6.3.1.1 AWRを使用したExadataスマート・フラッシュ・キャッシュの監視

自動ワークロード・リポジトリ(AWR)には、Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュに関連する多くの情報が含まれています。Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュに関する情報を含むAWRレポートの主要なセクションの説明と例を次に示します。管理者は、AWRレポートのこれらのセクションを確認することで、Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュの動作状況を把握できます。

フラッシュ・キャッシュ構成およびフラッシュ・キャッシュ領域使用量

フラッシュ・キャッシュ構成セクションには、キャッシング・モード(ライトスルーまたはライトバック)、ステータスおよび全体のサイズなどのサマリー情報が含まれます。フラッシュ・キャッシュ領域使用量セクションには、Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュの領域使用量に関するサマリー統計が表示されます。

次の例は、Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュがすべてのセルにライトバック・モードで構成されており、そのサイズが各セルに約24 TBであることを示しています。この例では、フラッシュ・キャッシュ領域使用量セクションに次の情報が表示されます。

  • 実質的に、すべてのExadataスマート・フラッシュ・キャッシュ領域が各セルで使用されています。

  • 割り当てられた領域の約70%がOLTPに使用されています。OLTPは通常、ブロック・モード読取りを使用してデータベース・バッファ・キャッシュに読み取られるデータです。OLTPデータは、さらに次のように分類されます。

    • クリーン・データは、キャッシュへの読取り後に変更されていないデータです。出力例では、各キャッシュ内の領域の約26%にクリーンなOLTPデータが含まれています。

    • キャッシュされたOLTPデータが更新され、更新がプライマリ・ストレージ(通常はハード・ディスク・ドライブ)に書き込まれる場合、データは同期済として分類されます。出力例では、各キャッシュ内の領域の約23%にクリーンなOLTPデータが含まれています。

    • キャッシュされたOLTPデータが更新されたが、更新がプライマリ・ストレージに書き込まれていない場合、データはフラッシュされていないと分類されます。出力例では、各キャッシュ内の領域の約22%にフラッシュされていないOLTPデータが含まれています。

  • キャッシュ領域の約20%が大量の書込みを吸収するために使用されています。

  • キャッシュの約6%がスキャン操作をサポートしています。

  • キャッシュの約2%が列キャッシュのサポートに使用されています。

  • この場合、キープ・オブジェクトによってキャッシュ領域は占有されません。キープ・オブジェクトは、CELL_FLASH_CACHE storage句オプションをKEEP設定とともに使用してExadata Smart Flash Cacheのデフォルトのキャッシュ・ポリシーをオーバーライドするデータベース・セグメント(表、パーティションなど)です。

図6-4 AWRレポート: フラッシュ・キャッシュ構成およびフラッシュ・キャッシュ領域使用量

この画像は、AWRレポートのフラッシュ・キャッシュ構成セクションおよびフラッシュ・キャッシュ領域使用量セクションの例を示しています。

フラッシュ・キャッシュ・ユーザー読取り

フラッシュ・キャッシュ・ユーザー読取りセクションには、データベース・クライアントからの読取りリクエスト、読取りスループットおよび読取り効率に関する情報が表示されます。この統計には、Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュの様々な領域に対するI/Oが表示されます。

  • OLTP - ブロック・リクエストに関連します
  • スキャン - スキャン・リクエストに関連します
  • 列 - 列キャッシュ・リクエストに関連します
  • 保持 - KEEPプールに対する読取りリクエストに関連します

図6-5 AWRレポート: フラッシュ・キャッシュのユーザー読取り

この画像は、AWRレポートのフラッシュ・キャッシュ・ユーザー読取り、フラッシュ・キャッシュ・ユーザー読取り/秒およびフラッシュ・キャッシュ・ユーザー読取り効率の各セクションの例を示しています。

フラッシュ・キャッシュ・ユーザー書込み

フラッシュ・キャッシュ・ユーザー書込みセクションには、ライトバック・モードのExadataスマート・フラッシュ・キャッシュの書込みリクエストおよび書込みスループットに関する情報が表示されます。

このセクションで、最初の書込みはExadataスマート・フラッシュ・キャッシュに書き込まれる新しいデータを示し、上書きはExadataスマート・フラッシュ・キャッシュで上書きされるデータを示します。最初の書込みでは、追加のフラッシュ・キャッシュ・メタデータの書込みも必要です。上書きは、ライトバック・モードでExadataスマート・フラッシュ・キャッシュを使用することにより回避されたディスク書込みを表します。

図6-6 AWRレポート: フラッシュ・キャッシュのユーザー書込み

この画像は、AWRレポートのフラッシュ・キャッシュ・ユーザー書込みセクションの例を示しています。

フラッシュ・キャッシュ・ユーザー書込み - 大規模の書込み

フラッシュ・キャッシュ・ユーザー書込み - 大規模の書込みセクションには、ライトバック・モードのExadataスマート・フラッシュ・キャッシュによって吸収および拒否された大規模の書込みリクエストに関する情報が表示されます。

図6-7 AWRレポート: フラッシュ・キャッシュのユーザー書込み - 「大規模の書込み」

この画像は、AWRレポートのフラッシュ・キャッシュ・ユーザー書込み - 大規模の書込みセクションおよびフラッシュ・キャッシュ・ユーザー書込み - 大規模の書込み拒否セクションの例を示しています。

フラッシュ・キャッシュ内部読取り

フラッシュ・キャッシュ内部読取りセクションには、Oracle Exadata System Softwareによって実行されるExadataスマート・フラッシュ・キャッシュからの読取りが表示されます。これらの統計は、Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュがライトバック・モードの場合に移入されます。

ディスク・ライターIO詳細列は、Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュからハード・ディスク・デバイスにデータを永続化するために実行される内部I/Oに関連しています。これらの列には、フラッシュからの読取りおよびハード・ディスクへの様々なカテゴリの書込みが表示されます。

図6-8 AWRレポート: フラッシュ・キャッシュの内部読取り

この画像は、AWRレポートのフラッシュ・キャッシュ内部読取りセクションの例を示しています。

フラッシュ・キャッシュ内部書込み

フラッシュ・キャッシュ内部書込みセクションには、Oracle Exadata System Softwareによって実行されるExadataスマート・フラッシュ・キャッシュへの書込みが表示されます。内部書込みは、キャッシュ読取りミスに応じてExadataスマート・フラッシュ・キャッシュに移入されるI/Oです。

この統計には、Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュがライトバック・モードのときに発生したメタデータ書込みも含まれます。メタデータ書込みは、キャッシュラインを使用して新しいデータをキャッシュするときに発生します。

図6-9 AWRレポート: フラッシュ・キャッシュの内部書込み

この画像は、AWRレポートのフラッシュ・キャッシュ内部書込みセクションの例を示しています。