リスク・プロバイダの理解

アイデンティティ・ドメイン管理者およびセキュリティ管理者は、アイデンティティ・ドメイン・リスク・プロバイダを使用して、IAMのアイデンティティ・ドメイン内で分析する様々なコンテキスト・イベントおよび脅威イベントを構成します。アイデンティティ・ドメインは、サードパーティ・リスク・プロバイダからユーザー・リスク・スコアを使用することもできます。

デフォルトのリスク・プロバイダ

アイデンティティ・ドメインには、サポートされるコンテキスト・イベントおよび脅威イベントのリスト(失敗したログイン試行が多すぎたり、失敗したMFA試行が多すぎたりするなど)を備えたデフォルト・リスク・プロバイダが含まれます。管理者は、関心のあるイベントを有効にし、これらのイベントごとに重み付けまたは重大度を指定できます。システムでは、構成された重み付けを使用して、ユーザーのリスク・スコアを計算します。

リスク・プロバイダでは次のイベントを構成できます:
  • 不明なデバイスからのアクセス
  • 多数の失敗したログイン試行
  • 多数の失敗したMFA試行
  • 疑わしいIPアドレスからのアクセス
  • 馴染みのない場所からのアクセス
  • 場所間の不可能な移動
たとえば、個人が新しい不明なデバイスを使用してサインインすると、そのデバイスはシステムで認識されず、「不明なログイン・デバイスからのアクセス」イベントがトリガーされます。
管理者は、リスク範囲に対応するイベントに重みを割り当てることができます。各リスクの重み付けを次のように考慮します:
  • 低リスク範囲(0-25)
  • 中リスク範囲(26-75)
  • 高リスク範囲(76-100)
管理者は、不明なデバイスからのユーザー・ログインを低リスクとみなす場合、そのイベントの重み付けを25未満に設定します。管理者は、同じイベントを中リスクとみなす場合、そのイベントの重み付けを26から75に設定します。そのイベントに75より大きい値を設定すると、高リスクとみなされます。ユーザーが複数のイベントに違反した場合、リスク・スコアは、2つの重み付けの組合せとなり、適切なリスク・レベルに対応します。ユーザーのリスク・スコアは、継続的に評価され、ログインの成功やパスワードのリセットなど、ユーザーが行う修正アクションに基づいて削減されます。

サードパーティ・リスク・プロバイダ

管理者は、リスク・プロバイダを作成して、Symantecサードパーティ・リスク・エンジンからユーザーのリスク・スコアを取得できます。このリスク・エンジンは、IAMが直接関与していない異種システム間でのユーザーの動作に関する追加のインテリジェンスを提供します。

いつでもユーザーの統合リスク・プロファイルを提供するために、IAMは、デフォルトのIAMリスク・プロバイダと構成済のサードパーティ・リスク・プロバイダの両方のリスク・スコアの最高レベルを取得して、そのユーザーを高リスク、中リスクまたは低リスクのユーザーに分類します。たとえば、デフォルト・リスク・プロバイダからのユーザーのリスク・スコアが「低」の範囲内にあり、サードパーティ・リスク・プロバイダからのリスク・スコアが「中」の範囲内にある場合、ユーザーの統合リスク・レベルは「中」に設定されます。

管理者は、アイデンティティ・ドメインのリスク・スコア、サードパーティのリスク・スコアまたは統合ユーザー・リスク・レベルをアイデンティティ・ドメイン・サインオン・ポリシーとともに条件として使用し、修正アクションを実施できます(ユーザーがアイデンティティ・ドメインとその保護されたアプリケーションおよびリソースにアクセスすることを許可または拒否したり、アイデンティティ・ドメインで認証するための2番目の要素を提供するようにユーザーに要求したりするなど)。