ドキュメントの種類の指定

ユーザが使用するドキュメントには、PDF ファイル、デジタルカメラのイメージ、電子メール、ワードプロセッサのドキュメント、Web ページなど、さまざまな書式があります。クライアントでは、特定の書式のドキュメントを印刷する前に、その書式がプリンタで認識されることを確認する必要があります。プリンタによっては、特定の書式のドキュメントを直接印刷することができます。たとえば、フォトプリンタでは、さまざまなイメージを直接印刷できます。また、PostScript^TM プリンタでは、PostScript^TM ドキュメントを直接印刷できます。ただし、広範囲の書式のドキュメントを直接印刷できるプリンタは、ほとんどありません。ほとんどのプリンタでは、ソースドキュメントを印刷できる書式に変換するために、高水準のソフトウェアサポートが必要になります。

印刷 API では、以下の機能を実現するために、ドキュメントの種類を指定する必要があります。

• 印刷可能な書式をプリンタから報告する
• 印刷するデータの書式をクライアントから指定する
• テキストデータのエンコーディングをクライアントから指定する

Java^TM 印刷サービス API では、DocFlavor クラスを使用してドキュメントの種類を指定します。DocFlavor は、以下の要素で構成されます。

• MIME タイプ。データの解釈方法をプリンタに通知する
• 表現クラス名。データをプリンタに送信する方法を指定する

HTML ページを印刷サービスに指定するときに DocFlavor を使用するときは、MIME タイプに「text/html; charset=utf-16」を指定し、表現クラス名に「java.io.InputStream」を指定します。クライアントでは、次のどちらかの方法で、DocFlavor を取得できます。

• DocFlavor を構築する: DocFlavor htmlStreamFlavor = new DocFlavor("text/html; charset=utf-16", "java.io.InputStream");
• 次の種類の DocFlavor を表現する定義済みのインスタンスを使用する: DocFlavor.INPUT_STREAM TEXT_HTML_UTF_16。Java 印刷サービス API には、使用頻度の高いドキュメントフレーバ向けに、定義済みインスタンスセットが組み込まれています。

HTML ページにはテキストデータが含まれるため、MIME タイプの String にはテキストエンコーディングを指定します。上の例では、「charset=utf-16」が指定されています。クライアントでは、印刷サービスに対して印刷データを正確に指定する必要があります。「クライアント指定書式付き印刷データ」では、印刷データを指定するために DocFlavor を構成する方法について説明します。MIME タイプにテキストエンコーディングを指定しない場合は、「文字エンコーディングの重要性」で説明するように、予期しない結果が発生することがあります。クライアントが Java オブジェクトとして指定したデータの書式は、サービスで決定することもできます。「サービス指定書式付き印刷データ」では、サービス指定書式付き印刷データを表現する DocFlavor の使用方法について説明します。

DocFlavor API でドキュメントフレーバがあらかじめ宣言されているだけでは、特定のフレーバが実装されていることにはなりません。たとえば、UTF-16 による HTML テキストを表す定義済み DocFlavor を使用している場合でも、HTML の印刷をサポートする印刷サービスを備えていなければ印刷はできません。プリンタが特定の書式をサポートしているかどうかの確認は、ユーザ側で行ってください。