1.2.1 Exascaleサービス
Exascaleシステム・コンポーネントは、一連のクラスタ化されたソフトウェア・サービスを使用して実装されます。コアExascaleストレージ・サービスは、主にExadataストレージ・サーバーで実行されます。
Exascaleには、次のストレージ・サービスがあります:
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クラスタ・サービス
Exascaleクラスタ・サービスは、Exascaleグローバル・サービス(EGS)とも呼ばれ、Exascaleシステムにコアな基盤を提供します。EGSは、主にExascaleストレージ・プールに割り当てられたストレージを管理します。また、ストレージ・クラスタ・メンバーシップを管理し、ストレージ・サーバーおよびExascaleクライアントにセキュリティおよびアイデンティティ・サービスを提供し、他のExascaleサービスをモニタリングします。Exascaleクラスタ・サービスでは、Raftコンセンサス・アルゴリズムを使用します。
高可用性を実現するために、各Exascaleクラスタには、5つのEGSインスタンスが含まれます。
5つ以上のExadataストレージ・サーバーがあるExascaleクラスタの場合、最初の5つのストレージ・サーバーのそれぞれで1つのEGSインスタンスが実行されます。
ストレージ・サーバーが5つ未満のExascale構成では、各Exadataストレージ・サーバーで1つのEGSインスタンスが実行され、必要な合計5つに達するまで、残りのEGSインスタンスがExadataコンピュート・ノードで実行されます。ベアメタル構成では、EGSコンピュート・ノード・インスタンスはサーバーのオペレーティング・システム上で実行されます。コンピュート・ノードが仮想マシン(VM)上で実行されている構成では、EGSコンピュート・ノード・インスタンスはハイパーバイザで実行されます。
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制御サービス
Exascale制御サービスは、Exascale RESTfulサービス(ERS)とも呼ばれ、Exascale管理操作に管理エンドポイントを提供します。すべてのExascale管理操作は、ERSを介して行われます。ただし、ファイルI/O操作は、ERSを介して行われません。
ERSサービス・インスタンスは、フロントエンドおよびバックエンドのサーバー・プロセスを使用してデプロイされます。フロントエンドERSプロセスは、ロード・バランシング機能を備えた高可用性のクライアント・エンドポイントを提供します。バックエンドERSプロセスは、他のソフトウェア・サービスと連携してリクエストを処理し、クライアントに返信します。
複数のERSインスタンスによって高可用性が実現され、Exascale管理ワークロードが共有されます。通常、5つのERSインスタンスがExadataストレージ・サーバーに分散されます。ただし、ストレージ・サーバーが5つ未満の構成では、通常、各Exadataストレージ・サーバーで1つのERSインスタンスが実行されます。
Exascaleコマンドライン(ESCLI)ユーティリティは、Exascaleのモニタリングおよび管理機能を実行するための単純なコマンドライン・インタフェースを提供します。ESCLIコマンドはERSコールに変換され、ERSを介して実行されます。ESCLIは、Exadataセル・コマンドライン・インタフェース(CellCLI)と連携して動作し、置き換りません。
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Exascaleボールト・マネージャ・サービス
Exascaleボールト・マネージャは、Exascaleデータ・サービス(EDS)とも呼ばれ、ファイルおよびボールト・メタデータを管理するExascaleソフトウェア・サービスの集合名です。
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システム・ボールト・マネージャ
システム・ボールト・マネージャ・サービス(SYSEDS)は、Exascaleボールトのメタデータに対応し管理します。このメタデータには、ボールトレベルのアクセス制御リスト(ACL)および属性が含まれます。
SYSEDSは軽量プロセスであるため、通常、1つのインスタンスでExascaleクラスタ全体のロードを処理できます。ただし、高可用性を確保するために、通常、5つのSYSEDSインスタンスがExadataストレージ・サーバーに分散されます。ストレージ・サーバーが5つ未満の構成では、通常、各Exadataストレージ・サーバーで1つのSYSEDSインスタンスが実行されます。
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ユーザー・ボールト・マネージャ
ユーザー・ボールト・マネージャ・サービス(USREDS)は、Exascaleボールト内のファイルのメタデータに対応し管理します。このメタデータには、クローンおよびスナップショットを定義するメタデータとともに、ファイルレベルのアクセス制御リスト(ACL)および属性が含まれます。オープンやクローズなど、すべてのファイル制御操作は、ユーザー・ボールト・マネージャ・サービスによって処理されます。
複数のUSREDSインスタンスによって高可用性が実現され、ユーザー・ワークロードが共有されます。通常、5つのUSREDSインスタンスがExadataストレージ・サーバーに分散されます。ただし、ストレージ・サーバーが5つ未満の構成では、通常、各Exadataストレージ・サーバーで1つのUSREDSインスタンスが実行されます。
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ブロック・ストア・マネージャ
ブロック・ストア・マネージャ・サービス(BSM)は、Exascaleブロック・ストレージのメタデータに対応し管理します。すべてのブロック・ストア管理操作は、BSMによって処理されます。このようなブロック・ストア管理操作には、ボリュームの作成やボリューム・スナップショットの作成などが含まれます。ブロック・ストア・ワーカー・プロセスも調整します。
高可用性を実現するために、通常、5つのBSMインスタンスがExadataストレージ・サーバーに分散されます。ただし、ストレージ・サーバーが5つ未満の構成では、通常、各Exadataストレージ・サーバーで1つのBSMインスタンスが実行されます。
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ブロック・ストア・ワーカー
ブロック・ストア・ワーカー・サービス(BSW)は、主にブロック・ストア・クライアントからのリクエストを処理し、結果のストレージ・サーバーI/Oを実行します。クローンおよびスナップショットの作成操作において役割を果たし、ボリュームのバックアップおよびリストア操作の実行も担います。
高可用性を実現し、ユーザー・ワークロードを共有するために、通常、5つのBSWインスタンスがExadataストレージ・サーバーに分散されます。ただし、ストレージ・サーバーが5つ未満の構成では、通常、各Exadataストレージ・サーバーで1つのBSWインスタンスが実行されます。
必要に応じて、BSWをExadataコンピュート・ノードで実行することもできます。この配置により、BSWインスタンスはExadataクライアント・ネットワークにアクセスできるようになります。このネットワークは、Oracle Cloud Infrastructure (OCI)オブジェクト・ストレージへのボリューム・バックアップの実行に使用できます。
ベアメタル構成では、BSWコンピュート・ノード・インスタンスはサーバーのオペレーティング・システム上で実行されます。コンピュート・ノードが仮想マシン(VM)上で実行されている構成では、BSWコンピュート・ノード・インスタンスは通常、専用のゲストVM内で実行されます。
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インスタンス障害検出
インスタンス障害検出(IFD)サービスは、ストレージ・サーバーの障害を迅速に検出して対処する専用の軽量サービスです。IFDは、Exascaleクラスタに関連付けられたすべてのストレージ・サーバーで自動的に実行されます。
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Exadataセル・サービス
Exascaleは、コアExadataセル・サービスと連携して動作し、依存します。具体的には、Exascaleでは、すべてのストレージ・サーバーでセル・サーバー(CELLSRV)、管理サーバー(MS)および再起動サーバー(RS)のインスタンスを実行する必要があります。また、Exascaleでは、Exascaleクラスタに関連付けられたすべてのコンピュート・サーバーで、管理サーバー(MS)および再起動サーバー(RS)のインスタンスを実行する必要があります。
Exascaleストレージ・サービスに加えて、次のクライアント側サービスでは、Exadataコンピュート・ノード上の各種Exascale機能に対して特定のサポートをします:
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Exascaleノード・プロキシ
Exascaleノード・プロキシ(ESNP)サービスは、Exascaleクラスタの現在の状態に関する情報を保持し、ローカルのOracle Grid InfrastructureおよびOracle Databaseプロセスに提供します。
ESNPは、各Exadataコンピュート・ノードで実行されるバックグラウンド・プロセスです。ベアメタル構成では、ESNPはサーバーのオペレーティング・システム上で実行されます。コンピュート・ノードが仮想マシン(VM)上で実行されている構成では、ESNPはゲストVM内で実行されます。
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Exascaleダイレクト・ボリューム
Exascaleダイレクト・ボリューム(EDV)は、Exadata RDMAネットワーク・ファブリック内の推奨されるデフォルトのボリューム・アタッチメント・メカニズムです。
EDVサービスは、ExascaleボリュームをExadataコンピュート・ノード上のEDVデバイスとして公開し、各EDVデバイスでのI/Oを処理します。EDV管理ストレージは、RAWブロック・デバイスとして使用することも、Oracle Advanced Cluster File System (ACFS)を含む様々なファイル・システムをサポートするために使用することもできます。
EDVサービスは、EDVデバイスを使用するすべてのExadataコンピュート・ノードで必要です。ベアメタル構成では、EDVサービスはサーバーのオペレーティング・システム上で実行されます。コンピュート・ノードが仮想マシン(VM)上で実行されている構成では、EDVサービスはKVMホストで実行され、EDV管理ストレージに基づいてハイパーバイザがVMイメージ・ファイルにアクセスできるようにします。EDVサービスは、各ゲストVMでも実行され、VM内からEDV管理ストレージに直接アクセスできるようにします。
関連トピック
親トピック: Exascaleのコンポーネントおよび概念