イベント管理
直感的に、モニター環境内の特定のイベントをモニターします。イベントは、管理対象ターゲットについての重要な事象であり、一般的には、通常の運用状態から逸脱した出来事の発生を示します。これにより、Enterprise Managerにより管理された環境内で、関心のある何かが発生したことを示す共通の方法を提供します。イベントの例は次のとおりです。
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メトリック・アラート
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コンプライアンス違反
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ジョブ・イベント
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可用性アラート
既存のEnterprise Managerのユーザーは、メトリック・アラートおよびメトリック・コレクション・エラーについてよく知っているかもしれません。Enterprise Manager 12cでは、メトリック・アラートはイベントの一種であり、数多くあるイベント・タイプの1つです。イベントの概念は、モニタリングの問題やコンプライアンスの問題などのEnterprise Managerにより検知される様々な例外条件を、共通の概念に統一します。これは、Enterprise Managerにより管理されたデータセンター内で関心のある何かが発生したことを示すことができる、イベント管理機能の一貫性のある共通のセットにより裏付けられています。
表5-1 イベント属性
属性 | 説明 |
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タイプ |
報告されるイベントのタイプ。特定のタイプのすべてのイベントは、問題の性質を正確に記述する同じ属性のセットを共有します。たとえば、「メトリック・アラート」、「コンプライアンス標準スコア違反」、「ジョブ・ステータスの変更」があります。 |
重大度 |
イベントの重大度たとえば、「致命的」、「警告」、「クリティカル」があります。 |
内部名 |
内部名はイベントの性質を記述するもので、イベントの検索に使用できます。たとえば、すべてのtablespacePctUsedイベントを検索することができます。 |
イベントが発生するエンティティ。 |
イベントは、ターゲット、非ターゲット・ソース・オブジェクト(ジョブなど)で発生、またはターゲットおよび非ターゲット・ソース・オブジェクトに関係する可能性があります。ノート: この属性はイベントの管理に必要な権限を決定するときに重要です。 |
メッセージ |
イベントに関連付けられた情報テキスト。 |
報告日 |
イベントが報告された時刻。 |
カテゴリ |
イベントの機能上または操作上の分類。 使用可能なカテゴリは次のとおりです。
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原因分析の更新 |
ターゲットの停止イベントの根本原因分析に使用します。 可能な値: 根本原因または兆候 |
イベント・タイプ
イベントのタイプは、イベントの構造およびペイロードを定義し、記述する条件の詳細を提供します。たとえば、しきい値違反により発生したメトリック・アラートが特定のペイロードを持つのに対し、ジョブ状態の変更は別の構造を持ちます。次の表に示すように、様々なイベント・タイプにより、Enterprise Managerのモニタリングの柔軟性が大幅に拡張されています。
イベント・タイプ | 説明 |
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ターゲット可用性 |
ターゲット可用性イベントは、ターゲットの可用性ステータス(「稼働中」、「停止中」、「エージェント使用不可」、「ブラックアウト」など)を表します。 |
メトリック・アラート |
特定のターゲットのメトリック(ホスト・ターゲットのCPU使用率など)またはターゲットとオブジェクトの組合せのメトリック(データベース・ターゲットの特定表領域の領域使用率など)でアラートが発生した場合に、メトリック・アラート・イベントが生成されます。 |
メトリック評価エラー |
ターゲットに対して特定のメトリック・グループを収集できなかった場合に、メトリック評価エラーが生成されます。 |
ジョブ・ステータスの変更 |
Enterprise Managerジョブのステータス変更はすべてイベントとして処理され、これらのイベントは「ジョブ・ステータスの変更」イベント・クラスによって使用できます。 ノート: インシデント・ルールの作成の前提条件は、関連するジョブ・ステータスが有効になっていることと、必要なターゲットがジョブ・イベント生成基準に追加されていることです。この条件を変更するには、「設定」メニューから、「インシデント」、「ジョブ・イベント」の順に選択します。 |
コンプライアンス標準ルール違反 |
コンプライアンス基準ルールの違反に対して生成されるイベント。各イベントは、特定のターゲットに関するコンプライアンス・ルールの違反に対応します。 |
コンプライアンス標準スコア違反 |
コンプライアンス基準スコアの違反に対して生成されるイベント。特定のターゲットに関するコンプライアンス基準について、コンプライアンス・スコアが事前定義済のしきい値を下回ると、イベントが生成されます。 |
高可用性 |
高可用性イベントがデータベースの可用性操作(停止、起動)、データベースのバックアップおよびData Guard操作(スイッチオーバー、フェイルオーバーおよびその他の状態の変更)に対して生成されます。 |
サービス・レベル合意のアラート |
これらのイベントは、サービス・レベルまたはサービス・レベル目標がサービスに対して違反すると生成されます。サービス・レベル合意またはサービス・レベル目標に対して発生します。 |
ユーザー報告 |
これらのイベントはエンドユーザーによって作成されます。 |
アプリケーション・パフォーマンス管理KPIアラート |
アプリケーション・パフォーマンス管理(APM)のキー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)アラート・イベントは、ビジネス・アプリケーション・ターゲットに関連付けられているAPM管理対象エンティティでメトリックのKPI違反アラートが発生したときに生成されます。 |
JVM診断しきい値違反 |
Java仮想マシン・ターゲットでJVMDメトリックがしきい値を超えると、JVMD診断イベントが発生します。 |
アプリケーションの依存性とパフォーマンスのアラート |
J2EEアプリケーションまたはコンポーネント関連のメトリックでしきい値を超えた場合に、ADPモニタリングによってアラートが生成されます。 |
ブラックアウト・インフラストラクチャ・アラート |
ブラックアウト・イベントは、エージェントにアクセスできないことによるブラックアウト操作の実行失敗などのブラックアウト・インフラストラクチャ・イベントを表します。ブラックアウト操作には、ブラックアウトの開始、ブラックアウトの停止およびブラックアウトの編集が含まれます。 |
サービス・インフラストラクチャ・アラート |
これらのアラートは、サービス・インフラストラクチャに問題がある場合に生成されます。 |
ターゲット・モニタリングの中断 |
ターゲットの通常のモニタリングを続行できない場合、このイベントが生成されます。ハングしているスレッドが多すぎる、またはメトリック収集中にリソース使用量が予想より多いなどの問題が原因です。これらの問題により、ターゲット・ステータスのみのモニタリング、収集評価の遅延、ターゲットのモニタリングが行われないなど、ターゲットのモニタリングが制限される可能性があります。 |
イベントの重大度
イベントの重大度は特定の問題の重要性を示します。次の表に、様々なイベントの重大度レベルをそれに対応するアイコンとともに示します。
アイコン | 重大度 | 説明 |
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致命的 |
対応するサービスはすでに使用不可となっています。たとえば、モニター対象ターゲットは停止しています(ターゲット停止イベント)。「致命的」は最高レベルの重大度で、イベント・タイプ「ターゲット可用性」にのみ適用されます。 |
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クリティカル |
特定の領域で即時のアクションが必要です。その領域は、機能していないか、緊急の問題が発生しています。 |
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警告 |
特定の領域で注意が必要ですが、その領域は機能を続けています。 |
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アドバイザ |
特定の領域に即時のアクションは不要ですが、領域の現在の状態について注意することをお薦めします。この重大度は、たとえばOracleのベスト・プラクティス違反を報告するのに使用できます。 |
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クリア |
イベントを発生させた条件が解決されました。 |
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情報 |
特定の条件が発生しましたが、改善処置は必要ありません。 重大度が情報のイベントは
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