2.1 「ネットワーク要件の概要」

Oracle Exadataには、データベース・サーバーとストレージ・サーバーの他に、システムをネットワークに接続するための機器が含まれています。ネットワーク接続により、クライアントはデータベース・サーバーに接続できるようになります。また、リモート・システム管理も可能になります。

この項の情報をOracle Exadata Deployment Assistant (OEDA)と組み合せて使用して、Oracle Exadata環境を構成します。

Oracle Exadataをデプロイするには、最低限のネットワーク要件を満たす必要があります。Oracle Exadataには3つ以上のネットワークが必要であり、追加のネットワークに使用できるインタフェースがあります。各ネットワークは、別個のサブネット上に存在する必要があります。各ネットワークの説明は次のとおりです。

  • 管理ネットワーク: この必須ネットワークは、既存の管理ネットワーク・インフラストラクチャに接続し、Oracle Exadataのすべてのコンポーネントの管理作業に使用されます。デフォルトでは、管理ネットワークはデータベース・サーバー、ストレージ・サーバー、サーバーIntegrated Lights Out Manager (ILOM)インタフェースおよびRDMAネットワーク・ファブリック・スイッチをラック内の管理ネットワーク・スイッチに接続します。管理ネットワーク・スイッチから管理ネットワークへのアップリンクが1つ必要です。

    データベース・サーバーおよびストレージ・サーバーには、管理用のネットワーク・インタフェースが2つあります。一方のインタフェースは、専用のイーサネット・ポートを介してオペレーティング・システムへの管理アクセスが可能です。もう一方のネットワーク・インタフェースはILOM専用です。デフォルトでは、Oracle Exadataは両方のインタフェースが管理ネットワーク・スイッチに接続された状態で提供されます。Oracle Exadata System Softwareリリース19.1.0以降では、管理ネットワークとは別の専用ILOMネットワークにILOMインタフェースを接続できることを除き、これらのインタフェースの配線または構成の変更は許可されません。データベース・サーバーの管理ネットワーク・インタフェースは、クライアントまたはアプリケーションのネットワーク・トラフィックに使用しないでください。

    ノート:

    • 各配電ユニット(PDU)のリモート監視には、管理ネットワークへの個別のアップリンクもお薦めします。この構成により、管理ネットワーク・スイッチの障害ではなく、PDUの障害によって発生したシステムの停止を簡単に区別できます。
    • 適切に保護された構成では、管理ネットワークを他のすべてのネットワークから完全に分離する必要があります。
  • クライアント・ネットワーク: この必須ネットワークは、データベース・サーバーを既存のクライアント・ネットワークに接続し、データベース・サーバーへのクライアント・アクセスに使用されます。アプリケーションは、Single Client Access Name(SCAN)およびOracle RAC仮想IP(VIP)アドレスを使用して、このネットワークを介してデータベースにアクセスします。データベース・サーバーではチャネル・ボンディングがサポートされているため、帯域幅の増加やデータベースへのクライアント接続が可能になります。非結合ネットワーク構成はOracle Exadata X7以降のシステムではサポートされていません。

  • プライベート・ネットワーク: RDMAネットワーク・ファブリック、ストレージ・ネットワークまたはインターコネクトとも呼ばれます。このネットワークは、データベース・サーバーとストレージ・サーバーを接続します。Oracle Databaseでは、Oracle RACクラスタのインターコネクト・トラフィックおよびOracle Exadata Storage Serverのデータへのアクセスにこのネットワークを使用します。プライベート・ネットワークはインストール時に自動的に構成されます。これはルーティング不可で、Oracle Exadataに完全に組み込まれていますが、既存のネットワークには接続しません。

    Oracle Exadata X8M以降、プライベート・ネットワークはRDMA over Converged Ethernet (RoCE)を使用します。

    以前は、プライベート・ネットワークはInfiniBandテクノロジを使用して構築されていました。RoCE Network Fabricで使用するスイッチおよびケーブルは、InfiniBand Network Fabricで使用するものとは異なります。

  • 追加のネットワーク: オプションで、データベース・サーバーは、管理ネットワークおよびクライアント・ネットワークで使用されていない利用可能なオープン・ポートを使用して、追加のネットワークに接続できます。

    OEDA Webユーザー・インタフェースを使用すると、最大2つの追加ネットワークを作成できます。OEDAでは、最初の追加ネットワークはバックアップ・ネットワークと呼ばれ、2番目の追加ネットワークはその他のネットワークと呼ばれます。OEDAコマンドライン・インタフェース(OEDACLI)を使用して、追加のネットワークを作成できます。

    クライアント・ネットワークと同様に、追加のネットワークは、帯域幅と可用性を最大化するためにチャネル・ボンディングをサポートします。非結合ネットワーク構成はOracle Exadata X7以降のシステムではサポートされていません。

次の図は、様々なOracle Exadataコンポーネントが様々なネットワークに接続する方法を示しています。