6.3.1 Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュの監視
Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュでは、アクセス頻度の高いデータがフラッシュ・ストレージに保持される一方、ほとんどのデータはコスト効率に優れたディスク・ストレージに保持されます。キャッシングは自動的に発生し、ユーザーや管理者による作業は必要ありません。Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュでは、データの使用状況、アクセス・パターンおよびアクセスされるデータのタイプを示すデータベースからのヒントに基づいて、キャッシュすることが最も有益なデータをインテリジェントに決定できます。
Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュでは、頻繁にアクセスされるデータ・ブロックに高速I/Oを提供することでOLTPパフォーマンスを向上させます。また、頻繁にスキャンされるデータおよび一時セグメントを自動的にキャッシュし、列キャッシュ・ストレージを提供し、大量分析問合せおよび大量ロードのパフォーマンスを最適化するその他の機能を有効にすることで、意思決定支援システム(DSS)のパフォーマンスを向上させます。
Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュは、ライトスルー・モードまたはライトバック・モードで動作できます。ライトスルー・モードでは、データベース書込みは最初にディスクに対して行われ、その後フラッシュ・キャッシュに移入されます。Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュがライトスルー・モードで動作している状態でフラッシュ・デバイスに障害が発生した場合、データはすでにディスク上にあるため、データが失われることはありません。
ライトバック・モードでは、データベース書込みは最初にフラッシュ・キャッシュに対して行われ、その後ディスクに対して行われます。ライトバック・フラッシュ・キャッシュの内容は再起動後も保持されるため、キャッシュへの移入に必要なウォームアップ時間が不要になります。書込み中心のアプリケーションは、フラッシュによって提供される高速レイテンシを利用することで、ライトバック・キャッシングのメリットを得ることができます。同じブロックへの複数の書込みが、ディスクへの書込みの前にキャッシュに吸収された場合にも、ディスクI/Oの量が減少します。ただし、ライトバック・モードの使用中にフラッシュ・デバイスで障害が発生した場合、ディスクにまだ永続化されていないデータは失われるため、ミラー・コピーからリカバリする必要があります。このため、データベース・ファイルを保護するために高冗長性(3方向ミラー化)とともにライトバック・モードを使用することをお薦めします。
Extreme Flash (EF)ストレージ・サーバーでは、すべてのデータがフラッシュに存在します。したがって、通常のキャッシュにはExadataスマート・フラッシュ・キャッシュは必要ありません。ただし、この場合、それでもExadataスマート・フラッシュ・キャッシュではデータを列形式でキャッシュし、様々な分析問合せを最適化する列キャッシュをホストするために使用されます。
Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュに関連するパフォーマンスの問題では、通常、データベースでcell single block physical readのレイテンシが増加します。ただし、cell single block physical readに関連して不定期の長いレイテンシがあることは、必ずしもExadataスマート・フラッシュ・キャッシュのパフォーマンスの問題を示すわけではなく、単に読取りリクエストがExadataスマート・フラッシュ・キャッシュを使用して対応されなかったことを示す場合があります。
Oracle Exadata System Softwareリリース25.2.0では、キャッシュ・アルゴリズムが拡張され、ストレージ・サーバーはローカル・サーバーでのコストが高いディスク読取りではなく、リモート・キャッシュへのパートナ読取りを実行できるようになりました。この機能により、ローカル・フラッシュ・キャッシュ・ミスがリモート・キャッシュ・ヒットに効果的に変るため、読取りI/Oパフォーマンスが向上し、ディスク読取りが最小限に抑えられます。パートナ読取りは、パートナ・ストレージ・サーバーのXRMEMキャッシュ内またはExadataスマート・フラッシュ・キャッシュ内のミラー化されたデータを使用することで対応できることがあります。いずれの場合も、正常なパートナ読取りは、プライマリ・ストレージ・サーバーのフラッシュ・キャッシュ・ヒットとしてもカウントされます。