リースの分類のガイドライン
リースは、ファイナンス・リースまたはオペレーティング・リースのいずれかです。Oracle Assetsでは、リース・タイプに応じて、異なる方法でリース経費が認識されます。
ファイナンス・リース
リースは、リースの開始時に次の条件のいずれかが満たされると、ファイナンス・リースとして分類されます。
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リースは、基礎となる資産の所有権を、リース期間終了時に賃借人(組織)に譲渡します。
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リースによって、賃借人が合理的に権利行使できる金額で基礎となる資産を購入するために、賃借人にオプションが付与されます。
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リース期間は、基礎となる資産の残りの経済的耐用期間の主要部分を対象とします。
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リース支払の合計額およびリースにまだ反映されていない賃借人による保証された残余価額の合計の現在価値は、基礎となる資産すべての公正価格と等しいか、実質的にそれを超える金額です。
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基礎となる資産は、リース期間の終了時に賃貸人に代替の使用がない特殊な性質を持つことになります。
リースがファイナンス・リースの場合、次のタイプの費用を個別に認識する必要があります。
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リース負債の利息
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使用権資産の償却や減価償却
リース支払を行うと、支払利息に加えて、そのリース義務に対する資産返済が発生します。財務諸表へのこの影響を示すには、支払期日の支払利息を認識し、リース負債残高に追加する必要があります。賃貸人に対してリース支払を行うと、リース負債の残高が減少します。
償却スケジュールでは、リース負債の計算に含まれる各リース支払の利息金額、元金の差引額、および利息支払期日が計算されて格納されます。支払利息は、利息支払期日が含まれる期間で認識されます。
支払頻度が年次、四半期または半期のリースの場合、支払利息はそれぞれ年、四半期または半期ごとに1回認識されます。リースに月次プロビジョニングが必要な場合は、一般会計に月次プロビジョニング反復仕訳を作成します。
ファイナンス・リース資産の減価償却は、減価償却方法、按分方法、按分用カレンダなどの標準減価償却ルールを使用した、所有資産計上資産の減価償却と同じです。リース資産を追加すると、方法や耐用期間などの減価償却ルールが、カテゴリからデフォルト設定されます。必要に応じて、デフォルトのルールを上書きできます。
支払利息
各期間について「リース利息およびリース経費の計算」プロセスを実行し、資産台帳のリース負債の支払利息を認識します。このプロセスは、「資産」ページの「減価償却」情報タイルから簡単に実行できます。この期間は、台帳内のすべてのファイナンス・リース資産に対してリース支払利息を計算せずにクローズすることはできません。
次の表に、175 USDの支払利息に対する会計仕訳の例と、1000 USDのリース支払に対する負債の差引額を示します。
勘定科目 |
借方金額(USD) |
貸方金額(USD) |
---|---|---|
リース支払利息 |
175 |
|
リース負債 |
175 |
|
リース負債 |
1,000 |
|
リース精算 |
1,000 |
支払利息勘定の場合、勘定科目を除くすべてのセグメントが、資産割当の減価償却費勘定からデフォルトで移入されます。勘定科目はカテゴリのデフォルト勘定科目から移入されます。負債勘定は資産のアクティブな負債勘定です。
Assetsは、リース精算勘定を請求書配分勘定として使用してリース支払請求書を生成し、リース支払請求書をOracle Payablesに転送します。買掛管理から、資産ソースを使用して「買掛/未払金請求書のインポート」プロセスを実行し、リース支払請求書をインポートします。
次の表に、10000 USDの請求書の会計仕訳の例を示します。
勘定科目 |
借方金額(USD) |
貸方金額(USD) |
---|---|---|
リース精算 |
10,000 |
|
サプライヤの負債 |
10,000 |
例に示すリース請求書の支払を行うと、10,000のサプライヤ負債がゼロになります。リース期間の終了時に、リース資産とそのリース負債の純帳簿価額がゼロになります。
資産照会を実行すると、その結果には、定期利息金額、年累計利息金額、利息修正金額およびリースおよび負債残高を含むリース利息残高が表示されます。
オペレーティング・リース
ファイナンス・リースになる条件を満たしていないリースは、オペレーティング・リースと呼ばれます。リースがオペレーティング・リースの場合、1つのリース経費を認識する必要があります。この経費は、定額法ベースでリース期間の合計コストを償却するように計算されます。
各期間のオペレーティング・リース経費は、定額法ベースで残りのリース期間の開始時に残りのリース期間の償却費として計算されます。残りのリース経費は、資産の純帳簿価額にリース負債の未回収利息を加えて計算されます。
オペレーティング・リースは減価償却されません。オペレーティング・リース資産を追加すると、「資産の追加」ページまたは「ソース明細の編集」ページで「減価償却費計上」チェック・ボックスが自動的に選択解除されます。「減価償却の計算」プロセスを実行すると、オペレーティング・リースに対する減価償却は計算されません。
支払利息
「リース利息およびリース経費の計算」プロセスを実行して、オペレーティング・リース経費を計算し認識します。この期間は、台帳内のすべてのオペレーティング・リース資産に対してオペレーティング・リース経費を計算するまではクローズできません。
次の表は、オペレーティング・リース経費および負債の差引額の会計仕訳の例を示しています。
勘定科目 |
借方金額(USD) |
貸方金額(USD) |
コメント |
---|---|---|---|
オペレーティング・リース経費 |
1,200 |
該当なし |
|
リース負債 |
900 |
リース負債の利息 |
|
減価償却累計額 |
300 |
300 = 1,200 - 900 |
|
リース負債 |
1,000 |
リース支払金額 |
|
リース精算 |
1,000 |
リース支払金額 |
リース期間の終了時に、リース資産とそのリース負債の純帳簿価額は両方ともゼロになります。
オペレーティング・リース経費勘定科目の場合、勘定科目を除くすべてのセグメントが、資産割当の減価償却費勘定から移入されます。勘定科目はカテゴリのデフォルト勘定科目から移入されます。負債勘定は資産のアクティブな負債勘定です。減価償却累計額勘定は、ファイナンス・リース資産と所有資産の減価償却会計に使用されるものと同じロジックを使用して導出されます。
オペレーティング・リース経費が当期間で認識された後に、トランザクションが発生した場合、認識されているリース経費は自動的にロールバックされます。新規トランザクションを含めるには、「リース利息およびリース経費の計算」プロセスを再実行する必要があります。
前日付オペレーティング・リースに対し、キャッチアップ・オペレーティング・リース経費は計算されません。オペレーティング・リース使用権資産を追加するとき、または資産が追加された期間をクローズする前に、開始減価償却累計額を手動で入力する必要があります。