3.4 WebLogic Operatorの概要

WebLogic Kubernetes Operator (オペレータ)は、KubernetesでのOracle Identity Governance (OIG)ドメインの実行をサポートしています。

オペレータは、Kubernetesオペレータ・パターンを利用します。つまり、Kubernetes APIを使用して、プロビジョニング、ライフサイクル管理、アプリケーションのバージョン管理、製品パッチ適用、スケーリング、セキュリティなどの操作をサポートできます。オペレータでは、モニタリング、ロギング、トレースおよびセキュリティのために、このインフラストラクチャに対してネイティブなツールを使用することもできます。

OIGドメインは、ドメイン・ホームが永続ボリューム(PV)にある「永続ボリューム上のドメイン」モデルのみを使用してサポートされます。

永続ボリューム上のドメイン(PV上のドメイン)は、オペレータのドメイン・ホーム・ソース・タイプであり、永続ボリューム上にドメイン・ホームが存在する必要があります。ドメイン・ホームは、WebLogic Scripting Tool (WLST)スクリプトを使用して手動で作成するか、ドメイン・リソースYAMLファイルにdomain.spec.configuration.initializeDomainOnPVセクションを指定してWebLogic Deployment Tool (WDT)モデルで自動的に作成できます。初期ドメイン・トポロジおよびリソースについては、WebLogic Deploy Tooling (WDT)モデルに関する項を参照してください。

ノート:

initializeDomainOnPVセクションは、1回かぎりのドメイン・ホーム初期化を提供します。オペレータは、ドメイン・リソースが最初にデプロイされたときにドメインを作成します。ドメインの作成後、このセクションは無視されます。後続のドメイン・ライフサイクル更新は、WebLogic Server管理コンソール、WebLogic Scripting Tool (WLST)またはその他のメカニズムによって制御する必要があります。
WebLogic Kubernetes Operatorには、Kubernetes環境でのOracle Identity Governanceドメインのデプロイおよび管理に役立ついくつかの主要な機能があります。次のことが可能です:
  • Kubernetes永続ボリュームにOIGインスタンスを作成します。この永続ボリュームは、NFSファイル・システムまたは他のKubernetesボリューム・タイプに配置できます。
  • 宣言的な起動パラメータと適切な状態に基づいてサーバーを起動します。
  • 外部アクセスを通じてOIGサービスを公開します。
  • オンデマンドで管理対象サーバーを起動および停止して、OIGドメインをスケーリングします。
  • オペレータおよびWebLogic ServerのログをElasticsearchに公開し、Kibanaで対話します。
  • PrometheusおよびGrafanaを使用してOIGインスタンスをモニターします。

OIGでのWebLogic Kubernetes Operatorの制限

オペレータを使用したKubernetesでのWebLogic Serverドメインの実行と比較して、OIGドメインには現在、次の制限があります:
  • OIGドメインは、ドメイン・ホームが永続ボリューム(PV)にある「永続ボリューム上のドメイン」モデルのみを使用してサポートされます。「イメージ内のドメイン」モデルはサポートされていません。
  • 構成済クラスタのみがサポートされています。動的クラスタは、OIGドメインではサポートされていません。すべてのスケーリング機能を引き続き使用できますが、パラメータconfiguredManagedServerCountを使用して、ドメインの作成時にクラスタの最大サイズを定義する必要があることに注意してください。このパラメータの詳細は、「ドメイン作成スクリプトの準備」を参照してください。クラスタは、拡張する予定の最大サイズより少し大きくなるように事前構成することをお薦めします。システムを予想どおりにスケーリングするには、この最大サイズで厳密にテストする必要があります。
  • WebLogic Monitoring Exporterは現在、WebLogic MBeanツリーのみをサポートしています。JRF MBeansのサポートはまだ追加されていません。
  • 現在、Linux以外のコンテナでのOIGの実行はサポートされていません。