目標とエコノミクス
クラウド導入で達成するビジネス目標を明確に定義します。クラウド・エコノミクスの概念を使用して、クラウド導入のコスト、メリットおよび価値を理解します。
目標: 成功メトリックの定義
ビジネス目標は成功メトリックです。ビジネス目標を作成するときは、組織のミッション、クラウド導入の目標、および克服が必要な潜在的な障害を検討します。
組織のミッションとビジョンは、クラウド導入イニシアチブにおける指針です。クラウド導入の目標を組織の全体的な戦略目標に合せると、イニシアチブのスポンサシップとエンゲージメントを促進するのに役立ちます。また、現在のクラウド市場の傾向、推進要因、および競争力に対する脅威を理解することも重要です。
組織のビジネス戦略のコンテキストが整ったら、次のステップはクラウドへの移行の価値を特定することです。移行の理由を評価し、達成する目標を定義し、成功に向けたキー・パフォーマンス・インジケータを特定します。具体性が高いほど、組織はイニシアチブのサポート、進捗の評価、現在の運用モデルの成功に向けた調整が簡単になります。
ビジネス目標を定義する最後のステップは、クラウド導入イニシアチブの一環として予想される課題、妨げおよびリスクを分析することです。戦略的アプローチの一環として潜在的な困難を含めることで、適切な利害関係者の特定とソリューション・プロセスの促進に役立ちます。
次の表をテンプレートとして使用して、組織の全体的なビジネス戦略、クラウドへの移行から達成できる価値、および対応する必要のある潜在的な障害をドキュメント化します。
ミッション | 組織のミッションを入力 |
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ビジョン | 組織のビジョンを入力 |
戦略目標 | 組織の戦略的目標を入力 |
市場の傾向、推進要因および脅威 | 組織の傾向、推進要因および脅威を入力 |
理由 |
役員命令 一般的な変革 イノベーション 成長 データ・センターの終了 合併と買収 競合他社のイノベーション 新しいビジネスのサポート 組織に適用されるその他の例 |
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目標 |
デジタル・トランスフォーメーション 資産の最新化 ビジネスの成長 新しい市場への参入 市場投入までの時間 競争力 テクノロジへのアクセス 運用コストとメンテナンス・コストの削減 コスト効率の向上 予算とコストの管理 新製品の迅速なリリース データ主導の変革 組織に適用されるその他の例 |
キー・パフォーマンス・インジケータ(KPI) |
ビジネス成長価値 市場投入までの時間の短縮 コスト削減率 展開した新製品の数 組織に適用されるその他の例 |
課題 |
信頼性の欠如 技術的負債とレガシー・システム 複雑さ コンプライアンスと規制の要件 管理性 組織に適用されるその他の例 |
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リスク |
セキュリティ データ損失 データ・プライバシ データ主権 サービスの可用性 パフォーマンス 組織に適用されるその他の例 |
妨げ |
現在の技術アーキテクチャ 互換性 組織に適用されるその他の例 |
クラウドへの移行の機会や課題を正式にドキュメント化し、組織で共有することで、アジリティとイノベーションの基準としてクラウド変革を確立できます。強固なビジネス目標は、特に組織の全体的なビジネス戦略のコンテキストでは、組織を未来指向の付加価値のある活動に集中させるのに役立ちます。
クラウド・エコノミクス: クラウド導入の価値
クラウド・エコノミクスは、組織がクラウドのコスト、メリット、および基本的な原則を評価するのに役立つ概念です。クラウド・コンピューティングの財務を理解すれば、クラウド変革の価値を最適化できます。
たとえば、組織が従来のオンプレミスITからクラウド環境に移行している場合は、資産の所有権と減価償却をオンデマンド使用モデルに移行する必要があります。オンプレミスITからクラウドに移行すると、ライセンス、商取引条件、および契約条件も変わります。
組織がすでにクラウドで運営されている場合は、プロバイダの変更やマルチクラウド戦略の適用による経済的な影響を検討する必要があります。
クラウドの導入を成功させるには、組織は変更を完全に認識し、取得、減価償却、および費用に関連するプロセスを最新化する計画を立てる必要があります。クラウド導入の財務的価値をドキュメント化すると、財務部門は従来のIT調達モデルからクラウド消費モデルへプロセスを更新でき、組織の他の部門がクラウド導入の価値を定量化するのに役立ちます。
次の表の例を使用して、組織に適用されるクラウド・エコノミクスの主要な基準を特定し、優先順位を付けます。これらの基準により、クラウド導入のビジネス・ケースを開発できます。
クラウド・エコノミクスの原則 | 例 |
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クラウド導入のビジネス価値 |
クラウド機能の取得に振り向けられたオンプレミスの支出 イノベーションに振り向けられた運用コスト リモート・ワーク ビジネス・レジリエンス アジリティの向上 運用上のレジリエンシ セキュリティの向上 コンプライアンスの強化 |
財務改善 |
財務の柔軟性 総所有コスト(TCO)の向上 Pay As You Goオプション オンデマンド・サービス コスト管理、使用、および割当てに関するリアルタイムの透明性 ライセンスの削減 ビジネス・サービスのサポート 施設コストの削減 |
技術的な改善 |
柔軟性 高可用性 ディザスタ・リカバリ セキュリティ コンプライアンス |
その他の考慮事項 |
変動するITコスト クラウドの最適化 スケーラビリティ 設備投資(CAPEX)から運用コスト(OPEX)へのシフト 資産の減価償却 |
この段階のグッド・プラクティスは、クラウド・コンピューティング・リソースを使用するビジネス・ユニットのITショーバック・モデルまたはチャージバック・モデルを定義および実装することです。これによって、IT部門をコスト・センターからバリュー・イネーブラに移行できます。