タイム・カード配分がある個人アサイメント労務スケジュール
個人アサイメント労務スケジュールで「タイム・カードを使用した配分」オプションが有効になっている場合、インポートされた給与コストは、給与配分の基準としてProject Costingの既存のタイム・カード・トランザクションを使用してプロジェクトに配分されます。
タイム・カード配分メソッドを使用すると、インポートされた給与期間原価に従って、同じ個人、アサイメントおよび日付範囲について、支払期間の給与原価が要約され、Project Costingのターゲット・タイム・カードに配分されます。
Oracle Fusion Payrollから給与原価をインポートしてタイム・カードに配分する場合は、「プロジェクト給与支払要素の管理」タスクを使用してProject Costingにインポートできるようにした各プロジェクト給与支払エレメントにタイム・カード配分基準値を指定する必要があります。 タイム・カード配分基準の値は次のとおりです:
| タイム・カード配分基準 | 適格ターゲット・タイム・カード |
| すべての時間 | 支出タイプ区分があるターゲット・タイム・カードは、この基準で給与支払エレメント・コストを受け取る資格があります。 |
| 正規時間 | 支出タイプ区分が「ストレート・タイム」のターゲット・タイム・カードのみが、この基準で給与支払エレメント・コストを受け取る資格があります。 |
| 超過勤務時間 | 支出タイプ区分が「超過勤務」のターゲット・タイム・カードのみが、この基準で給与支払エレメント・コストの受入に適格です。 |
サードパーティ外部給与システムから給与コストをインポートする場合、プロジェクト給与支払エレメントを定義する必要はありません。 この場合、給与原価がタイム・カードを使用してプロジェクトに配分される場合は、インタフェース表にロードされる各給与原価レコードに対してタイム・カード配分基準を指定する必要があります。
給与原価計算に適格になるには、プロジェクト・タイム・カードが次の基準を満たす必要があります:
- トランザクションの支出タイプ区分は、ストレート・タイム(ST)または超過勤務(OT)である必要があります。
- タイム・カードは、Oracle Fusion Time and Laborまたは外部サード・パーティ・アプリケーションから取得できます。
- プロジェクト・トランザクション・ソース文書の「直接費金額のインポート」オプションが「いいえ」です。
- プロジェクト・タイム・カードは変換済品目ではありません。
- プロジェクト・タイム・カードは正味ゼロ・トランザクションにできません。
- プロジェクト・タイム・カードは、タイム・カード・トランザクションの支出ビジネス・ユニットに関係なく、給与原価と同じ個人およびHCM割当によって発生する必要があります。
- プロジェクト・タイム・カードの支出項目日が、タイム・カード配分オプションが有効になっている労務スケジュール・バージョンの有効日内です。
- プロジェクト・タイム・カードの支出項目日は、労務費レコードの給与期間の開始日および終了日です。*
*Oracle Fusion Payrollからインポートされた労務費の給与期間の開始日および終了日が、給与の開始日および終了日と同じでない場合があることに注意してください。 たとえば、給与転送の場合、Oracle Fusion Payrollでは、個人の給与アサイメント関係の有効日が考慮され、インポートされた労務費に応じて給与期間の開始日と終了日が調整されます。
タイム・カードをProject Costingにインポートするときに、個人割当に対して有効なタイム・カード配分オプションが使用可能な有効な労務スケジュール・バージョンが存在し、タイム・カード・トランザクション日がバージョンの有効日の範囲内にある場合、タイム・カードは静的コスト・レート0を使用してインポートされます。 給与実績コストがインポートされると、タイム・カードの直接費は、そのタイム・カード・トランザクションに関連する配分済給与コストを使用して再計算されます。
プロジェクト・ベースの労務配分ルールでは、各給与支払エレメントのターゲット・プロジェクトごとに通貨ベースのプロジェクト・コスト・トランザクションが個別に作成されますが、タイム・カード配分メソッドでは新しいプロジェクト・コストは作成されません。 かわりに、タイム・カード配分メソッドを使用して給与がプロジェクトに配分されると、既存のターゲット・タイム・カードの直接費が再計算されます。
タイム・カード配分メソッドでは、特定のターゲット・タイム・カードに適用可能なすべての適格給与支払エレメント原価が要約され、ターゲット・タイム・カードの直接費レートが計算されます。 このレートは、ターゲット・タイム・カードの数量に乗算して、ターゲット・タイム・カードの直接費を計算するために使用されます。
次の例は、このプロセスを示しています:
Lance Mackenzie(ランス・マッケンジ)はVision City Operationsのコンサルタント。 Oracle Fusion Time and Laborを使用して、プロジェクトに対する勤務時間を週単位でレポートします。 また、週次ベースで支払われる給与所得従業員であり、給与計算はOracle Fusion Payrollを使用して計算および処理されます。
Vision City Operationsは、Lanceのレポート時間に対して最も正確なコストを計算することを希望しています。 したがって、タイム・カード配分オプションを有効にしてLanceの労務スケジュール・バージョンが作成され、Lanceの時間数が実際の給与原価に基づいて原価計算されるようになりました。
Vision City Operationsは、Oracle Fusion Payrollを使用し、Labor Distributionで次の給与プロジェクト支払エレメントを定義して、これらの支払エレメントの給与原価をProject Costingにインポートできるようにします。 これらの支払要素のコストは、タイム・カードを使用してプロジェクトに配分できるため、タイム・カード配分基準がそれぞれ入力されています:
| 支払要素 | タイム・カード配分基準 |
| 通常給与 | 正規時間 |
| 超過勤務 | 超過勤務時間 |
| 賞与 | すべての時間 |
Lanceは今週の次の時間をレポートします:
| プロジェクト | 支出タイプ区分 | 数量 |
| Fox Stores HCM Implementation | 正規時間 | 25 |
| DHHS試験 | 正規時間 | 15 |
| DHHS試験 | 超過勤務 | 4 |
同じ週、Lanceの給与は次のようになります:
| 支払要素 | タイム・カード配分基準 | 金額(USD) |
| 通常給与 | 正規時間 | 2,000 |
| 超過勤務 | 超過勤務時間 | 400 |
| 賞与 | すべての時間 | 200 |
| 合計: | 2,600 | |
Lanceの適格なターゲット・タイム・カードの時間数を使用して、支払要素ごとに直接費レートが計算されます:
| 支払要素 | タイム・カード配分基準 | 金額(USD) | ターゲット・タイム・カード数量 | レート=原価/数量(端数処理済) |
| 通常給与 | 正規時間 | 2,000 | 40 | 50 USD/Hour |
| 超過勤務 | 超過勤務時間 | 400 | 4 | 100 USD/Hour |
| 賞与 | すべての時間 | 200 | 44 | 4.54545 USD/Hour |
次に、各Lanceのタイム・カード入力の直接費は、該当する各支払要素レートのレートの合計に時間入力トランザクション数量を乗算して計算されます:
| プロジェクト | 支出タイプ区分 | 数量 | 計算直接費レート(端数処理済) | 直接費(端数処理済) |
| Fox Stores HCM Implementation | 正規時間 | 25 |
54.54545 USD/Hour (通常給与支給エレメントの50 USD/時間+ 4.54545 USD/賞与支給エレメントの時間) |
1,363.64 USD |
| DHHS試験 | 正規時間 | 15 |
54.54545 USD/Hour (通常給与支給エレメントの50 USD/時間+ 4.54545 USD/賞与支給エレメントの時間) |
818.18 USD |
| DHHS試験 | 超過勤務 | 4 |
104.54545 USD/Hour (超過勤務手当エレメントの100 USD/時間+ 4.54545 USD/賞与支給エレメントの時間) |
418.18 USD |
| 合計: | 2,600 USD | |||
ターゲット・タイム・カード・トランザクションの単位
給与実績原価を配分する場合、ターゲット・タイム・カード・トランザクションの単位は考慮されません。 事前定義済のトランザクション・ソースOracle Fusion Time and LaborまたはOracle Fusion Projectsを使用して時間を記録する場合、単位は常に時間数です。 ただし、サード・パーティのタイム・カード・トランザクションは、時間以外の単位を使用して作成できます。
タイム・カードへの給与実績の配分は、ターゲット・タイム・カードの数量に基づきます。 ターゲット・タイム・カードの単位は考慮されません。 したがって、ターゲット・タイム・カードに異なる単位がある場合、給与実績の配分ではこのことは考慮されません。
たとえば、支給エレメントの費用100 USDをインポートするとします。 各例のターゲット・タイム・カードに基づく配分結果は、次のようになります:
例1: 時間単位を持つすべてのターゲット・タイム・カード
| トランザクション・ソース | 数量 | 単位 | 結果の直接費 |
| Oracle Fusion Time and Labor | 8 | 時間 | 50 USD |
| <Third party source> | 8 | 時間 | 50 USD |
| 合計: | 100 USD | ||
例1: 単位が日であるすべてのターゲット・タイム・カード
| トランザクション・ソース | 数量 | 単位 | 結果の直接費 |
| <Third party source> | 1 | 曜日 | 50 USD |
| <Third party source> | 1 | 曜日 | 50 USD |
| 合計: | 100 USD | ||
例3: 異なる単位を持つターゲット・タイム・カード
| トランザクション・ソース | 数量 | 単位 | 結果の直接費 |
| Oracle Fusion Time and Labor | 8 | 時間 | 88.89 USD |
| <Third party source> | 1 | 曜日 | 11.11 USD |
| 合計: | 100 USD | ||
ソース給与原価またはターゲット・タイム・カード数量の変更
給与コストが最初にProject Costingのターゲット・タイム・カードに正常に配分された後、給与ソース・コストまたはターゲット・タイム・カード数量(あるいはその両方)に変更がある場合があります。 以前に配分された給与原価に加えて、ソース給与原価のインポートが変更されるたびに、ターゲット・タイム・カードが自動的に調整され、最新の追加を含む給与実績原価の配分が反映されます。
たとえば、特定の個人割当の支払要素原価$4000は、Project Costingのターゲット・タイム・カードに正常にインポートおよび配分されます。 最初の給与配分後の配分済原価金額を次の表に示します。
| トランザクション番号 | プロジェクト番号 | 数量 | 直接費(USD) |
| 100 | Stark Industries HCMの実装 | 25 | 2,500 |
| 101 | DHHS試験 | 15 | 1,500 |
| 合計: | 40 | 4,000 | |
その後、元のインポートと同じ個人アサイメントおよび給与日付の追加給与原価をインポートすると、「給与原価のインポート」プロセスによって、新しい合計原価がすべてのターゲット・タイム・カードに再配分されます。 次の表は、当初インポートされた原価$4,000と同じ期間に追加$500の給与原価がインポートされた場合の再配分結果を示しています。
| トランザクション番号 | プロジェクト番号 | 数量 | 直接費(USD) |
| 100 | Stark Industries HCMの実装 | 25 | 2,812.50 |
| 101 | DHHS試験 | 15 | 1,687.50 |
| 合計: | 40 | 4,500 | |
合計ターゲット・タイム・カード数量は、給与コストが正常に配分された後も変更できます。 たとえば、タイム・レポータはOracle Fusion Time and Laborでタイム・カードを訂正して、最初にレポートされた時間よりも多くまたは少ない時間をレポートできます。 前述の例の続きで、タイム・レポータによってさらに10時間レポートされ、これらの追加時間がProject Costingにインポートされたとします。 期間の給与原価は変更されませんが、ターゲット・タイム・カードの合計数量が変更されたため、ターゲット・タイム・カードへの前回の配分は正確ではなくなりました。 このシナリオでは、「労務費の管理」ページの関連する労務費レコードのステータスが「再処理が必要」に変わります。 次の表に、関連する労務費の再処理が成功した後の結果を示します。
| トランザクション番号 | プロジェクト番号 | 数量 | 直接費(USD) |
| 100 | Stark Industries HCMの実装 | 25 | 2,250 |
| 101 | DHHS試験 | 15 | 1,350 |
| 103 | Fox Stores SCMアップグレード | 10 | 900 |
| 合計: | 50 | 4,500 | |
給与原価通貨
同じターゲット・タイム・カードに配分されたすべてのインポート済給与コストは、同じ通貨である必要があります。 労務配分のプロジェクト・ベースの配分ルールは、支払要素ごとに個別のプロジェクト・コスト・トランザクションになります。 したがって、プロジェクト・ベースの配分ルールでは、インポートされた支払要素原価間で異なる通貨を使用できます。 ただし、タイム・カード配分では、ターゲット・タイム・カードに配分する前に複数の支払要素原価が集計されます。 各ターゲット・タイム・カードは、複数の給与支払エレメントから取得された単一の分散コスト金額で更新されます。 同じタイム・カードをターゲットとする異なる通貨の支払エレメント原価は、「給与原価のインポート」プロセスによって拒否されます。
タイム・カード直接費端数処理
プロジェクト・ベースの労務配分ルールの場合、各給与支払エレメント・コストについて、単位が「通貨」のターゲット・プロジェクトに対して新しいプロジェクト・コスト・トランザクションが作成されます。 これらのルールでは、「給与原価のインポート」によって、新規プロジェクト・コスト・トランザクションの合計が、表示時または計上時に、元の給与支払エレメント・コストと同じになります。
ただし、タイム・カード配分ベースのルールでは、給与配分プロセスの結果として新しいプロジェクト・コスト・トランザクションは作成されません。 かわりに、直接費レートは、支払要素原価の合計とターゲット・タイム・カードの数量に基づいて計算されます。 各ターゲット・タイム・カード・トランザクションの直接費は、直接費レートとタイム・カード・トランザクションの数量を乗算して計算されます。
この計算済トランザクション直接費は、端数処理されていない金額としてデータ・ストアに保存されます。 ただし、タイム・カード・トランザクションが「プロジェクト・コストの管理」ページで問い合せられたり、計上されたりすると、未端数処理金額は、ハーフ・アップ端数処理ルールを使用して通貨の精度に端数処理されます。
たとえば、給与原価2,000 USDがインポートされ、合計数量が42時間であるターゲット・タイム・カードに配分されます。 直接費レートは、2,000 USDを42時間で割って計算され、直接費レートは47.6190476190476 USD/時間になります。 この直接費レートは、次の表に示すように、各ターゲット・タイム・カード・トランザクションの直接費を計算するために使用されます。
| トランザクション番号 | プロジェクト番号 | 数量 | 直接費レート | 直接費(USD) - 端数処理なし | 直接費(USD) - 端数処理済 |
| 100 | Stark Industries HCMの実装 | 18 | 47.6190476190476 | 857.142857142857 | 857.14 |
| 101 | DHHS試験 | 17 | 47.6190476190476 | 809.52380952381 | 809.52 |
| 103 | Fox Stores SCMアップグレード | 7 | 47.6190476190476 | 333. 333333333333 | 333.33 |
| 合計: | 42 | 2,000 | 1,999 | ||