シミュレーションのサンプリング・モデル

シミュレーションの各試行において、サンプリング手法に基づいてモデルの各仮定のランダム値が選択されます。

戦略モデリングのシミュレーションでは、次のいずれかのサンプリング方法を使用します。

  • モンテ・カルロ - 各仮定の定義済分布から任意の値をランダムに選択します。

  • ラテン・ハイパーキューブ - 値をランダムに選択し、各仮定の定義済分布に均等に分散します。

モンテ・カルロ・サンプリング

モンテ・カルロ・シミュレーションでは、不確実性変数の値をランダムに繰り返し生成してモデルをシミュレーションします。各仮定の確率分布の値はランダムで完全に独立しています。言い換えると、1つの試行のために選択されたランダム値は次に生成されるランダム値には影響しません。

モンテ・カルロ・シミュレーションの名前は、ルーレット、サイコロ、スロット・マシンといった、いずれもランダムな振る舞いをする運まかせのゲームを特徴とするカジノで有名なモナコのモンテ・カルロに由来します。

このようなランダムな振る舞いは、モンテ・カルロ・シミュレーションで変数値をランダムに選択してモデルをシミュレーションする方法に似ています。サイコロを振ると1、2、3、4、5または6が出ることは分かっていますが、特定の試行でどれが出るかは分かりません。これは、値の範囲は判明しているが特定の回または事象の値は不明である変数と同じです(金利、必要な職員数、株価、在庫、1分当たりの電話回数など)。

モンテ・カルロ・サンプリングの使用による分布の真の形状の概算には、ラテン・ハイパーキューブより多くの試行が必要です。

モンテ・カルロ・サンプリングは、実世界におけるモデルのwhat-ifシナリオをシミュレーションするのに使用します。

ラテン・ハイパーキューブ・サンプリング

ラテン・ハイパーキューブ・サンプリングは、各仮定の確率分布を重複しない等しい確率のセグメントに分割します。

シミュレーションの実行時に、ラテン・ハイパーキューブではセグメントの確率分布に基づいて各セグメントにランダムな仮定値を選択します。この値のコレクションによりラテン・ハイパーキューブ・サンプルが形成されます。各セグメントが1回ずつサンプリングされたら、シミュレーションが停止するまでプロセスが繰り返されます。

シミュレーション統計を計算するとラテン・ハイパーキューブ・サンプリングの方が従来のモンテ・カルロ・サンプリングと比較して精度は高くなります。これは、分布の全範囲がより均等に一貫してサンプリングされるためです。ラテン・ハイパーキューブ・サンプリングはモンテ・カルロ・サンプリングに比べ、少ない試行回数で同じレベルの統計精度を実現できます。この手法では、シミュレーションの実行と同時にどのセグメントがサンプリングされているかが追跡されるため、さらにメモリーが必要となります。(ほとんどのシミュレーション結果と比較して、この余分のオーバーヘッドは軽微です。)

シミュレーション統計の精度を重視する場合は、ラテン・ハイパーキューブ・サンプリングを使用してください。