マイルストン請求および収益認識

マイルストンは1回定義すれば、契約定義から作業プランニング、さらに最終的には請求、収益認識またはその両方に至るまで、ライフサイクル全体にわたって追跡できます。

契約管理者は、マイルストン・ベースの固定価格契約でマイルストンおよび対応する請求金額を作成します。契約が承認されると、契約に定義されているマイルストンがプロジェクト・プランに自動的に表示されます。プロジェクト・マネージャは、詳細なプランを作成し、成果物を追跡し、マイルストンの進捗をモニターします。マイルストンが達成されると、プロジェクト・マネージャは利害関係者の承認のためにマイルストンを送信します。承認されると、関連付けられた請求イベントが、請求、収益認識またはその両方に対して自動的に有効になります。
ノート: マイルストンは主に固定価格契約で使用されるものですが、どの請求方法に対してもマイルストンを作成できます。たとえば、時間と資材ベースの契約では、プロジェクトを予定より早く納品した場合にパフォーマンス・ボーナスを請求することがあります。これはマイルストーンを使用して実現できます。

マイルストンとは

マイルストンは、重要な単一の特定の時点のイベントで、次の特徴があります
  • 顧客との契約上の義務を表す場合があります
  • プロジェクト・プランでスケジューリング目的で使用する場合があります
  • 関連する成果物がある場合があります
  • 請求および収益認識の開始のためにプロジェクト・プランで使用する場合があります
  • コストを直接負うことはできません
  • ステータスが設定されていて、完了進捗を簡単に追跡できます
  • 完了前にレビューおよび承認が必要な場合があります

どの財務タスクもマイルストンとしてマークできますが、マイルストンベースの請求および収益認識のマイルストンとして認識されるのは、プロジェクト・プランの最下位レベルで期間がゼロのマイルストンのみです。さらに、マイルストンの請求および収益認識では、請求可能なマイルストンのみが考慮されます。

注意点

  • 会社間契約にはマイルストンを定義できません。
  • マイルストン金額は契約通貨でのみ入力できます。
  • 「品目の許可」オプションが有効になっているイベント・タイプは、マイルストンに使用できません。

マイルストン請求および収益認識プロセスに関連する各ステップについて、次の例で説明します。

マイルストン請求の例

次に紹介する例では、ある企業がソフトウェア実装プロジェクトの履行契約を顧客と締結します。この契約では、プロジェクトの各フェーズの完了時に顧客に固定料金が請求されます。プロジェクトには、分析、設計、ビルド、テストおよび導入のフェーズがあります。これらのフェーズはプロジェクト・プランの最上位タスクとして表現されます。マイルストンは各フェーズの完了および請求の追跡に使用されます。ただし収益の認識には、このエンゲージメントの消費率方法が使用されます。

この例では、契約の合計価額は$1,000,000です。顧客とのネゴシエーションに基づいて、各マイルストンの完了時に請求が発生し、各マイルストンの請求金額は事前決定されます。

マイルストンの定義

このステップでは、契約管理者が契約および契約明細を作成し、1つ以上のプロジェクトを契約明細に関連付けてから、関連付けたプロジェクトのマイルストン詳細を契約明細の「マイルストン」タブに入力します。契約明細に定義されるマイルストンのコンテキストは常に、アクティブ・ステータスの契約明細に関連付けられているプロジェクトになります(「関連プロジェクト」タブの定義のとおり)。この例では、契約管理者が契約明細にFox Stores HCM Implementationプロジェクトを関連付けます。関連はプロジェクト・レベルです。オプションで、マイルストンが関連プロジェクトにすでに存在する場合は、「プロジェクト・プランから追加」オプションを使用して、マイルストンを契約明細に追加できます。

既存のプロジェクト・プラン・マイルストンを契約明細に追加できるのは、次の場合のみです:
  • 契約明細にまだ関連付けられていない。
  • 期間がゼロである。
  • 請求可能なマイルストンである。
  • ステータスが「完了」ではない。

「マイルストン」タブの「プロジェクト・プランでのマイルストン日変更の許可」チェック・ボックスを使用して、プロジェクト・プランに作成されたマイルストンの計画終了日をプロジェクト・マネージャが後の日付に更新できるようにするかどうかを制御します。たとえば顧客契約で、特定の日付までにマイルストンを完了することが全額請求の条件になっている場合、このチェック・ボックスを無効にできます。プロジェクト・マネージャは指定された計画終了日までにマイルストンを完了する必要があります。マイルストンを計画終了日までに完了できない場合、新しい計画終了日および必要な場合は請求金額の変更を契約修正を通じて入力できます。

デフォルトで、このチェック・ボックスは有効になっていますが、下書き契約でマイルストンを作成しているときにこのオプションを無効にできます。このオプションは、契約明細に定義されているすべてのマイルストンに適用されることに注意してください。契約が承認された後にこのオプションを変更する場合は、契約修正を使用する必要があります。

この例では、マイルストン完了日は契約で縛られていないため、「プロジェクト・プランでのマイルストン日変更の許可」チェック・ボックスを有効にします。プロジェクト・プランに作成されたマイルストンの計画終了日をプロジェクト・マネージャが変更した場合、新しい日付が「マイルストン」タブに反映されます。

この例で契約管理者が定義するマイルストンは次のとおりです。

契約明細マイルストン詳細

マイルストン名 金額(USD) プロジェクト名 親タスク名 計画終了日 イベント・タイプ イベント摘要 ステータス 請求に適格 収益の認識
Analysis Completion 100,000

Fox Stores HCM Implementation

Analysis 1/31/24 Milestone Invoice Fee Analysis Completion Milsetone Fee 未開始 はい いいえ
Design Completion 100,000

Fox Stores HCM Implementation

Design 5/2/24 Milestone Invoice Fee Design Completion Milsetone Fee 未開始 はい いいえ
Build Completion 250,000

Fox Stores HCM Implementation

Build 7/3/24 Milestone Invoice Fee Build Completion Milsetone Fee 未開始 はい いいえ
Test Completion 250,000

Fox Stores HCM Implementation

Test 8/30/24 Milestone Invoice Fee Test Completion Milsetone Fee 未開始 はい いいえ
Go Live 300,000

Fox Stores HCM Implementation

Rollout 11/29/24 Milestone Invoice Fee Go Live Milsetone Fee 未開始 はい いいえ

この例に基づいて、次のフィールドについて詳しく説明します。

フィールドと摘要

フィールド タイプ 摘要
マイルストン名 必須 契約明細で手動定義するマイルストンの場合、プロジェクト・プランでマイルストンを作成するときにこの値が使用されます。契約明細に追加される既存のプロジェクト・プラン・マイルストンの場合、この値はプロジェクト・プラン・マイルストン名を使用して自動的に移入されます。

プロジェクト・マネージャは、プロジェクト・プランに作成されたマイルストンの名前をいつでも変更できます。プロジェクト・マネージャが変更を加えた場合、契約明細のマイルストンを表示したときにその変更内容が反映されます。

金額 必須 請求または収益認識(あるいはその両方)に使用される契約通貨でのマイルストン金額。契約明細金額または関連プロジェクト資金供給額のある契約明細については、定義されているマイルストン金額合計は検証されません。
プロジェクト名 必須 契約明細でマイルストンを作成できるプロジェクトは、アクティブなステータスの契約明細に関連付けられているプロジェクトのみです。
親タスク名 条件付き必須 プロジェクトがタスク・レベルで契約明細に関連付けられている場合、このフィールドは必須です。マイルストンはプロジェクト関連で指定されているタスク以下の要約タスクに作成することができます。

プロジェクトがプロジェクト・レベルで契約明細に関連付けられている場合、このフィールドはオプションです。

親タスクの下にマイルストンを作成するときには、サブタスクの作成の場合と同じビジネス・ルールが適用されます。つまり、プロジェクト・プランの既存の最下位レベルのタスクの下にマイルストンを定義した場合、そのタスクは要約タスクとなり、コストを発生できなくなります。

プロジェクト・プランに作成されたマイルストンの親タスクをプロジェクト・マネージャが変更する場合、変更後の親が、契約明細へのプロジェクト関連レベルによって決定される階層内にあることが必要です。プロジェクト・マネージャが加えた変更は、契約明細の「マイルストン」タブに反映されます。

計画終了日 必須 マイルストンを手動で作成するときに、計画終了日は、マイルストンの親(プロジェクトまたはプロジェクト内の要約タスクのいずれか)の開始日と契約明細開始日のいずれか遅い方の日付にデフォルト設定されます。

計画終了日は、マイルストンの親(プロジェクトまたはプロジェクト内の要約タスクのいずれか)の開始日と終了日の間にある日付である必要があります。また、計画終了日は契約明細の有効日の範囲内である必要があります。

スポンサード・プロジェクトに対してマイルストンが定義されている場合、交付前の日付とクローズ日も考慮されます。つまり、マイルストンの計画終了日は、交付前の日付と契約明細開始日のいずれか早い方の日付以降であり、クローズ日と契約明細終了日のいずれか遅い方の日付以前である必要があります。

既存のプロジェクト・プラン・マイルストンを契約明細に追加する場合、このフィールドには、プロジェクト・プラン・マイルストンの計画終了日が自動的に移入されます。「プロジェクト・プランでのマイルストン日変更の許可」チェック・ボックスが選択されている場合、契約管理者は計画終了日を更新できません。

イベント・タイプ 必須 マイルストンに対して選択したイベント・タイプは、対応する請求イベントの最初の作成時に使用され、マイルストン請求イベントの用途が請求、収益認識、その両方のどれであるかを決定します。

契約承認時にマイルストン請求イベントが作成された後、プロジェクト請求スペシャリストは請求イベント上のイベント・タイプを変更できます。請求イベントのイベント・タイプに加えた変更は、「マイルストン」タブに反映されます。

請求に適格 表示のみ マイルストンで選択されたイベント・タイプに請求書適格フラグを表示します。
収益の認識 表示のみ マイルストンで選択されたイベント・タイプに収益認識適格フラグを表示します。
イベント摘要 必須 このフィールドには最初にマイルストン名が移入されますが、これは更新可能です。入力した値は、マイルストンの請求イベントの初期作成時に使用されます。プロジェクト請求スペシャリストは請求イベント上のイベント摘要を更新できます。請求イベントの「イベント摘要」の値に加えた変更は、「マイルストン」タブに反映されます。
ステータス 表示のみ このフィールドには、プロジェクト・プランの請求可能マイルストンのステータスが表示されます。契約明細で手動で定義されたマイルストンの場合、ステータスは最初は「未開始」です。プロジェクト・プランから契約明細に追加された請求可能マイルストンの場合、プロジェクト・プラン・マイルストンのステータスが表示されます。

「未開始」から「進行中」への変更など、プロジェクト・プラン・マイルストンのステータスに加えた変更は、「マイルストン」タブに反映されます。

契約の承認

マイルストン詳細を入力した後に、契約管理者は承認を受けるため契約を送信します。契約が承認されると、関連するプロジェクト・プランにマイルストンが存在しない場合はマイルストンが作成されます。
ノート: 下書き契約を取り消す際に、それらのマイルストンを別の契約の契約明細に関連付ける場合は、追加していたマイルストンを、まず既存のプロジェクト・プランから削除してください。

マイルストン詳細

タスク番号 タスク名 マイルストン ステータス 計画開始日 計画終了日
FOXIMPL101 Fox Stores HCM Implementation 1/1/24 11/29/24
1.0 Analysis 1/1/24 1/31/24
1.1 Requirements Gathering 1/1/24 1/19/24
1.2 Conference Room Pilot 1/22/24 1/30/24
1.3 Analysis Completion はい 未開始 1/31/24 1/31/24
2.0 Design 2/1/24 5/2/24
3.0 Build 5/2/24 7/3/24
4.0 Test 6/3/24 8/30/24
5.0 Rollout 8/31/24 11/29/24

「財務プロジェクト・プランの管理」ページでタスクの詳細を表示できます。

ノート: 契約明細で定義されたマイルストンを契約承認時にプロジェクト・プランに作成できない場合、契約明細の「マイルストン」タブ内でそのマイルストンに例外アイコンが表示されます。例外の原因を解決した後、契約明細の「マイルストン」タブの「プロジェクト・プラン・マイルストンおよびイベントの保守」処理を使用して、プロジェクト・プラン・マイルストンの作成を再度開始できます。この処理を開始する際に、契約の修正は必要ありません。

プロジェクト・プランでのマイルストンの作成に加えて、契約承認時に、各マイルストンに対応する請求イベントも作成されます。請求イベントの金額、完了日、関連のプロジェクトおよびタスクの値は変更できません。

イベント・タイプによって決定されるとおり、マイルストン請求イベントが請求に使用される場合、請求イベントは「マイルストン未完了」の請求書の保留ステータスで作成されます。これは、手動で削除できないシステム保留です。プロジェクト・プランのマイルストンが完了すると、このシステム保留は自動的に削除されます。同様に、マイルストン請求イベントが収益認識に使用される場合は、請求イベントは「マイルストン未完了」の収益の保留ステータスで作成されます。このシステム保留は、対応するマイルストンのステータスが「完了」になったときに自動的に削除されます。

請求イベントの完了日は、マイルストンの完了時にマイルストンの実績終了日に自動的に更新されます。

プロジェクト請求スペシャリストは、「イベントの管理」ページでマイルストンベースのイベントを表示できます。

マイルストンの完了および請求と収益認識の実行

マイルストンの達成後、プロジェクト・マネージャは、プロジェクト・プラン・マイルストンのステータスを「完了」に更新するか、マイルストン完了承認ワークフロー・プロセスを開始します(必要な場合)。

マイルストンのステータスが正常に「完了」に更新されると、対応する請求イベントの「マイルストン未完了」の請求書保留および収益保留ステータスが自動的に削除され、請求イベントの完了日がプロジェクト・プラン・マイルストンの実績終了日に更新されます。マイルストンベースの請求イベントが、請求、収益認識またはその両方に適格になりました。