ISO 20022支払ステータス・レポート
ISO 20022支払ステータス・レポート(ISO 20022口座引落し承認とも呼ばれる)は、CustomerPaymentStatusReport (pain.002.001.03)というISO 20022メッセージ・フォーマットに基づいた電子メッセージ・フォーマットです。支払ステータス・レポートは、銀行または支払システムによって送信されます
支払ステータス・レポートは、銀行または支払システムから受信されたすべてのISO 20022口座引落精算の処理ステータスを直接に、または推論によって伝達します。支払ステータス・メッセージ・フォーマットによって、銀行は、口座引落精算バッチの総合ステータスと、トランザクションの一部または全部の個別ステータスを指定できます。たとえば、5つのトランザクションの口座引落精算バッチの総合ステータスがACCEPTである一方で、支払ファイルの2つの個別トランザクションのステータスがREJECTになる可能性があります。この場合、承認ファイルの2つのトランザクションが失敗しても、推論によって、承認ファイルに存在していない他の3つのバッチ・トランザクションのステータスはACCEPTであると推測されます。
銀行および支払システムでは、支払ステータス・レポートを使用して次の処理ステータスを指定します。
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肯定: 受領済、受入済、または受入済(変更あり)
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待ち状態
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否定: 拒否済
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肯定および否定: 一部受入済
支払ステータス・レポートの使用は、常に業者の会社と銀行の二者間の合意によって制御されます。二者間の合意によって、次のように会社が銀行からどのように承認を受信するかを指定します。
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会社は、任意のマイルストンで承認を1回のみ希望します。
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会社は、決済プロセス内の各マイルストン(たとえば、銀行による支払ファイルの受信、技術検証の合格、ビジネス検証の合格、およびトランザクションの受入または拒否)で承認を受信することを希望します。
二者間の合意では、会社が次の受信を希望するかどうかも指定できます。
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受け入れられたトランザクションのみの承認
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拒否されたトランザクションのみの承認
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受け入れられたトランザクションと拒否されたトランザクションの両方の詳細を含む承認
Paymentsは、CustomerPaymentStatusReportV03 (pain.002.001.03)のためのISO 20022支払メッセージ標準で指定されたメッセージ構造に従って、支払ステータス・レポート・メッセージを処理します。
このトピックでは、支払ステータス・レポートの次の内容について説明します。
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受入済ステータス
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拒否済ステータス
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拒否および払戻トランザクション
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ISO 20022口座引落トランザクション・フロー
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ISO 20022事由コードの支払ステータスおよびエラー・コードへのマッピング
受入済ステータス
ISO 20022ガイドラインに従い、グループ・ステータスは精算ファイル・ステータスを表します。成功を表す複数のグループ・ステータスがあります。グループ・ステータスがACCP、ACSPまたはACWCの支払ステータス・レポート・メッセージを受信すると、バッチ・ステータスとそのバッチ内のすべてのトランザクションのトランザクション・ステータスが「受入済」として更新されます。
Paymentsでは、支払ステータス・レポートのトランザクション・レベルで次の成功ステータスがサポートされます。
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ACCP: 受入済(技術検証あり)
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ACSP: 決済システムにより受入済
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ACWC: 受入済(変更あり)
拒否済ステータス
RJCTのグループ・ステータスは、バッチに適用されます。グループ・ステータスがRJCTの支払ステータス・レポート・メッセージを受信すると、バッチ・ステータスとそのバッチ内のすべてのトランザクションのトランザクション・ステータスが「拒否済」として更新されます。
Paymentsでは、支払ステータス・レポートのトランザクション・レベルでRJCT (拒否済)という失敗ステータスがサポートされます。
拒否および払戻トランザクション
銀行間決済の前に通常の実行から外されるISO 20022口座引落回収は、拒否トランザクションと呼ばれます。拒否トランザクションとその関連拒否事由は、支払ステータス・レポートに示されます。Paymentsでは、次の拒否および払戻トランザクションがサポートされます。
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ISO 20022口座引落回収メッセージの無効なフォーマット
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正しくないIBAN検証桁
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クローズ済口座
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顧客の死亡
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顧客口座による口座引落の受入拒否
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顧客からの口座引落の顧客口座への払戻要求
ISO 20022口座引落トランザクション・フロー
次の表は、Oracle Receivables、PaymentsおよびOracle General Ledger間におけるISO 2022口座引落トランザクションのフローで支払ステータス・レポートが出現するポイントを示しています。
ステップ |
Receivables |
Payments |
General Ledger |
---|---|---|---|
1 |
Receivablesは、ISO 20022口座引落入金のバッチを作成します。 |
該当なし |
該当なし |
2 |
自動送金バッチ・プロセスを使用して、Receivablesは、ISO 20022口座引落入金を処理のためにPaymentsに発行します。 |
該当なし |
該当なし |
3 |
該当なし |
Paymentsは、ISO 20022 SEPAまたはCGI精算フォーマットを使用して精算バッチを作成し、ISO 20022口座引落回収メッセージを銀行または支払システムに伝送します。 |
該当なし |
4 |
該当なし |
銀行または支払システムは、支払ステータス・レポート(このレポートはXMLメッセージとしてフォーマットされ、顧客支払ステータス・レポート(pain.002.001.03)のフォーマットに準拠します)を送信してISO 20022口座引落精算バッチの受領を承認します。 |
該当なし |
5 |
該当なし |
銀行または支払システムから承認を取得するため、通常は1日に1回、「資金取得承認の取得」プロセス(「資金取得」作業領域の「概要」ページの「タスク」ペインにあるリンク)をスケジュールして実行できます。 |
該当なし |
6 |
該当なし |
「資金取得通知」プロセスの結果は、「資金取得」作業領域の「概要」ページの「資金取得プロセス」セクションで「出力の表示」をクリックすることで参照できます。 「出力の表示」に「成功」と示された場合、ISO20022口座引落決済または決済バッチ・トランザクションは銀行または支払システムによって受け入れられました(支払処理ステータスは、「決済の管理」または「決済バッチの管理」ページの「検索結果」セクションの「ステータス」列に反映されます)。 「出力の表示」に「拒否済」と示された場合、ISO20022口座引落決済または決済バッチ・トランザクションは銀行または支払システムによって拒否されました(支払処理ステータスは、「決済の管理」または「決済バッチの管理」ページの「検索結果」セクションの「ステータス」列に反映されます)。 Paymentsは、Receivablesに、ISO 20022口座引落トランザクションの受入または拒否を通知します。 |
該当なし |
7 |
Receivablesは、Paymentsから受信した支払ステータス情報に従って、その入金のステータスを更新します。 ISO 20022口座引落トランザクションが拒否された場合、入金額の消込は取り消され、未回収資金として登録されます。 |
該当なし |
ISO 20022口座引落トランザクションが受け入れられた場合、その資金はOracle Fusion General Ledgerに計上されます。 |
ISO 20022事由コードの支払ステータスおよびエラー・コードへのマッピング
銀行または支払システムから承認ファイルを受信すると、それに受入済または拒否済のトランザクションが含まれることがあります。そのため、バッチ・ステータスは、受入済、拒否済または一部受入済になります。
承認ファイルに出現する可能性のある拒否事由は、次のレベルのPaymentsステータスおよびエラー・コードに対応しています。
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バッチ・レベル・マッピング
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トランザクション・レベル・マッピング
バッチ・レベル・マッピング
次の表は、銀行または支払システムから受信された承認ファイルに出現する可能性のあるISO 20022バッチ・レベル拒否コードと、対応するPaymentsステータス・コードを示しています。
ISO事由コード |
ISO事由コード名 |
SEPA事由 |
IBYバッチ・ステータス(IBY_BATCHES_ALL.STATUS) |
IBYステータス(IBY_TRXN_SUMMARIES_ALL.STATUS) |
---|---|---|---|---|
FF01 |
InvalidFileFormat |
オペレーション/トランザクション・コードが不正、無効なファイル・フォーマット 用途: 無効なファイル・フォーマットを示すために使用 |
1 (伝送エラー) |
101 (バッチ伝送エラー) |
トランザクション・レベル・マッピング
次の表は、銀行または支払システムから受信された承認ファイルに出現する可能性のあるISO 20022トランザクション・レベル拒否コードと、対応するPaymentsステータス・コードを示しています。
ISO事由コード |
ISO事由コード名 |
SEPA事由 |
IBYステータス(IBY_TRXN_SUMMARIES_ALL.STATUS) |
---|---|---|---|
AC01 |
IncorrectAccountNumber |
口座識別子が不正(無効なIBAN) |
5 (支払システム・エラー) |
AC04 |
ClosedAccountNumber |
口座クローズ済 |
19 (無効な銀行口座) |
AC06 |
BlockedAccount |
口座ブロック済 債務者による口座引落の口座のブロック |
5 (支払システム・エラー) |
AG01 |
TransactionForbidden |
規制上の事由のためこの口座での口座引落禁止 |
5 (支払システム・エラー) |
AG02 |
InvalidBankOperationCode |
オペレーション/トランザクション・コードが不正、無効なファイル・フォーマット 用途: 不正なオペレーション/トランザクション・コードを示すために使用 |
5 (支払システム・エラー) |
AM04 |
InsufficientFunds |
決済資金不足 |
17 (決済資金不足) |
AM05 |
Duplication |
重複回収 |
無視。通常、当初トランザクションは正しく承認されます。 |
BE01 |
InconsistentWithEndCustomer |
債務者名と口座名義人名の不一致。 |
5 (支払システム・エラー) |
FF01 |
InvalidFileFormat |
オペレーション/トランザクション・コードが不正、無効なファイル・フォーマット 用途: 無効なファイル・フォーマットを示すために使用 |
5 (支払システム・エラー) |
MD01 |
NoMandate |
依頼なし |
5 (支払システム・エラー) |
MD02 |
MissingMandatoryInformationInMandate |
依頼データの欠落または不正 |
5 (支払システム・エラー) |
MD07 |
EndCustomerDeceased |
債権者の死亡 |
5 (支払システム・エラー) |
MS02 |
NotSpecifiedReasonCustomerGenerated |
債務者による拒否 |
5 (支払システム・エラー) |
MS03 |
NotSpecifiedReasonAgentGenerated |
事由の指定なし |
5 (支払システム・エラー) |
RC01 |
BankIdentifierIncorrect |
銀行識別子が不正(無効なBIC) |
5 (支払システム・エラー) |
RR01 |
MissingDebtorAccountOrIdentification |
規制上の事由 |
5 (支払システム・エラー) |
RR02 |
MissingDebtorNameOrAddress |
規制上の事由 |
5 (支払システム・エラー) |
RR03 |
MissingCreditorNameOrAddress |
規制上の事由 |
5 (支払システム・エラー) |
RR04 |
RegulatoryReason |
規制上の事由 |
5 (支払システム・エラー) |
SL01 |
DueToSpecificServiceOfferedByDebtorAgent |
債務者銀行の提供による特定のサービス |
5 (支払システム・エラー) |
事由コードは、IBY_TRXN_SUMMARIES_ALL.BEPCODE表に格納されます。