OCI Databaseサービスからのデータのエクスポート

この記事では、Oracle Cloud Infrastructure (OCI) Database as a Service (DBaaS)からオンプレミス・システムまたはその他のクラウド環境にデータをエクスポートする方法について説明します。

OCI Database Services(Exadata Database Service on Cloud@Customer、Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure、Exadata Database Service on Exascale Infrastructure、Base Database Serviceなど)を使用しているお客様は、オンプレミス環境または他のパブリック・クラウド・プロバイダにデータをエクスポートできます。

OCI DBaaSのお客様は、Oracle Cloudからデータを移行するための、完全にサポートされている複数のオプションを備えており、柔軟性、移植性、およびロックインがないことを保証します。サポートされているエクスポート方法は次のとおりです。

  • Oracle Data Pump (expdp/impdp):データベース・スキーマまたはフル・データベースをエクスポートして、ファイルをダンプし、OCIオブジェクト・ストレージまたはローカル・ファイル・システムにステージングして、オンプレミスまたはその他のクラウド・オブジェクト・ストアに転送します。
  • RMANバックアップ/リストア:バックアップ・セットを作成し、OCI Object Storage、NFSまたはオンプレミス・ストレージに直接コピーします。その後、OCI外部のOracle Database環境でバックアップをリストアできます。
  • SQL*Loader/外部表: CSVやParquetなどの形式でデータをファイルやオブジェクト・ストレージにアンロードし、オンプレミスのデータ・レイクやサードパーティのクラウド分析プラットフォームに簡単に統合できるようにします。
  • Oracle GoldenGate: OCI DBaaSからオンプレミスのOracle Databasesまたは他のクラウド・プロバイダの異機種ターゲットに、リアルタイムでデータをレプリケートします。
  • OCI Database Migration Service (DMS):オンプレミスまたは他のクラウド・プロバイダへのオンラインまたはオフライン移行にOracle GoldenGateを利用するマネージド・サービス。
  • トランスポータブル・データベースまたは表領域: Oracle Databaseファイルは、オンプレミスまたは別のクラウドでOracleインスタンスによって直接コピーおよびマウントできます。

これらのツールを使用すると、お客様は、1回かぎりのエクスポート、継続的なレプリケーション、大規模なバックアップなど、データを安全かつ効率的に移動できるため、Oracle Databasesをマルチクラウドまたはハイブリッド・クラウドのアーキテクチャに自由に統合できます。

関連項目

一般的なデータベース・エクスポート・メカニズム

Oracle Databasesでは、どのOCI DBaaSフレーバが使用されているかにかかわらず、複数の方法でデータを移動できます。

Oracle Data Pump (expdp/impdp)

Data Pump Export (expdp)を使用して、スキーマまたはデータベース全体をダンプ・ファイルにエクスポートします。

ダンプ・ファイルの書込み先:

  • OCIオブジェクト・ストレージ
    • DBMS_CLOUDパッケージを使用したオブジェクト・ストレージへのダンプ・ファイルのステージング
    • または、Oracle Data Pumpと事前認証済URLの統合を介して
  • ローカル・ファイルシステム(DBノード・ストレージ)
    • DBサーバー・ノードでダンプ・ファイルをローカルに書き込みます。
    • scpやrsyncなどの標準ツールを使用してコピー・アウトします。

RMANのバックアップ/リストア

RMANは、クラウド環境とオンプレミス環境間でOracle Databasesをバックアップおよびリストアするための信頼性の高い柔軟なソリューションを提供します。

  • バックアップ・オプション:
    • RMANは、Database Backup Cloud Serviceモジュールを使用して、データベースをOCI Object Storageにバックアップできます。
    • バックアップ・ピースは、必要に応じてオンプレミス環境または他のオブジェクト・ストレージ・リポジトリにコピーすることもできます。
  • リストア・オプション: RMANリストアは、サポートされている任意のターゲット・データベース環境で実行できます。

SQL*Loader/外部表

SQL*Loaderまたは外部表を使用して、部分的または大規模なデータ・アンロードを処理します。

  • データ・エクスポートのオプション:
    • UTL_FILE: サーバー・ファイル・システム上のファイルの読取りおよび書込みをデータベースに許可するPL/SQLパッケージ。通常はCSVまたはテキスト・ファイルの生成に使用されます。
    • ORACLE_DATAPUMPアクセス・ドライバ: 外部表からData Pumpエクスポート・ファイルに直接アクセスして、高速で効率的なデータ読取りを可能にします。
    • DBMS_CLOUD.EXPORT_DATA: CSVやParquetなどの形式でデータをオブジェクト・ストレージに直接エクスポートするOCIネイティブPL/SQLプロシージャ。
  • データ移動: 必要に応じて、生成されたファイルをオンプレミス環境または他のクラウド・ストレージにダウンロードまたは移行します。

Oracle GoldenGate

Oracle GoldenGateは、様々な環境にわたるOracle Databases用の高パフォーマンスのリアルタイム・レプリケーション・ソリューションです。

  • 3つのOCI DBaaSフレーバすべてをサポートします。
  • 次の目的でトランザクションをレプリケートできます。
    • オンプレミスのOracle Databases。
    • 他のクラウド環境でホストされているOracle Databases。

OCIデータベース移行サービス(DMS)

データベース移行サービス(DMS)は、Oracle GoldenGateを活用してデータ移動を簡素化するOCIネイティブ・サービスです。

  • OCI DBaaSからオンプレミス・ターゲットまたは他のクラウド環境にデータを移行するための管理対象パスを提供します。
  • 最小限の手動作業で、データのレプリケーション、同期および移行を処理します。
  • データの一貫性を確保し、最小限のダウンタイムで移行をサポートします。

トランスポータブル・データベースまたは表領域

表領域およびデータベース全体に関連付けられたデータファイルを物理的にコピーできます。

  • OCI上のOracle Databasesは、scp、rsyncまたはsftpを介してOCIブロック・ボリュームから直接コピーできます。
  • バックアップ・ピースおよびスナップショットは、オフクラウド・リストアのためにOCIブロック・ストレージからコピー/エクスポートできます。
  • 論理エクスポートが実用的でない非常に大規模なデータベースに適しています。

データの転送

お客様は、データ量、時間の制約、ネットワークの可用性に応じて、エクスポートまたはバックアップされたデータをOCIから転送する複数のオプションから選択できます。

  • インターネット経由
    • 小規模から中規模のデータセットに適しています。
    • データは、オブジェクト・ストレージからのscp、rsync、sftpまたはHTTPSアップロード/ダウンロードを使用して安全にコピーできます。
    • 事前認証済リクエスト(PAR)を使用すると、外部ツールおよびスクリプトで、IAM資格証明を必要とせずにデータを直接フェッチできます。
    • 転送中のTLS暗号化を確認し、圧縮を使用して転送パフォーマンスを最適化します。
  • ダイレクト・ネットワーキング(FastConnect/クラウド・インターコネクト)
    • 高スループットおよび低レイテンシの転送では、OCIとオンプレミス環境間、またはOCIと他のクラウド・プロバイダ間のプライベート・インターコネクトを使用できます。
    • 大量の定期的なデータ転送を行うお客様にお薦めします。
    • OCIとオンプレミスまたはサードパーティのデータセンター間のプライベートな専用接続を提供します。
    • インターネットベースの転送と比較して、スループットの高速化、レイテンシの低減、セキュリティの強化を実現します。エクスポートまたはバックアップをオンプレミスまたはハイブリッド環境と定期的に同期する必要があるシナリオに最適です。
  • Data Transfer Appliance(DTA)
    • 非常に大規模なデータ移動(マルチTBからPB)用に設計されています。
    • 暗号化されたアプライアンスは、顧客に物理的に出荷され、データで一杯になり、直接インポート/エクスポートのためにOracleに返送されます。
    • 制限されたネットワーク帯域幅に対する依存関係を削除します。
    • 初期の大規模な移行、オフクラウド・アーカイブまたはDRシード操作に適しています。

セキュリティおよびコンプライアンス

  • すべてのエクスポートおよびバックアップで暗号化がサポートされています。
    • セキュア・トランスポート用のRMAN暗号化バックアップ。
    • Data Pump暗号化(ENCRYPTION=ALL)。
    • レプリケーション・ストリーム用のSSL/TLSを使用したOracle GoldenGate。
  • TDEを使用する場合は、キーおよびウォレット・ファイルが安全に転送されるようにします。

パフォーマンスのベスト・プラクティス

  • Data Pumpの場合:
    • スループットを高速化するには、PARALLELオプションと複数のダンプファイルを使用します。
    • ローカル・ストレージのボトルネックを回避するために、事前認証済URLを使用してOCI Object Storageに直接書き込みます。
  • RMANの場合:
    • バックアップの圧縮およびパラレル化を有効にします。
    • スループットを向上させるために複数のチャネルに書き込みます。
  • Oracle GoldenGateの場合:
    • サポートされている場合は、パラレル・レプリケーション・ストリームを使用します。
    • スケールアウト・レプリケーション用にOracle GoldenGate Microservicesをデプロイします。

サービス固有のノート

Exadata Database Service on Cloud@Customer

  • データは顧客のデータ・センターに物理的に存在しますが、Oracleによって管理されます。
  • エクスポート/バックアップは、OCI Object Storageに加えて、お客様のオンプレミス・オブジェクト・ストレージ、NFSまたはテープに移動できます。
  • Oracle GoldenGateは、他のオンプレミス・ターゲットまたはクラウド・ターゲットに直接レプリケートできます。

専用インフラストラクチャおよびExascaleインフラストラクチャ上のExadata Database Service

  • OCIリージョンの完全なExadata Cloud環境。
  • Data Pump、RMANからOCI Object Storage、およびOracle GoldenGateは、主要な終了パスです。
  • 通常、お客様はバックアップ・ファイルをエクスポートしてオブジェクト・ストレージにエクスポートし、他のプロバイダにダウンロードまたは同期します。

ベース・データベース・サービス

  • 従来のオンプレミス・データベースと同様に機能しますが、OCIでホストされます。
  • お客様はDBホストに直接SSHアクセスできるため、次のことができます。
    • expdp RMANバックアップを実行します。
    • scp、rsyncまたはsftpを使用してデータを転送します。
    • マウントされたオブジェクト・ストレージにバックアップ/データファイルを直接書き込みます。

参照とリソース

エクスポート・ツール

バックアップとリカバリ

レプリケーションと移行