新しいメトリック拡張の作成

新しいメトリック拡張を作成するには:

  1. 「エンタープライズ」メニューから、「モニタリング」「メトリック拡張」 を選択します。
  2. 「作成」メニューから、「メトリック拡張」を選択します。メトリック拡張作成の権限があるかどうか確認され、作成プロセスが順を追って指示されます。
  3. メトリック拡張名を決めます。名前(および表示名)はターゲット・タイプにおいて一意にする必要があります。
  4. 汎用パラメータを入力します。

    選択したアダプタ・タイプにより、メトリック拡張ウィザードの次のステップで指定する必要があるプロパティが定義されます。使用可能なアダプタ・タイプは、次のとおりです。

    • OSコマンド・アダプタ - 単一列

      指定されたOSコマンドを実行し、コマンド出力を単一値として返します。メトリックの結果は、1つの行と1つの列で構成される表です。

    • OSコマンド・アダプタ - 複数値

      指定されたOSコマンドを実行し、各コマンド出力行を別の値として返します。メトリックの結果は、複数の行と1つの列で構成される表です。

    • OSコマンド・アダプタ - 複数列

      指定されたOSコマンドを実行し、各コマンド出力行(ユーザー指定の文字列で区切られた)を複数値に解析します。メトリックの結果は、複数の行と複数の列で構成される表です。

    • SQLアダプタ

      カスタムSQL問合せまたは関数コールを単一インスタンス・データベースおよびReal Application Clusters(RAC)上のインスタンスに対して実行します。

    • SNMP(Simple Network Management Protocol)アダプタ

      Enterprise Manager管理エージェントは、メトリック・データとして使用されるManagement Information Base(MIB)変数情報をSNMPエージェントに問い合せることができます。

    • JMX(Java Management Extensions)アダプタ

      JMX対応のサーバーからJMX属性を取得し、これらの属性をメトリック表として返します。

    ウィザードの「アダプタ」ページ(ステップ2)で必要となる、選択したアダプタに関する特定の情報は、「アダプタ」を参照してください。

    ノート:

    メトリック拡張のアダプタを変更すると、前のアダプタのすべてのプロパティ(ステップ2)はクリアされることに注意してください。

    収集スケジュール

    収集スケジュール・プロパティを使用して、メトリック・データを収集する頻度およびその使用方法(「アラートのみ」または「アラートおよび履歴の傾向」)を定義しました。

    選択したターゲット・タイプに応じて、「拡張」オプションのリージョンが表示されます。このリージョンには、特定のターゲット可用性/アラート条件のもとでメトリック・データの収集を継続するかどうかを決定する1つまたは2つのオプションが(選択したターゲット・タイプに応じて)含まれる場合があります。オプションは次のとおりです。

    • オプション1: ターゲットが停止している場合でもメトリック・データの収集を継続します。ホストが停止しているときはメトリック・データを収集できないため、このオプションはホスト・ターゲット・タイプを除くすべてのターゲット・タイプに表示されます。

    • オプション2: 特定のターゲット・メトリックに対してアラート重大度が発生したときに、メトリック・データの収集を継続します。このメトリックで重大度が生成されたときに他のターゲット・メトリックに対するメトリック収集が停止されるように、このメトリックは定義されています(このメトリックにAltSkipCondition要素が定義されています)。このオプションのチェックボックスの上の説明テキストは、選択したターゲット・タイプに応じて異なります。

      管理エージェントには、接続障害によるメトリック・エラーの生成を抑えるために、停止中であることが認識されているターゲットのメトリックの評価をスキップするロジックがあります。AltSkipCondition要素がそのターゲット・メトリックに対して定義されている場合、レスポンス・メトリックの評価でエラーが発生したときや、レスポンス:ステータス・メトリックにクリアされていない重大度があるときは、他のメトリックがスキップされます。メトリック収集がスキップされる、または発生しない状況が2つあります。

      • ターゲットが停止中のとき(オプション1)。これは、レスポンス/ステータス・メトリックの重大度と同じです。

      • ターゲットが稼働中であるが他のメトリックに重大度があるとき。このような状況を、Alt Skip (代替スキップ)状況と言います。

      オプション2は、ターゲットのメトリックのいずれかにAltSkipConditionが定義されている場合に表示されます。たとえば、選択したターゲット・タイプが「Oracle WebLogicドメイン」の場合、このオプションは表示されませんが、選択したターゲット・タイプが「データベース・インスタンス」の場合は表示されます。

      次の図に拡張収集スケジュール・オプションを示します。


      収集スケジュール

  5. 「列」ページで、アダプタから返されるデータを定義するメトリック列を追加します。列の順序は、アダプタがデータを返す順序と一致する必要があることに注意してください。
    • 列タイプ

      列はキー列またはデータ列になります。キー列は表の行を一意に識別します。たとえば、従業員IDは従業員表の一意識別子です。データ列は、行内の一意でないすべてのデータです。たとえば、従業員の姓や名です。既存のデータ列に基づいて率およびデルタ・メトリック列も作成できます。後述の「率およびデルタ・メトリック列」を参照してください。

      ノート:

      キー列は、metric_key_idなどの多数の一意キーの作成に寄与する場合があり、リポジトリにロードされる可能性があります。

      たとえば、Timestampはキー列にしないでください。これにより、コレクションごとに一意のmetric_key_idが作成され、既存のmetric_key_idおよびmetric_item_idが再使用されなくなるためです。

    • 値の型

      値の型は「Number」または「String」です。これによって、使用できるアラート比較演算子や、このメトリック列の収集データのEnterprise Managerでのレンダリング方法が決まります。

    • アラートのしきい値

      「比較操作」、「警告」および「クリティカル」フィールドによって、アラートしきい値が定義されます。

    • キー別のアラートしきい値

      「比較操作」、「キー別の警告のしきい値」および「キー別のクリティカルのしきい値」フィールドを使用すると、表内の行ごとに異なるアラートしきい値を指定できます。このオプションが使用できるのは、キー列が定義されている場合です。たとえば、メトリックがCPU使用率をモニタリングしている場合は、CPUごとに違うアラートしきい値を指定できます。構文としては、キー列値のカンマ区切りリスト、=記号、アラートしきい値の順に指定します。異なる行の複数のしきい値は、セミコロン(;)で区切ります。たとえば、CPU使用率のメトリックのキー列値がcpu_idおよびcore_idで、procecessor1およびcore1に50%、processor2およびcore2に60%の警告のしきい値を追加する場合は、「procecessor1,core1=50;processor2,core2=60」と指定します。

    • 手動でクリア可能なアラート

      ノート:

      「手動でクリア可能なアラート」オプションを表示するために「拡張」リージョンを展開する必要があります。

      このオプションを「true」に設定すると、アラートしきい値を下回ってもアラートが自動的にクリアされません。たとえば、メトリックがシステム・ログ・ファイル内のエラー数をカウントしているときに、アラートしきい値を50に設定すると、しきい値に到達したときにアラートが発生します。エラー件数が50未満になってもアラートは自動的にクリアされません。アラートは、ターゲットのホームページまたはインシデント・マネージャの「アラート」UIで手動でクリアする必要があります。

    • アラート前の発生数

      アラートしきい値に到達した場合の、アラートが発生する前の連続メトリック収集数。

    • アラート・メッセージまたはクリア・メッセージ

      アラートが発生またはクリアされたときに送信するメッセージ。使用できる変数は、%columnName%、%keyValue%、%value%、%warning_threshold%、%critical_threshold%です。

      該当する列名を「%」で囲んで、別の列の値を取得することもできます。たとえば、cpu_usage列についてアラートを作成している場合、%core_temperature%を使用してcore_temperature列の値を取得できます。警告またはクリティカル・アラートについても同じアラート・メッセージまたはクリア・メッセージが使用されることに注意してください。

      ノート:

      十分に検討して、すべてのキー列を追加してください。新しいバージョンのメトリック拡張では追加のキー列を作成できないためです。一度「デプロイ可能な下書きとして保存」をクリックすると、キー列は最終的に決定されます(列の表示名とアラートしきい値の編集は可能です)。新しいバージョンでも新たなデータ列を追加することはできます。また、既存のデータ列の一部のプロパティも後から変更できません。これには、「列型」、「値の型」、「比較演算子」(新しい演算子は追加できるが、既存の演算子は変更できない)および「手動でクリア可能なアラート」などが含まれます。

    • メトリックのカテゴリ

      この列が所属するメトリックのカテゴリ。

    率およびデルタ・メトリック列

    最後のメトリック収集からのデータの変更率または値の差異(デルタ)を測定する、既存のデータ列に基づく追加のメトリック列を作成できます。率/デルタ・メトリック定義は、メトリックの収集頻度が定期的である場合に使用できます。たとえば、10分ごとに収集される場合です。反対に、毎週月曜日および火曜日のみに計算されるメトリックは、データ・サンプリングの頻度が低すぎるため、率/デルタ・メトリックを持つことができません。

    少なくとも1つのデータ列を作成すると、次の図に示すように3つの追加オプションが「追加」メニューに表示されます。


    率およびデルタ列

    • 別のメトリック列に基づいてデルタ・メトリック列を追加します

      例: 最後の収集後に使用された表領域の差異を知りたいとします。

      デルタ計算:

      現在のメトリック値 - 前のメトリック値

    • 別のメトリック列に基づいて率(/分)メトリック列を追加します

      例: 1時間ごとに収集される表領域列メトリックに基づいて1分ごとの平均表領域使用率を知りたいとします。

      率(/分)計算:

      現在のメトリック値 - 前のメトリック値/ 収集スケジュール

      ここで収集スケジュールは分です。

    • 別のメトリック列に基づいて率(/5分)メトリック列を追加します

      例: たとえば1時間ごとに収集される表領域列に基づいて5分ごとの平均表領域使用率を知りたいとします。

      率(/5分)計算:

      [(現在のメトリック値 - 前のメトリック値)/ 収集スケジュール ] * 5

      ここで収集スケジュールは分です。

    率/デルタ・メトリック列を作成するには、表の既存のデータ列をクリックし、「追加」メニューから率/デルタ列オプションのいずれかを選択します。

  6. 「資格証明」ページで、カスタム・モニタリング資格証明セットを使用してデフォルトのモニタリング資格証明を上書きできます。デフォルトでは、メトリック拡張ウィザードは、Oracleの即時利用可能なメトリックで使用される既存の資格証明を特定のターゲット・タイプに対して選択します。たとえば、メトリック拡張がデータベース・ターゲットに対してdbsnmpユーザーを使用します。emcli create_credential_setコマンドによってカスタム・モニタリング資格証明セットを作成することで、既存の資格証明を上書きできます。詳細は、『Oracle Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース・ガイド』を参照してください。一部のアダプタでは追加の資格証明が使用されることがあります。詳細は、「アダプタ」を参照してください。
  7. 「テスト」ページから、使用可能なテスト・ターゲットを追加します。
  8. 「テストの実行」をクリックしてメトリック拡張を検証します。ユーザーが指定したテスト・ターゲットに拡張がデプロイされ、リアルタイム収集が実行されます。その後、メトリック拡張は自動的にアンデプロイされます。結果およびエラー(ある場合)は「テスト結果」リージョンに追加されます。
  9. メトリック拡張が予定のデータを返すようになるまで編集とテストを繰り返します。
  10. 「終了」をクリックします。