勘定科目階層を使用した一般会計残高キューブ・レポートのレポート

一般会計残高キューブは、勘定体系と会計カレンダの一意の組合せによって区別されます。

残高キューブでは、すべてのツリーおよびツリー・バージョン、およびそれらの残高キューブに公開されているすべての勘定体系ディメンションについて、要約された勘定科目残高が保持されます。公開されているツリーおよびツリー・バージョンの詳細勘定科目残高は、定義済の勘定科目階層積上に従って要約されます。

勘定科目階層の日付有効バージョンを表すために、ツリーおよびツリー・バージョンがアプリケーションで定義されます。これらは、法定レポートと管理レポートなど、様々な目的で編成され、各ツリー・バージョンに有効日範囲が割り当てられます。

ただし、この日付有効性は残高キューブの実績属性ではありません。むしろ、それは暗黙の特徴です。ユーザーは、選択した各ツリーおよびツリー・バージョンの重要性、およびそれらのツリー・バージョンが表す組織のロールアップの有効日を知る必要があります。これにより、前年比の財務結果の比較を簡単に実行できます。

たとえば、このユーザーが決定した管理では、両方の番号セットの親勘定科目値に対して同じツリー・バージョン・ロールアップを使用して、会計年度23と会計年度22の財務結果をレポートできるため、それらの間で一貫した比較が行われます。

ユーザーは、親勘定科目値に前年のツリー・バージョン・ロールアップを使用するか、現行年のツリー・バージョン・ロールアップを使用して、両方の年の結果に関するレポートを選択できます。また、会計年度23のロールアップを使用して、会計年度22のロールアップと会計年度23の結果を使用して、会計年度22の結果についてレポートすることもできます(必要な場合)。

勘定科目階層に基づくセグメント値セキュリティ・ルール

保護された勘定科目値へのアクセス権を効率的に付与する方法として、ビジネス機能ポリシー別にセグメント値セキュリティの勘定科目階層を参照できます。

階層演算子「次の子孫」および「次の最後の子孫」を、指定されたツリーとともに使用して、セキュリティ・ルール条件内の親勘定科目値への参照を許可します。つまり、権限付与は、該当するツリー・コードおよびツリー・バージョンに定義されている勘定科目階層に従って、その親値およびそのすべての子孫(「子孫」演算子を使用)またはその親とその詳細値の子孫(「次の最後の子孫」演算子を使用)へのアクセスを提供します。

ノート: ルールに指定するツリーはフラット化する必要があります。これは、フラット化する必要がない残高キューブに公開されるツリーとは対照的です。セキュリティ・ルールで残高キューブに公開されているツリーを参照する場合は、ツリーをフラット化する必要があります。そうしないと、残高キューブ・ベースのレポートおよび問合せでセキュリティ強制が機能しません。

勘定体系構造設定の「デフォルト階層」値で指定されているように、勘定体系内の各セグメントに個別のツリー・コードが関連付けられますが、セキュリティ・ルールは、保護された値セットに定義されている任意のツリー(階層)を参照できます。

ルールで指定するツリー・バージョンは、どの親値から選択してセキュリティ・ルール条件に添付できるかを決定する目的でのみ使用されます。実行時に、有効日が現在のシステム日付と交差する有効日を持つルールで参照されるツリーのバージョンを識別するために、有効日が適用されます。アプリケーションは、このツリー・バージョンに基づいて、その階層セキュリティ・ルール割当によって付与される、そのツリーの参照先親値に対してアクセス可能な子孫勘定科目値のリストを導出します。

残高キューブの照会およびレポートでは、これらのセキュリティ付与は、指定した階層のすべてのバージョン、およびGL残高キューブに公開されている指定した階層の同じ値セットに関連付けられているすべての階層に適用されます。セキュリティ・ルールに親値に対する特定のツリーおよびツリー・バージョンがありますが、そのルールによって付与された導出された勘定科目値のセットは、その同じ親値が引用され、GL残高キューブ・ベースの照会およびレポートで示される他のすべての公開済ツリーおよびツリー・バージョンに等しく適用されます。

この例では、階層に基づくセグメント値セキュリティ・ルールの付与によって、アクセス可能な値のリストを導出する際に、現在の有効なツリー・バージョンが適用されることを強調しています。これは、ユーザーがロールアップに使用するツリーおよびツリー・バージョンを正確に制御する、残高キューブの照会およびレポートのツリーおよびツリー・バージョンへの参照とは対照的です。

この表は、この例の階層、階層バージョン、親値および親値の子孫を示しています。

階層	階層バージョン	親値	親および詳細値の子孫
管理	2023	100	詳細101 親200、詳細値201、202、203 親300、詳細値301、302
管理	2024	100	親200、詳細値101、201、202 親300、詳細値301、302
地理	2023	100	親200、詳細値201 親300、詳細値301、302 親400、詳細値401、402

たとえば、これらの属性を使用してルールが定義されているとします。

演算子: 次の子孫
値: 自: 100
ツリー・コード: 管理
ツリー・バージョン: 2023

付与される保護された値をアプリケーションで決定する方法を次に示します。

アプリケーションは、現在のシステム日付(2024年1月1日)に基づいて有効な階層(ツリー)バージョンを導出します。この例では、バージョン2024です。
次に、アプリケーションはルール条件を適用して、保護された値のリストを取得します。この例では、付与される保護された値は100、200、101、201、202、300、301および302です(親値100およびツリー・バージョン2024のすべての子孫)
この値リストには、管理階層のすべてのバージョン、およびセグメントの値セットに関連付けられたすべての階層からアクセスできます。つまり、管理階層または地理階層の任意のバージョンに対してレポートを選択した場合、値リストにアクセスできます。
ノート: 管理階層バージョン2023の値203と、地理階層バージョン2023の値400、401および402は、地理階層の有効な2024ツリー・バージョンの一部ではないため、アクセスできません。

データ入力のために、アクセス可能な子孫セグメント値のこの有効日リストは、その特定の時点についてユーザーが使用できます。

残高キューブを使用した照会およびレポートのために、勘定体系セグメントまたはディメンションの保護された値セットの公開済ツリーおよびツリー・バージョンすべてに対して、アクセス可能な子孫セグメント値の同じリストを使用できます。ユーザーが選択したツリーおよびツリー・バージョンに基づいて、参照先の親勘定科目のアクセス可能な子孫セグメント値の残高データがそれに応じて表示されます。ユーザーには、特定の親値へのアクセス権を付与することもできます。その場合、その親値に対して表示される要約残高は、その特定の積上に関係するすべての子孫へのアクセス権がユーザーに付与されているかどうかに関係なく、レポート目的で選択したツリーおよびツリー・バージョンの積上と一致します。

ノート: 照会またはレポートに対する勘定科目値の選択プロセス中に、勘定体系セキュリティは適用されません。ユーザーは、保護された値セットから任意のディメンション・メンバーまたは勘定科目値を自由に選択できます。セキュリティは、その問合せまたはレポートの結果を取得する場合にのみ適用され、ユーザーがアクセス権を持つディメンション・メンバーの残高データのみが表示されます。

アプリケーションがセキュリティ・ルールに有効日を動的に適用する利点は、ルールが自己管理されることです。このメソッド論は、トランザクションまたは財務データの作成に関して、ほとんどの場合、リアルタイムの演習です。

比較レポート(前年比財務レポートなど)では、集計残高をコンピュートするためのロールアップの基礎として、以前のツリー・バージョンが使用される場合があります。これにより、照会またはレポートで参照される前のツリー・バージョンのロールアップに基づいて、その親の子孫勘定科目へのアクセスに不一致が生じる場合があります。考えられる解決策は、セキュリティ・ルールで別の階層を使用することです。この階層には、ユーザーが照会またはレポートする必要があるすべての勘定科目値が含まれ、これらの勘定科目値を持つトランザクションを入力するユーザー権限を制限するために読取り専用でアクセス権を付与します。

残高キューブの階層ルールで親勘定科目参照を使用する場合の考慮事項

ユーザーが、必要な財務データを表示するための適切な保護された値付与を取得していることを確認します。

残高キューブの照会およびレポート(勘定科目モニター、Smart View、Financial Reportingなど)で参照されているように、ツリーに従って親値に同期する階層ルールを定義することをお薦めします。

特定の親値の子孫勘定科目へのアクセスは、別のツリーに基づいてその親値の要約勘定科目残高に積み上げられる子孫勘定科目と同期している必要があります。そうしないと、親値には他のツリーの適切な要約残高が表示されますが、子孫の残高のレポートに表示される詳細内訳は、これらの子孫の値にアクセスできないため、一貫して合計されない可能性があります。

この懸念事項は、照会およびレポート定義で参照されるツリーが、親値参照を持つセキュリティ・ルールで使用されているものとまったく同じ場合にも適用されます。これは、ルール割当の付与を決定するときに適用される動的有効日バージョン・ロールアップに違いがあるためです。さらに、ルールで使用されているものとは異なるツリー照会やレポート定義を使用することも可能であり、その結果、格差がさらに顕著になる可能性があります。