2.6.2 ストレージ・デバイスの事前交換

障害が発生していないストレージ・デバイスの事前交換が必要になる場合があります。

たとえば、Exadataで一時的なパフォーマンス異常(一時的制限)が検出された後にデバイスを交換することを選択したり、その他の理由で機能しているデバイスの交換が必要になる場合があります。

次のステップに、ストレージ・デバイスを事前に交換する手順の概要を示します:

  1. ストレージ・デバイスを交換する準備をします。

    CellCLI ALTER PHYSICALDISKコマンドを使用して、指定したストレージ・デバイスを交換するためにシステムを準備します。デバイス交換プロセス全体を通して冗長性を維持するかどうかを選択できます。

    • デバイス交換プロセス全体を通して冗長性を維持する場合、Exascaleは、影響を受けるプール・ディスクからデータを移動し、関連付けられたストレージ・プールをリバランスします。このオプションは一般的にお薦めであり、デバイスの交換中に発生する可能性のある他の障害からの最善の保護となります。ただし、影響を受けるデータを移動し、ストレージ・プールをリバランスするコストがかかります。

      このオプションを選択するには、MAINTAIN REDUNDANCY句をALTER PHYSICALDISK ... DROP FOR REPLACEMENTコマンドに追加します。たとえば、次のコマンドを使用すると、冗長性を維持しながら、ストレージ・デバイス0:5を交換する準備ができます。

      CellCLI> alter physicaldisk 0:5 drop for replacement maintain redundancy
    • デバイス交換プロセス全体を通して冗長性を維持しないことを選択した場合、Exascaleは、デバイスがオフラインになる前に冗長性のクイック・チェックのみを実行します。冗長性チェックにより、影響を受けるプール・ディスクでデータの別のコピーが使用できるようになります。このオプションを使用すると、冗長性が低下して、より迅速なデバイス交換が可能になります。ただし、デバイスの交換中に別の障害が発生した場合、データ損失やストレージ・プール停止のリスクが高まります。そのため、このオプションは、データ損失を許容できる場合(クリティカルでないテスト・システムなど)や、冗長性の低下に関連するリスクの増加が他の手段(Oracle Data Guardを使用してデータをレプリケートするなど)によって軽減される場合にのみお薦めします。

      このオプションを選択するには、MAINTAIN REDUNDANCY句を指定せずにALTER PHYSICALDISK ... DROP FOR REPLACEMENTコマンドを使用します。たとえば、次のコマンドを使用すると、冗長性を維持せずに、ストレージ・デバイス0:5を交換する準備ができます。

      CellCLI> alter physicaldisk 0:5 drop for replacement
  2. ストレージ・サーバーのサービス不可LEDが点灯していないことを確認します。
  3. デバイスを取り外す準備ができていることを確認します。
    • 障害の発生したデバイスが、サーバーの前面にあるホットスワップ対応のドライブ・ベイのいずれかにあるハード・ディスク・ドライブ(HDD)またはフラッシュ・ドライブの場合は、デバイスを取り外す前に、デバイスの青い取外しOK LEDが点灯していることを確認します。

    • 障害が発生したデバイスがサーバー内に含まれるホットスワップ対応のフラッシュ・カードである場合は、デバイスを取り外す前に、フラッシュ・カードの電源LEDが点灯していないことを確認します。Exadata Storage Server X7-2以降では、すべてのストレージ・サーバー・モデルにホットスワップ対応のフラッシュ・カードが含まれています。

  4. 障害の発生したストレージ・デバイスを取り外し、交換品を取り付けます。

    物理的なハードウェアの交換の詳細は、関連するサーバーのハードウェア・ガイドを参照してください。

  5. サーバーが交換したデバイスを認識するまで待機します。

    ホットスワップ対応のストレージ・デバイスを物理的に交換する場合、サーバーが新しいデバイスを認識するのに数分かかることがあります。

  6. 交換デバイスのステータスを確認します。

    CellCLI LIST PHYSICALDISKコマンドを使用して、交換デバイスのステータスがnormalであることを確認します。

    次に例を示します:

    CellCLI> list physicaldisk 0:5 detail
             name:                   0:5
             deviceName:             /dev/sdi
             diskType:               HardDisk
             enclosureDeviceId:      0
             luns:                   0_5
             makeModel:              "WDC W7222A520ORA022T"
             physicalFirmware:       A7B0
             physicalInsertTime:     2023-09-01T12:00:25-07:00
             physicalInterface:      sas
             physicalSerial:         75X8RD
             physicalSize:           20.009765625T
             slotNumber:             5
             status:                 normal
    
  7. ストレージ・プールのリバランス操作をモニタリングします。

    ストレージ・デバイスの交換後、元のデバイスに存在していたExadataセル・ディスクおよびグリッド・ディスクは新しいデバイスに再作成されます。グリッド・ディスクがExascaleプール・ディスクとして指定されている場合、ストレージ・プールに追加され、ストレージ・プールは自動的にリバランスされます。

    ESCLI lsstoragepooloperationコマンドを使用して、ストレージ・プールのリバランス操作をモニタリングします。

  8. Exascaleが交換デバイスを使用していることを確認します。

    ESCLI lspooldiskコマンドを使用して、status属性を確認します。

    最初は、交換デバイスがオンラインになると、プール・ディスクのステータスがBEING ADDEDに一時的に設定されます。ただし、Exascaleによって交換デバイスが再統合されると、ステータス値はONLINEに遷移します。