はじめに
このガイドでは、超大規模データセットを取得、編成および分析するために使用されるOracle Big Data Applianceについて説明します。これには、ハードウェア操作、サイトの計画と構成に加え、物理的、電気的および環境的な仕様に関する情報が含まれます。
この「はじめに」の内容は次のとおりです。
対象読者
このガイドは、Oracle Big Data Applianceのユーザーと、Oracle Big Data Applianceのデータ・センター・サイトの計画、インストール、構成およびメンテナンスを担当するユーザーを対象としています。
ドキュメントのアクセシビリティについて
Oracleのアクセシビリティについての詳細情報は、Oracle Accessibility ProgramのWeb サイト(http://www.oracle.com/pls/topic/lookup?ctx=acc&id=docacc)を参照してください。
Oracle Supportへのアクセス
サポートを購入したOracleのお客様は、My Oracle Supportにアクセスして電子サポートを受けることができます。詳細情報はhttp://www.oracle.com/pls/topic/lookup?ctx=acc&id=infoか、聴覚に障害のあるお客様はhttp://www.oracle.com/pls/topic/lookup?ctx=acc&id=trsを参照してください。
関連ドキュメント
Oracle Big Data Applianceドキュメント・ライブラリ
Oracle Help CenterのBig Dataポータルには、ご使用の製品リリース用の完全なOracle Big Data Applianceライブラリへのリンクがあります。このライブラリには、Oracle Big Data Applianceの次のドキュメント、およびその他のOracle Big Data製品のドキュメントが含まれています。
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『Oracle Big Data Applianceオーナーズ・ガイド』(このガイド)
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『Oracle Big Data Managerユーザーズ・ガイド』(Oracle Big Data Appliance用)
ノート:
『Oracle Big Data Applianceライセンス情報ユーザー・マニュアル』は、Oracle Big Data Appliance製品に含まれるOracleおよびサードパーティ製品のライセンス情報に関する、総合的な参考資料です。ライセンスについて疑問がある場合は、このマニュアルを参照するか、Oracleサポートに問い合せてください。My Oracle SupportでのOracle Big Data Applianceの支援
My Oracle Support (support.oracle.com)では、絶えず更新されるMOSノート(My Oracle Supportノート)の形式で"方法"についての詳細な説明を提供しています。Oracle Big Data Applianceドキュメント・ライブラリで必要な情報が見つからない場合は、My Oracle Supportを確認してください。Oracleアカウント資格証明を使用してログインします。
Oracleサポート担当者が問題についてMOSノートの参照を求めることがあります。
検索フィールドに、特定のMOSノート番号または一連のキーワードを入力できます。

図bigog_mos_search_field.pngの説明
関連項目:
Oracle Big Data Appliance Information Center
Oracle Big Data Appliance Information Center (Doc ID 1445762.2)は、次のような様々なトピックに関するMOSノートを集約したものです。
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サイト・チェックリスト。
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サービス・アラート。
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最新のベース・イメージと、それを新しいインストールおよび再プロビジョニングに使用する方法
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パッチ。
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動作保証されたCDHアップグレード。
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ヘルス・チェック、診断およびモニタリング・ツールに関するヒント。
関連ハードウェア製品のドキュメント
次のOracleライブラリには、Oracle Big Data Applianceのハードウェア情報が含まれます。
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Oracle Server X7-2Lドキュメント・ライブラリ: https://docs.oracle.com/cd/E72463_01/index.html
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Oracle Server X6-2Lドキュメント・ライブラリ: https://docs.oracle.com/cd/E62172_01/index.html
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Oracle Server X5-2Lドキュメント・ライブラリ: https://docs.oracle.com/cd/E41033_01/index.html
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Sun Rack II 1042および1242ライブラリ:
http://docs.oracle.com/cd/E37710_01/nav/products.htm
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Sun Network QDR InfiniBand Gateway Switch Firmware Version 2.0ドキュメント:
http://docs.oracle.com/cd/E26699_01/index.html
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Sun Datacenter InfiniBand Switch 36 Firmware Version 2.0ドキュメント:
http://docs.oracle.com/cd/E26698_01/index.html
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Oracle Integrated Lights Out Manager 3.1ドキュメント・ライブラリ:
http://docs.oracle.com/cd/E24707_01/index.html
表記規則
このマニュアルでは次の表記規則を使用します。
規則 | 意味 |
---|---|
太字 |
太字は、操作に関連するGraphical User Interface要素、または本文中で定義されている用語および用語集に記載されている用語を示します。 |
イタリック |
イタリックは、ユーザーが特定の値を指定するプレースホルダ変数を示します。 |
|
固定幅フォントは、段落内のコマンド、URL、サンプル内のコード、画面に表示されるテキスト、または入力するテキストを示します。 |
|
ナンバー記号( |
バッカス・ナウア記法の構文
このリファレンスの構文は、次の記号と表記規則を使用するバッカスナウア記法(BNF)の単純なバリエーションで示されます。
記号または規則 | 説明 |
---|---|
[ ] |
大カッコは、オプション項目を囲みます。 |
{ } |
中カッコは、選択項目を囲み、そのうち1つのみが必須です。 |
| |
縦線は、大カッコまたは中カッコ内の代替項目を区切ります。 |
... |
省略記号は、先行する構文要素を反復できることを示します。 |
デリミタ |
大カッコ、中カッコおよび縦線以外のデリミタは、記載されているとおりに入力する必要があります。 |
太字 |
太字で示されている語は、キーワードです。それらは記載されているとおりに入力する必要があります。(キーワードは、一部のオペレーティング・システムでは大/小文字の区別があります。)太字ではない語は、名前または値に置換する必要があるプレースホルダです。 |
Oracle Big Data Applianceリリース5.1での変更点
リリース5.1には、次の新機能、ソフトウェア・リビジョンおよびその他の変更が含まれています。
Cloudera 6.2.1のサポート
Oracle Big Data Appliance 5.1は、Cloudera Enterprise 6.2.1に基づいています。リリース6.2.1の詳細は、Cloudera Webサイトを参照してください。
サポートされるアップグレード
リリース4.12、14.13および4.14からOracle Big Data Applianceリリース5.1に直接アップグレードできます。
アップグレードを実行する前に、重要な前提条件が満たされている必要があります。前提条件、アップグレード手順および既知の問題については、このガイドのOracle Big Data Applianceでのソフトウェアのアップグレードを参照してください。
既存のOracle Linux 6クラスタからBig Data Appliance 5.1へのアップグレードはサポートされていますが、新しいOracle Linux 6クラスタを作成するオプションはありません。
Oracle Linux 6からOracle Linux 7への移行のサポート
Oracle Big Data Appliance 5.1には、Oracle Linux 6からOracle Linux 7へのクラスタ・ノードの移行のサポートが含まれています。
参照:
このガイドのOracle Linux 6からOracle Linux 7への移行。X8-2Lサーバー
Big Data Appliance 5.1は、X8-2Lサーバーおよび以前のリリースでサポートされていた以前のサーバー・モデルをサポートしています。Oracle Big Data ApplianceのX8-2LとX7-2Lの重要な違いは、処理能力と記憶域です。
- X8-2L – 2.4 GHz Intel Xeon 8260 CPU、14 TB HDDおよび240 GB Intel M.2 SSD
- X7-2L - 2.1 GHz Xeon 8160 CPU、10 TB HDD、150 GB Intel M.2 SSD
Big Data Appliance X8-2LとX7-2Lの両方で、同じ32 GB DDR4 - 2666 MHzのメモリーが使用されます。
このリリースでは、X8-2LのHDDに追加された4 TBのストレージはBig Data Appliance 5.1では使用されず、顧客が使用できます。
X8-2Lサーバーは、X7-2L、X6-2LおよびX5-2Lサーバーで構成される既存のクラスタに統合できます。これを行うには、クラスタの既存のノードでBig Data Applianceリリース4.10以上が実行されていることを最初に確認します。
新しいX8ラックは、ベース・イメージが事前にインストールされているX8-2Lサーバーとともに出荷されます。OSレベルはOracle Linux 7です。
X8-2Lサーバーを使用してOracle Linux 6クラスタを拡張するには、X8-2LサーバーのイメージをOracle Linux 6に変更できます。ただし、クラスタをOracle Linux 7に近い将来移行する予定の場合、現時点ではOracle Linux 6からOracle Linux 7へのX8-2Lサーバーの移行はサポートされていないことに留意してください。
X8ラックは、既存のX7、X6またはX5ラックとともにマルチラック構成に統合できます。
X8ラックのラック内ケーブル配線の変更はありません。
アップグレードおよびクラスタ拡張のための新しいMammothオプション
Mammothは、新しいラックでのBig Data Applianceソフトウェアの完全インストール、アップグレード、クラスタ拡張、およびパッチのインストールを実行するためのユーティリティです。以前は完全インストールでのみ使用可能だったMammothの-s
(単一ステップ)オプションおよび-r
(ステップの範囲)オプションが、アップグレードとクラスタ拡張の両方で使用できるようになりました。
- この例では、
-s
を使用して、アップグレードのステップ1のみを実行しています。ステップ1は事前チェックおよび事前構成の操作のセットです。# ./mammoth -s 1 -p
- この例では、-rを使用して、クラスタ拡張ステップの範囲を実行しています。新しいノードごとにステップ4 (PrepareBaseImage)までのすべてのステップが実行されますが、それ以降は続行されません。
# ./mammoth -r 1-4 -e node13 node14 node15
マルチラック・クラスタでの統一されたサービス・レイアウト
以前のリリースでは、クラスタがもともとマルチラック・クラスタとして構成されていたか、シングル・ラック・クラスタが追加ラックで拡張されたかによって、マルチラック・クラスタのノード間でのサービスの分散が異なります。どちらの場合も、リリース5.1より前のリリースでは、最初のラックのサービス・レイアウトはシングル・ラック・クラスタのサービス・レイアウトと異なります。
Oracle Big Data Appliace 5.1では、シングル・ラック・クラスタおよびマルチラック・クラスタの最初のラックのサービスの分散は同じです。2番目以降のラックのサービスは、クラスタがシングル・ラック・クラスタまたはマルチラック・クラスタのどちらとして開始されたかどうかにかかわらず一貫性を持つようになりました。
CPUコア・キャッピング
コア・キャッピングを使用すると、アプライアンスの2つのCPU内の物理コアを無効または有効にできます。この機能の考えられる用途の1つは、サーバーをライセンスに準拠させることです。コアはbdacliユーティリティを使用して有効または無効にできます。サーバーでのCPUコアのキャッピングを参照してください。
障害が発生したオペレーティング・システム・ディスクおよびデータ・ディスクの交換の自動構成
Bdaconfigurediskユーティリティを使用すると、スクリプトの実行後に手動で介入することなく、交換ディスクの構成またはディスクの再構成を行うことができます。このスクリプトは、OSディスクとデータ・ディスクの両方をサポートします。
Sparkのチューニング
デフォルトのSpark構成パラメータにいくつかの変更が加えられました。これらの変更により、ほとんどのSparkジョブの実行速度が向上します。
強化されたセキュリティ
Big Data Applianceクラスタのセキュリティを強化するための改善が行われました。これらの変更により、将来の脆弱性の影響が少なくなります。
Big Data SQL 4.0について
Oracle Big Data SQLでは、Apache Hive、HDFS、Oracle NoSQL Database、Apache Kafka、Apache HBase、その他のNoSQLデータベース、Amazon S3、Oracle Object Storeなど、複数のビッグ・データ・ソースに格納された非リレーショナル・データに対する問合せをサポートしています。
リリース4.0には、ORACLE_HIVEおよびORACLE_HDFSに加えて、新しいORACLE_BIGDATAドライバも含まれています。これは、クラウドのオブジェクト・ストア内のデータに対して外部表を作成できるドライバです。
Big Data SQL 4.0で導入されたもう1つの機能は、Big Data Applianceクラスタ内のエッジ・ノードでローカルに実行される、軽量でメンテナンス不要のOracle Databaseである問合せサーバーです。これにより、Oracle Databaseの完全なインストール環境がなくても、Hadoopのデータを簡単に問い合せることができます。問合せサーバーでは、セッション間で保持するのに便利なメタデータの特定のカテゴリを除いて、永続的なストレージが提供されません。
Big Data SQL 4.0は、主にOracle Database 18c以降で使用することが意図されています。Oracle Database 12.1および12.2も完全にサポートされています(これらのデータベース・バージョンでBig Data SQL 4.0の新機能は利用できません)。
Big Data SQLコンポーネントは、HadoopとOracle Databaseの両方にインストールする必要があります。Oracle Big Data SQLインストレーション・ガイドでは、両方の部分のインストールの手順が説明されており、サポートされている複数のHadoopフレームワークに製品をインストールするための一般的な手順が含まれています。ただし、Oracle Big Data Applianceでは、Hadoop側のインストールの大部分はMammoth (Big Data Applianceインストーラ)と統合されています。このガイドのOracle Big Data SQLのインストールでは、Big Data ApplianceでのBig Data SQLのHadoop側のインストールの違いについて説明しています。
このリリースでのソフトウェア・バージョン
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Cloudera Enterprise 6.2.1 (CDH、Cloudera Manager、Key Trustee、Sentry、Impala、Cloudera Search、Apache HBase 2.0、Apache Hive 2.0、Apache Spark 2.2、Apache Kafka 2.10を含む)。
Kudu、KafkaおよびKey Trustee Server 用のClouderaパーセルは便宜上含まれていますが、デフォルトではデプロイまたは構成されません。
Oracle Big Data Appliance 4.13では、MammothインストーラによってApache Spark 2が自動的にデプロイされていました。Oracle Big Data Appliance 5.1へのアップグレードでは、このパッケージは削除されます。
- Oracle Big Data SQL4.0
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Oracle Big Data Connectors 5.0
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Oracle NoSQL Database Enterprise Edition 19.3.12
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Oracle NoSQL Community Edition 18.1.19
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MySQL 5.7.27
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Oracle R Advanced Analytics for Hadoop (ORAAH) 2.8.1
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OracleのR Distribution (ORD) 3.3.0
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Oracle Big Data Spatial & Graph 2.5.3
2.5.3リリースには、いくつかの新しいAPIが含まれています。インメモリー・アナリスト(PGX)に2つの新しいアルゴリズムが追加され、PGQLサポートのためにいくつかの新機能が追加されています。
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Java JDK 8u231
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新規クラスタの場合: Oracle Linux 7 (UEK4)。Oracle Linux 6クラスタのアップグレードの場合: Oracle Linux 6 (UEK4)。
ノート:
新しいOracle Big Data ApplianceラックにはOracle Linux 7が付属します。
X8-2L (またはX7–2L)サーバーをクラスタ内のノードとして追加するには、Oracle Big Datas Appliance 5.1をインストールする(新しく導入されたラックにない)既存のクラスタ内のすべてのサーバーをまずOracle Big Data Appliance 4.10.0に更新する必要があります。
ベース・イメージのダウンロードおよび手順については、My Oracle SupportのOracle Big Data Appliance Patch Set Master Note (Doc ID 1485745.1)を参照してください。
このリリースでサポートされないソフトウェアおよび機能
Cloudera Enterprise 6.xに移行されたため、現在、次のソフトウェアおよび機能はOracle Big Data Applianceリリース5.1でサポートできません。
- Oracle Big Data Discovery
Oracle Big Discoveryがインストールされている場合は、Big Data Appliance 5.1へのアップグレードの前にアンインストールします。以前にインストールされたこの製品のバージョンは、Cloudera 6と互換性がありません。
- CDH 5互換のODI (Orace Data Integrator)エージェントOracle Big Data Appliance 5.1のインストールには、現時点でODIエージェントの互換性のあるバージョンは含まれていません。以前のリリースでインストールされたエージェントは、Cloudera 6と互換性がありません。このため、このエージェントが有効にされている場合は、クラスタをリリース5.1にアップグレードできません。アップグレードする前に、既存のODIエージェントが無効になっていることを確認します。
# bdacli getinfo cluster_odi_enabled
既存のODIエージェントを削除するには、bdacliを使用してOracle Big Data Connectorsを無効にします。次に、ODIエージェントを含めずにBig Data Connectorsを再度有効にします(
bdacli disable bdc
を実行してからbdacli enable bdc
を実行します)。Oracle Big Data Applianceの構成ユーティリティでは、インストールでODIエージェントを選択できません。既存のmaster.xmlファイルを構成ユーティリティにインポートする場合は、新しい構成ファイルを生成する前に、ODIエージェントのインストールの選択が解除されていることを確認してください。同様に、bdacliユーティリティを使用してOracle Big Data Connectorsを有効にする場合、
bdacli enable bdc
コマンドではODIエージェントは有効になりません。ノート:
Mammothのインストール後に、ODI製品のドキュメントの手順を使用して、スタンドアロンのODIエージェントの12.2.1.4を別途インストールできます。このバージョンのエージェントは、Cloudera 6互換として動作保証されています。
- ローリング・アップグレード
通常、ローリング・アップグレード(ノードを1つずつアップグレードし、停止時間を回避します)は、Oracle Big Data Applianceリリースのオプションです。ただし、現在、このオプションはOracle Big Data Applainceリリース4.xから5.1へのアップグレードに使用できません。4.xから5.1へのアップグレードでは、クラスタで一定の停止時間が必要となります。
- 新しいKafkaクラスタおよびクラスタのアップグレード
Oracle Big Data Appliance 5.1では、新しいKafkaクラスタの作成が一時的にサポートされません。
既存のKafkaクラスタをアンインストールする必要はありません。これらは引き続き機能しますが、アップグレードできません。
Oracle Big Data Appliance 5.1より前の最近の変更履歴
このガイドの付録の最新の変更履歴では、リリース4.14および4.13での変更点について説明しています。さらに古いバージョンのOracle Big Data Applianceからアップグレードする場合、この変更サマリーを読んでおくと役立つことがあります。