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3 新機能の概要

この章では、JDBC API で追加された新機能の概要を説明します。

3.1     結果セットの拡張

JDBC 1.0 API で提供されていた結果セットでは、順方向のスクロールしかできませんでした。スクロール可能な結果セットでは、その中を順方向にも逆方向にも移動できるようになっており、より柔軟な結果の処理が可能になっています。さらに、相対的な位置指定と絶対的な位置指定が可能です。たとえば、スクロール可能な結果セット中の 4 行目に直接移動したり、現在の行から数えて 3 つ先の行 (そのような行が存在する場合) に直接移動するといったことが可能です。

また、JDBC API では、結果セットを直接更新可能にすることもできます。

3.2     バッチ更新

バッチ更新機能とは、1 回の要求で複数の更新文 (挿入 / 更新 / 削除) をデータベースに送ることができる機能です。たくさんの更新文を実行しなければならない場合、バッチ更新機能を使うとパフォーマンスが飛躍的に向上します。

3.3     高度なデータ型

JDBC API では、Java の持続オブジェクトの格納と SQL99 のデータ型 (バイナリラージオブジェクトや構造化型など) のマッピングのサポートが強化されました。SQL99 の構造化型の Java クラスへのマッピングをカスタマイズすることも可能です。

3.4     行セット

名前からわかるように、行セットとは、行の集合をカプセル化したものです。行セットは、開かれているデータベース接続を保持していても、保持していなくてもかまいません。行セットがそのデータソースから「切り離されている」場合、その行セットに対して行なった更新処理は、オプティミスティック並行処理制御アルゴリズムを使って基盤となるデータベースに伝えられます。

行セットにより、JavaBeans コンポーネントモデルを JDBC API でサポートできます。行セットオブジェクトは Java の Bean です。行セットの実装は直列化可能であってもかまいません。行セットは設計時に作成でき、作成した行セットは、ビジュアル構築ツールでほかの JavaBeans コンポーネントと組み合わせることでアプリケーションを構築できます。

3.5     データベースネーミングのための JNDI

Java Naming and Directory Interface (JNDI) API は、データベースへの接続を獲得するため、JDBC テクノロジベースのドライバマネージャ (JDBC ドライバマネージャ) と組み合わせて使用できます。JNDI API を使用するときは、特定のデータベースインスタンスを識別する論理名と、そのデータベースにアクセスするための JDBC ドライバを指定します。この方法には、アプリケーションのコードを特定の JDBC ドライバと JDBC 技術の URL に依存しないようにできるという利点があります。

3.6     接続プール

JDBC API には、JDBC ドライバ層の一番上に接続プールを実装することを可能にする「フック」が含まれています。フックを使用すると、1 つの接続キャッシュを、使用されている複数の JDBC ドライバ間で使用できます。データベース接続の作成と廃棄は負担の大きな処理であるため、特にサーバアプリケーションでは、良好なパフォーマンスを達成する上で接続プールは重要です。

3.7     分散トランザクションのサポート

JDBC API への拡張機能として、分散トランザクションのサポートが追加されました。この機能により、Java Transaction Service (JTS) API で使用される標準の 2 段階コミットプロトコルを JDBC ドライバでサポートできます。

3.8     その他の新機能

文字ストリームのサポートが追加されました。この機能により、データベースからの文字データの取得や送信を、国際化された Unicode 文字のストリームとして行うことができます。また、java.math.BigDecimal の値を全精度で返せるようにするメソッドが追加されました。さらに、タイムゾーンのサポートも追加されました。



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