Java

JavaTM Standard Edition 6.0 の AWT 拡張機能

ドキュメントの目次

java.awt

主な機能
修正されたバグ
既知のバグと問題

主な機能

Java SE 6.0 で導入された機能は次のとおりです。

モーダリティー

この新しいモーダリティーモデルは、ダイアログボックスのモーダリティーブロックを処理するために導入されました。このモデルは次の4つのモーダリティータイプから構成されます。非モーダル、アプリケーションモーダル、ドキュメントモーダル、およびツールキットモーダル。

public Dialog(Window owner, String title,
			   Dialog.ModalityType modalityType,GraphicsConfiguration gc)

modalityTypes パラメータは、ダイアログボックスが表示された際に、そのボックスがほかのウィンドウへの入力をブロックするかどうかを指定します。null 値やサポートされていないモーダリティータイプは、非モーダルタイプに等しくなります。Dialog クラスの getModalityType メソッドと setModalityType メソッドを使えば、それぞれダイアログボックスのモーダリティータイプの取得と設定を行えます。

どのトップレベルウィンドウも、モーダルダイアログによってブロックされないようにマークすることができます。このプロパティーを使えば「モーダル除外」モードを設定できます。Window クラスの setModalExclusionType メソッドは、次のいずれかのモーダル除外モードを指定します。APPLICATION_EXCLUDETOOLKIT_EXCLUDE、または NO_EXCLUDE

モーダリティーの詳細については、Swing チュートリアルの「How to Use Modality in Dialogs」節を参照してください。

デスクトップ

Desktop API (java.awt.Desktop) の提供目的は、Java アプリケーションが、特定のファイルタイプに関連付けられたデフォルトアプリケーションと対話できるようにすることです。提供されているアクションはすべて、次のような Desktop.Action 列挙インスタンスとして表されます。

あるアクションが現在のプラットフォームでサポートされているかどうかをチェックするには、Desktop クラスの isSupported メソッドを使用します。

Desktop クラスの使用方法の詳細については、Swing チュートリアルの「How to Integrate with the Desktop Class」節を参照してください。

スプラッシュ画面

仮想マシンの起動前にアプリケーションからスプラッシュ画面を表示できるようにするための新しい解決方法が、導入されました。SplashScreen クラスにスプラッシュ画面を作成するように要求することはできませんが、Java アプリケーションはスプラッシュ画面を閉じたり、スプラッシュ画面のイメージを変更したり、イメージの位置やサイズを取得したり、スプラッシュ画面内で描画したりできます。 SplashScreen クラスのインスタンスを取得するには、getSplashScreen() static メソッドを使用します。

コマンド行からスプラッシュ画面付きでアプリケーションを実行するには、次のコマンドを使用します。

java -splash:<file name> <class name>

スプラッシュ画面の詳細については、Swing チュートリアルの「How to Create a Splash Screen」節を参照してください。

システムトレイ

SystemTray クラスは、デスクトップのシステムトレイを表すためのものです。システムトレイにアクセスするには、getSystemTray() static メソッドを呼び出します。システムトレイには、TrayIcon クラスのオブジェクトで表される 1 つ以上のトレイアイコンを含めることができます。ただし、TrayIcon クラスの機能はトレイアイコンを作成することだけではありません。これには次のように、テキストツールヒント、ポップアップメニュー、およびバルーンメッセージも含まれます。

TrayIcon trayIcon = new TrayIcon(createImage("icon.gif", "tray icon"));

trayIcon.displayMessage("Sun TrayIcon Demo", 
			"This is an info message", TrayIcon.MessageType.INFO);
trayIcon.setToolTip("Sun TrayIcon");			
			

注: TrayIcon クラスの現在の実装で提供されている Swing コンポーネントのサポートには、制限があります。この問題に対する回避方法案は、バグデータベース内に記述されています。バグ ID 6285881  を参照してください。

システムトレイやトレイアイコンの詳細については、Swing チュートリアルの「How to Use the System Tray」節を参照してください。

コンポーネントのレイアウト機能の拡張

java.awt.Component クラスの次の 2 つの新メソッドを使えば、コンポーネントの最上部から測定されたベースラインを取得したり、コンポーネントのサイズ変更時にベースラインの変更を処理したりできます。

FlowLayout:

ベースラインを基準にしたコンポーネントの垂直方向の位置合わせを制御できるよう、次の 2 つのメソッドが導入されました。

GridBagLayout:

GridBagLayout クラスによるコンポーネントのレイアウト機能を強化するために、次の制約が GridBagConstraints クラスに追加されました。

  • BASELINE
  • BASELINE_LEADING
  • BASELINE_TRAILING
  • ABOVE_BASELINE
  • ABOVE_BASELINE_LEADING
  • ABOVE_BASELINE_TRAILING
  • BELOW_BASELINE
  • BELOW_BASELINE_LEADING
  • BELOW_BASELINE_TRAILING
さらに、GridBagLayout によるコンポーネントレイアウト中にコンテナ内のすべてのコンポーネントの align、size、および baseline パラメータを格納できるよう、GridBagLayoutInfo クラスが導入されました。

Window クラスの拡張

ウィンドウのアイコンとして表示されるイメージを処理するための新メソッドが、Window クラスに追加されました。setIconImage(Image image) メソッドが 1 つのイメージのみを設定するのに対し、setIconImages(List<? extends Image> icons) メソッドでは寸法の異なる一連のイメージがサポートされ、それらのイメージがプラットフォームの機能に応じて適用されます。

Java SE 6 では、親フレームを指定しないで Window または Dialog オブジェクトを作成することができますが、そのようなオブジェクトのコンストラクタの owner パラメータは null に等しくなります。

修正されたバグ

主なバグ修正の一覧を次に示します。

6404008 マウスイベントの配信がドラッグの感度に依存する:

マウスドラッグイベントは、オペレーティングシステムのドラッグ感度設定に達したあとで受信されていました。提案された解決方法では、オペレーティングシステムのドラッグ距離パラメータが無視されます。マウスが最初に動いた時点で Java ドラッグイベントが生成されます。

6242833 Linux/JDS 3 上でウィンドウを最大化するとマウスカーソルの動作がおかしくなる:

ウィンドウの最大化中に、カーソルの更新に不可欠ないくつかのイベントが配信されていませんでした。修正には、XWindow 内での x-crossing イベントの処理が含まれます。

4841881: Windows のルック&フィールで Alt+Tab キーを使ってタブ操作を行うと、アプリケーションのメニューバーにフォーカスが移動する

Alt+Tab キーを使って Java ウィンドウからネイティブアプリケーションウィンドウにいったん移動したあとで元の Java ウィンドウに戻ると、Java ウィンドウの最初のメニュー項目にフォーカスが移動していました。 提案された修正により、Java ウィンドウで最初にフォーカスが存在していたコンポーネントにフォーカスが残るようになりました。

6291992: 編集可能なすべてのフィールドが凍結される

JTextFieldJTextArea などの編集可能なフィールドが、たとえ以前に編集されたものであっても、編集できなくなったりフォーカスを取得できなくなったりしていました。コンボボックスやテーブル、ラジオボタンといったその他のコンポーネントは、編集可能なままです。

6176814: マルチクリックの処理

XWindow.java のコードには、マルチクリックの処理が含まれていません。このため、ユーザーが画面上でマウスを Linux ボックスにドラッグすると、ユーザーがシングルクリックを期待しているのにダブルクリックが発生していました。同様に、ユーザーがクリックなしを期待しているのにシングルクリックが発生していました。この修正には、スマッジ係数を適用するための AWT_MULTICLICK_SMUDGE 変数が含まれます。この変数により、マウスを少し動かしただけではマルチクリック状態変数が消去されなくなります。

5051557: アプレットがキーボードコマンドに応答しない

フォーカスがアプレット自体によって取得されず、一見、アプレットに埋め込まれたフレームに移動していました。この非互換の原因は、Java SE 1.4 で導入されたフォーカス再アーキテクチャーにありました。この修正により、最初の正しい動作が回復されます。

4320050: Frame オブジェクトの最小サイズが適用されていない

Window.setMinimumSize() メソッドの変更により、ユーザーがトップレベルウィンドウのサイズを指定された寸法よりも小さくできなくなりました。これまで、トップレベルウィンドウで設定された最小サイズはプラットフォームによって無視されていました。したがって、トップレベルウィンドウの minimumSize プロパティーを独自のニーズに使用しているコードは、この変更の影響を受ける可能性があります。

6199167: ライブサイズ変更

Windows 上のネイティブアプリケーションは、サイズ変更時にレイアウトや描画を動的にやり直すためのプロパティーを備えていました。このプロパティーはシステムのデスクトップ設定によって制御されていました。Java はこのプロパティーをデフォルトで無効にします。Java SE 6 では、この必須プロパティーがデフォルトで有効化されます。

4360364: キリル文字入力がサポートされていない

ロケールの定義が不適切であった場合、ネイティブのインプットメソッドは keysym の処理を行わず、それらをそのまま AWT の handleKeyEvent ルーチンに渡していました。この修正では変換テーブルが追加され、インプットメソッドを使用しない状況でキーイベント処理が一般に簡素化されます。

既知のバグと問題

次に、リリース 6.0 で発生する可能性がある既知の問題のリストを示します。

5070056: JWindow コンポーネントがほかのすべてのウィンドウの手前に表示される

Solaris と Linux で、JWindow コンポーネントがほかのすべてのウィンドウの手前に表示され、ほかのウィンドウがその後ろに隠れてしまいます。この問題を回避するには、デコレートされていないフレームを使用してください。

6387273: JVM がクラッシュする

トップレベルの表示/破棄を繰り返すなど、いくつかの複合的な状況下で、JVM がクラッシュすることがあります。


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