クラウド・コンピューティングのビジネス・モデル
ビジネス・モデルを、クラウド・コンピューティングにフォーカスして適応および調整します。
ビジネス・モデルは、組織が価値創出のための計画を立てる方法を定義したものです。組織のビジネス・モデルには、ビジネスのコンポーネントと機能、組織が生み出す収益、および発生する経費が含まれます。
クラウド・コンピューティングのコンテキストにおいては、ビジネス・モデルには、コスト、必要なインフラストラクチャ、クラウド・コンピューティング・レイヤー(Infrastructure as a Service (IaaS)、Platform as a Service (PaaS)、Software as a Service (SaaS))、およびハイブリッドIT責任モデルに関する考慮事項が含まれます。
クラウド・コンピューティングのレイヤーおよびターゲット・クラウド・プロバイダ内でプロセスがどのように機能するかを理解した後、既存またはオンプレミスのアーキテクチャの移行戦略を定義し、メリットを社内の利害関係者やスポンサに伝えることができます。
テクノロジは、ビジネスの成功または失敗を決める重要な役割を果たします。ITインフラストラクチャの移行からアウトソーシングに至るまで、組織が行う戦略的なビジネス上の意思決定は、市場における持続可能な優位性の創出を重視する、進化するビジネス・モデルに依存しています。組織は、一般的に、収益の拡大、コストの削減、資産効率の向上、イノベーション、そしてセキュリティの強化を追求しています。これらのビジネス目標はすべて、組織が使用するITソリューションへの依存性をますます強めています。テクノロジの進化と、組織と従業員が常時接続できるようになった(そして多くはそれが期待されるようになった)ことで、ITシステムの役割はサポート的な役割から主要な成功要因へと変わりました。
価格設定と関係管理に関する質問は、組織がクラウド戦略の一部として取り組む必要がある、大きな一連の質問のうちの一部にすぎません。
クラウドの導入に何が関与するかを考慮してください。高度な機能を備えたITシステムを持つことの複雑さと重要性が増しています。このため、上級利害関係者は組織の中核的な活動に関連する技術的な問題に対処しなければならず、その圧力は強まっています。組織にとって不可欠なのは、再現性があり、高度に自動化された、スケーラブルでセキュアなアーキテクチャ・パターンを開発すること、ビジネス要件を技術的な機能に変換できる柔軟なプロセスやポリシーを実装すること、そして競争上の優位性を生み出して維持する迅速なデプロイメントを促進することです。
また、動的なクラウドベースITシステムをデプロイ、メンテナンスおよび管理する方法についても考慮してください。組織がフォーカスを置くべき対象は、ビジネスの中核的な活動です。クラウド導入イニシアチブの間、このフォーカスを維持するためには、ビジネス・モデルをテクノロジおよびITシステムと連携させます。
第5の公益事業
公益事業は、社会を継続的に動かす基本的なサービスです。水道、電気、公共交通機関、電信(電話、ラジオ、テレビ、インターネットなど)といった公益事業には馴染みがあるでしょう。クラウド・コンピューティングは、第5の公益事業と呼ばれることがよくあります。
様々なクラウド・コンピューティング・レイヤー(IaaS、PaaSおよびSaaS)に適用されるいくつかのビジネス・モデルについて理解するには、従来の公益事業会社が使用しているビジネス・モデルを見ておくと参考になります。
水道と電気の消費では、多くの場合、従量制の使用モデルが使用されています。従量制の使用モデルは主に、標準化され、その品質がある程度認知および規制されている製品に使用されます。クラウドのコンテキストにおいては、処理能力、ストレージ・デバイス、サーバー、およびIaaSレイヤーを構成するその他のハードウェアがこれと類似しています。従量制の使用モデルは、多くの場合、IaaSレイヤーに使用されます。
PaaSレイヤーは、水道管や配電網に例えることができます。最終消費者がこのレイヤーを見たり考えたりすることはほとんどないため、従量制の使用モデルをPaaSレイヤーに適用することは難しいかもしれません。通常、このレイヤーに関連するコストはインフラストラクチャ・コストに含まれます。
電話やインターネット・アクセスなどの他のユーティリティでは、サブスクリプション・モデルを使用し、特別なサービスに対しては従量制を使用することが多くあります。クラウドのコンテキストにおいては、SaaSレイヤーがこれと類似しています。SaaSレイヤーには通常、幅広い品質を持つ様々な種類の製品が含まれます。SaaSレイヤーには、サブスクリプション・モデルと消費量ベースの使用、またはライセンス料金がよく使用されます。