Enterprise Managerのデプロイメント間でのフリート・メンテナンス・ゴールド・イメージの移行

フリート・メンテナンスでは、フリート・デプロイメント間でゴールド・イメージを移行することで、Enterprise Managerの個別のインストール間で更新、ソフトウェア・イメージおよびそのメタ・データを送信できます。このユースケースは、開発用と本番用の2つのEnterprise Managerのインストールがある場合に特に役立ちます。

開発インスタンスでパッチ適用とソフトウェア・イメージをテストして、問題がなければ、すべてのソフトウェア・イメージとそのメタ・データを本番Enterprise Managerに移動できます。これにより、すべてのソフトウェア・イメージを本番Enterprise Managerで再作成する必要がなくなります。インストール済のホームからソフトウェア・イメージを作成すると時間がかかります。

ノート:

別のEnterprise Managerパッチからエクスポートされたゴールド・イメージからゴールド・イメージをインポートする場合、Enterprise Managerのパッチ情報が使用可能な場合にのみ、説明がdescribeImage内に表示されます。パッチの説明は、新しいパッチを含むOracleホームがプロビジョニングまたは検出されると使用可能になります。

フリート・メンテナンス・ゴールド・イメージの移行のステップ

フリート・メンテナンス・ゴールド・イメージ、そのソフトウェア・イメージとメタデータの移行は、次の3つの主なステップに分けることができます。
  1. ゴールド・イメージのエクスポート・コマンドを使用して、ソースのEnterprise Managerソフトウェア・ライブラリからステージングの場所にゴールド・イメージをエクスポートします。
  2. オプションとして、宛先のEnterprise Managerエージェントがアクセスできる場所にゴールド・イメージをコピーします。
  3. ゴールド・イメージのインポート・コマンドを実行して、宛先のEnterprise Managerソフトウェア・ライブラリにゴールド・イメージ・ファイルをインポートします。対応するメタ・データが、フリート・ブックキーピング表とビューに書き込まれます。

フリート・メンテナンス・ゴールド・イメージのエクスポートおよびインポートの前提条件

Enterprise Managerのインストール間でゴールド・イメージを移行する前に、まず、次の項目を確認してください。
  • 指定した移行元と移行先のホストが、Enterprise Managerで認識可能なターゲットであることを確認します。
  • 指定した移行先ホストが、Enterprise Manager内の管理対象ターゲットであることを確認します。
  • 指定した記憶域の場所が有効であることを確認します。

フリート・メンテナンス・ゴールド・イメージのフリート・ファイルをエクスポートおよびインポートするステップ

  1. 最初に、次のパラメータを使用して、export_gldimg.propファイルを作成する必要があります。
    • IMAGE_NAME: エクスポートする必要があるイメージの名前
    • IMAGE_ID: エクスポートする必要があるイメージのID

      ノート:

      IMAGE_NAMEまたはIMAGE_IDは必須です
    • VERSION_NAME: エクスポートする必要があるイメージ・バージョンの名前
    • VERSION_ID: エクスポートする必要があるイメージ・バージョンのID

      ノート:

      バージョンの詳細が渡されない場合は、状態が"Current"のバージョンがエクスポートされます。Version_NameまたはVersion_IDは必須です
    • DEST_HOST_NAME: ゴールド・イメージ・バンドルを格納するホスト名(必須)
    • DEST_HOST_CRED: ホストの通常資格証明(必須)
    • GOLD_IMAGE_BUNDLE_LOCATION: ゴールド・イメージ・バンドルを格納する場所(必須)
    • GOLD_IMAGE_BUNDLE_NAME: ゴールド・イメージ・バンドルの名前(オプション)
    • workingDirectory: デフォルトでは、/tmpが作業ディレクトリです(オプション)

    ノート:

    移行先ホストの名前、移行先ホストの資格証明、イメージIDまたはイメージ名、ゴールド・イメージ・バンドルの場所は必須パラメータです。こうしたパラメータは実行時にチェックされ、またはNullの場合はエラーを戻します。
    export_gldimg.propファイルのサンプルは、次のようになります。
    IMAGE_ID=8BBCE9315DEB1C27E05388947B0AF101
    IMAGE_NAME=18.3 patched SI Home
    VERSION_ID=8BBCC9E029AF7B18E05388947B0AB627
    DEST_HOST_NAME=example.sample.com
    DEST_HOST_CRED=USER1:SYSMAN
    GOLD_IMAGE_BUNDLE_LOCATION=/scratch/<file_path>/goldimage
    GOLD_IMAGE_BUNDLE_NAME=ExportGoldImage.zip
  2. export_gldimg.propを作成したら、exportSoftwareImage フラグを指定して、db_software_maintenance EM CLI動詞を実行します。次の例を参照してください。
    emcli db_software_maintenance -exportSoftwareImage
        -input_file=”data:<file_path>/export_gldimg.prop”

    ノート:

    問題を回避するために、Windowsフリート・メンテナンス操作では短いファイル・パスを使用することをお薦めします。入力ファイル内の作業ディレクトリの場所は、workingDirectory=C:\tempのような短いファイル・パスで渡すことができます。
    完了すると、フリート・メンテナンス・ゴールド・イメージは正常にエクスポートされています。
  3. インポートを開始するには、まず、次のパラメータでimport_gldimg.propファイルを作成する必要があります。
    • IMAGE_NAME: インポートしたイメージに使用するゴールド・イメージ名(必須)。
    • HOST_NAME:ゴールド・イメージ・バンドルを格納するホスト名(必須)
    • HOST_CREDENTIAL: ホストの通常資格証明(必須)。
    • GOLD_IMAGE_BUNDLE_NAME: ゴールド・イメージzipファイルのバンドル名(必須)。
    • GOLD_IMAGE_BUNDLE_LOCATION: ゴールド・イメージ・バンドルの場所(必須)。
    • IMAGE_DESCRIPTION: インポートしたイメージの説明(オプション)。
    • IMAGE_SWLIB_LOC: ソフトウェア・ライブラリ内のイメージ・コンポーネントの場所(必須)。
    • workingDirectory: デフォルトでは、/tmpが作業ディレクトリです。別のパスが必要な場合に指定します(オプション)。
    • STORAGE_TYPE_FOR_SWLIB: ソフトウェア・ライブラリの記憶域のタイプ(必須)。
    • STORAGE_NAME_FOR_SWLIB: ソフトウェア・ライブラリの記憶域の名前(必須)。
    • VERSION_NAME: インポートしたイメージのバージョン名(オプション)。

    ノート:

    ゴールド・イメージ・バンドルの名前、場所、ホストの名前と資格証明、記憶域の名前、タイプと場所、作業ディレクトリは必須パラメータです。こうしたパラメータは実行時にチェックされ、またはNullの場合はエラーを戻します。
    import_gldimg.propファイルのサンプルは、次のようになります。
    IMAGE_NAME=18.3 SI Home import1
    HOST_NAME=example.sample.com
    HOST_CREDENTIAL=USER1:SYSMAN
    GOLD_IMAGE_BUNDLE_LOCATION=/scratch/<file_path>/goldimage183
    GOLD_IMAGE_BUNDLE_NAME=ExportGoldImage183.zip
    IMAGE_DESCRIPTION=Gold Image for 18.3 SI Home - import
    IMAGE_SWLIB_LOC=Database ProvisioningProfiles/<db version>/linux_x64
    workingDirectory=/tmp
    STORAGE_TYPE_FOR_SWLIB=OmsShared
    STORAGE_NAME_FOR_SWLIB=swlib
    VERSION_NAME=18.3 SI home-import1
  4. import_gldimg.propを作成したら、importSoftwareImageフラグを指定して、db_software_maintenance EM CLI動詞を実行します。次の例を参照してください。
    emcli db_software_maintenance -importSoftwareImage
        -input_file=”data:<file_path>/import_gldimg.prop”
    完了すると、フリート・メンテナンス・ゴールド・イメージは正常にインポートされています。

2つの異なるバージョンのゴールド・イメージのエクスポートおよびインポート

  1. まず、export_apps_1917.propファイルを作成する必要があります。このファイルは、次のパラメータを使用して両方のイメージをエクスポートするために使用されます:
    • IMAGE_NAME: エクスポートする必要があるイメージの名前。
    • HOST_NAME: エクスポートするホスト名(必須)。
    • HOST_CREDENTIAL: ホストの通常資格証明(必須)。
    • GOLD_IMAGE_BUNDLE_LOCATION: ゴールド・イメージ・バンドルを格納する場所(必須)。
    • GOLD_IMAGE_BUNDLE_NAME: ゴールド・イメージ・バンドルの名前(必須)。
    • IMAGE_SWLIB_LOC: ソフトウェア・ライブラリ内のイメージの場所。
    • workingDirectory: デフォルトでは、/tmpが作業ディレクトリです(オプション)。
    • STORAGE_TYPE_FOR_SWLIB: ソフトウェア・ライブラリで定義された記憶域のタイプ(必須)。
    • STORAGE_NAME_FOR_SWLIB: ソフトウェア・ライブラリ内の場所(必須)。
    • VERSION_NAME: エクスポートする必要があるイメージ・バージョンの名前(必須)。

    ノート:

    必須パラメータは「必須」とラベル付けされ、こうしたパラメータは実行時にチェックされ、またはNullの場合はエラーを戻します。
    export_apps_1917.propファイルのサンプルは、次のようになります。
    IMAGE_NAME=19cDB-Linux-x64-Apps
    HOST_NAME=emcc.marketplace.com
    HOST_CREDENTIAL=ORACLE:SYSMAN
    GOLD_IMAGE_BUNDLE_LOCATION=/home/oracle/Downloads/
    GOLD_IMAGE_BUNDLE_NAME=ExportAPPS_1917.zip
    IMAGE_DESCRIPTION=19c DB Gold Image
    IMAGE_SWLIB_LOC=Fleet Maintenance/
    WORKING_DIRECTORY=/u01/tmp
    STORAGE_TYPE_FOR_SWLIB=OmsShared
    STORAGE_NAME_FOR_SWLIB=default_loc
    VERSION_NAME=v19.17DBRU
  2. export_apps_1917.propを作成したら、exportSoftwareImageフラグを指定して、db_software_maintenance EM CLI動詞を実行します。次の例を参照してください。
    emcli db_software_maintenance -exportSoftwareImage
        -input_file=”data:<file_path>/export_apps_1917.prop”

    ノート:

    問題を回避するために、Windowsフリート・メンテナンス操作では短いファイル・パスを使用することをお薦めします。入力ファイル内の作業ディレクトリの場所は、workingDirectory=C:\tempのような短いファイル・パスで渡すことができます。
    完了すると、フリート・メンテナンス・ゴールド・イメージは正常にエクスポートされています。
  3. 次のコマンドを実行して、export_apps_1917.propファイルからゴールド・イメージを作成します:
    emcli db_software_maintenance -importSoftwareImage -input_file="data:/home/oracle/fleet/export_apps_1917.prop"
    
    これにより、19.17バージョンのゴールド・イメージが作成されます。
  4. このゴールド・イメージに19.18バージョンを追加するには、さらに19.18イメージIDを渡す必要があります。イメージIDを検索し、次のパラメータを使用してExportAPPS_1918.inpという名前の新しい入力ファイルを作成します:
    • IMAGE_ID: エクスポートする必要があるイメージのID。

      ノート:

      例のこの部分では、IMAGE_IDは必須です。
    • HOST_NAME: エクスポートするホスト名(必須)。
    • HOST_CREDENTIAL: ホストの通常資格証明(必須)。
    • GOLD_IMAGE_BUNDLE_LOCATION: ゴールド・イメージ・バンドルを格納する場所(必須)。
    • GOLD_IMAGE_BUNDLE_NAME: ゴールド・イメージ・バンドルの名前(必須)。
    • IMAGE_SWLIB_LOC: ソフトウェア・ライブラリ内のイメージの場所。
    • workingDirectory: デフォルトでは、/tmpが作業ディレクトリです(オプション)。
    • STORAGE_TYPE_FOR_SWLIB: ソフトウェア・ライブラリで定義された記憶域のタイプ(必須)。
    • STORAGE_NAME_FOR_SWLIB: ソフトウェア・ライブラリ内の場所(必須)。
    • VERSION_NAME: エクスポートする必要があるイメージ・バージョンの名前(必須)。
    ExportAPPS_1918.inpファイルのサンプルは、次のようになります。
    IMAGE_ID=FC6A1AA82CB23A62E0532600000AB0CE
    HOST_NAME=emcc.marketplace.com
    HOST_CREDENTIAL=ORACLE:SYSMAN
    GOLD_IMAGE_BUNDLE_LOCATION=/home/oracle/Downloads/
    GOLD_IMAGE_BUNDLE_NAME=ExportAPPS_1918.zip
    IMAGE_SWLIB_LOC=Fleet Maintenance/
    workingDirectory=/u01/tmp
    STORAGE_TYPE_FOR_SWLIB=OmsShared
    STORAGE_NAME_FOR_SWLIB=default_loc
    VERSION_NAME=v19.18DBRU
  5. ゴールド・イメージに19.18バージョンを追加するには、次のコマンドを実行します。
    emcli db_software_maintenance -importSoftwareImage -input_file="data:/home/oracle/fleet/ExportAPPS_1918.inp"
この時点で、ゴールド・イメージには19.17と19.18の両方のバージョンが含まれます。