作業オーダー・スケジューリングの例
以下の例を使って、社内工程の作業オーダー・スケジューリング動作と、様々なスケジューリング方法を説明します。 ある工場は、週のすべての曜日を通じ、午前8時から午後5時までの9時間シフト1回で連続操業しています。 このシフト時間は、工場タイム・ゾーンで解釈されます。
下の表は、工場内で様々なリソースを使用して製品Aを製造するシナリオを示すもので、各リソースの有効率、稼働率および可用性がリストされています。
ワーク・センター |
リソース名 |
有効率 |
稼働率 |
24時間使用可能 |
---|---|---|---|---|
Machine Shop (機械加工現場) |
CNC Milling (CNCミリング) Technician (技術者) QA Inspector (QA検査員) |
100% 100% 100% |
50% 100% 100% |
いいえ いいえ いいえ |
Assembly Line (組立ライン) |
Operator (オペレータ) Conveyor Line (搬送ライン) |
100% 100% |
100% |
いいえ |
Packing Line (梱包ライン) |
Auto Packer (自動梱包機) |
50% |
100% |
はい |
Assembly Line (組立ライン)ワーク・センターに属するすべてのConveyor Line (搬送ライン)リソースは、月次予防保守スケジュールのために、2日目の午前9時から午前11時まで使用できません。 これをアプリケーションに反映するために、監督者はワーク・センター・リソース例外を定義します。
製品Aのそれぞれを8個ずつ製造するには、作業オーダーの次の工程を使用します。
作業オーダー123、工程10: 機械加工、ワーク・センターは「Machine Shop」(機械加工現場)。
3つの異なるリソースの詳細を下の表に示します。
順序 |
リソース名 |
所要使用量 |
単位 |
割当ユニット |
スケジュール済 |
---|---|---|---|---|---|
10 |
CNC Milling (CNCミリング) |
2 |
時間 |
1 |
はい |
20 |
Technician (技術者) |
2 |
時間 |
2 |
はい |
30 |
QA Inspector (QA検査員) |
1 |
時間 |
1 |
いいえ |
作業オーダー123、工程20: 組立、ワーク・センターは「Assembly Line」(組立ライン)。
2つの異なるリソースの詳細を下の表に示します。
順序 |
リソース名 |
所要使用量 |
単位 |
割当ユニット |
スケジュール済 |
---|---|---|---|---|---|
10 |
Operator (オペレータ) |
4 |
時間 |
1 |
はい |
10 |
Conveyor Line (搬送ライン) |
4 |
時間 |
2 |
はい |
作業オーダー123、工程30: 梱包、ワーク・センターは「Packing Line」(梱包ライン)。
1つのリソースの詳細を下の表に示します。
順序 |
リソース名 |
所要使用量 |
単位 |
割当ユニット |
スケジュール済 |
---|---|---|---|---|---|
10 |
Auto Packer (自動梱包機) |
1 |
時間 |
1 |
はい |
-
スケジューリング・プロセスにおいて、アプリケーションは次の要領でリソースの期間を計算します。
-
工程10において、リソース「CNC Milling」(CNCミリング)の稼働率は50%です。 これは、このリソースの使用量を、所要使用量の2倍に拡大する効果があります。
-
工程10では各リソースのリソース連番が異なるので、各リソースは順番に組み合わされます。 工程20では各リソースがリソース連番を共有しているので、各リソースは並列に組み合わされます。
-
操作20で使用されている「コンベア」リソースは、2日目に2時間使用できないため、その期間中にこのリソースはスケジュールされません。
-
工程30において、リソース「Auto Packer」(自動梱包機)の効率は50%です。 これは、このリソースの使用量を、所要使用量の2倍に拡大する効果があります。
-
リソース「自動梱包業者」は24時間使用可能であるため、そのリソース使用は、プラント・シフト期間外であっても実行されます。
前方スケジューリング
開始日を1日目の午前8時として作業オーダーが作成された場合、アプリケーションは、作業オーダーを前方スケジュールして、完了日を1日目の午後7時と算出します。リソース期間は次のチャートに表示されます。
6つのリソースの前方スケジューリングを下の図に示します。

開始日を1日目の午前8時として作業オーダーが作成された場合、アプリケーションは、作業オーダーを前方スケジュールして、完了日を1日目の午後7時と算出します。
前方スケジューリングについて図で示した内容を下の表で説明します。
工程連番 |
リソース連番 |
リソース名 |
リソース期間 |
予定日数と説明 |
---|---|---|---|---|
10 |
10 |
CNC Milling (CNCミリング) |
(2/1)/ (50% *100%) = 4時間 |
前方スケジューリング・ロジックは、最初の工程の最初のリソースから適用されます。 最初の工程は機械加工工程です。 作業オーダーが午前8時に開始するようリクエストされており、この工程に必要な最初のリソースは、必要なリソース期間が4時間のCNCミリングです。 CNCミリング・リソースは、午前8時から正午までスケジュールされます。 |
10 |
20 |
Technician (技術者) |
(2/2)/ (100% *100%) = 1時間 |
CNCミリング・リソースの後のタスクを実行する技術者は、正午から午後1時までスケジュールされます。 |
10 |
20 |
QA Inspector (QA検査員) |
(0時間(スケジュール済= N) |
QA検査員には期間が割り当てられていませんが、技術者と同じリソース連番を共有しているため、スケジュールされた開始時間と終了時間は午後1時になります。 |
20 |
10 |
Operator (オペレータ) |
(4/1) / (100%*100%) = 4時間 |
次の工程は組立工程です。 オペレータのタスクは完了するのに4時間かかり、午後1時から午後5時までスケジュールされます。 |
20 |
10 |
Conveyor Line (搬送ライン) |
(4/2) / (100%*100%) = 2時間 |
搬送ライン・リソースは、組立工程で使用され、オペレータと並行して開始するようスケジュールされます。 搬送ライン工程は、午後1時に開始し、午後3時に終了します。 |
30 |
10 |
Auto Packer (自動梱包機) |
(2/2) / (50%*100%) = 2時間 |
梱包工程は、組立工程の後で午後5時に開始し、午後7時に終了します。これで、作業オーダーは完了します。 |
後方スケジューリング
完了日を2日目の午後1時として作業オーダーが作成された場合、アプリケーションは、作業オーダーを後方スケジュールして、開始日を1日目の午前9時と算出します。リソース期間は次のチャートに表示されます。
6つのリソースの後方スケジューリングを下の図に示します。

完了日を2日目の午後1時として作業オーダーが作成された場合、アプリケーションは、作業オーダーを後方スケジュールして、開始日を1日目の午前11時と算出します。
後方スケジューリングについて図で示した内容を下の表で説明します。
工程連番 |
リソース連番 |
リソース名 |
リソース期間 |
予定日数と説明 |
---|---|---|---|---|
30 |
10 |
Auto Packer (自動梱包機) |
(2/2) / (50%*100%) = 2時間 |
後方スケジューリング・ロジックが適用されると、最後の工程の最後のリソースから開始し、前方スケジューリングと逆の順序で工程をスケジュールすることで、開始日を算出します。 作業オーダーが2日目の午後1時に完了するようリクエストされており、自動梱包機リソースには2時間が必要で、梱包工程は2日目の午前11時に開始し、午後1時に終了します。 |
20 |
10 |
Conveyor Line (搬送ライン) |
(4/2) / (100%*100%) = 2時間 |
次に、1つ前の組立工程がスケジュールされます。 この操作で使用されるコンベア・ライン・リソースは、午前9時から午前11時まで2時間使用できないため、このリソースはその期間中はスケジュールされません。 搬送ライン・リソースは、組立工程で使用され、2日目の午前8時から午前9時までと、1日目の午後4時から午後5時までスケジュールされます。 |
20 |
10 |
Operator (オペレータ) |
(4/1) / (100%*100%) = 4時間 |
組立工程で作業するオペレータのタスクは完了するのに4時間かかり、2日目の午前8時から午前11時までと、1日目の午後4時から午後5時までスケジュールされます。 |
10 |
20 |
QA Inspector (QA検査員) |
(0時間(スケジュール済= N) |
QA検査員には期間が割り当てられていませんが、技術者と同じリソース連番を共有しているため、スケジュールされた開始時間と終了時間は1日目の午後4時になります。 |
10 |
20 |
Technician (技術者) |
(2/2)/ (100% *100%) = 1時間 |
機械加工工程で作業する技術者は、1日目の午後3時から午後4時までスケジュールされます。 |
10 |
10 |
CNC Milling (CNCミリング) |
(2/1)/ (50% *100%) = 4時間 |
CNCミリングには4時間が必要で、後方スケジューリングに基づいて、1日目の午前11時から午後3時までスケジュールされます。 そのため、作業オーダーは1日目の午前11時に開始します。 |
中間スケジューリング
工程20が2日目の午前11時に開始されるように作業オーダー工程20の中間スケジューリングを起動することによって作業オーダーを更新した場合、アプリケーションは下のチャートに示すように、作業オーダーの開始日が1日目の午後3時、完了日が2日目の午後5時となるように中間スケジューリングを行います。
6つのリソースの中間スケジューリングを下の図に示します。

工程20が2日目の午前11時に開始されるように作業オーダー工程20の中間スケジューリングを起動することによって作業オーダーを更新した場合、アプリケーションは下のチャートに示すように、作業オーダーの開始日が1日目の午後3時、完了日が2日目の午後5時となるように中間スケジューリングを行います。
中間スケジューリングについて図で示した内容を下の表で説明します。
工程連番 |
リソース連番 |
リソース名 |
リソース期間 |
予定日数と説明 |
---|---|---|---|---|
20 |
10 |
Operator (オペレータ) |
(4/1) / (100%*100%) = 4時間 |
工程20が2日目の午前11時に開始されるように作業オーダー工程20の中間スケジューリングを起動します。オペレータのタスクは完了するのに4時間かかり、2日目の午前11時から午後3時までスケジュールされます。 |
20 |
10 |
Conveyor Line (搬送ライン) |
(4/2) / (100%*100%) = 2時間 |
ダウンストリームのすべての工程は、前方スケジューリング・ロジックを使用してスケジュールされます。 そのため、搬送ライン・リソースは、組立工程で2日目の午前11時から午後1時まで使用されます。 |
30 |
10 |
Auto Packer (自動梱包機) |
(2/2) / (50%*100%) = 2時間 |
梱包工程は、2日目の午後3時に開始し、午後5時に終了します。これで、作業オーダーは完了します。 |
10 |
20 |
QA Inspector (QA検査員) |
(0時間(スケジュール済= N) |
アップストリームのすべての工程は、後方スケジューリング・ロジックを使用してスケジュールされます。 QA検査員には期間が割り当てられていませんが、技術者と同じリソース連番を共有しているため、スケジュールされた開始時間と終了時間は2日目の午前11時になります。 |
10 |
20 |
Technician (技術者) |
(2/2)/ (100% *100%) = 1時間 |
後方スケジューリングを起動します。機械加工工程で作業する技術者は、2日目の午前10時から午前11時までスケジュールされます。 |
10 |
10 |
CNC Milling (CNCミリング) |
(2/1)/ (50% *100%) = 4時間 |
技術者のシフト時間は2日目の午前11時に終了します。 必要なリソース期間は4時間です。 CNCミリング・リソースのシフトは、2日目の午前8時から午前10時までと、1日目の午後3時から午後5時までスケジュールされます。 これにより、作業オーダーの開始が1日目の午後3時に決定されます。 |
作業オーダー・スケジューリング方法の選択
スケジューリング方法は、作業オーダーの作業オーダー・ヘッダーに表示されます。 次の2つの値のいずれかを選択します。
-
デフォルト・スケジューリング
このスケジューリング方法は、ユーザー・インタフェースを介して作業オーダーが作成される場合のデフォルト・オプションです。
-
ユーザーまたは外部スケジューリング
このスケジューリング方法を選択すると、作業オーダー日、工程日およびリソース日を更新することで、作業オーダーを手動でスケジュールまたは再スケジュールできます。 また、確定チェック・ボックスが自動的に選択され、オプションで確定フラグの選択を解除できます。
作業オーダーの手動スケジュール
- 作業オーダー属性の手動更新
作業オーダー数量を更新すると、作業オーダーは再スケジュールされません。 ただし、資材およびリソース所要量は再計算されます。
作業定義名または作業定義日を更新すると、スケジューリング方法がデフォルトのスケジューリングとして自動的に更新され、作業オーダーが自動的にスケジュールされます。 作業オーダーは、新しい作業定義の詳細とともに再展開されます。
- 作業オーダーの開始日および完了日の手動更新
このスケジューリング方法は、ユーザー・インタフェースでのみ使用できます。 ただし、FBDIおよびRESTサービスは引き続きデフォルトのスケジューリング方法を使用します。
- 作業オーダー工程開始日および完了日の手動更新
作業オーダー工程の開始日および完了日は手動で更新できます。 スケジューリング方法が「ユーザーまたは外部スケジューリング」の場合、制約なしスケジューリングは起動されません。 ただし、作業オーダー開始日および完了日は、最早工程開始日および最遅完了日(作業オーダー開始日および完了日の範囲外の場合)と同期されます。
- 作業オーダー・リソースの開始日と完了日の手動更新
作業オーダー・リソースの開始日および完了日は手動で更新できます。 スケジューリング方法が「ユーザーまたは外部スケジューリング」の場合、制約なしスケジューリングは起動されません。 ただし、作業オーダー工程の開始日と完了日、および作業オーダーの開始日と完了日は、最も早いリソース開始日と最も遅いリソース完了日(作業オーダーまたは工程の日付の範囲外の場合)と同期されます。
作業オーダーの実行中に工程を再順序付けすると、スケジューリング方法が「ユーザーまたは外部スケジューリング」の場合、作業オーダーは自動的にスケジュールされません。
生産スケジューリングを含むOracle Fusion Cloud Supply Planningでは、スケジューリング中に手動でスケジュールされた作業オーダーが考慮されます。 生産スケジューリングを含むOracle Supply Planningが作業オーダー日を更新する場合、Oracle Fusion Cloud Manufacturingは推奨を受け入れます。