合は、新しいディスク・グループに新しいディスクを配置する必要があります。同じディスク・グループ内にHPディスクとHCディスクを混在させることはできません。

  6. Oracle ASMインスタンスで次のような問合せを使用して、リバランス操作のステータスを監視します。

    SQL> SELECT * FROM GV$ASM_OPERATION WHERE STATE = 'RUN';
    

    リバランスの進行中に、残りのタスクを実行できます。

関連項目: